人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
総ての理不尽、不可能等世迷い言!至宝を手にした痛快無比なる王が、人類の総てを此処に守護する!
ヘラクレス(アーチャー)
十二の試練を乗り越えし大英雄、誰もが望んだ真価と本領を此処に。
クー・フーリン(クー・フーリン)
オレを選んだアンタに損はさせねぇよ!アルスターそのものを体現し戦場の王、クランの猛犬堂々参戦!
騎士王(騎士王)
終末のブリテンを繁栄させる事の出来た唯一無二の王。常勝無敗の輝きが、今此処に形を為す!
カルナ・オリジン
万全ならば三界総てを制すとすら唱われし、カルナの有り得ざる本領。最早戦場に呵責無し、お前に完全無欠の勝利をもたらそう──!
──以上・ピックアップ文面より──
「いつか、来るとは思っていた・・・」
楽園ではない、何処かのカルデア。かつて楽園と共にセラフィックス油田の問題に挑んだカルデアにて奮闘する藤丸立香が、誰に告げるともなく呟く。
「そして、その時は今、この瞬間だ・・・!」
その手に握り締めるは、虹色の石。いつか来るか、いつ来るのか。或いは来ないんじゃないかと、先の見えない道をマラソンするかのような苦悶の日々に終止符が打たれる。同時に、マシュに対する事がもう出来なくなってしまいやや疎んじくなってしまった停滞、怠惰そのものに。
彼は貯めに貯め抜いた。基本的にマシュ一番だったのと、現地のサーヴァントがいれば大体なんとかなるといった理由だったり、そもそも召喚自体にあんまり興味が無かったりで使用の目を見なかった無数の聖晶石、その数1000個。いよいよもってそれらの全てを吐き出す日がやって来たのだ。そう───
「全員当ててみせる、なんとしても当ててみせるぞ・・・!!なんとしてもぉおぉおっ!!」
気合いに満ち溢れた藤丸が睨むバナー広告には・・・
「行くぞ、御機嫌王!!視察の準備は十分か──!!」
『楽園サーヴァントピックアップ召喚』と書かれ、燦然と愉悦と痛快に満ちた哄笑を上げる王の姿が示されていた──。
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> 課金は家賃まで! <
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「ダ・ヴィンチちゃん!久しぶりに先輩がログインしてくださいました!元気そうで何よりです!」
「そうだねぇ。いつまで経っても推しのサーヴァントに強化をしたくても何故か出来ない、聖杯も夢火も絆も何もあげられないと知った立香クンの絶望は図り知れず、虚無に導かれるのも無理は無い状態だった・・・」
召喚室・・・勿論、所長もドクターも副所長もいない・・・に集うマシュ、ダ・ヴィンチちゃん、そして藤丸。最近はもっぱら、『何かあったら起こしてください。マシュ絡みのアップデートなら特に』とすぐにノンレム睡眠に叩き込まれるので会話の余地すら無かった彼が、目を血走らせてサークルの前に立っている。
「だが、そんな消極的な彼をも奮い立たせる素晴らしいプレゼントのチャンスをくれたものがいた!さぁ見たまえこのピックアップを!心踊らないのが無理というものだろう!」
自慢気に渡された霊基観測の一覧には、まさにそうそうたるメンバーが取り揃えられていた。一騎招き入れる事が出来れば、並大抵の聖杯戦争には勝利できると言う程の驚異的な面子である。
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ギルガメッシュ(ゴージャス) SSR
ヘラクレス(アーチャー) SSR
クー・フーリン(クー・フーリン) SSR
騎士王 (騎士王) SSR
カルナ(オリジン) SSR
フェルディア(セイバー)SR
コロンブス・リリィ(ライダー)SR
大魔導士エイボン(キャスター)SR
コンラ(アーチャー)R
乙姫(キャスター)R
イアソン(ライダー)R
至尊の守護者 SSR礼装
改築のススメ SR礼装
極限に至りし職員 R礼装
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「な、なんというラインナップ・・・!エクストラクラスと大英雄の怒濤の羅列です!」
「そうだろう、そうだろう。あちらの楽園の方から直接来てくれるのか、それとも霊基を写した一からなのかはまだ不明だが、これは全ての石を吐き出す価値がある!」
誰か一人でも当てられたならば戦力の大幅アップ。しかし全てのキャラを呼び出す、或いは宝具の出力を上げようと試みればどれだけの労力が必要なのかは想像もつかないほどの凄まじい難易度というまさに天国と地獄。これに挑まずいつ挑むと挑戦をされているようなラインナップに、カルデア全総力を挙げての抗戦を彼等は選択したのだ。
「・・・流石にいないか・・・」
「?どうかしたかい?」
「いや、何でもない!じゃあ早速行きましょう!唸れ、オレの喉のグランドガーチャーッ!!」
いよいよもって回り始める運命の楽園サーヴァントピックアップ。誰が当たっても嬉しい、外れなど無いと言って良いまさに恩寵ガチャ。放り込まれた石の数だけ、輝きを増していく召喚サークル。賽は此処に投げられたのだ。
「頼む、星5!いや贅沢は言わない!新サーヴァントの誰でも良いから来てくれっ!!」
「先輩があまりにも必死です・・・!先程まで萎びきってしまった先輩とはまるで別人の様で・・・!」
「ガチャとはギャンブルだ。脳から大量の麻薬物質やあれやこれやが分泌されて皆頭がおかしくなってしまう。覚えておいておくんだマシュ、ガチャとは恐ろしいものなのだよ、とね」
「ムニエル礼装!ムニエル礼装!改築地図!改築地図!ムニエル礼装!礼装!せめてエクストリームフォウ君をくださいっ!!なんですかあのでっかいフォウ君は!?もふりたいです!!」
大量の礼装が排出されるのみの結果に悔しげに歯噛みしつつも、藤丸は石の投入を諦めない。そう、このカルデアというかここの藤丸立香はマシュへの拘りに加えて壊滅的にガチャ運が無い。未だに限定星5はおらず、高レアは配布されたエリちゃんを初めとした数騎。『来るはずの無い星5より必ず来てくれる配布や低レア』。それが彼の不動のポリシーであり、もっぱら聖晶石は負けそうな時に食べる金平糖扱いであるのだ。石で殴れば敵は死ぬと何度も口にし、マシュをメインに戦い抜いてきた無課金マスターなのである。
だが、そんな彼すらもガチャに走らせる魅力が此処にはあった。何故ならfateを知っているならば知らなくてはおかしいビッグネーム達の大集合、更に『上機嫌な英雄王』なんて突然変異体をちらつかされては戦わない訳にはいかないのだ。パーフェクトヘラクレス、クー・フーリン、カルナ、騎士王も何度も最強議論に出てきた名前である。見たいのだ、実際に再現されたその強さが、一体どの様なものなのか──
「先輩!サーヴァント反応です!来てくれますよ、誰かが来てくれるんです!」
「バチバチ来い!高レア!誰でもいい来てくれ!来てくださいお願いいたします!!」
守備や防御はマシュという絶対的信頼に満ちた彼女がいてくれる。ならばマスターとして次に追い求めるのは護りに護った後に戦況を変えることが出来る攻撃の手だ。今、それらの全てが此処に可能性として集っている。
「来ます!霊基召喚──!!」
もう既に80連に到達しようとする召喚の最中、ようやく現れしサーヴァント反応。楽園の歩み続けて来た輝きの一端に示されし、カルデアに招かれし英雄の名前は──
「──最高の当たりを引き当てたな凡人!そう、私がアルゴー号の船長にして知恵と勇気の英雄!イアソンだ!!実に運がいい、いやぁラッキーだなお前は!」
「はっ、イアソ・・・イア・・・──」
ピックアップされた中で一番眼中に・・・いや、見落とし・・・いや、必ず来てくれるだろうと楽観視していた藤丸に与えられた楽園のサーヴァント、それはイアソンだった。ライダーであり、セイバーとして前線に出ることすら拒否する徹底ぶりのイアソンである。
「お前の戦いは決して無駄では無かった訳だ!喜べ、この私が来た以上勝利は決まった!存分にウイニングランを決め込むといい!ライダーだけにな!はっはっはっはぁ!!」
「はい・・・ありがとうございます・・・まだだ、まだ諦めるような時間じゃない・・・!!」
「先輩・・・」
「これだけ回した成果にしては惨すぎるものだ、しかしガチャとはそういうもの。さぁ、藤丸君は流れを掴めるか・・・?」
ガチャの理不尽さと無慈悲さ、恐ろしさに戦慄しながらも、藤丸達はガチャに挑み続ける。
楽園が、ガチャという遊興に耽る酔狂者に下す裁定は、果たして──。
数時間後
マシュ「せ、先輩・・・」
ダ・ヴィンチ「あぁ、なんという事だ・・・330連近く回した筈だと言うのに、藤丸君の成果は・・・」
藤丸立香「」
イアソン「おいマスター!何が不満だ!?」
イアソン「俺がこんなにも集ったんだ!最高の結果じゃないか!」
イアソン「おい、ヘラクレスがまだ当たってないぞ!もっと行けるだろう!!」
イアソン「頑張れよお前!お前ならやれるだろぉ!」
イアソン「ボロボロじゃないか・・・誰がこんな事を・・・誰かメディアを呼べぇ!」
ダ・ヴィンチ「船頭多くして船、山に登る・・・」
マシュ「で、でも礼装はコンプリート、全解放しました!戦力としては、無駄ではありませんでした!」
藤丸「・・・」
マシュ「あ、先輩?何処に・・・?」
「・・・石を、貯めるんだ・・・」
ダ・ヴィンチ「・・・次の為に、かい?」
「えぇ・・・諦めずに、何度でも挑めばいつかは・・・諦めないぞ・・・!!必ず・・・!」
・・・──待っていてくれ!!平行世界の俺!!
・・・そして、一週間後・・・
マシュ「先輩!楽園ピックアップ2が!」
~楽園ピックアップ2
藤丸龍華 (SSR)
マシュ・キリエライト(SSR)
アイリーン・アドラー(SSR)
平将門公(SSR)
天照大御神(SSR)
相互理解不可能の狩人・ナイア(SSR)
ニャルラトホテプ(SR)
ロイグ(SR)
ロボ&ブランカSR)
ムニエル(R)
藤丸「うわぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!」
マシュ「先輩──!?」
戦いの傷も癒えぬ中迎えてしまった決戦、戦うことすら赦されぬ至高の舞台を前にし、藤丸立香は発狂した──