人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「噂の麻婆、ルチフェロなりしサタン風味・・・?おもしれぇ。誠の一文字に後退はねぇ・・・食ってやろうじゃねぇか」


「止めてください!!命を無駄にしないでください土方さん!!」

「どきやがれ沖田!!新撰組に――逃亡はねぇ!!」


激闘だっ!

「面倒だ」

 

 

剣を振るう

 

 

「ぐあっ!!」

 

ネロが吹き飛ばされる

 

「面倒だ」

 

 

剣を振るう

 

「くあぁあっ!!」

 

マシュの体勢が突き崩される

 

 

「実に、実に」

 

「ぉおおおお!!」

 

気合いと共に突進し、斬りつけるネロを軽くいなし

 

「ぬっ――!」

 

「面倒だ――!」

 

「ネロさんっ!!」

 

振りつける剣を受けたマシュごと、ネロが吹き飛ばされる!

 

「くあぁあっ!!」

「ぬうっ――!!」

 

 

一を向ければ十が、突けばかわされ、ときに華麗に、俊敏に、欺くように、実直に

 

謀法術数の如く手練手管にて振るわれるカエサルの剣が、二人をめった打つ――!!

 

 

「無事か!マシュ!」

 

「はい、直撃はありません、が・・・!」

 

 

「んん。やはり私にセイバーは向いておらんな」

 

こきこきと肩をならすカエサル

 

 

「・・・これだけ、強力な剣を振るっておいて、よく・・・」 

 

「事実だろう。カエサルは本来、指揮と扇動を本懐とする方だ」 

 

「うむ、良くわかっているな。私の武器は身ぶり手振りと弁舌だ。身ぶりで敵をいなし、手振りで敵を誘き寄せ、弁舌で止めをさす。近接、白兵戦など鎧に身を包んだ兵卒の仕事であるだろうに」

 

「小賢しい兵法はともかく、白兵戦は兵卒の仕事、というのは全く以て同感よ。王が白兵戦などに興ずるときは宴の席か、玉座に敵が迫るときのみ、要するに酔狂か、窮地にある証であろうよ」

 

――器の所感はともかく、あのカエサル・・・強い

 

マシュとネロを容易く流し、一撃一撃がまた重い。変幻自在の太刀筋は、付け入る隙を与えない・・・見た目とはかけ離れた素早さと繊細さ・・・侮っていたらやられる・・・!

 

 

「チェンジ!『全体回復』!」

 

礼装を変え、マシュとネロの傷をマスターが癒す

 

 

「大丈夫!?」

 

「すまぬ!まだだ!カエサル!」

「ありがとうございます、先輩!」

 

「ネロを主軸に攻め立てて!マシュはネロをガード!強いけど、ヘラクレス程じゃない!」

 

「なんと、そちらにはギリシャの大英雄もいるか。徒に世界を救わんと息巻いているわけでも無いわけだな」

 

「もちろん!さぁこれからだよ!ネロ!薔薇の皇帝の力、見せてやろうよ!」

 

「うむっ!マシュ、守りを余に!」

「はい!」

 

「まぶしい団結だ。我等には無い輝き――美しいな。あれが持つ輝きのようだ――」

 

「たぁあぁあぁぁあ!!」 

「上げていくぞ――!!」

 

「立ち上がれ、睨め、叫べ!私は立ちふさがる、お前達に!」

 

 

(オルガマリーが言ってた、セイバーとかは対魔力を持ってる。だから、ガンドが効くかどうかはイチバチ!不意と虚をつかなきゃ無駄うちになる・・・――なら!) 

 

原初の火、黄の死、雪花の盾がぶつかり、絢爛たる火花が乱れ咲く――!

 

 

 

 

「よりよき研鑽になろうな。たかが皇帝一人下さねば、人理など夢のまた夢だろうよ。――で」

 

ちらり、と横のセイバーを見やる

 

「貴様は何をしているのだ、セイバー擬き」

 

 

コンソールをいじり、素振りをしているヒロインXを見やる

 

「?戦術構築と仕込みですが?」

 

「ほう。我には素振りをしているようにしか見えんが」

 

「セイバーが二人もいる状況、利用しない手はありません。あわよくば二人で消耗していただければ、私の手間が省けます。正々堂々漁夫の利を狙い、騎士の誇りにかけて消費は最低限に。セイバーとして当然の心がけです」

 

正々堂々の観点が崩れる発言を平然と放つヒロインX

 

「そうか。――いつになったら我はセイバーに逢えるのだろうな・・・」

 

「ここにいるではありませんか。セイバー」

 

「む、マスターがまた面白い試みをしているではないか」

 

「無視ですかギルガメス!」

 

――もしかして、そっくりさんってまだまだいるのかな?この人の

 

 

 

 

「来て!ジャンヌオルタ!」

 

右手を掲げ、黒き魔女を呼び出す

 

 

「ちょっ、また私なの!?何考えてんのよ、私の状況解ってる!強さはマシュ未満なのよ!?」

 

「戦わなきゃ強くなれないじゃん?」

 

「それは、――そう、だけど」

 

「私も半人前、あなたも半人前!なら、二人合わせて一人前!やろうよ!」

 

「――フン!バカなマスターもいたものね・・・!いいわ、だったら――ついてきなさいよ!」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

「ぉおおぉお!!」

 

原初の火が、カエサルに追従する!

 

「少しは手慣れたな。そうでなくては何も面白くない」

 

「たぁあぁああ!!」

 

マシュの盾が、カエサルの剣を阻む!

 

「良い、良いぞ。まろやかな身体とは真反対の堅牢ぶり。実に良い――美しい。お前たちは美しい!」

 

刃が重なり、気概が高まる激闘の最中

 

 

 

「――邪魔よ!チビ!マシュマロ!!」

 

 

憎悪の業火が、戦場を焼き払う!

 

「ぬっ――!?」

「ジャンヌオルタさん!?」

 

二人が飛び退く。炎は唸りをあげ、カエサルを包み込む

 

 

「なんと――焼けそうな熱さだ。私の脂肪も燃えぬものか」

 

「だぁあぁあぁあ――!!!」

 

炎を掻き分け、ジャンヌオルタが旗を叩き付ける――!

 

「おっと」

 

黄金の剣を以て、容易く奇襲を無に帰すカエサル

 

「くっ!」

 

「このカエサルを欺くなど。それは生前飽きるほどやったからな」

 

「く――くく、あはははははは!」

 

「・・・?」

 

「――『マスター』!!」

 

まといしファーを翻す

 

「――なんと――!?」

 

ジャンヌオルタにしがみついていたのは――

 

「この距離なら、対魔力も貫ける!」

 

人類最後のマスター、リッカだ――!

 

「――『ガンド』!!」

 

指先から、呪いを放つ――!

 

 

「なんと――!!?」

 

直撃し、動きが止まるカエサル

 

 

「今だよ、ネロ――!!」

 

「うむっ!!」

 

ダッシュにて距離を詰め、最上段に振りかぶりし太刀筋にてカエサルに――

 

「これが、薔薇の一撃だ――!!」

 

渾身の一太刀を浴びせる――!!

 

 

「ぐぬぅうっ!!」

 

「――浅いっ!」

 

 

歯噛みするネロ、飛び退くカエサル

 

――ガンドは届いたが、対魔力により効きは浅かったのだ。僅かに動き出すのが速かった・・・!

 

 

「ふっ、はははは!いいな、いいぞ!楽しい戦いだ!私の戦記に書き起こしたい程のな!」

 

愉快そうに笑うカエサル

 

「たまには剣を執ってみるものだ。やはり戦場は私を癒してくれる。奇襲、気迫、見事だったぞ」

 

「るっさい、デブ」

 

「デブではない、ふくよかなのだ。ふくよかこそ力!」

 

「あっそ。――ごめん、マスター。しくったわ」

 

「ううん。私を連れて突撃してくれて、ありがとう!ゆっくり休んで!」

 

「――えぇ。気を付けなさいよ」

 

カルデアに帰還するジャンヌ

 

「うむ、うむ。よし、よし。私も気分が乗ってきたようだ。――本気を出すとしよう」

 

「な、本気ではなかったのですか!?」

 

 

「当然だ。本気などはじめから出していたら面白味はあるまい。場を暖めるために、民衆を湧かせる為に手札は切らぬものだ――では」

 

 

「ほう、来るか」

 

 

魔力が高まる。カエサルの本領が――

 

 

「――私は来た、私は見た。ならば後は――」

 

 

本領が――阻まれる

 

 

「後は私に斬られるのみ!――支援砲撃!着弾!!」 

 

 

 

遥か天空にて、青き砲弾がカエサルに叩き込まれる――!!

 

「なんとぉおぉおぉお!!?」

 

 

「油断しましたね。出し惜しみなどしていては私という真なるセイバーにロックされるは火を見るより明らか。慢心、油断など見飽きています」

 

「ははは、当て付けか?」

 

「事実です。――待たせたな私以外のセイバー・・・有象無象の成敗のお時間です――!」

 

聖剣――白き聖剣と黒き聖剣を召喚し、みなぎる魔力を噴射しロケットのようにカエサル目掛けかっ飛んでいく!

 

「ギャラハ――マシュは赤セイバーを護りなさい!うっかり切り捨てたら色々台無しです!」

 

 

「は、はい!!」

 

――聖剣二本!?マジで!?

 

「酔狂も極まったわ・・・ギャグ時空はチートであろう・・・」

呆れ果てる器。いやいやいや、嘘でしょう・・・?

 

「いざ!!――星光の剣よ!赤とか白とか黒とか消し去るべし!!」

 

相反する二つの剣を縦横無尽に振り回し、カエサルを無惨に切り裂きめったぎりに打ち据える――!!

 

「がふっ――!!」

 

「皆には内緒だよっ!エックスっ――」

 

 

X字に、切り払う――!!

 

 

「カリバ――――――!!!!!!!」

 

 

凄まじい魔力の奔流が、辺りを吹き飛ばす!

 

「くぅうぅう!!」

「め、滅茶苦茶な将もいたものだな!」

 

 

「何も言うことは無い・・・」

 

 

 

「――美しきもの達に倒されるか。よい。よい末路だ」

 

やがてカエサルの反応が弱まり、消えていく

 

 

「セイバー処理、完了。また世界が正しき姿に近付きました」

 

 

「――やはり、俺はセイバーには向かんな。ようやく慣れぬ仕事から抜けられる」

 

 

「敗者として去るなら土産の一つも置いていけ。――貴様らの聖杯の在処はどこだ?」

 

――そうだ。マスター達の奮闘に見合う情報は貰っていく

 

それが必ず、次の指針に繋がる筈だ。

 

 

「そうだ、勝者には報償がなくてはな。――聖杯は、我が連合ローマの首都の宮廷魔術師が所有している」

 

『宮廷魔術師・・・では、それが』

 

 

「レフ・ライノール!」

 

「――ネロ。美しき皇帝よ。そこにはお前にとっても衝撃が待っている。そのかたに出会ったとき。お前がどのような顔をするのか――見物だな」

 

――笑いながら、カエサルは消滅していった・・・

 

 

 

「さらば、名君カエサル・・・余は、貴方の屍を踏み越え進む・・・」

 

 

――かくして、カエサルは倒れ。正統ローマは、ガリアを奪還したのだった・・・

 




「出来ました!さ、召し上がれ!」


「・・・中々いい面構えじゃねぇか・・・腰抜けの幕臣どもに食わせてやりてぇもんだ」


「無理!無理です!沖田さん無理!!私急用を思い出しましてその――」

「いただくぜ」

「土方さん――!!」

「――――うぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ――――――!!!!!!!!!」

「土方さ――――ん!!!」

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