人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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アンデルセン「ふむ・・・そろそろ分かりやすいネタが欲しいものだ。休暇中ではあるが、やはり痛快な冒険のストックはあればあるほどいい」

ゲオルギウス「それではどうでしょう。私が撮った風景画に文を付けていただくというのは・・・」

レオニダス「マシュ殿ォぅ!!めでたく素晴らしい日が続きますがぁ!!勝って兜の緒を締めよといいマシュぅ!!というわけで、スパルタ筋肉講座、いかがでしょう」

マシュ「よろこんでっ!でぃすいず!すぱるたー!」

イアソン「やっぱりグリップやターンの滑らかさは重要だろう。曲がるべきところで曲がらなければ船は沈むからな、まじで」

ゴルドルフ「ふむむ、確かに。でも私はやっぱり整備性の観点からワンオフパーツの多用は避けた方がいいと思うねぇ。ほら、何処にでもあるパーツはさ、絶対に裏切らないだろう?」

メフィスト「ウヒヒヒヒヒィ!おや式ちゃん!今日も今日とてアイス巡りうぉっちぃ!?」

式「キモい呼び方するな、殺すぞ」

「あぶないあぶなァい!ダメでしたか!マスター・リッカが呼ぶように呼び歩み寄ったのですがとっけぇい!?」

「動くな、殺せないだろ」

黒ひげ「でな、グドーシよぉ・・・ドレイクの何処がオレは好きか、解ってくれるよなぁ・・・?」

「星の開拓者であり、困難や不可能に負けぬ星のようなその在り方、生き方・・・海賊でありながらけして穢れぬ痛快かつキラキラした魂。黄金の舵がごとき全て・・・でござるな?」

「おうよ・・・お前とリッカたん。三人で海原を駆け抜けたかったなぁ・・・そうすりゃ俺ぁ・・・」

アンデルセン「・・・やけに低レアが多いな・・・」

(いや、楽園にそんな区切りは無意味だが・・・出逢いや集まりには必ず意味があるものだ。さて、今回はどんな愉快な旅が待つのやら、か)

アンデルセン「まぁ──俺は肉体労働などせんがな!よし、エアのシチューをたかりに行くか」

キアラ「あっ・・・おはぎを・・・」

「・・・・・・シチューの前に食べてやる。よこせ」

キアラ「✨✨」


小説で分かりたくないFGOの闇
小説で解るFGO~シオンはステーキハウスに行った~


「やーって来ました!待ちわびました楽園編入!夢にまで見たカルデアの一員に、今私達がなったというわけ!アトラスの歴史に名を残す的な大偉業なんじゃないでしょうか!言い過ぎ?いいえ事実です!」

 

披露宴が終わった春の一日。ようやく正式な編入にて声に出して歓喜するのはアトラスの才女、シオン・エルトナム・ソカリス。面接官ニャルの深淵面接を乗り越えたへんじ・・・エキセントリックな女子がいよいよもって神秘の神殿の形を取る楽園へと、キャプテンと共に入場を許されたのだ。外部からでは全く刃が立たなかったその驚愕にて磐石な施設に目を輝かす。何故なら楽園そのものが今の技術では再現できない術式、素材、魔術回路、発明・・・いわゆるオーパーツ『のみ』で構成されている。未解明のブラックボックスの中に放り込まれたようなものなのだ。技術者として興奮するなと言われる方が無茶である。

 

「僕は見かけたあの黄金の船・・・ロボット?あの星を往くという神の舟を見てくるよ。僕にも携われる場所が、ほんのひとかけらでもあればいいんだけど」

 

キャプテン・・・そう呼ばれるサーヴァントもさっさと別行動してしまった。無理もないだろう。圧倒的な輝きと偉容を持つ黄金の巨神、それが戦艦ともなると聞けばキャプテンとして決して看過出来ないはずだ。まさに宝箱を見つけた子供、というものである。

 

「歓迎するわ、シオン。私は楽園カルデアの所長職についている・・・」

 

「オルガマリー・アニムスフィア!アニムスフィア家、天体科の君主に位置する魔術師!マリスビリー・アニムスフィアのご息女!御会いできて光栄ってヤツです!是非是非よろしくねー!」

 

自己紹介の必要は無さそうね・・・掴まれブンブンされる自分の手を見ながら苦笑する。今更、自分の立場などどうでもいいものだ。人間だろうと聖杯だろうと、我思う、故に我在り。とさっぱり割り切るオルガマリー。

 

「色んな場所に案内してもらいたい・・・所なのですが!やはり私が見たいのは楽園最悪と名高いマスター、藤丸リッカちゃんですね!」

 

「あら、御存知なの?」

 

「ニャルさんに聞きましたよ!それはもう色々と!悪性を力に邁進する、汎人類史が選ばれた歴史である証明にして生き証人!そんな奇跡に胸踊らない筈がナイナイ!ですよ!」

 

ちょっと持ち上げすぎじゃないかしら・・・?とオルガマリーは苦笑いする。いや、自分としては同意なのだが、あんまり本人を目の前にして称賛は控えた方がいい。粒子になってしまう。

 

「ぜんっぜん過ぎじゃないです!善の側面や存在が皆様に愛され、善を貫くのは私達の観点から見れば至極当たり前、二元論にも語られる通りに善悪は明確に二分化されているものなのです」

 

「あぁ、アフラ・マズダ・・・ゾロアスターの観点かしら」

 

「はい!この世総ての悪を、本当に彼女が宿し!そしてそれを彼女が力にし皆の信頼や親愛を勝ち取っているのだとしたら!それこそが私達の宇宙の正しさの証明!『悪』が『善』を知り、そして『善』を『悪』が助ける!真の意味で、人間が調和と多様性を証明できたと言っていいサンプルケースと言えちゃいます!これはホントもう、彼女も周りの人達も人類史に残る偉業そのものなんですよ!善悪論的に!」

 

興奮冷めやらぬ、といった様相でまくしたてるシオンに、オルガマリーと職員は顔を見合わせる。『そうなんだ・・・』と。どうやらリッカは、その存在で人類史の正しさを証明していたらしい。これは凄い事なのだと。そうなんだ・・・

 

「ささ!早く紹介してください!色々聞きたい事が山ほど、最低レポート用紙10枚単位であるんですから!聞けばサーヴァントと真っ向勝負で戦えるマスターだそうじゃないですか!武装や礼装プランがもうはかどってはかどってたまらないっていうか!」

 

「あはは・・・どうかその称賛は本人の前でまくし立ててはダメよ・・・?」

 

「?」

 

この人、リッカの天敵かも知れない・・・そう考えつつも気を取り直し、職員達に管制室を任せ、シオンを案内する。

 

「それでは、リッカの所に案内するわ。今の時間は・・・」

 

「ちょうど御昼時!やはりランチタイム!?何を食べてるのかなー!フレンチかなー!?」

 

「ステーキよ」

 

「へっ?」

 

「ドラゴンステーキよ」

 

ドラゴン、ステーキ・・・?え、竜種?店の名前か何かですか?そう困惑、フリーズするシオンの前を揺るぎなく歩んでいくオルガマリー。

 

「特訓後には良質なたんぱく質とアミノ酸を取るの。それが彼女の特訓と身体作りよ」

 

そう告げ、オルガマリーに導かれた場所にあったのは・・・ドラゴンを殴り倒す強面のお兄さんを象った看板と、可愛らしい服装に身を包んだステーキガールとテロップがかけられた立て看板があるり、喧騒に満ち溢れた・・・

 

「ドラゴンステーキショップ・ベオウルフ。ここのキャンペーン・ステーキガール・・・それがリッカよ」

 

「・・・──ホワイ?」

 

マスターが、何故ステーキガール?そんな方程式が導き出せない答えを思考野にぶちこまれ困惑しきりのシオンと共に、オルガマリーが扉を開けると──

 

「いらっしゃーい!!あ!マリーじゃんガッツリ行くのー?あれ、知らない顔がいる!どちら様!?」

 

ミニスカタンクトップ、帽子というステーキガール衣装に身を包み、ごった返す店内にて愛想を届ける美少女が駆け寄ってくる。もしやあなたが・・・と、言う前に。

 

「おう、らっしゃい。なんだリッカのマブダチと・・・新入りか?またスカウト要員かよ」

 

ジーパン、裸エプロンの漆黒肌ムキムキシェフ、ベオウルフがリッカの隣に立つ。威風堂々たる御兄さんの迫力に、シオンの灰色の脳細胞は速やかに活動を停止してしまう。どこから見ても堅気に見えない、恐ろしさMAXな風貌であるからだ。

 

「店長!二人御案内でっす!」

 

「おう、だがリッカ。おめぇも一緒に食え。今日は上がりでいいぜ」

 

「いいの!?まだ来たばっかりなのに!?」

 

「いいんだよ。働く時間より、ダチと語り合う時間を大切にしな。オラステーキ三人・・・いや!リッカ三人前二人一人前ずつだ!」

 

怒濤なる注文と共に、オルガマリー、リッカと共にあれよあれよと席につく事を宿命付けられるシオン。思考を取り戻すのにやや時間がかかり・・・

 

「へいお待ち!ドラゴンの喉ステーキ五人前お待ちどう!残さず食えよ!」

 

「やったぁ!ヘラクレスとの無制限組手の後はこれだねっ!いっただきまーす!」

 

「とりあえず、積もる話は食べてからにしましょうか。御代は私が持つわ」

 

「さっすがショチョー!太っ腹ー!えっと、シオンさんもどぞどぞ!遠慮しないで!」

 

「は・・・はい・・・えっ、は・・・?」

 

何処からどう見ても神秘の塊であるドラゴンの肉、フォークが貫通しないレベルの分厚すぎる肉、エミブーキャット特製のタレによるかぐわしい味付けと匂い。それを目の前のリッカと呼ばれる少女はなんでもない事のように三枚平らげていき、隣のオルガマリーと呼ばれる所長は無駄の存在しない動作で口に運んでいく。インタビューのつもりが激重極まる女子ステーキパーティーと変貌した現状に、アトラスの才女の脳が導き出した結論は・・・

 

「──まぁいっか!いただきまーす!うわっ!ナイフで切れないんですケド!?」

 

「かぶりついて噛みきるんだよ!こんな風に!んぎぃっ!!」

 

「或いは肉と肉の筋を見極めて、ナイフをこう、サクッと」

 

「わぁ!二人って全く真逆のタイプなんですね!というか人類!?」

 

フォークをブッ刺し、極厚の肉を引きちぎり引き裂くように喰らう見た目は愛らしい少女と、目にも止まらぬような、機械めいた精密さにてサイコロに切り分けていく所長と呼ばれる淑女に、アトラスの才女は悲鳴にも似た声を上げ・・・

 

(これが・・・人類の未来を狙う女達の決意と覚悟っ・・・!!)

 

絶妙な勘違いの答えを手に入れたシオンは、必死の形相でステーキにナイフの切れ込みを入れ続けるのだった──




リッカ「ふー!今日も食べごたえ抜群だったね!ごちそーさま!」

オルガマリー「よく食べるわね・・・成人男性三日分くらいのエネルギーよ、それ」

リッカ「私にとってはいつもの食事と変わんないよー。あれ?シオンさん大丈夫?シオンさん?」

シオン「肉・・・汁・・・肉・・・汁・・・肉・・・肉・・・肉・・・うぶっ!ううっ・・・!まってくださいいっぽもうごけな・・・うぶふっ・・・!」

オルガマリー「大丈夫?やはり少食な方には辛かったかしら・・・」

リッカ「でも完食できてる!凄いよシオンさん!次は白米山盛りセットに挑戦してみようね!白米大盛り、カルビたっぷり、マヨネーズ、ステーキどどんとどんぶりに閉じ込めたスペシャルリッカ丼もお勧めだよ!」

シオン「ううぶっ・・・!!」

聞いているだけで頭が肉になりそうなメニューに催すと同時に、

(これだけ食べて、何故そんな抜群のスタイルを維持できてるんですかあなたたち!?こんなの食べたら体重計なんて視界にすら映せない・・・!)

強面御兄さんが怖すぎて死にそうになりながら食べたシオンに、新たなる未解明の謎が産まれた瞬間であった──。

ベオウルフ「おい、新入りの嬢ちゃん」

「!?」

「無理して食べなくても良かったんだぜ?お子さまメニューもあるから、次はそれにするこったな。よく頑張った」

(優しい・・・)

「改めまして!私は藤丸リッカ!カルデア在住のマスターで・・・」

ようやく交流が始まる・・・そう思った瞬間、リッカの隣に小さいモニターが現れる。

マシュ『先輩!ステーキを貪り食べたようですね!次はそのまま天然なすびなどいかがでしょう!いかがでしょうか!』

「食べ合わせ悪いからいいや。どったの?」

『うぐぅ!・・・そ、それがですね!なんと!新たな特異点反応が確認されました!』

カドック『北米らへんに目星はついてる。準備が整ったらブリーフィングルームに来てくれるか。・・・アーキマンが全部弾いてくれたが、どうやら『別のカルデア』からの干渉が確認されたらしい』

オルガマリー「別のカルデア・・・?」

リッカ「──行こう、二人とも!店長!ごっそさま!」

ベオウルフ「おぅ、気をつけていけよ?」

素早く席を立ち、管制室へと駆け抜ける二人。

「ちょ、ちょっと待って・・・出ます、女性として出したら終わっちゃうものが出ちゃう・・・」

シオンは、女性の尊厳を護るため、込み上げるものを抑えているが故に。席から一歩も立ち上がれなかった・・・

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