人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ロリンチ「いやぁ楽しかった!こんな旅なら毎日やりたいものだね!」

ムネーモシュネー『素敵な記憶を保存しました。──いいもの、ですね』

ダ・ヴィンチ「そうだろう、そうだろう!君達の記憶は、この上なく鮮烈な記録になる。これからもよろしく頼むぜ?私の大事な写し身たち!」




マルドゥーク『(о´∀`о)』

キャプテン「僕はね、ネモって言うんだ──」

特異点の間、キャプテンはずっとマルドゥークにかかりきりでしたとさ。


エピローグ・そして楽園は日常に戻った

驚くような物語や異常事態、事件であろうとも人は必ず其処に何かを見出だす。今回の様な全く予想されていなかった妙な事件、特異点でもそれは例外ではない。王がマリオカートに熱中している間に終わっていた今回の特異点における報酬は確かにあった。それぞれが挑んだ末に、確かに躍進と報酬はあったのだ。

 

まず、何よりも大きいのは『王がおらずとも楽園は稼働し、特異点攻略に支障はない』ということ。もう細々と面倒を見なければ立ち行かぬ弱小な組織ではない。王という頂点は揺らがず、そして指揮するものと指揮されるものが切磋琢磨して試練や苦難に挑む事が出来ると確かに証明されたのだ。財はとうとう、己達の手で磨かれ輝く領域に至った。この事実こそ、王の望む最良の収穫にして成果。楽園職員の士気と練度は、着実にかつてのウルクの民達に近付いている。これで、いずれ起こる『数多の世界と相対する戦い』に、楽園の者達は汎人類史を代表するに相応しき力と価値を示し。力の限り戦う事が出来るようになるだろう。

 

「ふっ───ふはははははははははは!!!」

 

「突然笑い出しましたよ、ギル・・・」

 

「苛めすぎたかなぁ」

 

マリオカートしていたらクリアされていた特異点。その事実を報酬として、ますます王は御機嫌極まりない状態へと導かれていくのだった。ちなみにエルキドゥとマリカーする時は協力プレイしかしないと密かに決めた王でもあった。

 

・・・そして、成果を得たのは王だけではない。更なる報酬を、様々な形で王に与えられた者達も勿論存在する。それぞれが、それぞれの形で。

 

 

『楽園スカウト隊長認定勲章』

 

【やったぜ】

 

神に論理的エラーを起こし、勝利の切っ掛けを作ったシオン、ひいてはその人材を見出だした慧眼を評価され、本格的にスカウトの全権を任されたニャル職員。これから人員の外部採用はニャルが担当し、面談を行う事となる。キラキラと輝く勲章を制服の胸に付け、誇らしげに椅子にふんぞり返るニャルにシオンとナイアがチェスを行いつつも祝辞を述べる

 

「邪神でも勲章を貰うと嬉しいんですね~。はいナイちゃんチェックメイト」

 

「ぐぬぬ」

 

【別に人間が設定した勲章には興味が無い。楽園で功績が認められた事実が嬉しいだけさ。よーし、これからも人材登用がんばるぞい♪】

 

(うっわあ・・・倍率高いし命懸けとか・・・)

 

【まぁそれはともかく。よくもまぁ神のロジックエラーを突くなんて思い付いたな、シオン。やはりアトラス・・・というか彷徨海か。神代信仰拗らせて矛盾が目についたのか?】

 

「まぁそれもあります。でもやっぱり決め手は部員netの意見ですかねー」

 

【・・・ほう?】

 

「神様ってやっぱり信仰ありきな所ありますし、そこの土台を崩されたら脆くなるのは読めてました。じゃあそれを実証するものはなにか、っていったらそれは『幸せになれない人達の意見』な訳で。片っ端から反対意見を探したって言いますか!いやー、賛成意見ばかりだったら終わってましたよはい!」

 

【──成る程。今回の神殺しは、愉悦部員全員の成果という事か。ますます私の頭がプレシャスになる良い結末だ】

 

「はい、チェックメイト!」

 

「ぐぬぬ」

 

【よしよし、じゃあ次はサニティ・ボーダーの改良に精を出して技術者の資格も狙ってみるかな。あぁ、張りのある人生は素晴らしいものだ】

 

ワープシフト可能な彷徨海の第二支部において、邪神は好ましい結末に笑顔を浮かべ。得た勲章に更なる邁進を誓う。渡された報酬分の働きを更に誓って。そしてそれは勿論邪神だけではない。

 

「カドック、良かったわね。マスター達から推薦で、あなたがマスター部隊の調整、戦術指揮役に任命されたわよ」

 

「──よしっ」

 

サブマスター制度を考案し、見事戦術と特異点攻略を一段階上に導いた功績として任された、マスター達を運用し指揮するチーフポジションという任命に、カドックは喜びをガッツポーズで表した。その年相応の反応に、渡したアナスタシアも思わず微笑ましい表情を浮かべる。

 

「ここで認められる事は、僕にとって時計塔の位を貰う以上の意味がある。人類の最先端にして最高峰。そこでもやっていけると証明が出来たって事だからね。・・・よし、こうしちゃいられない」

 

「あら、乾杯の一つもしないの?」

 

「それどころじゃないさ。リッカの戦闘力、マスターとしての力を見ちゃったからね。──想像以上、いや。想像の遥か彼方を行っていたよ。反則にも程がある。あんなの、冠位と封印指定が一緒に来るレベルの規格外だ。束になっても勝てないだろうし、まず敵対する人間が纏めていなくなるだろうけど。──エベレストやヒマラヤを想定して登山しようとしていた山は、オリュンポス山だったくらいの衝撃さ。僕がやるべき事は、まだまだたくさん残ってる」

 

「・・・その割りには、嬉しそうね?前のあなたなら死んだ目で体育座りして壁のシミを数えながら霞と埃を食べていたでしょうに」

 

「僕の評価はどうなってるんだ・・・。だけど、間違ってないな。──いいんだ。僕の目指す目標なんだ。キリシュタリアより上、冠位魔術師クラス、人類最強。どんな大層な肩書きでもどんどん背負ってくれればいい」

 

「──その心は?」

 

「僕が目指し、挑むんだ。それくらいの方が甲斐がある。リッカ風に言うなら、燃えてくるってヤツだよ」

 

「ふふっ。大きく出たわね、本当に。私のマスターは並大抵の事では影も踏めないわよ?」

 

「食らい付いてやるさ。追い付くまで、背中が見えるまで。何処までも。・・・まぁ僕の私情は抜いて、これからも楽園の一員として頑張るさ。──ここで認められるのは、凄く嬉しいからな」

 

気を緩める事なく、更なるマスター達のレベルアップの為に課題やタスクに挑み続けるカドックと、面白げに眺めながら傍で見守るアナスタシア。

 

──アナスタシアの左手には、しっくり来るお土産が無かったのでカドックが自作したブレスレットが嵌められていた。

 

そして、困難の果てに手に入れた宝物もまた、確かに楽園に納められている。歓迎が終わり、楽園に招かれたポール・バニヤンはというと──

 

「おはよー、バニヤン。今日はわくわくざぶーんで遊んだ後、プロテアと一緒に怪獣映画を観てコンラと一緒にシミュレーションで狩りだって」

 

「眠る前に、本を読みましょう?楽園にはおっきな図書館があるの。素敵な素敵な図書館に、おっきなプラネタリウムだってあるの!本を読む場所も量も、両手じゃ抱えきれないくらいだわ!」

 

「うん!いまいく!」

 

無事に、楽園の一員としてサーヴァント生を謳歌していた。ジャック、ナーサリーが率先して彼女の手を引き、早く馴染めるように奮闘してくれたのもあり。今やすっかりちびっこサーヴァント達の仲間入りである。

 

「カーマがご飯を作ってくれるんだって。レモネードの飲みすぎには気を付けなくちゃ」

 

「コロンブスやアレキサンダーが船を出して遊びに行くみたい!乗ってみるのもいいかもしれないわ!」

 

「うん!やりたいこと、全部やろう!私、皆ともっともっと仲良くなりたい!やりたいこと、全部やろう!」

 

生まれや、生い立ちなどは関係無い。此処は楽園カルデア。あらゆる可能性を、人類の発展と未来を財として納める人類史の金字塔。

 

「バニヤンは木を切るのが得意なんだよね?王様に頼んで、レバノン杉の森に行こうよ」

 

「見上げる程高い杉、とってもとっても太い杉!ウルクに持ち帰ってはたらく王様に渡しましょう!」

 

「うん!私、頑張るよ!皆がもっと笑顔になれるように!もっともっと──!」

 

子供の笑顔は世界の宝。子供が幸せな世界以上に、求められる善き世界はきっと無い。

 

・・・──今日も、楽園カルデアは愉快で痛快な叙事詩の一ページを、変わらず刻み続ける。その叙事詩を読みたいと願う者がいる限り。

 

──その物語を、愛してくれる者がいる限り。笑ってしまうようなジョークも巻き込んで、来る宇宙に旅立つその日まで、ずっと──

 

 




おまけ

リッカの部屋

リッカ「スヤァ」

寝静まったリッカの部屋に・・・

ラマッス仮面「・・・お邪魔しラマッス」

ラマッス仮面。

「・・・アジタハリッカ・・・そしてマスター。あなたが怒ってくれた理由、それはワタシがかつて言った言葉を否定された事への怒りだったラマッスね・・・」

シドゥリに訪ね、確認を取ったラマッス仮面。感動と喜びに震えながら、プレゼントを枕元に置く。

「あの時間神殿の頃から変わらず、リッカちゃんは素敵な女の子ラマッス。自分の為でなく、誰かの矜持や尊厳をこそ重んじ、それを汚す者を許さない。──纏う泥を、誇り在る力に変える眩しいくらいの善性ラマッス」

眠るリッカの前で、ラマッス仮面はそっと仮面を外す。

エア「──ありがとう。ギルや、ワタシのマスターが貴女で・・・、この物語の中心があなたで、本当に良かった──」

祝福と感謝を述べ、ラマッス仮面はいそいそと部屋を後にする。

「明日もきっと、リッカちゃんは頑張るラマッス。ワタシも、ギルも。そんな貴女の頑張りが最高の愉悦ラマッスよ。これからも、よろしくお願いいたしラマッス──」

ぱたりと扉を閉め、こっそりと夜間外出を行ったラマッス仮面は──

式「外出許可証は、あるな。誰だか知らないが、あんまり夜更かしはするなよな」

ラマッス仮面「はい」

式に心配されていた。そして朝──

じゃんぬ「ふわぁ・・・リッカ、おはよ──」

リッカ「フワァ」

「何事──!?」

リッカは安らかな寝顔にて昇華され、添い寝していたじゃんぬの度肝を抜きましたとさ。

おまけのおまけ

アビゲイル「無断夜外出!悪いわ・・・いけない子だわ・・・」

ラヴィニア「みみっちいわ・・・」

アビゲイル「ダメよそんな事言っては!『悪いね!』を稼ぐために地道な事から!首切りバニーにさえ会わなければ大丈夫、私は悪くないばれなければ・・・」

ドン

「あうっ!?誰──」

ラマッス仮面「あ、ごめんなさい!お怪我は──」

アビゲイル「獅子が二本脚で立っている──!!!?」

ラヴィニア「あ、ちょっと・・・!」


(なんで夜間に獅子が!?まさかお化け!ニャルの嫌がらせね!(冤罪)私は逃げるわ、バレたら悪い子だもの!部屋に戻って何事も無かった様に──!)

曲がり角を曲がると・・・

山の翁【?】

将門公『む、幼子。厠なるか?』

オーマジオウ「王の財よ。夜に走るのは危なかろう」

アビゲイル「?!(/$+#'"=~~~~!!?」

夜の露天風呂で酒盛りを楽しんでいた強面お爺ちゃんとのエンカウントに、アビゲイルは泡を吹いて気絶した──

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