人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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カオス・カルデア

ニャル【ゼロワンおもしれぇ。やっぱ非正規品っていいわー。フォースライザーか・・・】

(無理矢理開いて異常をかわし誤魔化し、データを生成し無理矢理固定する・・・実にいいコンセプトだ)

ナイア「またフォーエートクサツファンクラブなるサイトで作品視聴ですか、お父さん」

【見逃しておくれ。職員やマスターが装着する礼装の開発プランをダ・ヴィンチくんに送る為の情報収集なのだよ】

(となると、この理論を使えばめんどくさいプロテクトまみれの武装を非正規で使えるのか・・・)

【・・・シオン、ソングの組織のメインサーバーにアクセスしてくれ】

シオン「シンフォギアですか?次元座標くらいしか解りませんが」

【別にいいよ、ハッキングしてデータぶっこ抜くから。アイリーンのオペラの有効活用の仕方を思い付いたからな】

(ギアの開発って出来るかなぁ?まぁいいや、とりあえずサクライ理論の暗記から始めるか)

シオン「この邪神、やると決めたら良心の呵責とかまるで無いんですね・・・」

ナイア「??はっきんぐ、とは何を?」

【よゐこは真似しちゃ駄目な事♪】

「???」

(専門用語で誤魔化していくスタイル・・・!)


まだ、戦えているよ

「このクレーターは・・・この破壊の跡は君がやったのか、オルガマリー・・・?」

 

「まさか。か弱いオペラ歌手がそんな事出来る筈が無いでしょう?御客様のマナー違反よ。──そんな事より、生ける司馬懿を走らせに走らせたこの方に話を聞く事が先決よ。ねぇ?──ロード・エルメロイ二世?」

 

「・・・出来れば、もう少し隠れていたかったのだがね」

 

オルガマリーの催促に、苦々しく答えるはエルメロイ二世。死んだ筈の、或いは死んでいた筈の彼が何故?その疑問に、彼は解答を重ねる。傍にいる、神代魔術や置換魔術を使いこなしたかつて小さき可能性を秘めていただけの少女の面影を残す『怪物』に、空恐ろしい感情を懐きながら。

 

「結論を先に言おう。この記憶の紙片は罠だ。そして私が何故死んでいたのかについての疑問にはこう答えよう。そもそも普通のサーヴァントは死体は残らない」

 

「・・・あー!疑似サーヴァント!」

 

「思い出したな、藤丸。私は孔明がエルメロイ二世を器とした疑似サーヴァントだ。・・・恐らく、オルガマリー・アニムスフィアを器としたアイリーン・アドラー、そして其処の司馬懿と同じように。・・・いくつかの条件を整え、死体を残す事を考え付いた私は二つの霊基の一つ、孔明の霊基を加工して死体を誂えたのだ」

 

疑似サーヴァントでありながら、霊基を引き剥がす奇策。着実賢明な司馬懿とは真逆の軍師ぶりにて全てを欺く役者ぶり。その策は上手くはいったが楽では無かったとエルメロイ二世は語る。

 

「もちろん苦労はしたぞ。孔明の力をほぼ失っていたしな。ただしその事による恩恵もあった。なにしろ、孔明としての力も霊基も無い。いくら犯人のセンサーが鋭くても、この状態の私を発見することは不可能だった」

 

「当然の話ね。黒幕すら予想外だったでしょう。何せ三國無双の大軍師の孔明ともあろう御方が。一般的な!魔術師程の!魔力と!技術しか!!──持ち合わせていなかったのだものね」

 

『ま、マリー・・・?』

 

「(ぷいっ。つーん)」

 

「あぁそうだともロード・アニムスフィア!割りと目立つ行動をしていた気がするんだがね!ふん!サーヴァントならざるこの程度の魔術師なんて黒幕にとってはどうでも良いことだったんだろう!」

 

「生徒に恵まれ、弟子に恵まれ妹に恵まれ、王に恵まれる。それをこの程度の魔術師とは嫌味かしら?ロード、エルメロイ、二世?」

 

「何故君はそう刺々しいんだアイリーン・アドラー・・・!君に恨みを買う様な真似を私はしただろうか・・・!」

 

空中に浮きながら珈琲を嗜み、アニムスフィアの功績丸ごと持ってかれた別次元の謂われなき悪徳の八つ当たりを慣行するオルガマリー。オルガマリーは赦しているが、アニムスフィアの紡いだ歴史が赦していないのである。仕方無いね。

 

「間違いなく本物の兄上だ。教え子にあっという間に抜かれる三流魔術師で、劣等感に溢れているのが彼だからね」

 

「でも、師匠。どうして・・・?」

 

「すまんな、グレイ。・・・身を隠しながら、私はこの紙片を分析していたのだ。この特異点は記憶について極めて特殊な性質を持っている。本来ならば微小なエネルギーたる記憶、だがこの特異点では膨大な魔力と成りうる。そして逆に、この紙片は膨大な魔力を、記憶の侵食が可能な程に所持していたのだ」

 

記憶の侵食、つまり記憶の改竄にして改変。捏造を行い、偽を嘘と信じこませる。それがエルメロイが見抜いた、黒幕の目的だったと言う。

 

「記憶を奪うだけならともかく、完全に捏造することは難しい。過去に出会ったサーヴァントと出逢うだけで当時の記憶が甦ったりしただろう?だからこそ、黒幕はもっと巧妙な手を使う事にした。──君は味わったな、オルガマリー」

 

「えぇ。各所に配置し、藤丸君に紙片を回収させる。本人に受け入れさせれば、無理な改竄も通る。第一、第二は元の記憶に限り無く似せ、第三・・・つまり、私が回収した紙片は決定的な捏造を仕込んでいた。──笑っちゃうわね。『私が人類最後のマスターとして、皆に称賛されながら世界を救う』だなんて」

 

「アイリーンさん・・・」

 

「本来ならカルデアがあれば、そんな真偽はすぐに確かめられる。私の・・・ああ、いえ。貴方達のカルデアがそんな無能な筈がないわ。──得体の知れない記憶や魔力リソースだなんて、藤丸君に率先して回収させる筈はない」

 

「・・・マシュに、成り済ましていた・・・」

 

「気付いていたようね。・・・M、これはマシュの事だった。ダイイングメッセージ、ムネーモシュネーとイニシャルが同じで混乱していたけれど」

 

「はい。・・・マシュはもう、俺の事、リツカって呼んでくれてます。・・・すみません、言い出せなくて」

 

マシュが偽物だとは理解していた。でも、偽物だと解っていても。マシュの事を糾弾する事や、疑惑の目を向ける事はどうしても出来なかった。例え偽物でも、・・・もう、藤丸が揺るぎなく信じられる支えは・・・

 

 

──だから立て。立って戦え。

 

でも、だってお前の世界の方が、きっと──美しいんだ。

 

 

マシュ、君に見せたいものが沢山あるんだ。山や、海や、今を生きる俺達の世界にあるものを、君と一緒に見たいんだ。

 

やっと取り戻した平穏や平和を、君とずっとずっと大切にしていきたい。だから、その・・・

 

・・・カルデアを出た後も、ずっと。オレと一緒に生きてくれないか?一生・・・君の人生に寄り添って生きたいんだ、オレ!

 

 

「マシュだけは・・・疑いたく、無かったんだ」

 

自分の背中に突き刺さった激励(のろい)と、マシュへの想いしか残っていないのだから。

 

「・・・その気持ちを、甘いとは言わないわ。大切にしなさい。理屈や合理を上回る、人の心という大切なエラーを」

 

「・・・はい・・・!」

 

俯き、熱い涙を落とす藤丸の肩を叩く。それを受けても、藤丸の背負った業は軽くならないのだとしても。きっと、彼が脚を一歩踏み出す分の力には成る筈だから。

 

「・・・カルデアになりすましをするにはカルデアの情報が必要だ。だが、この特異点に属するだけの者ではそうした情報を得る経路がない。つまり、さっきの黒幕はこの特異点だけで片付かない相手となる」

 

「カルデアが遺した遺産か、関係者の死に損ないの残留思念か・・・」

 

「なんだか辛辣だな、オルガマリー。・・・兄上はどうしたいんだい?」

 

「バベッジ卿の力を借りたい。深く解析してもらおう。近代の英雄において、あの御方程高潔な精神の持ち主はそうはいない。・・・それで構わないかな、アストライア?」

 

無言にて皆を定めていたアストライアに、エルメロイは声をかける。蔑ろにして暴れまわられるのもめんど・・・厄介だと睨んだのだろう。触らぬ神に祟りは無いが、ギリシャの神にそんな甘ったれた安全策は通用しない。気に食わなければ殺すがルールな人間臭さが神をやっているのだから。

 

「承知しましたわ。・・・知らなかったとはいえ、踊らされていたのは気に食いませんもの。成り行きを、見定めさせていただきますわ。ケリィもよろしくて?」

 

「問題ない。依頼人の意向なら。・・・退路は確保しておいたよ」

 

記憶の紙片の解析を求めるために、エルメロイ一行はバベッジの待つ城へと戻る事となった。記憶の改竄という、悪意で行うには些か手緩い手法を掴んだ黒幕の真意を掴み取る為に。

 

「・・・アイリーン。いや、オルガマリー・アニムスフィアと呼んだ方がいいかな?」

 

「どちらでもどうぞ」

 

「君は・・・罠だと解って、あの紙片を掴んだのか?藤丸を護る為に?」

 

「それは勿論。──あと、確かめたい事があったの。『改竄する』為の罠と、『見せられている』夢の違いを」

 

「それは・・・」

 

「その内解るわ。その内ね」

 

オルガマリーは、見据えた謎の中枢に位置する『それ』に狙いを定める──




オルガマリー(そう。私が見せられた記憶と、藤丸に向けられた記憶の捏造は別の仕掛けだった。藤丸君が触れれば記憶の改竄が始まったソレは、私が触れても作動しなかった)

アイリーン『つまりそれは、ギミックを仕掛ける対象の『藤丸君』へ向けられた罠、『そもそもギミックの中枢である』何者かが見ていた夢に分けられるという事かしら。オルガマリーが見たのは、夢の方だった』

(・・・犯人に心当たりはあるわ。夢見がちで、何よりも褒められたがりで、その癖誰も信じようとしない、閉鎖的で哀れな人をね)

『それは・・・』

(ま、それはこちらの領分。藤丸君に記憶を捏造した黒幕はまだ分からないわ。そっちはライネス達に任せましょう。それにしても・・・)

藤丸「?所長?」

オルガマリー「・・・お互い、出逢いで変わるものね」

藤丸「・・・最近は辛い別ればかりですけど、それでも・・・まだ、『出逢わなければ良かった』とは思っていないですよ。まだ、頑張れてます」

「立派ね、藤丸君」

「それくらいしか、出来なくなってましたから」

グレイ「あの!・・・紅茶をどうぞ」

藤丸「わ!ありがとう!」

オルガマリー「・・・」

グレイ「い、いらぬ世話でしたでしょうか・・・」

「──いいえ、いただくわ。好きなのよ。紅茶」

「!」

『ふふっ。嘘つきなんだから。どちらも、ね』
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