アイリーン『戦場のど真ん中で丸腰、なんて嫌だものね』
オルガマリー「・・・」
『あら、どうしたの?』
「・・・記憶は曖昧なもの。もしビースト戦の記憶が混在して・・・」
『混在して・・・?』
「何かの間違いで、完全覚醒したリッカなんて再現されたらどうしましょうと思って」
『『・・・・・・(゜ロ゜;』』
「まぁ、大丈夫よ。速やかに生存を諦めるから」
『ぜ、全然大丈夫じゃないのだわ~~!?』
「此処は・・・」
オルガマリー一行らが立つその場所。小紙片にて垣間見えし記憶の戦場。一行は練り上げられ、形となった記憶の中に立っていた。其処は恐らく、藤丸立香が経験した体験、記憶を形にしたもの。かつて受けた強い感情が、記憶となって再現されたものだと推察が行われる。
「──いきなり、大一番の舞台だなんて」
オルガマリーが言うように、其処は人理の修復における地点でも佳境に位置する特異点。何処までも屹立する白亜の壁、そして正門に集う人々。善なる女神、ロンゴミニアドが作り上げた、人間の善性を永遠に管理する為の聖なる都。そしてその都に脚を踏み入れるに相応しき秩序・善なる人の魂を選別する『聖抜』の実行場所に一行は立っていた。其処には、在るべき騎士がただ一人立っている。
「・・・『異邦の星輝く時、白亜の結託はひび割れ、王の威光は陰り、神託の塔は崩れ落ちる』。・・・残念です。この様な出逢いでなければ、あるいは共存の道もあったでしょうに」
静かに、心から残念と声を放つ、きらびやかなる騎士。聖なる都へ進む道を護り、任されていたのは誰あろうその人。
『魔力反応、数倍に増大・・・!ガウェインはやる気だ!ガウェインと言えばエクスカリバーの姉妹剣を持つ、アーサー王に次ぐ宝具の持ち主・・・!』
サー・ガウェイン。円卓にてほぼ無敵を誇った太陽の騎士。アーサー王が月を象徴する聖剣ならば、彼は太陽を象徴する聖剣を担う清廉にして公明正大なる騎士。アーサー王伝説においても重要かつ華やかな逸話を多く持つ、騎士の中でも頂点近くに座する存在と言っていい。
(改めて・・・。騎士の忠節は凄まじいものね)
世界は滅び、変えられない結末。ならば人が滅びぬよう、清廉にして潔白な魂を保管する。その為に、そうでない魂を・・・世界の残りを全て駆逐する。神となった獅子王が導き出した答え、結論に忠義を尽くしたガウェイン。かの地で、聖罰なる虐殺を取りしきり、或いは率先して剣を振るったのだろう。
「・・・・・・・・・」
藤丸の苦々しい苦悶に満ちた顔から察するに、聖罰は彼の目の前で起きたのだろう。数多の命が、目の前で切り捨てられるのを見たのだろう。それは思い起こすには、あまりに辛く苦いものに違いない筈だ。彼の旅路は何の犠牲も出さない程に生温いものではなく、或いは痛快無比なものでも無かったという事が容易く見てとれる。・・・高らかに笑う王も、それらを支える財達もいなかった・・・いや、いない事が当たり前なのだから。
『加えて今は昼間なんだろう!?だとしたら勝ち目は無い!撤退するんだ!』
記憶の再現であるロマンが叫ぶ。そう、ガウェインに昼間、或いは太陽の昇る時間に挑むは軽率を通り越して自殺行為の所業である。彼は聖者の数字に祝福され、日中三倍の力を発揮するという逸話がある。この状態のガウェインはまさに無敵。円卓最強とされるランスロットすら、日が沈むまでガウェイン相手に時間稼ぎの防戦一方に持ち込まれざるを得なかったという凄まじいものだ。
「あぁ、確かにそんな逸話だか体質だかがガウェイン卿にあったな。しかし・・・」
それならば撤退一択なのだが、一同は動く事は無かった。そう、その必要は感じられなかったのだ。記憶の錯綜か、記録の齟齬か。何故ならば──
「しかし今は、夜じゃないか?」
「夜ですね」
『イッヒヒヒヒ夜だな!』
「えぇ、夜ですわね」
全員が指摘するように、今は夜。嘆きの壁の最大トラウマ場面。五章までフレンドと共に、或いはフレンド頼りで突き進んできて俺のフレンドは最強なんだ!と困ったお方ムーブを繰り返してきたマスターの油断と慢心を焼き尽くすソーラーサンシャインゴリラ。『えっこれ負けイベントじゃないの?』という疑問ごと薙ぎ払い消し飛ばす2チャージガラティーコング。石を砕かれ令呪を浪費したこと幾星霜。『ギフトは私が切り裂いたから大丈夫です!』なんてルキウス君の言葉を真に受けたらやっぱりメチャクチャ強い特性日照りなグラードンの擬人化。この場所ではゼウス信仰を遥かに上回ったであろうアルテミスとエウリュアレへの崇拝。それほどまで、それほどまでにこの地のガウェインは強かった。ホントに強かった。しかし、現実は今、夜である。
「あれ・・・私のギフトは・・・」
本来ならば太陽が沈む事は有り得ない。ガウェインは獅子王から受け取った祝福、ギフトがある。彼が受け取ったギフトは『不夜』。あらゆる偽り、虚飾、穢れを打ち払う焔のごとき輝きを永遠にもたらす神の業。常に三倍、ゴリラの所業。それがあるが故に、彼は多くのトラウマを刻み付けてきた。メモリアルバトルで獅子王を差し置いて抜粋される程に。
『流石に神の権能の完全再現は無理があったかー。沈まない太陽なんて矛盾だから当たり前なのだわ。それが出来るのは太陽権能を解放した御兄様だけなのだわ!私に託してくれたあの力!』
『となると、これはチャンスなのでは無いかしら』
哀しみに包まれしょぼくれているゴリウェイン。なんだか仕様と違いますよねこれ・・・なにゆえ・・・。(ガウェインが)嘆きの壁にて、一行はこれを好機と捉えた。勿論、叩きに叩きのめされた記憶の持ち主・・・藤丸本人はまさに千載一遇の機会と吠えるのだ。
「明日の朝日を拝ませるな!!皆かかれぇえーーー!!!!」
騎士の誇りなど糞食らえ。エミヤもニッコリなスマッシュブラザーズの開幕である。おきらくリンチの体を現す対戦の闇が、頼り無く剣を構えるガウェインに襲い掛かる。
「くっ!まだです!私は太陽がなくてもデフォルトで強い騎士、ランスロット以外の輩になど!この剣は太陽の──ああっ!」
「落とした!放り投げた聖剣をガウェインがキャッチミスしたぞ!!」
「馬鹿な!?舞台公演都合五回以上において演者と制作者の素晴らしき努力にて全公演完全成功したガラティーン・キャッチをこの私が!?」
「音声再生だ!食らえガウェイン!!」
『マッシュポテト?ガウェインの?あぁ、あれは控えめに言って食への冒涜ですね。マッシュポテトというより潰れた芋ですもん。殺したくなりましたよ。『すげぇ!父上眉ひとつ動かさねぇ!』とか抜かしてくるモードレッドには』
「馬鹿な!?我が王、味覚に異常を患っていたと!?えぇい、まだ私は倒れません、私は獅子王の騎士ガウェイン!ガレスの怒り以外に絶対に・・・!」
「エレちゃん。キアラさんとリップちゃんのフォトをスクリーンに」
『OK!最大倍率投射なのだわ!』
「夜空に二人の美女が!!美しい──ハッ!?」
「隙を見せましたわね?バック取りましたわ!今必殺の!!ジャッジ・ドロップ・スープレックスホールドッ!!!」
「ぐはぁあぁっ───!!!あ、あちらの規格外の御嬢さんは実に、実に素晴らしい・・・!左の美しく清楚極まりない方は、私より、年下で、あったなら───」
「グレイ!とどめを!」
「はい!とうっ!」
「ヌッッ!!!・・・何故、私より歳上なのです・・・その身体で、何故・・・あなたは、生まれるのが、早すぎた・・・」
ガウェイン、散る。彼は最後まで勇敢に戦い抜いた、騎士の中の騎士であった。男の中の、男であった──
「例えこの先どんな娘に逢おうとも・・・俺の一番が揺らぐ事はけしてない。それはそれ、これはこれをしない鋼の精神。それが今回の勝敗を分けたんだ、ガウェイン卿・・・」
「カッコいいのだか悪いのだか、反応に困るのだけど・・・」
キャンプもカラオケ会場も無い、侘しいだけの嘆きの壁と特異点。変わらぬ星空の美しさだけを慰めに、オルガマリーは呟いた──
ライネス「よし!小紙片回収完了!楽勝だったな!」
グレイ「マスター、彼の言っていた事は一体・・・?」
立香「男は皆、出るとこでて締まるとこ締まったわがままボディが好きだと言うことさ。ガウェイン卿、あなたもまさしく
オルガマリー「全部こんな感じだったら楽で良いのだけれど」
エルメロイ二世「君がしたのは映像投射だけだったものな。ある意味戦う前に勝っていたのか・・・」
ライネス「私の将来、期待しておくといい。きっと素晴らしいものだと保証しよう!」
エルメロイ二世「身体の美しさなど瞬く間に劣化する。厚化粧にすがりたくなければ内面を輝かせることだ。ドラクエの女王もそう言っている」
オルガマリー「鍛えすぎると彫刻品的な美しさに行ってしまい欲情されにくくなるから気を付ける事ね、ライネス」
ライネス「・・・実体験か?」
オルガマリー「客観的な事実よ」
~楽園カルデア
リッカ「へくちっ」
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