『私のアヴァロンですか?エクスカリバーも?えーっと何処に置きましたっけ・・・あ、見つけたら持っていっていいですよ』
人々は、推し鯖を求めてクソ確率ガチャをブン回す!
世はまさに!
大運命時代!!
「と言うわけで、ようこそセイバーウォーズの舞台へ!私はヒロインX、未来の有能なセイバースレイヤーの来訪を心より歓迎致します!」
「「「「「セイバーウォーズ・・・?」」」」」
突き刺さった宇宙船、やけににこやかなヒロインX。渡されるカリバーン。どうやらまた、曰く付きかつ愉快な記憶の再現のようだ。・・・と、思われたのだが。
(藤丸君、これはあなたが経験したイベントなのかしら?)
(確かにセイバーウォーズ自体はやったような気はしますが、それはヒロインXの壊れた宇宙船を直すためのアレコレで彼女本人に歓迎されたなんて記憶はちっとも・・・)
ふむ、とオルガマリーは考え込む。となるとこれは黒幕・・・ムネーモシュネーが観測した『藤丸が経験したかもしれない可能性』の再現なのだろう。師匠であるダ・ヴィンチちゃんが作り上げたムネーモシュネーは、そういった領域にまで能力を昇華しているという事に他ならない。こちらの記憶ですら無い以上、ほぼあちらの構築と考えていいだろう。
「この地にはびこるセイバークラスを暗殺、または抹殺し世界に秩序と平和をもたらしましょう!はい、そこの何処かで見たような顔の貴女!こちらを持っていってください、カリバーンです!」
「せ、拙ですか・・・!?拙はそもそもセイバーでも、アーサー王でもなくて・・・」
「まぁまぁ、そのお顔に何があったのかは分かりませんが、そんなの関係無くあなたはあなたですよ!さぁ行きなさい謎のヒロインG!セイバーばっかり増やす神を目指し、手当たり次第に増えるセイバーを駆逐し世界をクリーンにするのです!セイバーファイト!レディー!ゴーッ!」
『イッヒヒヒヒヒ!シミュレーションゲームでいう初期ユニット扱いだな、グレイ!スキルツリーと進化先を間違えんなよ!』
「心配するな、グレイ。その手のゲームにはそれなりに見識がある。最速最短ルートを突っ走りクリアするぞ!」
「師匠!?アッドも・・・!ど、どうしたというのですか!?そんな大役、とても拙には・・・ひゃあぁあ!?」
カリバーンに引っ張られ、セイバー討伐を目指すヒロインGとなってしまったグレイ。ライネスとオルガマリーは顔を見合わせ、何処から突っ込んでいいか解らないこの特異点を・・・
「まぁ、今回は兄上達に任せておくか」
「そうね。息苦しかった本筋の息抜きと考えましょう。三連続は空気抜きすぎな気がしないでもないけど」
いそいそと、張り切る野郎どもを放逐しティータイムへと移るのだった。グレイはエルメロイ二世がいる限り問題ないと、信頼の想いを授けて。
世はまさに大セイバー時代。世界に散らばったセイバーの力を、ヒロインGが己のものとする戦いが始まる・・・!
~
「おっ?なんだオメー見かけない顔ぎゃあぁあぁあぁあ!?」
「とぅはぁあぁっ!?う、麗しき君に声をかけようと思案した隙を衝かれるとはっ・・・!湖の騎士、一生の不覚っ・・・!」
そしてグレイ・・・ヒロインG一行は不思議のダンジョン形式とステルスアクションゲームを掛け合わせたようなセイバー特異点をちまちまと攻略していった。円卓やセイバー達の武器や宝具が特異点内に落ちていたりドロップしたりするので、それらをヒロインGが装備し自身を強化しながらセイバー達やエネミー、サーヴァント達をやっつけていく。
「序盤でトリスタンの琴弓を拾えたのはラッキーだったな。三マス分の攻撃範囲はあまりにも驚異的かつ最高のアドバンテージだ。もうこれだけでいいんじゃないかとすら思えてくる」
「お役に立てて、拙はうれしいです・・・(ポッローン)」
「姿隠しの兜に、ランスロットは樫の木の棒を落としました!グレイ、これ付けてごらん?」
「はい!・・・これだけだとなんだかバランス悪くねぇですか?鎧はどうしたんだよ鎧は!です!」
「グレイがグレた!?」
「どうやら持ち主の意思や人格がグレイにも影響を与えるようだ。慎重に装備は吟味していかなければなるまい。どんどん進んでクリアするとしよう」
「よーし!気をつけてブッ殺しましょう!」
『イッヒヒヒヒ!後で思い出して黒歴史確定だな、グレイ!』
仕方ありません、特異点攻略に必要な事ならば・・・ダンジョン攻略に何処かテンション上がっている男子二人を見ながら、グレイは静かに覚悟を決めるのだった。
その後も、胡散臭い御兄さんがやっているショップでぼったくられたりレアドロップしたアロンダイトが弾かれて後ろのエルメロイ二世に突き刺さったり黄金のアルトリアの間に行ってテンション上がりまくったり、途中のアッ君経営の拠点でカリバーンをエクスカリバーに鍛え上げたり、なんやかんやを起こして最後の決戦のエリア、カムラン丘へとやって来たヒロインG達。
「長い戦いも終わりが近付いている・・・準備はいいな、グレイ、マスター」
「はい!」
「クリアまでもう少し・・・!頑張ろうね、アッド」
『セイバー!』
度重なる改修の末、変形武装合体が可能になってアルティメットアッドとなった超合金ロボに声をかける、円卓の盾とエクスカリバー、ロンゴミニアドを装備する最終形態ヒロインG。待ちわびる敵に備え闘志を高める彼女らの前に現れたのは・・・
「ふっふっふっ、どうやら都合よく粗製乱造されたセイバーを間引きしてくれたようですねヒロインG!それでこそ私が見込んだセイバーです!」
「えっ!この声は・・・まさか!」
「そう!全ては私が真のヒロインとなるためにあなたを利用し行った作戦!あなたは私の手の上で踊らされていたに過ぎません!とーう!」
御約束と言えば御約束。最初の案内人が実はラスボスだったパターンなるヒロインXが顔見せにして最後の敵という展開にショックを受け・・・たのはよい子のヒロインGのみ。フル武装したグレイは、ヒロインXと向かい合う。
「師匠ではない師匠!まさかこんな・・・戦う他無いのですか!」
「涙は捨てなさい、ヒロインG!セイバー顔はもとより私一人、悲しい連鎖は終わらせなくてはならないのです・・・グランドヒロイン的に!」
「そんな事はありません!名剣、名刀が世界に沢山あるように、湖の精霊が首を傾げるくらいエクスカリバーが沢山あるように!一斉に投げ込まれて死ぬかと思った精霊がいるように!同じ顔だって共存できる筈です!」
「立派になりましたねヒロインG・・・!ならば最早言葉は不要!拳で、いや!剣で語り合うのみです!いざ覚悟──真のセイバーの刀の錆となるのです!!セイバーッ!!」
そして始まった哀しき師弟対決は、全機能を展開し範囲攻撃即死ブレスを発射したアッドの一撃によりヒロインXがぶっ飛び幕を下ろす。力尽きたヒロインXに駆け寄るグレイの胸の中で、今にも事切れんとするヒロインXが告げる。
「つ、強く・・・めっちゃ強くなりましたね・・・。そう、剣なんかで斬りかかるより範囲ビームで薙ぎ払った方が手っ取り早いという透き通る世界の領域に開眼するとは、流石は私が見込んだ最高のヒロインG・・・」
「師匠ではない師匠!しっかりしっかりしてください!師匠ではない師匠・・・!」
「これであなたが、真のセイバー・・・どうぞ、ヒロインXキャップと、金のセイバーバッヂです・・・」
「ダメです、こんな大切なもの・・・!拙にはまだ早いです!早すぎますっ・・・!」
「・・・似合うセイバーになりなさい・・・あなたには、顔とかどうでもいいと言ってくれる大切なパートナーがいるのですから・・・」
「師匠ではない師匠・・・!」
「あぁ、最後に・・・銀河ラ王ヌードルが、食べたかった・・・(ガクッ)」
「し、師匠ではない師匠!?師匠ではない師匠ーーーッ!」
『セイバー!』
哀しき師弟対決を乗り越え掴んだ、苦い勝利。勝利者である筈のヒロインGの涙の慟哭が、特異点内に響き渡った──
ライネス「終わったか?あぁ言わなくていい、深く考えたくないからな」
エルメロイ二世「親指を立ててブラックホールに沈んでいくカエサルは涙無しでは見れなかったな・・・」
藤丸「な、なんじゃこりゃあぁ!!と夕陽に叫んで殉職するモーさんに胸が締め付けられました・・・」
ヒロインG「拙、少し自信が持てた気がします。これからもユニヴァースで見守る師匠ではない師匠の為に・・・頑張ります!」
ライネス「しかし何でもありなんだなカルデア・・・全く、本物の時計塔が知ったらどんな顔をするか。賭けてもいい。あんなのレポートにしても誰も信じてくれないぞ。我が兄上は愚か、天体科の君主の君であろうともな」
オルガマリー「それは大丈夫。時計塔はもう、カルデアが大丈夫な事しか知らないから」
ライネス「?まぁ今の君に、時計塔の俗物どもに頭を下げる理由なんて無いか。ふふふ、私が記憶している頃から十数年後の時計塔か・・・案外フラットやスヴィンが偉くなっていたりしてな?」
ヒロインX「まさか!そんなの騎士王と英雄王が、ひいては私とギルガメスが仲良くするくらい有り得ません!オルガマリーさん、スイーツお代わり!」
藤丸「──って生きてるのかいヒロインX!?」
アッド『セイバー!(ガシャコン!ガシャコン!)』
「・・・アッドは元に戻るのでしょうか・・・?」
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