人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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オルガマリー「Aチームの皆が離反だなんて・・・一体其処にはどんなホワイダニットが・・・」

ライン♪

「あ、ライン・・・」

カドック『あんまりシミュレーションや鍛練に熱をあげすぎないよう、リッカに言ってやってくれ。学生の本分は勉強だろ?』

ぐっちゃん『オルガマリー。甘い珈琲飲みたいわ、淹れて』

オフェリア『サイリウムとボンボン、商品化するならどちらかしら』

ペペロンチーノ『香水とか化粧とかやってみない?教えちゃうわぁ!』

キリシュタリア『黄金の林檎が10個栽培できたので、君に差し入れを。美味しい筈だ。アップルティーも乙なものだよ』

デイビッド『朝起きたら寝癖が酷い。カルデアで美容師の資格が取れるなら戻りたいが・・・考えておいてくれ』

「それでいいの・・・!?それでいいのデイビッド・・・!?」


帰還報告(デブリーフィング)

「──やぁ、お帰り。我が最愛の弟子よ」

 

夢から覚め、そして有り得た機械の暴走と終焉を見届け、帰還したオルガマリー。ギルより賜った聖杯が魂とアイリーンを回収した頃に、ダ・ヴィンチちゃんとロマンがカルデアの殆どが預かり知らぬミッションをこなしたオルガマリーを暖かく出迎える。

 

「今回は本当によく頑張ったね。ボク達のサポートがほとんどなく、通信が途切れ途切れだなんて不手際・・・本当にごめんよ、オルガマリー」

 

「重ねに重ね、今回は私の、天才の尻拭いをさせてしまったようなものだ。重ねて謝罪させておくれ、我が最愛の弟子」

 

謝罪・・・とダ・ヴィンチは告げるが、オルガマリーはそれをはっきりと否定する。辛いのが誰か、有り得た未来と可能性を見つめて本当に辛いのは誰かなど、解りきった事であるからだ。

 

「いえ。・・・師匠、小さき師匠、ムネーモシュネー。共に、お疲れ様でした」

 

「あぁ、そうだね。産みの親がしっかり愛情を注がずに世を去ってしまったり、もう触れられないとこうなるんだ。・・・此方の二人には、そうならないようたっぷり愛情を注いであげるように──」

 

「えぇい!二人で盛り上がらない!副所長として!華やかな戦果を挙げた所長は労わなくてはならんだろう!・・・挙げたんだよね!いや君に限って徒労なんて事は無いと信じているよオルガマリー!」

 

よくわからないが二人が頑張っていた事は知っていたし、よくわからない内に解決していたっぽいので何やら所長絡みなんだろうなと判断した副所長ことゴルドルフが輪へと入ってくる。偉そうな・・・よく聞くと全然偉そうじゃないゴルドルフの絶妙なトークがオルガマリーを労う。

 

「あー、本来なら君の様な最重要ポジションが最前線に行くこと自体が避けなくてはならない最悪のシチュエーションであり、カルデア総出で対応しなければならない問題ではあったと個人的には思うが・・・君の積み重ねてきた信頼の前に、そんな心配は無用だと思ったね、うん」

 

「ゴルドルフ副所長・・・」

 

「・・・今回は不可抗力なので君に非は無いし、気を付けろというのも無茶な話だがね。本当、自分を大切にしなさいよホント。君の代わりは、たとえキリシュタリアのような大物でも務まらないと私は考えているんだからね」

 

・・・本当に、この人は。人が言ってほしい言葉を選ぶ天才なのかもしれない。コンプレックスから解き放たれ、ナチュラル尊大な物言いが抜け落ちたら、ただの気のいい恰幅の宜しい暖かみのあるおじさんである。

 

「予期せぬワンマンアーミーは非常に疲れただろう。ムジーク家仕込み、バターに隠し味を添えたふわとろパンケーキを作ってやろう。スイーツ関連では最早あの黒いお姉さんに敵うべくもないが、私の腕も捨てたものでないと見せてやろう!・・・いや、人を呪い殺すような顔つきでデコレーションフィギュアを端整に造り上げる情熱に勝てる気はしないんだがね・・・」

 

「ふふっ。リッカのイチオシサーヴァントですもの。楽しみにしていますね。ゴルドルフ副所長」

 

そんな彼の暖かさに和んでいると、いつものゆるふわさの無い毅然とした様子でロマンがオルガマリーへと向き直る。

 

「マリー。・・・君が持ち帰ってきてくれた情報、そして、彼等が戦って来た記録を見た上で、君にどうしても一言言わせてもらうよ」

 

あの記憶、あの記録。世界が滅んだ、Aチームが反逆した。世界が漂白された有り得ざる世界の出来事に対して・・・

 

「『そんな未来は絶対に来させない』。ボク達の未来は、まだ決まっていない。だからボクは君に・・・今を生きる君達に誓うよ。ボクらが全力を尽くす。千里眼でもなんでも使って、絶対に未来を変えてみせる」

 

「ロマニ・・・」

 

「だから、マリー。有り得た未来に囚われて、笑顔を喪わないでほしい。哀しむのもいい、悼むのもいい。でも、それで君が君自身の在り方を翳らせてしまったら・・・それはボクらにとってとても悲しい事なんだ」

 

有り得た未来、或いは異なる世界の未来。王ならざる者、未来を知る術の無いものがそれを見てしまうと往々にして有り得るのが『囚われてしまう』事だ。その未来があること、その未来が自身の未来になってしまうこと。いつか、それが真実になってしまうこと。それらが、未来を知った人間から自由を奪ってしまう。・・・ロマンには、その辛さや苦しみが何より理解できた。自由なき自由を、走り抜けてきた彼だから。

 

「だからマリー。ボクを信じて。ボクだけじゃない。ギルを、レオナルドを、シバを、ゴルドルフ副所長を、リッカ君やマシュを信じてほしい。未来を変える力は集っている、いや・・・もし最悪の未来に変わってしまったとしても、『最高の未来に辿り着く力』は、此処に集っているんだ」

 

そう。『回避できずどうしようもない』場面はとうに過ぎ去っている。最悪の未来は必ず避けられると確信できる力は此処に揃っているし、そして最悪の未来を恐れる心配も必要も何処にもない。

 

だって、未来とは変えるものなのだ。より良き未来を望むということは、今を、現在を決して認めないという傲慢。総てを重んじ、総てを踏みにじりひたすらに前へ前へと進んでいく汎人類史の多様性にして可能性。『此処はゴールじゃない』と思ったら、変える力とそう決断できる人間達が揃っているのが自分達の歴史なのだ。変えられない、避けられない未来かもと恐れる必要はない。『避けられない最悪な未来だって、この手で変えてやればいい』。それだけの話なのだ。

 

「だから、オルガマリーはいつも通りに過ごして、平穏な今を過ごしてほしい。まだ三月も半ばなんだ。観測された6月や12月までまだまだ全然時間がある。常に千里眼組で見張っておくから、どうか頼りにしてほしい。だってそうだろ?所長を支えるのが、ボク達カルデアスタッフの使命であり喜びなんだから」

 

「~~~~・・・」

 

オルガマリーはそっと俯いた。それは気が緩んだせいかもしれないし、或いはいつもの場所に戻ってこれた気の緩みなのかもしれない。・・・モリアーティに教えを賜っただけあり、リッカ程では無いにしろ、彼女も善意には弱いのだ。流石に消滅はしないにしろ──

 

「む、集まっているな。我等が所長も凱旋しているな。よい、単独特異点攻略!真に大儀だオルガマリー!」

 

「!!!」

 

そんなタカを括っていたオルガマリーの前に、現れしは黄金の王。所長の数百倍すごい(by所長)ゴージャス、ギルガメッシュ。手製の法被に『凄い!ワタシ達の所長!』『あなたが一番、オルガマリー!』と書かれたたすきとハチマキを巻いたみょうちきりんな姿でこっそりやってきた・・・あるいは待ち構えていた王が、困惑しているオルガマリーに泰然と近付き──

 

「リッカ、マシュに続きお前が三人目よ。あの時に泣きわめいていた小娘がよくぞ此処までの女傑となった。──お前はとうに、我等の見識を越えていたな、オルガマリー」

 

「──」

 

「我が認める。我が宣言する。この世において、我が楽園の所長はオルガマリー・アニムスフィアただ一人。──これからも励むが良い。我が至宝の一つにして、シドゥリを彷彿とさせし女傑よ」

 

頭を撫で、内緒なオペレーションだったのでこっそりと告げ、飴セットだ遠慮なく受け取れふははと退室していくゴージャス。呆然と硬直しているオルガマリーに・・・

 

「ま、愛弟子?大丈夫かい?」

 

「彼、嘘は絶対に言わないよ!やったじゃないかオルガマリー!」

 

「バカモン!憧れ通り越した崇拝レベルの相手に不用意に誉められたら繊細なメンタル持ちは豪いことになるんだよ!?ほら見てごらんなさい、オルガマリーは光栄の余り萎縮して」

 

「・・・・・・・・・(カラァン)」

 

「カラァンと音を立て・・・──あれちょっと中身出てるーー!!?」

 

「オルガマリー!!??」

 

「君もやっぱり楽園で尊死かい!?楽園が一番死亡率高いんじゃないかな──!?」

 

これが、昇華というものね・・・。オルガマリーは聖杯体とした姿のまま、静かに真理に至るのだった──。

 

 

 

 




ギルガメッシュ「む、我とした事が本題を忘れていたわ。許せ、つい愉快だったが故な」

オルガマリー「はいっ!問題ありません!!(シャキン)」

ロマン(治った!?)

ゴルドルフ(アーノルド・シュワちゃんに会ったイメトレの中の私そのものだな・・・)

「楽園に先んじて、人員を二人雇用する。ついで扱いするも無礼であろうからな。仲良くしてやるがいい。──軍師!」

エルメロイ二世「・・・フェイク・ロンゴミニアドを作っていた聖杯が、彼女のロンゴミニアドと彼女の願いに応えたのだろう。・・・グレイ、挨拶を」

グレイ「は、はい!マスター・藤丸とは別の霊基として楽園に招かれたグレイです!あちらにも、拙がいるみたいなので大丈夫です!その・・・所長。師匠ともども・・・宜しくお願いされてもよろしいでしようか!所長!」

オルガマリー「・・・勿論よ。カルデア全員が、歓迎するわ」

エルメロイ二世「よし(断定)。いや、その、すまない。何故こうなったか私にもよくわからないのだが・・・」

?「おいおい、親友の感動の再会をスキップするとかそれでもゲーマーかな兄上は?最高のイベントCGの回収どきだろう?」

オルガマリー「・・・!」

ライネス「やぁ、我が盟友。待つのもなんだ・・・会いに来たぞ!」



フォウ(珍しいな、先行召喚なんて)

ギル(我とて友情の価値は理解している。仮にも我が楽園の所長を『ついで』で呼ぶなど無粋にも程があろう。当人の間でしか価値がないものが友情であり、なればこそ──他者が貶めてはならぬものなのだ。オルガマリーの盟友となれば尚更な)

フォウ(ギル・・・)

(さて、エアらの二次会に戻るぞ。次はどのような愉快な特異点が待っているのやら。ふはははは!)

フォウ(・・・オマエそれ、『いつも通り召喚したら絶対ライネス喚ぶな』って可能性潰すためだろ)

(次の召喚が愉しみよな!!ふははははははは!!!)

フォウ(誤魔化すなー!!)

~~おしまい~~

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