人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「ノウハウのあるヤツに教えを乞い、技術を学び、基本を完璧に抑えてモノを作る!これが最高に頭のいいモノの作り方よ!!」


「まずは手を動かしたまえ。いいかね、料理をする際はあらかじめ調味料は用意して――」

「あっ、はい。・・・見てなさい、私はスイーツでもカルデア最強になる!」


前夜だなっ!

「ひどい目に遭った・・・」

 

 

 

ローマにて凱旋し、大きく溜め息をつくマスター

 

 

 

ネロと共に帰還を果たした折、ローマ市民にもみくちゃにされ、マシュに救出されつつネロの拠にたどり着いたのだ

 

 

「ははは、そう言ってやるな。奴等からすれば、お前は勝利をもたらせし女神のようなものだからな」

 

「それ別に私だけの力じゃないもん。マシュ、ありがとね」

 

「マシュも見事であった。押し出し、引き、時にははねのける。シールダーぶりが板についてきたではないか?」

 

「あ、ありがとうございます!恐縮です・・・!」

 

 

――マシュは確かにすごかった。並みいる民をばったばったと阻み倒していくその姿は、ちょっと感嘆したほどだ。立派に経験が、彼女の中で生きているんだな・・・

 

 

『それが、勝利の美酒ってやつだよ。胸を張って受けるといい』

 

「ほう、まるで味わったことがあるような物言いだな、魔術師よ」

 

 

『僕は想像力豊かだからね。そのお陰で、いろいろな目に遭ったけどさ』

 

――そう言えば、ロマンはカルデアで働く前に何をしてたんだろう?医師な以上、紛れもなく優秀なはずだが

 

 

「フッ、美酒とは良くいった。酒でも出すか?」

 

 

『待った待った!二人とも未成年だから!』

 

 

「ふふ、いつか酌み交わす時を、楽しみに待っているぞ?」

 

 

華やかに咲く会話の中

 

 

「む、帰ってきていたか。先に寛いでいるよ、陛下」

 

 

白き装束に身を包んだ女性と

 

「――⬛⬛⬛⬛(我、退屈をもて余せり)」

 

中華の鎧に身を包んだ、見上げるほどの巨駆の男が姿を見せる

 

 

「おぉ、呂布に荊軻!帰っていたか!」

 

 

――ただならぬ雰囲気を感じとる。どうやら彼女らも、サーヴァントか

 

「紹介しよう。二人は我が正当ローマに参ずる客将、暗殺者荊軻に無双の呂布だ!」

 

 

「あ、知ってる知ってる!その頭飾り、有名だもん!」

 

「⬛⬛⬛⬛(我が勇猛、極東に届きしは当然なり)」

 

「紹介に預かった荊軻だ。敵が皇帝ゆえ、多少の縁がある私に鉢が回ってきたのだろう。いつの間にか客将扱いではあるが・・・まぁよろしく頼む」

 

「暗殺者が客将、か。かの反逆者といい、どうも正当ローマは人員不足が否めぬな・・・」

 

「そ、そんなことはないっ!使えるものはなんでも取り入れるがローマ流だ!」

 

「――そちらの王気をみなぎらせる御仁、さぞ名のある王と見受けるが如何に?」

 

 

――本当に、名が響き渡っているな英雄王・・・流石人類最古の王、英雄の原典・・・

 

 

「フッ、名乗ってやろう。我は英雄王ギルガメッシュ、クラスはゴージャス。人理を切り拓きし至高の王よ」

 

「至高の王、か――んー、刺したい・・・」

 

――今不穏な事呟かなかったかこの人

 

 

「いや、なんでも。古今無双の英雄王が味方とは。百人力とはまさにこの事、よろしく頼む」

 

「私は藤丸リッカ!好きなゲームは無双ゲー!よろしくお願いします!」

 

「私はマシュ・キリエライト。デミ・サーヴァントとして先輩と契約しています。クラスはシールダー・・・よろしくお願いします」

 

「⬛⬛⬛⬛⬛――!(我が名は呂布、字は奉先也。黄金の王よ、我は貴様の首級を欲す)」

 

「肉達磨だらけな男臭い陣営よ。華が足りぬわ華が」

 

『何を言うか!余がいるではないか!もうそれだけですごい華やかであろう?そうであろう?』

 

「黙れキメラボイスめ」

 

『余はそんな声は出さぬ!風評被害は泣くぞ!』

 

 

「私達は華っていうか、雑草だよね。色んなとこにいくし」

 

「そんなことありません。先輩は立派な華です」

 

「ありがと。あーあ、希望の華は元気かなぁ」

 

「フッ、ヤツは心配無用よ。優秀な教師がついていることだしな」

 

――しばらく声を聞いていないな、そう言えば・・・

 

 

「――よし!!自己紹介も終わったな!ならば聞け!ローマに集いし勇者たちよ!」

 

薔薇の皇帝が、きらびやかに声を上げる

 

 

「我等はガリアを奪還し、更には連合ローマの首都の位置を掴んだ!――つまり!決戦のときは今である!!」

 

 

「――フッ、攻めいるか。長いようで短かったな。時の流れは不思議なものよ」

 

 

――決戦。つまり、レフの待つ首都に赴くということ

 

――人類史の存亡を懸けた、決戦ということだ

 

 

「この戦いで、余は余の愛するローマを取り戻す!――どうか、余に力を貸してくれ!時代を越え、ローマに集いし勇者達よ――!」

 

「うぉ――!!」

 

士気を高める皇帝の激励

 

「決戦は明日!我等は軍を編成し、連合ローマに攻め込むぞ!今宵はとびきりの宴を開く!鋭気を養い、明日に備えるのだ――!!」

 

 

――ローマの存亡の行方は、直ぐ其処に迫っていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。ローマ上空、ヴィマーナにて

 

 

「ふむ、やはり月見酒というのは良い。ローマは喧しい国ではあるが、月の美しさは変わらぬな」

 

意識を眠らせ、制御を器に預け余暇を過ごす

 

 

「マリー・・・せめてジャンヌでもおればそれなりに酒もうまくなったか?・・・マリーはともかく、ジャンヌはないな」

 

カラン、とグラスをならす

 

――うん。綺麗だ。穏やかな夜、頬を撫でる夜風、蒼く黒い夜空

 

――やっぱり、戦場の喧騒よりこちらの方が、自分は好きだ

 

「――さて」

 

スッ、と通信を開く

 

「首尾はどうだ?オルガマリー」

 

繋がりしは、カルデアの所長オルガマリーだ

 

『お疲れさまです、ギル』

 

「うむ。固有結界の首尾は如何様だ?順調か?」

 

『はい。八割はモノにしました。あとは安定、維持の強化かと』

 

 

――この短期間で八割か・・・どうやらオルガマリーの才能は予想以上だったらしい

 

 

「ほう、大きく出たな。どれ、概要の一端くらいは語れよう。酒の肴に我に伝えてみよ。特に許す、我だけにこっそり教えるがよい」

 

悪戯っぽく笑う器。オルガマリーがキョトンとしたあと、笑いながら告げる

 

『はい。――私の固有結界は、二重構造になっています。貴方に切り裂かれる心象と、切り裂かれて初めて起動する心象の、二つ』

 

――二つの心象の固有結界・・・それは、かなり珍しいのではないのだろうか

 

「また奇特な固有結界よ。貴様の献身ぶりが如実に現れているな」

 

『恐縮です。貴方の乖離剣の一撃と共に滅びる心象。これは私の生前の心象・・・――そして、貴方に救われた後の私の心象となっている模様です』

 

 

救われる前と、救われた後・・・

 

『・・・ですから、その。貴方に切り裂かれる心象は、とても見苦しいものになってしまいます、が』

 

「構わぬ。貴様の心象だ、あるがままを見定めよう。――名は付いているのか?」

 

 

『――いえ、真名はまだ』

 

「そうか、それは披露を待て、と言うことか。フッ、楽しみが増えたわ」

 

『――英雄王』

 

「ん?」

 

『――もし、レフが・・・本当に、レフがいたなら・・・私を』

 

――言い淀むのは一瞬だった

 

『私を励まし、レフを・・・レフだったものを、共に打倒してくださいますか?』

 

――私に勇気を与えてほしいと、彼女は王に申し出た

 

かつての恩師を

 

今生の敵を、共に。と

 

「――無論だ。貴様らの道を拓くが我の仕事。任せておくがいい」

 

力強く王が応える

 

「そして、見せてやるのだな。ヤツが切り捨てた貴様の真価を。オルガマリーという人間の価値をな」

 

『・・・はい!』

 

「では、貴様も眠れ。我も床につく。鋭気を養え、また忙しくなろうよ」

 

『解りました。――お休みなさい、英雄王』

 

「うむ。貴様も励めよ」

 

そうして、オルガマリーの通信が切れる

 

 

『ゴージャス様、夜の子守唄は入り用でして?』

 

すぐにマリーが声をかけてくる

 

 

「気が利くな。許す。存分に美声にて王の安眠を助けよ」

 

『任せてくださいな――あの夜のように、ね?』

 

 

――自分も眠りにつく

 

――明日で、総てが決まる

 

 

ローマを懸けた一戦、気を引き締めなくては――




「俺っちもカルデアでアトラクションをやってみっか!ゴールデンな俺がやれること・・・」



「そう!アームレスリングクラブだ!力自慢のゴールデンなボーイズ!俺ァいつでも挑戦を受けるぜ!さぁ今日のマッチングは・・・」


「あ、ごーるでんだ」
「新しい遊びかしら?私達もできるのかしら?」

「oh・・・」

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