人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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髀 クラスアサシン

筋力 A+ 耐久 E 敏捷 A++ 魔力A 幸運E 宝具 EX 

スキル

精神汚染 EX

精神に異常をきたしている。彼女の使命は神秘を、鬼を殺す事だが、人間を『角無しの鬼』と認識し殺す事を使命としている。対話をするにはそれ自体を武器とするものか、同じランクの精神汚染が必要。

自己改造 EX

己の肉体に別種の存在を付与するスキル。但しランクが高ければ高いほど正規の英雄からは遠ざかる。身体にみなぎる神気を全てかきだし、より効率よく殺す為に三つのユニットと深く同調する為の改造を施した。その代償に記憶と言語能力に深刻な欠損が発生している。

破壊工作 EX

戦闘前から相手軍の戦力を削ぐスキル。島を単独で攻略した伝承を持つ彼女にかかれば、戦う前から要塞を落とす事すら可能。

気配遮断 ―→A+++

元のスキルの怪力、勇猛、神性を捨て去り代わりに得たスキル。自身の全てを投げ捨てるように、高い隠蔽能力を獲得した。但し、無茶なスキルの付与により霊基のバランスを著しく損なっている。人格と機能に深刻なダメージを負っている。




髀「なつかし、い。・・・こうして、誰かと、歩くのは」

リッカ「そうなの?」

「うん。鬼を狩る時に、お供集めをしていた以来・・・かな」

「そうなんだぁ・・・じゃあお供として質問!お供って、いぬ、さる、きじ?」

「・・・なぜ、わかった?」

「やっぱり!えーと、髀ちゃんは、自分が有名って知ってる?」

「・・・・・・・・・???」

(知らないか・・・もしかして、アサシンって相当無理してる・・・?)

「じゃあ、別の質問!なんで暴走してるの?お供たち」

「・・・敵が、いっぱい・・・たくさん。手分け」

「どんな子なの?可愛い?」

「??かわ・・・・・・、?」

「えっと、可愛いっていうのはね!髀ちゃんみたいな・・・」

『アォオオォオォオァアァア!!!』

「!?──えっ・・・!?」

「・・・いた。こっち」

「あっ、手をにぎっ(о´∀`о)・・・ま、ま、待ってぇ~!?」


お供──いぬ

『アォオオォオォオォッ!!!』

 

髀に手を引かれ導かれるまま、道を歩き進んでいたリッカを迎えたのは身を引き裂かんがごとき怒号を上げる獣の声であった。何事かと身構えるリッカの前に、髀がそっと指を指す。

 

「あちらが私のお供の一体。いぬ」

 

「いぬ?・・・いぬ!?」

 

リッカが聞き返したのも無理は無い。彼女がいぬと呼ぶそれはリッカが見知った犬とはあまりにかけ離れていたからだ。白き毛並み・・・と錯覚させる白き魔力を放出する機械の四肢。紅く光り辺り一帯を睨み付け暴れまわる狂暴なる牙と爪。尻尾は鋭利極まる刃物として辺り一帯の命を殺し尽くしている。その駆体は肉に非ず。牙から尻尾に至るまでの殺戮の機械。ゆうに三メートルは越える超大型の狼王ユニットと呼称されるに相応しきものだったのだ。暴れ回るいぬに、角の生えた鬼達がなんとか首輪を付けようと群がり、或いは縄を放り四苦八苦している様子が拡がっている。

 

「止めろ!誰かこいつを止めろぉ!鬼も人も関係ねぇ、皆殺しにされちまう!こいつを親分の下に通すなぁ!!」

 

「もっと人員を回せ!コイツを止めるのにこれっぽっちじゃどうにもならねぇ!!」

 

「バカ言うな!コイツだけじゃねぇ『サル』と『キジ』もいるんだ!そっちで全員手一杯だ!」

 

「チキショォ!親分はなんだってこんなやつ野放しに・・・!うわぁあぁあぁ!!」

 

『アォオオォオォオ!!!』

 

苛立ちの狼機械が吼え、自らにまとわりつく鬼達を一様に食らい尽くす。前肢で地割れを起こし、バランスを崩した鬼達を無造作に食らい尽くす。食事と魂喰らいを兼ねた行為に、ますます狂暴性を増していく狼に、リッカは戦慄と共に固唾を飲む。

 

「敵が多すぎるが故に無差別破壊形態に陥る。自己保存を最優先・・・即ち動体反応を全て抹殺」

 

「アレ止められる!?大丈夫なの!?」

 

「問題ない。リッちゃんの装備を正しく認識すれば。──辺りの角在り、皆殺し。リッちゃんはいぬをお願い」

 

それだけを告げ、飛び立ち鬼達に襲い掛かる髀。軽やかな葉のような跳躍から、脚と腕に仕込んだ刃にて瞬時に死角から不意討ちにて鬼の首を切り落としていく。凄まじいのはその絶技。切り落とされた首を喪った事に気づかぬ体が、ブンブンと力無く棍棒を振った後倒れ伏すといった至高の暗殺術。それらはハサン達に勝るとも劣らない程のものと一目で理解できた。

 

『アォオオォオォオ!!!』

 

【ふぁっ!?~~ッ!?】

 

瞬間、自身も敵と定め迫り来る凶器そのものたる尻尾が向かってきたのを一瞬で判断し、リッカは鎧を纏い武装にて命を護る。心臓、首、脳天を狙ってきた三連撃は、左手に宿った村正が独りでに防いでくれた。童子切の雷による肉体強化と共に。

 

【ぅうぅおぉおぁあぁあぁっ!!】

 

その場にいては殺される。そう確信したリッカは童子切を抜き放ち一直線に狼機に向かって突進する。髀の言葉を信じ、死中に活路を見出だしたのだ。

 

『アォオオォオォオァアァア!!!』

 

【うぎっ、ぐぅうぅうぅ!!】

 

咆哮と共に放たれる、周囲一帯を破壊するソニックブームに鎧を切り裂かれながらリッカは猛進する。凄まじいまでの衝撃波は、鎧の内部の身体にすら響く程に鋭利極まるものであったが──人の闇と光にて編まれた鎧と魂を引き裂くまでには至りはしない。微塵も勢いを緩めずに猛進していく。すると──

 

【!団子が!】

 

血塗れの袋に収まっていた吉備団子が輝きを放つ。その瞬間、狼機の動きが僅かに緩む。吉備団子に秘められた使令・・・所持した者の接近を感知したが故だろうか。それを預かり知らぬリッカは素早く吉備団子を掴み、狼機に向けて──

 

【お供になぁれっ!!お腰に付けた吉備団子!あなたにあげちゃう!!】

 

『!(ムグッ)』

 

投げられた吉備団子を頬張り、嚥下する狼機。むぐむぐと食べた狼機の眼が朱から黄色、そして青になり、機械の暴走を告げる。周囲を殺戮していた尻尾、牙、爪、何より逆立っていた剣山の様な魔力放出が収まり、平静を取り戻す。

 

「見事、リッちゃん。暴走、解除。私に帰還せよ、供が一匹・・・──いぬ」

 

それを認めた髀が高らかに跳躍し、動きを止めたいぬの上に飛び乗る。頭の部分に手を置き、浮かび上がったキーボードに素早く自身のコードを打ち込み、認証を行う。

 

『真名破棄、起動──鬼殺機構『戌』』

 

【えっ、あっ・・・!?ふぉぉおぉお!!?】

 

困惑、次いで歓喜の雄叫びをリッカが上げる。目の前に、自身が好きで堪らぬシチュエーションが巻き起こったからだ。

 

コードを打ち込んだ髀が跳躍すると同時に、咆哮を上げた狼機が縮小、拡散しパーツとして分離する。白銀の武装となったそれは髀の身体に瞬時に装着され、漆黒の装束であった髀の見た目を白銀の流麗にして風雅なる戦士へと様変わりさせる。豊かな髪は逆立つ白銀と化し、身体中にブースターが装着され、巨大なブレードパーツが尾てい骨に装着される。面当ても様変わりし、無数の牙を剥き出しにした狼の形相を思わせる姿へと変化する。

 

『───ォオォオォオォオォオァアァア!!』

 

雄叫びを上げ、前傾姿勢となり全身に力を込めた瞬間──殺戮を超越した狩りが始まった。数キロ離れて進軍していた筈の『鬼』を感知し、流星の様に飛びかかっていった髀が行ったものは、徹底的な蹂躙だった。

 

「う、うわぁあぁあぁ!!『鬼殺』の──!」

 

「た、助け──!!」

 

「ひぃいぃいぃいぃ!!」

 

「うぎゃぁあぁああぁ!!」

 

爪で引き裂き、牙で噛み砕き、尻尾で突き刺し抉り、全身に生えた魔力の毛皮の逆立ちで触れるもの総てを切り裂いた。その余りの異様に鬼で在ることすら忘れ逃げ出さんとした鬼すらも逃がさずに皆殺しを行う。徹底的にして執拗、入念にして凄惨。白銀の武装が血肉に染まりきるまで殺戮は続いた。

 

【モモちゃん!ストップ!ストッープ!!】

 

──リッカが漸く追い付き、静止をする頃には、鬼と認識出来るモノは何処にも存在していなかった。ミンチ以下にまで細かく寸断された、肉片と血痕が残るのみ。地形すらズタズタに破壊しつつ肩で息をする髀が、契約せしマスターを認識する。

 

『・・・・・・リッ、ちゃん・・・』

 

【そだよ、リッちゃん!もう大丈夫、落ち着いてー、クールダウンしてー、よーしよしよし・・・】

 

血塗れの腕を握り、頭を撫でてクールダウンを呼び掛けるリッカを、髀は信じられないような眼で見ていた。その反応は、自分が生きていた頃に数える程しか──

 

『・・・こわく、ない?』

 

【え?凄くカッコいいよ!?あんな装着武装とかズルい!強いし!速いし!カッコいい!!】

 

『カッコ・・・いい・・・。・・・・・・・・・!!』

 

瞬間、耳まで紅くなるほどに熱を溜めた装甲から蒸気が吹き出、へばりついた血が蒸発するほどに赤熱を始める。鎧が無ければ大火傷する程の大放出だが、リッカは気にかけることはなく髀に寄り添う。

 

【大丈夫!?髀ちゃん!?大丈・・・】

 

『きゃいん!』

 

駆け寄ったリッカが見たもの、それは悲鳴を漏らしへたりこむ銀色の犬の形を取るロボット・・・『いぬ』であり、ひざまずく髀であった。そっと落ち着きを取り戻し、立ち上がる。

 

「ほ、褒められるのは久し振り。困惑のち、排熱。申し訳ない」

 

【いいよ全然!この子は・・・】

 

「私の、お供。いぬ、そして私。さるときじも含め、私達は・・・」

 

そう、彼女は口にする。自身の形式と存在を。彼女らは──

 

「神秘、鬼、殺す・・・星が産み出した、兵器。しんぞう、へいそう・・・呼称される、生体機械・・・」

 

【神造・・・兵装・・・?】

 

エクスカリバーと同種の存在。髀と呼ばれるそのサーヴァントが一筋縄ではいかない事を、リッカは心で理解する──




茶屋

リッカ「これで、良し!もう大丈夫だよ、髀ちゃん!」

髀「あ、ありがと・・・ござます。サーヴァントなのに、大事にしてもらい・・・」

「サーヴァントって、意思も心もあるパートナーなんだよ?乱雑に扱う方がどうかしてるよ。今は髀ちゃんが私の命綱なんだから、支え合っていこ!ね?」

髀「・・・・・・・・・・・・・・・(プシュー)」

「あれっ!?」

いぬ『主は死線を長いこと潜り抜け、会話機能すら戦闘に回してしまっていて・・・私達のコントロールすらも覚束ない程に・・・ありがとうございます、比類なきマスター。髀さまに優しくしていただき・・・』

「喋った!?」

『私、髀・・・いえ、『桃子(ももこ)』様のお供が一人『いぬ』ともうします。この度は桃子さまとの契約、誠に・・・』

「御丁寧に・・・!私はリッカ!桃子ちゃんって言うんだ・・・!やっぱり!」

『はい、ですがその名を付けてくださった者は最早奪われ、我等共々修羅の道に堕ちた主を呼ぶものはとんと・・・リッカ殿、我等お供、桃子様の生前の記録をしっかと有しております!』

「桃子ちゃんの・・・?」

『何卒、何卒桃子様と強き縁を結びになり!彼女に安らぎを与えてくださりますよう!最早あなたしか、人として桃子様と振る舞える方はいませぬゆえ!』

「・・・どゆこと?桃子ちゃんに何があったの・・・?」

『・・・彼女は・・・人を助け、村を助け、世を助けたいと鬼と戦いました。ですが彼女は・・・結論付けてしまったのです。『この世界に、人は二人しかいない。それも今、角無しに奪われた』と・・・』

「・・・!」

『彼女は最早、英雄に非ず・・・世に蔓延る鬼を殺すだけの、鬼を狩る鬼なのです・・・』

「鬼を狩る、鬼・・・」


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