人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ダ・ヴィンチ「なんて可愛らしい!へそだし!へそだしと来たか!エーテル溢れる神代にへそだしのメリットとかまるで解らないが可愛いから良し!それはまさに趣味の発露と言えるだろう!作った人間は随分とロマンチストなようだ!」

オルガマリー「リッカに着せてみた所、鍛え抜かれた腹筋が露になりカッコよさが倍増しました」

ダ・ヴィンチ「すごいよねー。普段はすらりとしてるのにグッ、と力込めたらバキキキキキキッ!みたいに割れるんだもん。おふざけでパンチしてみたら岩盤殴ってるみたいだったもん。負けていられない!リッカ君の水準に、皆を押し上げる発明をしなくては!あ、愛弟子。そっちの素材に触ってはいけないよ?」

オルガマリー「これは、温羅さんが提供した・・・」

「異なる世界の技術と素材だ。検分してみたけどね、それは楽園の外に出してはいけない。どれもが今の人類には早すぎるものだ。流出した瞬間人類の進歩が止まるほどに」

オルガマリー「───」

ダ・ヴィンチちゃん「だからそれは楽園のみの技術として扱おう。宝物庫に納めるように、ね。──やったぁ!特許だ特許ぉ!」

ロリンチちゃん「事の重大さ解ってるのかなぁ・・・あ、素材シャドウ・ボーダーに回してね!」

キャプテン「マルドゥークの強化に、そして海原を自在に行く船を・・・」

ムネーモシュネー『オルガマリー。これは俗に言う・・・』

オルガマリー「馬鹿と天才は紙一重、ね・・・」



アルテミス「リッちゃんまるでオリオンみたい!」

メイヴ「キレてるわ!キレてるわリッカ!お腹にゲッシュかけてるの!?」

スズカ「よっ!腹筋征位大将軍!」

くろひー「そのプロポーション、文化遺産!」

武蔵ちゃん「うどんどか食いにも負けないボディ!」

メアリー「お腹に人理が詰まってる」

アルク「あなたのお腹!六分割!」


リッカ「皆ありがとー!なんか違う気がするけど!ありがとー!!」

じゃんぬ「・・・ビルダー!?」


自分なりの貢献

「さて、今日も始めるか」

 

これまた楽園の一角。時刻からすればリッカがいつもの特異点単独派遣から帰ってきた直後の頃。マスターミーティングを行い解散した直後に部屋に戻った一人の少年がいつものようにトレーニングウェアに着替え、楽園スタッフ(サーヴァント込)より支給された物品を前に、いつものように軽く息を吐く。

 

「リッカにあぁ言われちゃ、僕も張り切らなくちゃいけないからな。今日はいつもより気合いを入れて報告書を書くか」

 

表情に何処か喜びを見出し、薄く笑う少年。彼の名はカドック・ゼムルプス。元Aチームマスターにして、現楽園マスターの一人に籍を置く人類トップクラスのマスターである。楽園にて選抜されるという事、即ち人類の最先端にいると言って良いので間違ってはいない。

 

そんな彼の目の前にあるのは、沢山の霊薬、礼装、武装、そしてカルテとモニターである。それらに全て製造者、未開封のラベル、効能の説明、人体への効果といった委細を報告するための書類が備わっている。楽園により支給されたこの一式に、気合いを込めて手を伸ばさんとする──。

 

「あら、それは何の催しかしら?あなた、いつから狼からモルモットになったの?」

 

「・・・鍵は付けてた筈なんだけどな」

 

「合鍵。それより、それはどういった趣向なの?ステロイド、ドーピングは違法の類いでは無くて?」

 

カドックが招いた訳でもないのにいる美しきジャージ少女。ベッドに寝そべりサブカードキーを見せるはサーヴァント、アナスタシア。カドックを個人的な興味からからかうアグレッシブ氷クイーンだ。彼女は彼のやろうとしている事に、片眉を上げて問う。光景から連想される行為は、あまり明るいものでは無さそうだからだ。

 

「勘違いはしてくれないでくれよアナスタシア、これは自分の意志で申請し、ギルガメッシュ王の許可申請を経てやっているれっきとした活動だ。治験だよ、治験」

 

「治験・・・?」

 

「新薬や新礼装を誰かに投与、使用し効果を見るんだ。それを詳しくレポートに書いて開発元に送る。そしてその薬の効き具合や礼装の効果のデータを開発側が活かす。れっきとした楽園に貢献する手段なんだ。ラットやモルモットに投薬するより、人間に試した方が正確で手早くデータを取れるからな。僕が立候補した」

 

酷く反対されたけどね、と肩を竦める。確かに医療技術や科学技術において『人体実験』は禁忌にして最良の施行手段だ。得られる成果もスコアも凄まじく、倫理や論理をクリアできるなら何度でも行いたいと願うだろう。ただ、無視できない人権が人を護っているが故の行為の断念が阻んでいるに過ぎない。

 

「人を遥かに越えた英霊が、リッカ達の紡いでくれた絆と協力のお陰でこの上ない協力体制を取ってくれている。僕達は今を生きる人間だ、それが楽園・・・世界を救う組織にいるのなら、その優位性を極限まで活かすべきなんだ」

 

カドックは優先的に、また積極的に英霊達との技術提携や共同開発を申請している。先人の知恵を他ならぬ本人から受けられるカルデアという組織の優位性を提唱し、また自身も率先して産み出された技術のモニターと被験を行っている。というより、治験は自分以外には絶対にやらせないようにしている。『そこそこ』名のある家で『そこそこ』出来る自分こそ、この役割に相応しいと確信したからだ。

 

「手当ても貰っているし、技術者達に程よいプレッシャーも掛けられる。これで楽園の皆が作戦中に飲む薬の効果が少しでも上がれば儲けものさ」

 

そうカドックは自嘲するが、事はそんな緩やかな歩みではない。カドックを迎えてから迎える前に楽園が自主的に産み出した発明と薬の精度と数は何倍にも跳ね上がり、礼装はいずれマスター一人一人にカスタムされたモノが配布される内定だ。彼が率先して行った行動は、科学の発展の凄まじい足掛かりとなっているのだ。

 

「素晴らしいじゃない、カドック。これが、あなたの楽園での貢献の一つなの?」

 

「そういう事だ。・・・勘違いするなよアナスタシア、別にこれは劣等感からの逃避でも、リッカに追い付くための抜け道を模索している訳でも無い。僕なりに、全力で楽園のマスターとしての在り方を求めているが故の行動だ」

 

カドックは楽園での自身の立場と、他者の実力を正しく受け止めている。一人一人が人類の限界に挑み続け、誰もが人の生を最大限に謳歌する楽園。マスター一人とってみても、全てが聖杯戦争で優勝が叶う程に洗練された者達だ(ヒナコは不死身なので負けないという前提)。

 

そんな中に放り込まれた自分が、如何にして皆に誇れるようなマスターでいられるか。それは自分という存在を極限まで有能な誰かに『献身』する事だ。マスターとして有能ならサポートに、技術者として有能なら実験台に。そうする事で、有能な人間や存在はもっともっと輝ける。人類の進歩の手助けができる。運命力が足りないなら、足りない分の割り振りを誰かに上乗せする、或いは託す。

 

「楽園の皆の発展に繋がるなら、それは僕の研鑽だ。楽園の皆の笑顔に繋がるなら、それは僕の誇りだ。だって僕らは、楽園の財なんだからな。──他人の喜びを自分の喜びに出来て、初めて人は輝ける」

 

「カドック・・・」

 

「それに、僕としてはワンオフ機より量産機が好きで、ガンダムよりスコープドッグ、或いはジンクスやウィンダムみたいなのが好きなんだよ」

 

それは、誰が乗っても誰が行っても結果を出せ、そして絶対に裏切らない信頼性。それをカドックは突き詰めて行きたいのだという。リッカに並ぶ作戦遂行力を果たせるのは噂の月の新王、或いはキリシュタリアくらいしかいない。なら自分のやるべき事は、『皆の足並みを揃える』事。それが今の活動理念。『僕』ではなく、『僕ら』の戦いに貢献しているのだから。それが、カドックの今の戦いだった。

 

「──変わったわね。本当に」

 

「それがいい方であることを祈るよ。それに・・・」

 

それに。『あんな事』を言われたら、此方としても黙ってはいられないのだ。

 

 

『カドック!人類の絆による人理修復!それが楽園カルデア!私がマスターとしてそれを成す!皆と共に!』

 

『そうだ!私が!私達が!!冠位(グランド)だ!!!

 

 

「・・・僕たち全員でグランドマスター・・・。最高じゃないか。僕達で、誰も並ぶ事の無い位へ上る。そう言った気概を、起きてきたリッカから感じたよ」

 

そうだ、それでいい。リッカは何処までも高みにいる方がいい、足許も見えない位に高くで輝いているくらいが丁度いい。自称だろうが、彼女がグランドを名乗って否定する人間はそうはいない筈だろう。

 

「それでこそ、挑み甲斐がある。僕のライバルなんだ、それくらいが相応しい。・・・無駄話は終わりだ。始めるから・・・」

 

「それだけじゃないでしょう?理詰めで隠してもお見通しよ、カドック」

 

アナスタシアはくすりと笑い、目の前のマスターの不器用さを指摘する。

 

「あなた、仲間の誰にも不慮や貧乏くじを引いてほしくない・・・。そういう感情からそんな仕事を受けたのでしょう。お見通しよ」

 

「・・・解りやすいのか、僕って」

 

「えぇ。とっても」

 

もしかしたら皆もうお見通しなのかもな・・・。そう思い至ったカドックは急に照れ臭くなり、片手で顔を覆うのであった──




アナスタシア「じゃあ私も手伝ってあげるわ。資料作成は任せなさい」

「一番他人任せにしてはいけないんだが・・・まぁいい、じゃあ早速試していくぞ」

クラスカードインストールガン

「オルガマリーの持つ銃を量産向けにした規格か。カルデアの電力に直結したガンドを放ち、更にクラスカードをインストールする事によりサーヴァントの力を凝縮した礼装を展開する・・・」

アナスタシア「ちょっと撃ってみたらどうかしら」

「そうだな。反動も含めて・・・」

~ 実験結果

無反動で実験室半壊。携行兵器の威力としては過剰。段階的なリミッター付着推奨。

クラスカードアーマー

リッカの人類悪の鎧を技術的に再現したアーマー礼装。

サーヴァントの霊基情報をクラスカードに置換させ、マスターに戦闘能力を確保する礼装。契約サーヴァントの力を付与可能、必要ならばクラスカードを譲渡してもらいバリエーションを増やせる。インストールガンに装填する関係上、クラスカードはカードキー形式。

「僕の場合はアタランテだな。試してみ・・・なんだこのロックは・・・!?開かない・・・!」

「魔術回路に接続する関係上、最初はそうなるみたいね。力尽くでいいんじゃないかしら」

カドック「精密機器をなんだと思ってるんだ・・・」

報告

インストールガンに認証機能推奨。


「さて、次は薬品だ。モニター頼むぞ、アナスタシア」

アナスタシア「いいわ。任せなさい」

カドックの、楽園への貢献は続く・・・

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