人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ギル「リッカ!起きているな!」

リッカ「おーっ!いやね、呼吸の仕方変えてから全然疲れなくなったんだぁ」

ギル「よし──我等の物語はこれより大いなる節目を迎える!あらゆる業務や試練は非番とし、これよりサーヴァントどもに挨拶回りに向かう!供をせよ!」

──改めて軌跡を振り返りながら、皆との絆を確認し、来るべきその瞬間を迎えましょう!今のワタシ達は、きっと見えるものは違うはず!

リッカ「おうっ!!よーし!じゃあまずは~・・・」

「冬木・・・はまぁアレはアクシデントだ、後で良かろう。そう!我等が右も左も解らぬままに初めに挑んだあの特異点だ!!」


ミレニアム・カウントダウン・イベント
カウントダウン13・オルレアン


「まぁ!ゴージャスさまにリッカ、二人で顔を出して下さったのね?こちら、フランス・オルレアン・パーティーは準備の真っ最中よ?とっても楽しみね!」

 

そう、最早目前にまで迫った叙事詩の大いなる節目にして、お祝いすべき大変なる回。それを前にした楽園は、全力を総じての祝辞を行うと王が発令した。それぞれ集い、笑い合い、楽しみ合い。来るべき日を迎えんが為に活動している。今回ばかりは仕事や特異点攻略はお休みだ。それぞれが、思い思いの飾り付けや集会を作りその時を待ちわびている。

 

「どうだい、一曲聴いていくかい?普段は借金のカタくらいにしかタダ弾きはしないが、君達ならば問題ないさ。素敵な曲をお贈りするぜ?」

 

「また軽薄な事を・・・マスターに御機嫌王はお前と違い多忙なんだ。今だって挨拶回りに顔を出しただけだろう」

 

真っ先に目についたのは、マリーにアマデウス、そしてデオン。そう、華やかなフランス組にして・・・懐かしきオルレアンの集いの顔触れだった。右も左も解らぬ無銘であったエアと、意識の深層で言葉と態度を振る舞っていた器であるギル、そしてなんとか孵化から思い止まっていた予断を許さぬ状態のリッカが挑んだ最初の特異点。大いなる、そして小さき一歩で挑んだオルレアンのメンバー達が、マリーの宮殿にて飾りつけと準備を行っているのだ。初めに相応しい面子である。

 

「思えば、リッカ。今や君も大いなる龍。そうとも知らず邪竜滅ぶべしなどと・・・本当にすまない。君にはいつまでも長生きしていただきたい」

 

「そうですとも。あの日の貴女と今の貴女は比べ物にならないほどに美しく、強く、大きくなられた。この旅路に参加し、あなたの成長をフィルムに納める事が出来た事・・・誇りに思います」

 

「ジークフリート、ゲオルギウス・・・ありがと!あの日の二人の頼もしさ、ずっと覚えてるからね!」

 

「ゴージャス!アンタとの出逢いは逆に最悪よ!ラゾクよ、ラゾク!解る!?あんたアイドルの前で脱いだのよ!?この罪深さ解りなさいよ!」

 

「まさかこんなトカゲ娘と一緒くたなんて、きよひー哀しいです・・・でも、ますたぁという最愛の方に出逢えたのでOKです!」

 

「トカゲ!?もう長い付き合いなんだから、エリちゃんって呼びなさいよね!」

 

ジークフリート、ゲオルギウス、きよひー、エリザベート。彼等と縁を結び、招くことが叶ったのもオルレアンだ。ギルギルマシンで雄大な草原を疾走し、町や村を救うために竜の大群、バーサークサーヴァントを蹴散らしたのも今や全てが懐かしい。

 

「結局サンソンは顔を見せずじまいかぁ。堅苦しいなホント。『ゴメーン♪君が美しすぎて性癖暴露しながらマリアを襲っちゃった♪』とか言いながらなに食わぬ顔で召喚されればいいものをさー」

 

「恐らくそこまで面の皮を厚く出来るのはお前だけだ、アマデウス・・・」

 

「いつかきっと出逢えるわ、だって私達の旅路は何処までも続くのだもの!ゴージャス様と、まだ無垢なエアと過ごしたあの日の事は、座に持ち帰った瞬間からずっと心に残っております。夜枷を任せて貰った事、ヴィマーナでお空を飛んだこと。そして・・・」

 

そして、巨大なるファヴニールを前に命を懸けて立ち向かい、死を覚悟した事。アマデウスのピアノが聴けなくなるのが、楽しい旅が終わってしまうのがとても哀しく、残念だった事。──そしてその哀しみを、光輝く不思議な王が総て打ち払った事。あの時の総ては、マリーの中で宝石のように煌めいている。

 

「心から、ありがとう。ね、ゴージャスさま。目を閉じていただける?」

 

「フッ、何をするかは読めたが・・・王妃の頼みだ、無下には出来まい」

 

そっと目を閉じる王に、王妃は首に腕を回し頬にヴェーゼを捧げる。そう、この二人が、いや・・・三人が紡いだ絆は、また唯一無二にして強固なのだ。

 

──思えば、彼女の存在がワタシ達の旅路の在り方を示してくれたのかもしれません。どんな困難も、力を合わせれば必ず乗り越えられる。王の威光に限界と諦めは不要・・・。無銘のワタシに、王は教えてくださいました。

 

王の眼で、器で見る世界は、感じる総てがとても美しく、輝いて見えた。だからこそ自分は世界を美しいと、そこにいる人々を尊いと感じることが出来た。最初の特異点攻略であっても、もたらされた研鑽と成長は今までのどんな旅路にも勝るとも劣らない。エアはフォウをいとおしげに抱きしめ、ふよふよと皆の在り方に笑みを浮かべる。

 

「これからも、変わらぬあなた方でありますように。ゴージャス様の、エアの、リッカの旅路に・・・王家の祝福がありますように!」

 

「ヴィヴ・ラ・フランス!やっぱマリーは王妃の鏡にして代表だよねぇ・・・ねぇねぇ、さっきのチゥ是非是非私にも・・・」

 

「聖女です!!」

 

シリアスタイム終了。バァンと扉を開け楽園が産み出した生物兵器人間要塞あーぱー、王殺す麻婆使いがエントリーした。してしまった。傍らに妹認定しているリッカの運命の魔女を連れて。

 

「離せ!はーなーしーてー!!私はこれから自分の存在を懸けた巨大ケーキを作るのよッ!私は祝う側じゃなくてセッティング側なのー!」

 

「・・・あの特異点のジャンヌめは紛れもなく聖女であったというに・・・何故楽園のこやつはこのようなバグを抱えてしまったのだ・・・」

 

──慢心から産み出た失言による自業自得です、王よ。あの時の王の迂闊さはオリオンさんのナンパ禁止の誓いより軽薄でした。

 

(懐かしき無銘節だー!)

 

──そしてワタシの無知から生まれる慇懃無礼さも・・・プフッ(口から暴れ出るプレシャス)

 

「今日も私は元気です!さぁじゃんぬ、マスターの半身のあなたがリッカに挨拶しないでどうしますか!しましょうしましょう!ギル!食べますよね麻婆!」

 

「いらん!!」

 

「解りました!待っていてください!」

 

「───(理解不能な顔)」

 

「今更リッカに改まってだなんて。毎日顔合わせて抱き合って眠ってるっつーの!・・・あ、そっか。えーと、そうね。そうよね」

 

そう・・・ジル・ド・レェの願いにより産み出された、【復讐の魔女】。恨みなど欠片も懐かぬが故にジャンヌの有り得ざる存在として造られた贋作。本来ならば、消え去るだけだった存在。誰も望まなかった存在のオルタナティブ。

 

──たった、一人を除いて。

 

「リッカ、私を求めてくれてありがとう。私、あなたのお陰で毎日がパリピよ、パリピ。解る?最ッ高のリア充ってわけ。私、こう見えて自負してるから。リッカの一番はマシュでもギルガメッシュでもない。この私だって」

 

「うん!私も、じゃんぬがいてくれて本当に良かった!竜の魔女・・・最初から、じゃんぬは私だけの魔女だったんだよねぇ。えーい!」

 

「ひゃ・・・!?」

 

「世界で私だけのじゃんぬとして、ぜーったい離さないから!これから私が死ぬまで、ずっとずっと傍にいてね!大好き!じゃんぬ!」

 

「・・・~~~!何よぉ!私だって!私だってリッカの事!スッゴくスゴく!大好きなんですからねーだ!!」

 

キメキメな台詞でリッカをときめかす筈が、初手エグゾディアはたまたボルバルザークアタックで無事撃沈。最初の頃よりずっとずっと素直になったじゃんぬと魅力的になったリッカの成長に、一同は微笑ましく視線を贈るのでしたとさ。

 

「嗚呼・・・この楽園、私の至上の聖地として尚も輝き続ける・・・麗しき聖女、猛々しき黒きジャンヌ・・・どちらも溌剌とした生を・・・ああァ~~~~・・・・・・・・・」

 

(解るよ、ジル。推しの幸せが自分の幸せになる。そこで初めて気付くんだ。愛は・・・心に秘めるものなんだって、さ)

 

「あぁあフォウ君!!あなたの、あなたの姫に捧げる気持ちが理解できました!語り合いましょう、このみっちりと詰まった触手がごとき愛を!!」

 

(触るなァ!!!)

 

「アッーーー!!眼、眼というか眼球がァーーー!?」

 

意気投合はするも、やっぱりビジュアルがプレシャスじゃない輩に迫られるのは嫌なフォウ君でしたとさ。




メモリアルバトル


ジャンヌ「よーし!皆さん!懐かしの思い出!シミュレーションで再現です!おー!」

リッカ

ゴージャス
マリー
アマデウス
ジークフリート
ゲオルギウス
きよひー
エリザ

VS

じゃんぬ
ジル


じゃんぬ「イジメ!?」

ジル「うぅむ、今や何故ゴージャスに喧嘩を売ったのか。盗んだバイクで走り出すかのような早計っぷり。いやはやいやはや」

「なに納得してんのよ!?意義あり!意義あり!!ハンデ、ハンデよ!ファヴニール!ファヴニールを呼んで!アジ・ダハーカもいたような気がしたわ!呼んで!!」

フォウ(無茶苦茶言ってる・・・)

ジャンヌ「心配しないでください。腹を切る苦しみから救う程度の情けはあります!ファヴニール、カモン!」

じゃんぬ「いるの!?やったわ、地獄の道連れが増え・・・」

ジーク「こんにちは、ファヴニールです」

じゃんぬ「私のファヴニールがショタなわけないでしょッ!!!!」

ジーク「すまない・・・」

ジークフリート「すまない、どのみち竜なら問答無用で俺が蹴散らすのだ。心置きなく滅んでほしい」

ジャンヌ「よーし!突撃ー!」

じゃんぬ「待って!腕は、腕は止めて!?これからケーキ造りが残ってるからぁあぁぁーー!!?」

このあと初手乖離剣とバルムンクにより勝負あり。リッカの捕虜になったじゃんぬは擽られ続け涙でグシャグシャなアヘ顔を披露しましたとさ。



ギル「────」

『楽園のオルレアン組で撮った写真』

──まだまだ、振り返ることが沢山ですね!

「亜種も含めれば11か。丁度よい。節目の振り返りと行くぞ、エア!マスター!珍獣!」

三人「(──おーっ!!)」

じゃんぬ「ころひて・・・いっそころひて・・・」

リッカ「これからもよろしくね、じゃんぬ!」

「はひっ・・・」

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