人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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フォウ(ところでさ、無銘だった頃のエアとギルの器と魂の関係ってどんなシステムだったの?ほら、器はギルが言葉を選んでたっぽいけど、魂はエアだったんでしょ?)

ギル《その話か。道理は単純だ。一度面倒を見ると決めた以上、我はエア・・・いや、今は無銘としておくか。無銘の魂の波長を感知し話していたのだ。詳しく解説すると、このシステムになる》



無銘『──、──(敬愛と感謝を示している)』

ギル(魂)《こやつ、我を敬っているか!自身の総てを喪っていると言うに殊勝なヤツよ!ふはは、何故だか我も愉快になってきたぞ!良かろう!》

ギル(器)「ふふはははははははは!!ゴージャスギルガメッシュ!今日も絶好調である!!」

~戦い

無銘『──!(千里眼で戦いから決着における展開と必要な総てを選定した)』

《それが貴様の選択か。善い判断だ!ならば貴様の提言、完璧に我が受け持ってやろう!!》

「フッ、我に慈悲を乞うなよ?今の我は最も愉快で、最も無慈悲であるのだからな!!」



《我は脱ぐぞ!!A・U・O──!!》

『!?──!?──!?』

《キャスト!!オフ───!!》




《とまぁこの様に、我が深層意識でアレコレやっていたというのが真実だ。エアが我の肉体を掌握する気が微塵も無かったのでな。我が受け持たねば言葉の一つ発せられぬ有り様だったが故に、このような二人三脚と相成ったのが真相よ》

──重ね重ね!大変御手数をお掛け致しました英雄王!(ふかぶか~)

《善い、そうするだけに足る敬愛は受け取っていたからな。お前を宿した日柄、不快な日は一度も無かったぞ。そして愉快であった。水晶が白金に変わるがごとき研鑽・・・実に、実にな》

──ギル・・・

フォウ(良かったね、エア・・・。さぁ!気を取り直して、次の会場に行こうじゃないか!)

──うんっ!


カウントダウン12・ローマ

「よぉくぞ来た!今か今かと待ちわびていたぞゴージャス!余をやきもきさせるとはニクい心配りをしおって~!こやつめ、イチゴは最後に食べる派であったか~?ん~?」

 

「・・・まだカウントダウンは12近くある筈だが。もはや既に出来上がっているなどと宣うのではあるまいな」

 

「ゴー↑ジャスともあろうものがなーにをケチ臭い事を言っておる!余はローマ、ローマ即ち人間の性を極めしローマ!(?)ならば催しに、誰よりも真摯かつ情熱的に取り組むは当然であろう!見るがよい!これが我等、セプテム組の!ローマ式前夜祭であ~るっ!!」

 

ギルガメッシュらが脚を運んだ、第二特異点セプテム組。ローマがメインで取り仕切るローマなローマの会場を、ローマの皇帝たる花嫁のネロ・クラウディウスが取り仕切ったらどうなったか。無論、其処がローマになったのは当然の帰結と言っていいだろう。

 

「うぅむ、我ながらこの地に取り揃えられたケーナの豊潤さはどうだ。我が身体はクレオパトラの愛に編まれたものであるが、この豊潤さこそローマの真髄と言えよう。美食を極め、贅を極め、繁栄を極める。ローマとは、私の様に美しいものだからな。時にご機嫌王、誉れも高き姫の姿、一目露にする気は──」

 

「カ エ サ ル 様 ?」

 

「いいや!やはりここは我が最愛のクレオパトラに譲るべきだろう!そうだとも我が妻、カエサリオンに誓って私はやましい心根は無いと誓うぞ!本能、本能なのだこれは!」

 

「別にローマじゃ無いっての。・・・ま、野暮な事は言いっこ無しか。めでたい席に、個人の感傷は野暮だよね。リッカちゃん。ご飯、食べるよね?」

 

「勿論食べるー!シチュー!シチューがいー!」

 

「おぉおぉおぉお・・・・・・。ぬふぅうぅうぅうん・・・」

 

夫婦漫才を見せるカエサル&エジプト組のクレオパトラ、複雑そうながらも、リッカ達に肉をよそるブーディカ。スパを堪能するスパルタクス。それぞれが、ローマにて共に駆け抜けた英雄達である。

 

「ねーブ~ちゃーん。酒がもっとほしいよー。酌して酌!あ、ラッパ一升瓶とかいいんじゃなーい!?あはははは!」

 

「◼️◼️◼️◼️◼️(我、健啖も無双なり)」

 

「酌なら私が致しますわ。えぇ、懐かしきセプテム・・・私が女神として真に目覚めた場所・・・詳しくは覚えていないけれど、何か、何かとても輝かしいものを見た気がするの・・・」

 

「女神よ、お前が垣間見たもの。それは五つの丘、偉大なる建国の大樹に通ず・・・裸身(ローマ)

 

「いや、我の裸身だが?思い出せぬと言うなら、今此処で魅せるもやぶさかではないが?」

 

──ローマをノンストップ黄昏にするのはお止めください、王よ。ローマかぁ・・・色んな事があったねぇ、フォウ?

 

(そうだね!エアが見た、豪華絢爛な都市。人の営み、そこを護る華やかな皇帝。レ/フ。本当に色々あった・・・)

 

ギルガメッシュ、エミヤ、クー・フーリンの蹂躙から始まり、カエサルやカリギュラとの戦い、ネロとの御風呂耐久勝負、ステンノの拘束からの強制キャストオフ。スパルタクスとの対話、孔明の意地と誇りを懸けた知略による頂点への挑戦。二人のネロによる偉大なる神祖への対峙。そして、オルガマリーの固有結界の開帳に──

 

「ギルのエヌマ・エリシュの初披露も此処だったよね!レフがズッタズタになってこれは酷い!って思ったよー」

 

「そうであったな。なんともまぁ月日の流れは早いものよ。あの日からもう一年の月日が経ち、我等はこうして世界を取り戻し愉悦の日々を送る。やはり、本気出した我に道理など通じはせぬという善き教訓よな」

 

取り組んだ期日は半年、それが今では一年前。あっという間だったような、長い長い旅だったような。華やかな旅路は、今も輝かしき色を湛え続いている。ローマから続いた輝かしき路は、今も途切れる事なく煌めいているのだ。

 

──見所が多くてとても一つには絞りきれませんが、やはりワタシは王の全身全霊、そして孔明さんやスパルタクスさんの輝きが印象に残っています。本当に、意識が眠っていたとは思えぬ程の輝きと絶対性。頼り無さげなワタシを繋ぎ止めてくれていた魂に、ただただ圧倒されるばかりでした・・・

 

スパルタクスとの語らい、孔明の全身全霊に応え乖離剣を手に取った王、そして、自身の声と願いに応えその真価を開帳した偉容。それらは、ローマの輝きに勝るとも劣らぬ鮮烈さを今でもエアに刻み付けている。本当に、この規格外の英雄に成り代わろうなどと考えなかったのは幸運だった。今はこの異心同体な在り方が、この上無く誇らしく喜ばしい。

 

「うん。皆で集まり、皆で楽しく笑い合う。文明とはこうあるべきだな。本当に、楽園はとてもいい文明だ。パンをあげよう」

 

そして、破壊の化身アルテラもまたこの楽園に招かれ、パン屋として日々を楽しんでいる。敵対していた者達も、対立していた者達もこうして同じ時間で笑い合う。それこそが、楽園が起こした比類なき奇跡であることを実感しながら。

 

「リッカよ。王や姫ももちろんだが!そなたもぐ~~~っと魅力的になった!惜しい、惜しいぞ!世が世なら余が求婚しハレムに迎えたと言うのだが・・・今の余は花嫁だからなっ、慎ましく、貞淑なのだ!残念だが、うむ!控えよう!」

 

「え?互いが好き合ってるなら形式とか関係無くない?」

 

「なっ!?ま、またそうやってリッカは雄々しき獅子のような事を言う!開いちゃうぞ?鍵穴が!開いちゃうのだぞ~っ!?」

 

「リッカは嫁の貰い手を募集し、或いは嫁の受け取り手を立候補しています。性別は割と問いません。そう、藤丸龍華ならね(キリッ)」

 

「こーら。この皇帝サマをからかわない。本気にしたら教会とかそこらに建てるよ、この花嫁皇帝」

 

「ブーケだ!ブーケを持てーぃ!!」

 

「王よ、そして姫よ。この世界の総てにローマは在る。この楽園に満ちる笑顔、輝き、人の営み。それは、ローマそのものの輝きだ。それを(ローマ)は、嬉しく思う」

 

「フッ。誉れも高き神祖に太鼓判を受けるとは、いよいよ以てウルクがローマに並ぶ日が来たか?」

 

「序列や区別に意味などない。生命とは、この世の総ては生まれながらにローマに通じているのだ。尊重とは、あまねく総てを認める心。故にこそ其処に序列はない。数多を認めるその概念こそ、汎人類史が産み出した至宝なのだから」

 

──神祖ロムルス・・・

 

『姫よ。お前は王と共に汎人類史の在り方を尊重し、祝福した。ならば次なるお前の戦いは、尊重した歴史の『尊厳』を謳う事に他ならぬ。──揺るぎなく進むのだ、姫よ。仲間と共に、王と共に。ローマと共に。即ち──』

 

一度、総ての在り方を善しとするならば、それを脅かすものと戦う。滅ぼす為でなく、数多の歴史が紡ぎ産み出した誇りを守護する事こそが肝要と神祖は語る。重んじ、尊んだものを護る為に戦うは悪ではない。其処に宿るは、其処に生きる人々総ての命を護る事に繋がる。それこそは──

 

慈悲(ローマ)が、寛容(ローマ)が。──ローマだ

 

「・・・それは良いのだが、そのティアマトにすら通じた言語の圧はなんなのだ。ローマとは重篤なミーム汚染ワードでもあるのか?」

 

──神祖ロムルス・・・あなたの言葉、決して忘れません・・・!

 

(ローマって凄い。改めてそう思った)

 

呆れながらも、王は並べられた料理から、何の変哲の無い林檎を一つ手に取った。

 

「──変わらぬままよ。あの日に手に取った一つ分、お前のローマは他の皇帝のローマよりも輝いているぞ。薔薇の皇帝」

 

楽しげに笑顔と華を振り撒くネロと、取り巻くローマ達を眺めながら。王はあの日、エアと食べた時と同じ様に──

 

「──やはり、甘いな」

 

林檎(ローマ)を口にし、満足げに笑うのであった。




メモリアルバトル

神祖ロムルス

VS

ネロ

ネロ「見ているがよい!今こそ再び、余は偉大すぎるローマに輝きを魅せる!!」

ロムルス「滾る血もまたローマ。ならば私も身を委ねよう、ローマの在るままに!!」

カエサル「カリギュラは何をしているのやら。姪の晴れ姿におらぬとは哀しきものだ・・・」

アルテラ「御機嫌王」

ギルガメッシュ「ん?」

「・・・実のところ、私はこんな日々に憧れていた。何も破壊しない、普通の町娘の様な日々。フン族の王として、望むべくも無かった日々・・・破壊されぬ幸せが、此処にある」

ギルガメッシュ「──」

アルテラ「ありがとう。私はこの奇跡を、ずっと忘れない」

ギルガメッシュ「──フン。祭事は誰も彼もが湿り出して敵わぬな。我は当たり前の事、思うがままに振る舞ったに過ぎん。それが素晴らしいと思うなら・・・手放さぬ事だな」

「──あぁ」


ヒロインX自室

ヒロインX「あいたっ!?この乱雑な配達、もしやダークネスドットコム、サガワ!?・・・あれ?」

『ローマ名産・特注林檎』

「これ・・・」

・・・シャクッ

「──うん!美味しいですねっ!・・・全くもう。あの日の再現なんて、粋な事しますね。ギルってば──」

『LINE』

──おや、ギルガメタブレットにLINEが・・・、・・・!

『美味しかったです!貴方に感謝を! (o≧▽゜)o えっくす』

──・・・(о´∀`о)


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