人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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マルドゥーク『(⌒‐⌒)』

ティアマト『第七特異点・・・大活躍でしたね、マルドゥーク』

マルドゥーク『(о´∀`о)』

ティアマト『あの場所は、本当に・・・人の強さと可能性を見せ付けられました。本当に・・・本当に。滅びることがなくて、本当に良かった・・・』

マルドゥーク『d=(^o^)=b』

ティアマト『・・・おや?そういえば、フォウと・・・エルキドゥは・・・?』


カウントダウン7・メソポタミア

「はい、こちらメソポタミアウルク現地よりお送りしておりますエルキドゥです。レイシフトによってやって参りました英雄王の治める土地。此処にて人類史の幼年期を終わらせる訣別の義が行われたのは大変記憶に新しい事だと思われます。御覧ください、何時ものように活気に満ちたウルクの喧騒を。これが人類最古のバイタリティ。これを基準に間引きされては現代人も堪ったものではないでしょう。どうでしょうか、ジグラッドのシドゥリさーん?」

 

『はい、ウルクの民達はいつも以上に昂っておられます。王の号令により、叙事詩の節目を祝う宴を国で祝うと定められたが故に思い思いの祝辞を形に、民達が邁進しているが故にですね』

 

「イキイキしていると言うことですね?ラフムを惨殺した僕みたく。フォウ君はそんなにノらなかった様ですが僕はすごく楽しかったですねー。あ、此処編集でピー音付けようねフォウ君」

 

(何この試み?)

 

第七特異点。皆大好きバビロニア。女神同盟を組み、原初の母を獣に堕させ人の定理を完全に破壊しようとしたゲーティア渾身の一手。本来ならばギルガメッシュが治めた王朝は完全に滅亡し、時代の全て、あらゆる全てを注ぎ込み辛うじて勝利をもぎとった・・・筈の特異点。なのだが、このゴージャス叙事詩においてはあらゆる面で規格外に事が進み、結果的にギルガメッシュ王朝は傷一つつかぬまま、滞りなく治世を次代に託したのだ。

 

ブイン族と呼ばれる超絶民族の異次元来訪による戦線の維持。神の狼藉を真っ向から叩き潰す英雄神の本領による迅速な女神同盟壊滅。界聖杯を得たエルキドゥの超絶出力による魔獣一掃。イシュタル神殿とエビフ山壊滅。なんか二人に増えたギルガメッシュ×ギルガメッシュによる特異点攻略。二体の獣VS原初の母&なんかブレーキブッ壊れた牛さん。ラフム惨殺、冥界どっちの女神ショー、ガチルチャによる女神と人の解り合い。地球を飛び出した原初の女神。枚挙に暇無い、ゴージャス叙事詩の本領発揮と言える特異点の地にエルキドゥはフォウと降り立っていた。なぜか?勿論──

 

「それでは、ウルクのやべーやつ事エルキドゥが現地に突撃し、かつての喧騒を振り返りながらカルデアにお送りしていきたいと思います!突撃!神の兵器のウルク探索ー!フォウ君、中継宜しくね」

 

(解ったよぅ。あんまり放送コードに触れる発言はダメだからね!)

 

「(⌒‐⌒)」

 

(肯定して!?)

 

楽しげにマイクを握り帽子を被りながら、肩にフォウを乗せた緑の人は軽快にウルクの町並みへ溶け込んでいく──

 

 

「ウルクのアレコレと言えば、やはりカルデアメンバーによる一ヶ月の労働が記憶に根強いところです。見てください、カルデアの大使館は当時のまま。埃一つなく整備されていますね。良いことです。錆とかラフムぐらいの価値しか無いもんね」

 

(あ!ティアマト人形が供えられてる!流石ウルク民、恨み辛みとか無い・・・プレシャスポイント!)

 

カルデア大使館は当時の様相を保つ。ラマッス仮面以下メンバー達の拠点をエルキドゥ達は訪れた。なんと、あの日より感謝の粘土版やオーパーツめいた造形のラマッス仮面、ティアマト、アジダハリッカフィギュア。並びにマルドゥークキットが捧げられており、今尚変わらぬ敬愛を集めていることが伺える。

 

「羊の毛狩り、ワニ退治、蜂の駆除・・・本当に色んな事があったねぇ、フォウ君」

 

(そうだねぇ・・・ボクは豆と酒の大賢者ウーフォとしてラマッス仮面を導いた・・・懐かしい・・・)

 

「あ、イシュタル人形がある。鼻毛落書きしておこ。素材かな?(グシャ)粘土だったね」

 

(ダメだよ!?壊しちゃダメだよエルキドゥ!?)

 

「勝手に壊れるイシュタルサイドに問題があるよ。と言うかカルデア大使館にゴミ不法投棄とか許されざる事だよ?」

 

(ゴミ扱いかぁ・・・)

 

「まぁそれはともかく。ではではこのまま、ウルクの町並みへ戻り噂のブイン区画へと突撃していきたいと思います!後世の歴史家を悩ませる文化の数々、期待しましょう!」

 

とりあえず完璧に復元し、エルキドゥは気ままに駆ける。忘れてはならない。彼或いは彼女は暴君ギルガメッシュすらどうかと思うと宣ったグリーン・モンスターであるということを・・・

 

 

「はい!此処が数多のオーパーツが揃う聖域ブイン区画!積極的に文化技術を吸収しようとするも未来に行きすぎて苦笑いで去っていくと評判の場所にやって来ています!」

 

(統一性が無いところが統一しているという新しい場所だね。時代考証は投げ捨てようか!)

 

ブイン区画。それはウルクに伝わりし伝承によると『ウルクに危機迫りし時、ワープホールから時空を越えてやってくる王の財宝にして異次元に生きる民達』等という意味不明な伝説に出てくる外来の民が遺したオーパーツ郡を納めた地区であり、再現不可能な技術がそのままに安置されているオーパーツ収納区画である。手入れはされているものの、年代や時代、人種すら違うその手練手管は奇跡の一端として安置されており、また危機を救いしウルクの隣人として、壁画にその活躍が記されていたりもする異文化による異人達の総称・・・それがブイン族である。

 

「桜の木にマンゴー農園、そして特設リングに鍛冶屋から始まり、水道や電気ライフラインに妖精達の家。様々な頑張りの様子が見られます。本当に、皆が皆ウルクを愛してくれた証がこの区画・・・やっぱり人間は団結すると凄いよね、フォウ君」

 

(あの時は皆が皆夢中で駆け抜けていた。皆がエネルギッシュにやるべき事をやっていた。楽しかった日々だった。そしてそれが、今も続いている・・・素晴らしい事だよね)

 

「うんうん。色褪せない特色として、ギルも残しているんだろうしね。誰ももういなくても、いた痕跡は此処にある。本当に・・・素晴らしい事だよ」

 

桜の木の下で写真を撮り、仕事の内容が書かれた粘土版を撮影し、マンゴーの前に銀貨を投げ戴いた後、壁画をちょちょいと整備した二人はいよいよ、やらなくてもいいドキドキイベントへと向かう。それは──

 

 

「おぉお・・・そこだエア、玉座に痛め付けられた腰を入念にするのだ。いや極楽よ・・・人払いした故に邪魔は入らぬ、存分に我を癒すのだ・・・」

 

「お任せください。今日は特別に、王の心身が満足するまで寄り添わせて戴きますねっ」

 

(──はい、と言うわけで。内緒のエステに勤しむギルとエアのベストショットを撮りたいと思います。うわぁ気持ちよさそー)

 

ジグラッド玉座。斧も粘土版も仕事も放り出し、うつ伏せのまま誰にも見せぬ様な至福の表情にて整体を受ける我等が賢王。そしてそれを癒す、シドゥリより提供された娼婦衣装のエア。見た目は若々しくあるが年代的に言えば齢120近くの超高齢、整体に余念が無いのは仕方無いと言えよう。最早隙だらけの体であるが無理もない、至宝に施される整体はなんかもう至福のまま逝くくらいの効果なのだ。

 

「──、・・・──」

 

「賢王?・・・おねむになられてしまいましたか。よぉし、素敵な夢が見られるようにもっと・・・!」

 

(もっと!?(ハスハス))

 

(どうどう。──頑張ったもんね、ギル)

 

賢王ギルガメッシュ。彼無くしてはウルクは一日と保たなかったすべてを見た人。ウルクの民を一丸に纏め上げ、滅びに全力で抗った最古の王。戦線を展開し、持ち堪え、カルデアの来訪に至るまで滅びを食い止めた立役者にして功労者。なんか麻婆食ったら死んでしまったが、御機嫌王と並びメソポタミアを守り抜いた最善の王の活躍はけして色褪せまい。役得とばかりにエアの整体を独占し、誰にも見せぬ安眠の姿を晒す。どれ程姫を信頼しているかの一幕を、二人は確かに動画に納める。

 

(ふふっ。シドゥリもエアに整体を学んでるって聞いたよ。試しにやってみたんだってさ)

 

(え!そしたらそしたら?)

 

(『お前の声を聞くと火急の用があるのかと気が気では無くなる』んだってさ。腕前は悪くないんだけどどうしても仕事を思い出しちゃうんだって。理不尽では?ってムクれてたよシドゥリ)

 

(なにそれ可愛い!みんな可愛い!)

 

「──。・・・ん・・・?」

 

「?フォウ?」

 

((やばっ!))

 

「・・・気のせい、かな?今フォウの声が聞こえたような・・・」

 

「エルキドゥの声もついでにな。全く・・・我は今夢でイシュタルめに姫と友を自慢している最中の場面なのだ、邪魔をしおって」

 

《全く。悪戯は構わぬがバレぬように行え、たわけ。賢き我の醜た・・・いや、リラックス表情等という名シーンを無下にするでないわ》

 

((はーい))

 

天上にぶら下がり、御機嫌王の魂に御叱りを受ける二人でしたとさ。この後も、メソポタミア巡りは続き──




ウルク民インタビュー

ウルク民「マルドゥーク様はね、凄かったよ。本当に凄かった。あの方がウルクに来たとき、どうだったと思う?皆ひざまずいて拝んでた。俺達は滅びるんだ、それでも戦うんだって認識が、俺達は救われる。未来に生きれるんだって変わった瞬間・・・嬉しいときにも涙が流れるって俺達は知ったんだ。二度と忘れないよ。あの気持ちはさ」

ウルク民「ティアマト様は宇宙に行ったんだろ?なんか切ないよなぁ・・・地球の女神が、宇宙に飛び出す。メッセージ性あるよね。『もう独り立ちしなさい』って言われてるみたいだ。しっかり生きなきゃな、俺達人類はさ」

「やっぱりさ、人類は愚かかもしれないし醜いかもしれない。でもそれって当たり前なんじゃないかな。綺麗があるから汚くて、汚いものを綺麗にしたいのが人間ってもので。銀貨を表と裏で分けたら、それもう銀貨じゃないだろ?裏と表・・・揃って一枚。人間も同じな筈さ」

冥界

キングゥ「なんだその格好」

エルキドゥ「あー花畑気持ちいー(ゴロリ)」

エレシュキガル「地熱と太陽でもう寒いなんて有り得ない!新しい冥界展開として、旅館を建てるつもりなのだわ!ほら、ね?冥界のイメージを払拭するためにも・・・」

フォウ(頑張れ!可愛い方のリンフェイス!)

キングゥ「・・・元気そうで何よりだよ、全く」

~イシュタル神殿

エルキドゥ「食べ残し投げとこ」

フォウ(落書きしとこ)

イシュタル「こらーーーー!!!悪質配信者かあんたらー!!!」

エルキドゥ「あ、邪神来た。よーし首跳ねて飾って厄除けつくろー」

フォウ(放送コード!!)

暴れまわり、そして──

フワワの墓

エルキドゥ「・・・此処は、汚されないで良かったなぁ・・・」

フォウ(エル・・・)

「君もいつか、可愛い女の子になってカルデアに遊びに来ないかい?待っているよ。僕達に、新しい存在が出来たんだ。姫という、生前にいなかった存在が──」

フォウと一緒に華の冠を作り、そっと静かに語り合う。かつての、無垢な少女の怪物と。

──そして、マルドゥークの迎えと共に。エルキドゥのウルク巡りは幕を下ろした・・・。

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