人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

995 / 2536
リッカ「アガルタだーーーーぁい!!」

一同「「「「「いえぇえぇえぇい!!」」」」」

コロンブスくん「夢ぇ!希望!新天地ぃ!わくわくが止まらないよぉ!(o^-^o)」

武蔵「ヘイ其処の美少年!!私と剣豪しない!?」

リッカ「静まれ!ショタコン剣豪は次!次です!」

シャルルマーニュ「シェヘラザードにコロンブス!俺とコンラにマシュにリッカにデオン!ついでにアストルフォも大活躍したよなぁ!」

アストルフォ「ついでって何さ!もう僕がメイン!メインって言ってもいいくらいだったじゃん!ヒポグリフがめっちゃ頑張ってましたー!」

コンラ「あわわわ・・・アメリカでも出席したというのに、またこんな素晴らしい二次会、二次会に参加していただかせて・・・!」

ダユー「あったわね、イースなんて。覚えてないわ」

武則天「くっふっふー!最早前のようにはいかぬぞ!なんとしても!あの龍にはもう負けーん!!」 

ペンテシレイア「アキレ・・・!!」

ヒッポリュテ「ふんっ!」

『段ボール』

ペンテシレイア「・・・・・・・・・・・・」

ヒッポリュテ「ふぅ・・・」

アキレウス「すまねぇ・・・」

「だから!やっぱジュワユーズがオルドルなんだって!」

「ヒポグリフ!ヒポグリフー!」

「此処が僕達の新天地だーっ!!」

リッカ「・・・シェヘラザード」

シェヘラザード「はい」

「振り返ってくれる・・・?」

「はい・・・」


カウントダウン5・アラビアンナイト

第二、亜種特異点。地底帝国の様相を呈していたが故にアガルタとも共通の名を冠した、私達がカルデアの皆様と出逢いし、私達にとって大切な始まりの特異点。それは輝ける楽園にとっては冒険譚の一つであっても、私達にとってはまさに希望と輝きに満ちた運命の出逢い。一つ、二つ。語らなければならぬもの、語らなくては気がすまないもの。それらが胸の内より溢れる程に。

 

そこで・・・此処では皆様の意を語る大役を、私・・・シェヘラザードが賜る事になりました。私の言葉が、皆様の記憶の追想と歓談の一助になれば、幸いでございます。それでは、早速物語を紐解くと致しましょう。

 

そこは一人の希望の少年の特異点。あらゆる冒険を、冒険そのものを愛した少年とカルデアの物語・・・。どうかゆるりと、お楽しみいただきますように──

 

 

~一幕 棄てる国 イース ~

 

降り立ったマスター達は私、シェヘラザードと・・・希望に満ちた少年、コロンブスを名乗るサーヴァントと出逢い、事の成り立ちを聞きます。この特異点はより強きもの、より正しきものに総てを与える場所。それぞれが正しき国を築き、争いを行っていると。その言葉を信じてくださったマスター、藤丸龍華は頼れる仲間達と共に、イースなる水の国へと脚を踏み入れました。海賊公女を名乗るダユーが治める国、そこはあらゆるものを捨て、執着しないことが求められていました。

 

物も、人も、家族も、何もかも。各地から連れてこられた者達。閉塞感と倦怠に満ちた者達が想うままに振る舞う土地。親子の絆すら捨て、尊厳すら打ち捨てられし水の都。子を奴隷の様に扱う国が正しき筈はない。そう、マスターが憤慨した事は鮮烈に印象付けられている事と思います。

 

「瞬間でも、民達が捨てることで満たされているのなら、それは総ての人間が満たされていると同じ事でしょう?」

 

海賊公女、ダユーはそう告げ幸せと理想の国を謳いました。ですが、マスター達は子を虐げる国に未来は無いと真っ向から対立し、激しく争い、その果てに勝利を納めました。水竜、そして我が身すら国すらも執着しないダユーを討ち果たす事により。

 

何もかもを救う為に戦ったマスター達・・・その無欠の旅路は、今も。死に震える私の心に大きな支えとして輝いています。そして、かの少年の求めていた願いにも、また──

 

 

~第二幕 眠らぬ街 不夜城~

 

水の国を落とした龍華様らマスター一行。次なる秘宝と天空の終着点を見つめ、この特異点を攻略せんと向かった先は武則天・・・聖神皇帝とも呼ばれる女帝が治めし眠らぬ街。そこは誰もが笑い、法があり、悪を照らす輝きに満ちた都市でありました。その絢爛なる輝きは、目の当たりにしたマスター達をも圧倒し、つまびらかに影をも照らし尽くすかのようでした。

 

其処で推奨されていた民への特権、それは『密告』。罪在るものを、民がその手で指し示す。罪を懐いた民を背筋が凍るような刑罰で罰する。罪や悪徳を秘匿させず、照らすことにより浄化する。そうすれば、いつか平和で完璧な都市に生まれ変わると女帝は告げたのです。

 

「くっふっふー!どうじゃどうじゃ!平伏したくなったか?永住したくなったか?赦すとも!罪を認め、償いの果てに居住を許可しよう!」

 

そう自慢気に語る女帝に、マスターは一つの真理を突き付けました。民を縛り、法を護らせ、そして自由を奪い去った国。その末路が、如何なる様子に至るのかを。

 

【教えてあげるよ。民を弱らせ、民を虐げた国がどうなるのかを・・・!】

 

・・・マスターより産み出された黒龍達が、不夜城を蹂躙しました。翼を生やしたもの、巨大な身体を持つもの、地を這うもの。それらが、無差別かつ容赦なく街の総てを破壊し、呑み込んでいったのです。

 

「な、何故じゃ!民達よ!逃げるでない!抗え!戦わぬか!」

 

民達は我先にと逃げ出し、不夜城の土地から逃げ去ってしまいました。未曾有の危機に立ち向かんとする人の輝きを見せた土地とは、対極の姿。僅かでも、微かでも。国を愛し護ろうとした者は一人もおらず。

 

そう・・・密告に次ぐ密告、刑罰に次ぐ刑罰は民達から確実に活気と強さを奪っていったのです。国を支える愛の心を、恐怖で徴収した末路。それが、国を襲う本当の危機からの逃避。

 

『こんな国、無くなってしまえばいい』

 

そう胸に燻らせていた憎悪と哀しみを揺り動かされた民達は我先にと国を捨て、不夜城は誰を照らすこともなき空虚な箱へと成り果てたのです。

 

「何故じゃ、何故じゃ・・・!妾の国を!妾の理想を何故そうも容易く・・・!何故じゃ!何故じゃー!」

 

・・・輝く不夜城の輝きは、女帝から正しい思考すらも奪っていた。民を愛さず、正義を愛した国は決して長くは保たぬ事。これもまた、地下の国がもたらした、国の一つの結末。マスター達は、また一つその在り方を貫いたのでした──

 

~幕間 弱き国 竜宮城~

 

三つの内、残すは強き国のみ。しかし強き国を脅かせし暴風、ヘラクレスの霊基を改造した生きる災厄、シャフリヤールの対策を考える一同は、イースの地下に在る竜宮城・・・其処を脅かすヒュドラから毒を得ようと考え、ダユーから受け取った鍵にて地下へと向かったのでした。其処に拡がっていたのは、人気の無い海の楽園、竜宮城と其処を護る姫、乙姫。しかし彼女は、自身を悪と断じます。

 

「私は、護るべき民に犠牲を強いた悪しき者。強さなき理想を振りかざした、悪なる長なのです」

 

魔力を枯渇寸前まで使い、ヒュドラから竜宮城と特異点を護っていた乙姫。争いを好まぬ民達を受け入れ、救助していた尊き国。その国に欠けていたのは強さと、他ならぬ乙姫が告げたのです。

 

民達を護るには魔力が足りず、仮死の民から魔力を受け取るしか無い乙姫。その献身に、命懸けの防衛に民を犠牲にするしか無かった弱さ。それが罪であると彼女は言いました。意志を貫くには、私達は弱すぎたと。

 

しかし、本当に?人を傷付けるより、人を助けることが何倍も難しく、勇気のいること。誰隔てなく助けようと思い立った彼女は、本当に愚かで間違っていたのでしょうか?

 

・・・その疑問を、マスターと仲間達は正しい力にて払拭しました。乙姫に真なる力として協力し、ヒュドラを討ち果たし、彼女と彼女の国を無事救ったのです。

 

確かに力なき理想は無力やもしれず、しかし理想なき力は暴力に過ぎない。けして暴力や恐怖に屈しなかった、弱き姫の魅せた強さ。マスターとその仲間達は無事に守護し結実させる事が叶ったのです──。

 

~第三幕 強き国 エルドラド~

 

第三の国に求められるもの、それは強さ。強さのみか評価され、弱者は存在を赦されない。それが、唯一にして絶対の規律の国でありました。其処を治める女王、ペンテシレイアの下に屈強極まる民達は鋳造されていたのです。

 

強くあれ、ひたすらに強くあれ。強さこそが法、強さこそが正義。それを徹底した国は骨太にして強大。三国の中でも最大勢力を誇る程に磐石を誇っておりました。強さは簡単には覆らぬもの。そして、強さとは極めて厳粛的で絶対的でありました。

 

・・・シャフリヤールという災厄にまみえたエルドラド。それは遠からぬ滅亡の危機に在りました。単純明快なその理由、それはヘラクレスという大英雄を災厄と化したシャフリヤールが誰よりも【強かった】からに他なりません。

 

アマゾネスの女王たるペンテシレイアは、生前の記憶によりギリシャの男性を見ると猛り狂ってしまい、そうなれば国を治める力も頭脳も無くなってしまい国は無力になる。シャフリヤールを討ち果たすのは、不可能と言っても良いというものでした。

 

「命懸けで突っ走れ!!我が生命は流星の如く!!」

 

マスター達の同盟、大英雄アキレウスの奮闘。手を取り合う強さにて、辛くもシャフリヤールを討ち果たしたマスター、エルドラドの両者。強さとは、決して一人が担うものばかりではなく。力を合わせること、同じ勝利を掴み事。それもまた、紛れもない強さであると。女王に、カルデアの皆様は告げたのでした。そして、特異点を制し天空の楽園へと向かうカルデアの皆様に待ち受けていたのは──

 

~終幕 移動奴隷商船サンタマリア~

 

・・・始まりは、とある時空の何処かにて、聖杯戦争の勝者となった男が願った聖杯が創ったものでした。『特異点を作り、誰にもできないような御宝を手に入れる』。そんな願いから始まった、外界から人を招き入れる特異点。

 

そしてその魔の手が、聖杯から商業地の知識として得たカルデアに伸ばされたその時、男から願いの受理者を宝具にて・・・『シンドバット』とその男の物語の一部を結びつけたサーヴァントを産み出し、不確定な特異点として成した女がいました。

 

それが私、シェヘラザード。そしてシンドバットの物語により産み出されたサーヴァント、クリストファー・コロンブス・リリィ。聖杯の所有者を巡る戦いとして、悪辣な商売の目論みは一旦凍結されました。

 

彼は願っていました。金や地位や名声に縛られない、ただ、胸が踊るような冒険の一幕。それさえあれば、他には何もいらないと。

 

私は願っていました。誰もが諦めてしまう、大人になれば忘れてしまう愛と希望に満ちた物語。そんな一幕に、端役でもいい。参加することが出来たなら、と。

 

・・・そんな二人の願いを忘れさせ、『勝者はコロンブス』と聖杯に認識させるためにリリィを利用し、私の記憶を奪い、その聖杯にリリィを導かせた老獪なるコロンブス。その願いは叶えられ、特異点の真の姿が露となったのです。

 

聖母像を辱しめし、コンキスタドールの象徴たるサンタマリア号。巨万の富にまみれたマリアの像に、最後の勝負を挑むカルデアの皆様。しかし、リリィは自らの行わされた裏切りに、深く傷付いていたのです。

 

かつての自分の夢見たもの。新天地に到達する夢。それを、自らが汚し阻んでしまった。自分はどこまでいっても侵略者でしか無かった。そう告げるコロンブスに、マスターは否と告げたのです。

 

『それがどうした』。彼が告げてきた理想と信念を、彼女は尊重したのです。あなたは降りなかった、決して降りなかった。夢から降りなかったからこその、ライダーであるのだと。そして、その激励は・・・私にも。

 

語ることしか出来ない私。しかしマスター・・・我が王はそれを良しとしてくれた。私の物語こそが、勝利の鍵だと。

 

私達は立ち上がりました。今度こそ、今度こそ自らの願いを叶えるために。夢と夢のぶつかり合い、信念の言葉を放つ、私の拙い援護。それらは、醜悪なれど邁進する老人のコロンブスを討ち果たし──

 

聖杯、そして勝利者は。我が王とその仲間達。そして確かに、少年の旅路は、夢は。輝かしいものに護られたのです──




終幕 

・・・此処に、白紙の航海日誌があります。これは彼の心が記した、冒険の記録。

かつて、これは真っ白な航海日誌でした。自分の旅路は、いつだって台無しにされてきた。数多の冒険は、書き記すことが出来ないほどに穢れきっていた。

だけど、今は違うと彼は言います。楽園の自室で、図書室で、幸せそうに開いては読み耽っているのです。

其処には、今まで話した冒険の物語が記されています。空白だった場所に総てを記しております。

そして、最後のページ。そこには、満面の笑顔で写る我が王、マスター達との写真に直筆のサインで、こう書かれているのです。

『此処が、僕の新天地』

・・・そう書き上げた姿を、私は隣で見ておりました。その輝くような笑顔は・・・

何者にも負けない程に、可愛らしく輝いていたのです──


~めでたし めでたし~

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。