グドーシ「お疲れにござる、リッカ殿。後はカルデアスタッフの皆様でござるな」
リッカ「うん。一番御世話になってる、今を生きている皆を蔑ろにしちゃ駄目だもん。行ってくるね!」
カーマ「なるべく早く戻ってきてくださいね。この日の為に、じゃんぬさんの御店で修行していたんです。二人の為だけの料理にケーキ、作って待っていますから」
リッカ「ありがと、カーマ!グドーシと待っててね!行ってきまーす!」
カーマ「はい、いってらっしゃい」
グドーシ「・・・感無量、ですな。リッカ殿の笑顔が、人生がこんなにも輝いておられる」
カーマ「貴方が見出だしたんです。私は本当に、美しい愛を見せていただきました」
グドーシ「今生の別れと思っていた彼女に、また再会が叶った。──皆様の慈悲と心に、尽きぬ感謝を。乾杯致しましょうぞ、カーマ殿」
カーマ「勿論です。リッカさんの、健やかな人生と幸せを願って」
「「乾杯──」」
「うん!何と言っても、最後はここだよね!」
数多の旅路、数多の特異点を巡り、思い出を振り返ったリッカ。彼女が最後に辿り着く箇所、そして戻ってくる場所は決まっていた。全ての始まりにして、導かれし星見の神殿。皆が今も笑顔で過ごし未来を望む──
「お帰りなさい、リッカ君。オルガマリーもマシュももう戻ってきている。流石は仲良しだ、考えることは一緒みたいだね」
「当然だとも。いつでも帰れる場所がある。だから人は離れていられるのさ。魂と肉体が、精神にて繋がるようにね」
ただいま!と元気良く返す相手はロマニ・アーキマンにレオナルド・ダ・ヴィンチちゃん。物語の始まりから、そのずっと昔から。滅びの未来を覆す為に戦い続けた臆病者なる智恵の覇者と、比類なき天才。今も彼等はこうして笑顔を以て迎え入れてくれている。帰りを待ってくれている。
「あーコホン。これまでの戦いの振り返りというだけで壮絶なカロリー消費なのは想像に難くないとも。知らない内に疲労やストレスは溜まるものだ。ここはいつも通りの方針だからゆっくりしていきたまえよ」
「気遣いの達人ですねぇ副所長!なんならリッカちゃんについていった方がガッツリ痩せるんじゃないですか?アスリートも目じゃない、毎日トライアスロンレベルの運動量は保証されてますよ!」
ゴルドルフ・ムジークにシオン・ソカリス。その人間性と叡智を以て新たな楽園の彩りをもたらしてくれる、大切な新風にして親身なる同胞。
「精神的なケアなら私にお任せくださいませ。意識の表層はほんの一部。深層に溜まる澱みは私が必ずや除いてみせましょうや」
「出たー!セラピストキアラ先生の聖女ケアだーっ!肉体的な総ては王が満たし、精神的なケアはキアラ先生が行う!隙を生じぬ二段構えだぜーッ!」
「ムニエルさんはいつも通っていますもんね~♥️『
奇跡の出逢いを経て、自身の人生を手にした殺生院、その身を以て変わらぬ愛を証明したシバの女王、ムニエル以下、懸命にカルデアとロマンを支え続けたカルデアスタッフ達。
「やっと帰ってきたわね、後輩。待たせたのだから当然、先輩に対する詫び的な何かは持ってきたのよね?ね?」
「とりあえずマウント取るのは止めた方がいいぞ。君がマスターの先輩として敬われる様な事をしていれば行動に出るはずなんだ。それが欲しいなら自己研鑽を怠けない方がいい筈だ」
「お疲れ様でした、リッカさん。マスター新米の私とは違って、たった一人のワンマンで戦い抜いてきたあなただからこそですよね、振り返り行脚の重厚さは」
「本当に凄いバイタリティーよね。人間としての限界に絶えず挑み続けているだなんて、アスクレピオス先生は大絶賛だったわ。やったわね!」
カドック、ヒナコのAチーム。後にカルデアに招かれた優秀なマスター達。これより先も招かれるまだ見ぬマスター達。もう、マスター一人で何とかしなくてはいけない閉塞的な環境は終わっている。
『フランシスコー。月のムーンセルにも是非是非今度来てね、楽しいよ。毎日ドゥンドゥン広がっていく世界だよ。マイクラだよ』
星すらも飛び出して紡いだ絆。月の新王岸波白野。もうカルデアは何処までも続く旅路の行き先を、庭の外へと定めているが故の外交にして同盟。
【あの時と比べて随分と増えましたねぇ。思い出も、人員も、顔馴染みもさ】
(うん。カルデアに来てからの事は、全部思い出せるよ)
胸の内に響くアンリマユの声にリッカは頷く。鋳造され、そして純粋培養された悪意の渦に放り込まれた人生の始まりにして半生。底すらない世の悪の証明にして担い手として奉られた現代の絶対悪。本来ならば、此処にいる人間の総てが滅ぼすべき悪だった自分。それがこうして、人間として・・・世界を救う楽園の中核の一人として瞬間を生きている。それは自分の力では決してない。悪意に晒されようと、それを決して良しと諦めなかった人々の美しい心と人生によるもの。
(私、思うんだ。此処にいる人達を見て解ったよ。人間の魅力って、【悪意】から『美徳』を見出だせる事なんだって)
人間は基本、悪意に満ちており醜く、おぞましい獣性を宿している。他者を蹴落とし、他者を貶め、他者を憎み、恨み、時には殺し滅ぼしてしまう。無垢な存在がそれらを受け取ってしまえば、人間という種は滅亡させるべきとしか導き出さないほどに恐ろしい心を持っている。──人間の心とはつまり、【悪】であるのだ。
(悪意だらけで、嫌になるくらいに黒い人間の心。・・・でも、『それじゃ嫌だ』『それじゃ駄目だ』って想う心を産み出せるのも人間の証なんだよ。それが出来るから、人間なんだと私は思う)
迫害された者へと手を差し伸べる。環境が狂い果てたなら、何とかしようと努力する。困っている人々がいるなら、その人達を助けたいと立ち上がる英雄がいて、今をより良くしたいと願う人達が明日を作る。
【悪】である事は紛れもなくとも、『それだけじゃない』と胸を張る。未来に生きる誰かの為に、今を懸命に生きる。その過程や、悪意に屈さず懸命に生きる上で人間は初めて産み出すのだ。愛や、かけがえのない絆、発明。今に通ずる、人間達の歴史の全て。
悪意に屈したなら決して辿り着けない、悪意から目を逸らしたなら決して到達できない。そして、悪意と共に生きる、発明の化身たる人間だけが、【悪意】から『美徳』を産み出すことが出来るのだ。人間一人一人が、悪意という土壌を持つからこそ叶う進歩と改良。がむしゃらに進化し未来に向かって突き進む原動力。それこそが、人類の持つ最高の価値の一つなんだと信じている。
(私、これからも護り続ける。信じ続けるよ。私と、私達が生きる世界の皆を・・・私が生きていきたいこの世界の未来を護る。どんな理屈があろうとも、どんな道理があろうとも。皆が──)
皆を、そして、この旅路を決して無駄にはしない。絶対に皆と共に掴んで見せる。そして、自分は高らかに謳いながら戦い続ける。
自分の知らない、どれ程の繁栄した未来が待っていようとも。
自分の想像出来ない、どれ程の恐ろしい災厄が待っていようとも。
人間の悪意を疎んだ総てのものが、人類は滅びるべきだと告げても。
(皆が紡いできたこの歴史こそが正しいって、私は叫び返してみせる。絶対に折れないし、挫けない。──私は、私であることから逃げないよ。アンリマユ)
決して退かない。決して躊躇わない。人間の、この世界の正しさと可能性を信じて戦う。この今こそが、この世界の運命こそが。自分達の旅路こそが。人類の価値を証明するものだと確信したままに。困難に挑み続けよう。
【ヒヒッ。心配はしてねぇよ。やれば出来るのが、やれば出来ちゃうのが人間っていう生き物だ。お前が、私ができねぇ筈はねぇ。なんたって──】
そう。それこそが──
【私達だって──もう立派な、人間なんだからな。だろ?】
(うん!勿論!とびっきり可愛い──一人の女の子だもんね!)
それこそが、今までの旅路で得た答え。そして、これからの旅路に踏み出す脚の道標。これからも、人類の歴史を愛し何処までもリッカは駆け抜けるだろう。これからもずっと・・・
「?リッカ君、どうしたのかな?ボーッとして」
「んーん、何でもない!これからも頑張るぞ!って考えてただけ!」
「勘弁してくれよなーリッカちゃん。俺達一般人の頑張るとは重みが違いすぎるよ、リッカちゃんの頑張るはさぁ!」
「ムニエル!皆!私に付いてこーいっ!!」
【ヒヒッ。さぁて、人類は何処までいけるのやら。退屈はしなさそうでいいな、っと!】
──これからも、ずっと。
オルガマリー「あなたの頑張るを聞くと安心するわね、リッカ」
リッカ「あ!オルガマリー!今帰り?」
オルガマリー「そういう事よ。さぁ、マシュ」
マシュ「はい!──先輩!これを!」
リッカ「ふぁ・・・?」
マシュの手から渡されたもの。それは──花束だった。あらゆる輝きと彩りを持つ、色彩の花束。七色に輝く花達がリッカに渡される。
リッカ「───」
オルガマリー「紛れもなく、あなたがいてくれたから・・・あなたが最後のマスターだったからこそ、人理の旅を犠牲を出すことなく取り返す事が出来ました。・・・ギルに並ぶ、最高の人理修復の立役者に。心からの感謝と敬意を込めて、カルデア一同を代表してこの花束を贈ります」
マシュ「この役目は、是非このスーパーマシュにと立候補し勝ち取りました!はい、先輩!いつも本当に、ありがとうございます!」
リッカ「───、・・・」
ロマン「僕たちの頑張りが、旅路が、痛快に彩られたのは君の魅力があってこそだ。どんな理不尽にも、どんな運命にも負けなかった君の不屈さと眩しさが、僕達をどれだけ助けてくれたか解らない」
ダ・ヴィンチちゃん「ロリの私もムネーモシュネーも一致しているよ。君は等身大の一般人とは大きくかけ離れ、当たり前の善性が成し遂げる旅路とはまるで違うルートへと外れたこの戦いを牽引してくれた。何もかもが普通じゃないこの『叙事詩』のマスターに相応しかったのは・・・紛れもない君だったんだよ。藤丸龍華」
オルガマリー「あなたの献身と頑張りに、心からの尊敬を表します。──ありがとう、リッカ。私と、マシュを。親友と呼んでくれて」
ロマン「ありがとう。僕の人生を繋げてくれて」
ダ・ヴィンチちゃん「ありがとう。毎日を楽しく、輝かしくしてくれて」
シオン「ありがとうございます!毎日驚かせてくれて!」
ゴッフ「頑張ったもんねぇ・・・本当に素晴らしいよ。見習えないくらいに、ね」
カドック「重荷を背負わせて、ごめんよ。・・・そして、投げ出さずに背負ってくれて、ありがとう」
ぐっちゃん「感謝してるわ。最期は看取ってあげるから安心なさい。不死の誘いはぜっっっったい断りなさい」
キアラ「善き人生を。これからも、応援し支えさせていただきます・・・」
ムニエル「カルデアモブスタッフ全員!!藤丸リッカちゃんに愛の敬礼ッ!!」
マスターアルトリア「終わったらそちらの学校に転校するつもりなので」
アイリ「怪我をしたり、半死半生になっちゃっても治すから、安心してね」
マシュ「先輩──これからも、いつまでも!先輩は私の一番の先輩です!そして私はナンバーワンサーヴァント!」
リッカ「自称ね」
マシュ「ずっとずっと、よろしくお願い致します!私も、先輩と一生一緒にいますから──!」
リッカ「──うん!皆、本当にありがとう──!」
藤丸龍華の人生は、始まったばかり。これからも、駆け抜け走り抜けるのだろう。
皆と共に・・・
──今までの彼女の人生を一番近くで見護ってくださった『あなた』と共に。
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