戦鬼深淵スカルマン   作:アラバス体系

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スカルマンのキャラと口調がむずい。なんか、しゃべり方とキャラが崩れてきた気もしますが、気になる人はDVDを見よう!(ステマ)


髑髏の顔はいかなるものか

 もう夕日が沈んで、夜になった街。学生たちは学校を終えて、とっくに帰路に就いただろうし、会社という戦場で戦ったサラリーマンも家族の元へ戻るか、夜の繁華街に繰り出しただろう。

 しかもここは工場地帯だ。学生がこんなところに居るのは不釣り合いだし、ましてやうら若い女学生が出歩くには明らかにおかしいというほかない。

 

 しかし、今ここに一人の女が夜の街を駆けていた。

 

 (どうして!何が!いったいどうなっているの!?)

 

 彼女、立花響はただ風鳴翼のニューアルバム(初回限定盤)が欲しかっただけだ。そのために急いで学校からCDショップに向かっていたのに、人が灰になっていて、ノイズが襲ってきて、途中で女の子を助けて、けどノイズに囲まれて、絶体絶命で・・・。

 もうだめかと思ったけれど、でも諦めるなという命の恩人の言葉を思い出して、理不尽に立ち向かいたいと思って。胸の内に浮かんだ歌を呟いたら・・・

 

 

 手足と頭に鎧をまとった戦士装束姿になっていた。

 

 

 そのことに戸惑いながらも、女の子を抱えて飛んで今、自身の異常な身体能力に驚きながら必死で逃げていた。

 

 

 (うそ!どうしてこんなことが出来るの!?私の体どうなっているの!?なんで私は歌っているの~~~!)

 

 

 そう、彼女は今歌っていた。自分の鎧から音楽が流れていて、歌うことで力が湧き出ているのだが、こんな奇妙なことを理解できるはずがない。しかし、それが現実なのだから認めるしかない。

 

 (なんであれ、このままこの女の子を連れて逃げる!今、それが私にできることだ!!)

 

 これが例えばただの不良なら、ただの野犬なら今の彼女の足なら逃げ切れただろう。しかも、地面のコンクリートを砕きながら走っているのだ、普通怖気づいで追うのをやめてしまう。

 

 だが、事態はそんなに甘くない。相手は災害の一種であるノイズ、その無機質な顔?からはなんの表情も読み取れない。既にノイズはここいらのコンビナート一帯に発生している。それら全てが響と少女に向かって全速力で来る。

 そして、あちこちにノイズがいるということはただ後ろから襲ってくるわけではない、全方位から向かってくるのだが、逃げるのに必死な響はそのことに気付けない。

 

 だから、上からおそっ来ていることに気付けなかった。

 

 (しまった!このままだとやられる!)

 

 哀れ少女二人は、其の身を灰に変えてしまったと人々は思うだろう。少女たち自身もそう思ったに違いない。

 

 

 しかし、実際は違った。響がとっさに放った拳が、ノイズを砕いたのだ。

 

 そのことにまたもや困惑したが、響はすぐに頭を切り替える。

 

 (よく分からないけれど、今の私にはノイズたちを砕ける、戦える力がある。)

 

 「ならッ!!!」

 

 走りながら体制を何とか整え、少女を抱えてない手を握り拳を構える。達人でなくてもはっきりと素人の構えだとわかる。けれど、同時にその身から戦う意志、闘志があることもわかるだろう。

 

 「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 ―――――がむしゃらに拳を振り回す。響は気付いていないが、威力も速度もプロボクサーを優に超えている。その拳は風を切り嵐を引き起こし、その足は大地を砕き陥没させていく。それに巻き込まれたノイズたちは、次々と消えていく。

 

 しかし、彼女は戦いの素人である。いくらでも隙はある。足の開きの広さ、視界の狭さ、拳の握りの甘さ。そのうち一体のノイズに攻撃されて体制を崩し、少女を抱えたままアスファルトを転がっていく。

 すぐに体制を直すが、既にノイズに完全に包囲されていた。

 

 「おねえちゃん、大丈夫?」

 「くッ、わ、私は大丈夫。だけどッ・・・」

 

 そう、響は大丈夫だ、先ほどからノイズに触れているが灰になる気配はない、その有り余る力で戦える。

 

 しかし、抱えている少女はそうはいかない。

 

 (このままじゃこの子が死んじゃう。私が弱いせいで、守り切れなかったせいで、私のせいで・・・)

 

 一瞬、脳裏に過去の記憶が駆け巡る。

 机の落書き、家に投げられた石、人々からの蔑みの目線と人殺しという罵倒。忌まわしき記憶が、戦うと決意した気力が急激に衰え、心の奥に封じた恐怖が強迫観念によって押し上げられる。

 自分でも分からないほど小さな声で、届くはずもない願いを呟く。

 

 

 「誰か・・・助けて・・・・・この子を・・・助けてッ」

 

 

 そんな響の声も、目の前のノイズにはただの音、気にもせず、灰にせんと迫ってくる。

 響の中で、恐怖が諦めに変わろうとして、目をつぶってしまった。

 

 

 

 

 「・・・・・・・・・・・・・来ない?」

 

 

 しかし、いくら経ってもノイズが襲ってこない。恐る恐る目をあけると、ノイズたちは動きと止め、後ろを向いていた。響が、少女を抱きしめているとノイズたちの向いている方向から何か音が聞こえる。必死に耳を澄ますと、それがエンジン音とタイヤの音だと気づいた。

 

 次の瞬間、目の前のノイズが何かに吹き飛ばされ、その何かにさらわれた。

 ノイズがみるみる遠ざかることから、そのことに気付き、響は呆然として、自分をさらった者の顔を見る。

 

 

 

 「―――――――――」

 「が、骸骨・・・」

 

 

 ―――――――――響は、目の前の髑髏を見てそんなことを呟いてしまった。そしてその腕にはしっかりと女の子が抱きしめられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――――ガングニール・・・・だと?」

 私立リディアン音楽院の地下。そこには一つの空間が広がっていた。特異災害対策機動部二課本部、戦前の『風鳴期間』を前身としたこの組織は対ノイズを目的とした政府の秘密機関。その司令官にして、最強戦力の風鳴弦十郎は目の前の光景に驚きの言葉を上げていた。

 ガングニール、第三号聖遺物であるそれは伝説では北欧神話の主神オーディンが用いた必殺必中の槍。二年前に死亡した天羽奏が使用し、失われたシンフォギア。それが再びこの現世に現れたのだ、驚くのも無理はない。

 だが、それは風鳴弦十郎には、この二課には許されない。彼らの使命はノイズから人々を守ること、一瞬の判断の遅れが数十、数百、もしかしたら数万の人の死を招くのだ。それは決して許容できることではない。

 

 「―――――――――周囲の避難状況は!?」

 「一課からの報告によればほぼ完了!あとはノイズを掃討するだけです!」

 「―――――――――風鳴翼の状況は!?」

 「現在、大量のノイズと交戦中!ガングニールのアウフヴァッヘン波形の発生源への到着は今しばらくかかりそうです!」

 

 

 むぅ、と風鳴弦十郎は思案する。ガングニールの反応も気になるが風鳴翼も手一杯で動ける者はいない。もし、ガングニールを起動させたものがいるならば自力で逃げ回ってしまうほかない。しかし、ノイズから逃げ切れるだろうか?そう、思うと動ける者がいないこの状況に歯がゆさを感じる。

 

(ええぃ、例の者はまだか!?)

 

 未だ現れないかの者に対して、八つ当たりだと自身でも思いながら、少々の憤り感じる。

 

 「ッ、こ、これは!司令、新たなるアウフヴァッヘン波形を感知!ガングニールのもとへ移動しています!パターンは・・・スカル?」

 「――――――――――――ようやく現れたか、骸骨男め!」

 

 その言葉に、二課の者全員の目が司令に集中する。この未知のものを彼は知っていたのだ、戸惑いと説明の要求がその視線には含まれていた。

 それに対して、司令はたった一言、しかし最大の一言を放った。

 

 

 「―――――――――援軍だ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 (―――――――――神よ、もしいるならば答えよ。・・・なぜ、この子なんだ?)

 骸骨男と呼ばれた男、御子神辰雄はスカルと呼ばれたギアの能力により、戦闘に適したその頭で非常に困惑していた。強化された耳で助けを呼ぶ声を聴き、行ってみるとその相手は自分がかつておせっかいで助けた相手だった、など出来すぎている。どんな確率だ、笑えない。

 

 (なぜ、彼女が巻き込まれなければならない。彼女はこの出来事に関係ないはずだ。彼女は普通の人生を送るべきだ。―――――――――――――――――――――――――――それともまだこの子を傷つけ足りないか?)

 

 

「あの、あなたは一体…。」

 

 後ろを振り返り、先ほど後ろに乗せた少女の顔を見る。あれから二年、あの時にあった悲しみの痕跡は一切見えない。それだけで、健やかに、穏やかに過ごせたことがわかる。

…何の罪もないはずなのに人々の悪意からさらされた彼女を自分は救いたかった。当時の自分が隠れ蓑にしていたルポライターという職を利用して、上からの制止をちっぽけな正義感から振り切った。

今思えば、自分という存在を世間に残してしまう危険な行為であったし、その後証拠隠滅のために多大な金と労力が必要だった。そんなことにも気が回らないほど青臭かった。

 

 しかし、それが成せたとき心から喜べたし、彼女のこれからの未来が輝きに満ちたものだと信じた。裏の世界に生きる自分たちとは違う表の世界。それが可能性がを最も者に相応しい。

だが、今の彼女は・・・

 

(シンフォギア、グングニール。まさか、二年前のあの時、彼女に宿ったとは・・・。これも運命なのか、これが神の決断だとするのならば・・・)

 

 「―――――――――エリ・エリ・レマ・サバクタニ(神よ、神よ、何故私を見捨てたもうたのか)」

 「え、えらえらレバー砂漠?」

 「・・・何でもない、しっかりつかまっていろ。」

 「は、はいっ!」

 

 ―――――――――考え事をしている暇はない。強化されたスカルバイクで先ほどから飛ばしているものの未だノイズは追ってくる。一撃一撃が死につながる危険がある、それこそシンフォギア装者よりもはるかに劣る脆弱なるこの身では攻撃は食らわない方がよい。

 

 「骸骨男だ。」

 「えっ?」

 「私のことはそう呼べ。」

 「ええと、骸骨男、骸骨男・・・・・・じゃぁ、スカルマンですね!」

 「・・・・・・・・・」

 「あ、あのう・・・駄目ですか、ね?」

 「・・・・・・それでよい。」

 

 (・・・・・スカルマン、スカルマン、ふむ良い名前だ。骸骨男よりも良い、なかなかのセンスだ。)

 

 ・・・ついさっき、戦いに集中しようとしていたのに、つい気に入った新しい名前のことを考えてしまう。マスコミが付けた骸骨男よりよっぽど良い。

 

 

 

 「!?スカルマンさん、前にノイズが!」

 「スカルマンでいい。そして・・・分かっている。」

 

 だが、そんなことを考えながらも耳と振動からノイズが迫ってくることを把握していた。

 ギアのエネルギーを操り、かつてのスカルマンの記憶を頼りにマシンガンを作り出して迎撃する。あまり使ったことのない武器だが、記憶から体が熟知しているために問題なく使え、引き金を引き、目の前のノイズをハチの巣にしていく。

 しかし、感情のないノイズたちは恐れることなく、灰になった仲間を乗り越えて、こちらに襲ってくる。

 

(チッ、数が多い。このままマシンガンを使い続けると、エネルギーが底を尽きるか。)

 

 袖の下から日本のロッドを取り出し、流れるように連結させることによって、両端に刃のついた一本の槍となる。これもただの槍ではなく、ひと月で肉を貫くほどの鋭さと相手の攻撃を防ぐほどの頑丈さを持った攻防一体の武器であり、スカルマンが最も頻繫に使う武器でもある。

 

「スカルスピア!」

 

 バイクに乗ったまま槍を振りまわす。一振りごとにノイズがぼろきれのように宙を舞っていき、道が開いてゆく。

 

―――――――――しかし、それでもまだ足りない。ノイズはいまだ健在である。バイクでこのまま駆けてしまうかと考えたその時。

 

「―――――――――――――――――――――――――――」

 

 ―――――――――歌が聞こえた。その独特の低音、現代的な歌であるが演歌の趣を感じさせる、この国なら知らぬもはいないとさえいえる歌声。

 

 青系統と白からなりたつ鎧とスーツを身にまとい、剣を持った少女が夜の闇の中、月の光を浴びて宙を舞っている。

 

 少女は構えると、その剣から巨大なエネルギー波をノイズに向かって放つ。

 

 〝蒼ノ一閃〟

 

 それが彼女が放った技。最初に飛び込む切込み隊長。

 そこからは彼女、風鳴翼の独壇場であった。大量の剣の雨を降らす〝千ノ落涙〟巨大な剣で敵を貫く‶天ノ逆鱗〟などの広範囲の技で次々と敵を殲滅していき、ものの数分後には、その場に立っているのは一人の怪人と二人の少女、一人の童のみであり、あれほど大量のノイズは風鳴翼がすべて殲滅した。

 

 「―――――――――――――――――――――――――――」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 手足はすらりと伸びて、その指はなめらかであり、体の起伏は小さいもののバランスの取れた黄金比その姿は侍のように勇ましく、天女のように美しい。そんな彼女が月光をあびてただ一人立っている光景はまるで一つの絵画のようであった。

 響はそんな光景に息をのみ、スカルマン――――――御子神辰雄は何も言わずただ黙っている。誰も何も言わない、ただ沈黙が広がっているがサイレンの音から間もなく特務災害対策課がやってくるだろう。

 そして、風鳴翼もかつてのパートナーと同じシンフォギアをまとった少女を見つめながらも、もう一人の骸骨男の行動を牽制していた。

 

 

 夜の月光により、白き髑髏、鎧と剣が輝いていた。




ちなみに原作よりノイズの数が多いです。既に黒幕さんが援軍の情報をつかんでいたため、小手調べとして多く出現させました。
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