我が名は畝傍!艦これの世界にバグ艦男としてログイン! 作:高任斎
確かめた上で、お読みください。
前もって言っておきます。
おまけ話です。(にっこり)
お題:もし、畝傍が天に向かって突き上げたのが左の拳だったなら?
おまけ話35の途中から。
「おーい、提督」
なんだ、もう終わったのかよ?
ドアを開けて、畝傍が執務室に入ってくる。
少女を連れて。
なんだよ、新しいドロップ艦でも……って、知らない子ですね。
「あー、その、なんと説明すればいいのか……」
……って、黒い!
この女の子、なんか黒い!
いや、中身じゃなく見た目の印象が……って、黒いワンピースに肌はめちゃめちゃ白……。
アウトォォォォ!
お前女王だろ!
ヤンデレ女王だろ!
騙されんぞ俺は!
21世紀のジャパニメーションをはじめとした、サブカルチャーの申し子たる俺を舐めるな!
そうだった!
ヤンデレはしぶといんだよ!
っていうか、畝傍!
確保だ確保!
何をグズグズしてやがる!
「いや、提督、ちょっと落ち着いて話を……」
落ち着いてる場合かよ!
お前まさかロリなの?
これも軍艦に見えてるってわけじゃないよな?
戦えばお前が勝つから大丈夫って問題じゃないからな。
あの夜の、あのヤバイ雰囲気覚えてるだろ?
ヤンデレ女王の恐ろしさは、艦娘達への影響力なんだよ!
大本営には報告しなかったけどよ、あれって、絶対深海棲艦にも及ぶ力だぜ?
それがどんなにヤバイ代物か、ちゃんと理解してるのかよぉぉ!
「あ、あの……ごめ……な、さい……」
少女が泣いた。
手と足がひょろりと伸びた躰つきは、まさしく少女期特有のもの。
黒いワンピースの服装が、そんな印象をますます強調している。
そんな少女がボロボロと、涙をこぼしながら泣いた。
だ、騙されんぞ、俺は。
だいたい子供の姿で現れるのが卑怯なんだよ。
しかもなんだよ、その美少女っぷりは!
あざとい、さすがあざとい!
おーおー、あの女王様が小学生になってやり直しますってか?
真珠の涙をこぼしたら、男はイチコロってか!
泣けばすむと思ってんの?
定職もなくブラブラとお気楽に日々を過ごしやがって!
「おい、そこの大学生」
うるせえ、自分でもブーメランと思っちまったよ!
口が止まらなかったんだ!
ほんのちょっぴり、小学生の頃に戻りたいなあなんて、羨ましく思ったんだよチキショウ!
ちゃんと働いてる大学生だっているわぁ!
俺は違うけどな!
日々提督業務に勤しんでたけど、単位は落としてねえから問題ないぞ!
「わ、私、ごまかすつもり、ないです。全部じゃ、ないですけど……自分が、何をしたかも、ちゃんと覚えて……だから、私……私……」
ところどころしゃくり上げながら言う……あざとい、仕草があざとい……黒い少女の頭を撫でてやりながら、畝傍が言う。
「なあ提督、人間ってやつは、今まで何をしてきたかよりも、これから何をしようとしているかを大事にしなきゃいけない時があるんじゃないか?」
綺麗事でごまかすなよ。
めっちゃ厄ネタだぜ?
女王級は撃破しましたって、大本営にも報告送ったからね?
もしバレたら、最悪のケースもありうるよ?
「あ、あの、私、頑張ります、から……謝って許されないから、せめて、頑張って……何かを……」
くそ、これ押し切られるパターンだわ。
泣く子と畝傍に勝てるわけねえじゃないか……。
じゃあ一体、提督はどこで勝てばいいんだよ?
わかったよ、畝傍。
何もしないから、ちょっとこいつと2人にさせてくれ。
おい、ヤンデレ。
いや、お前のことだよ。
きょとんとした顔で、ごまかせると思うな。
嘘泣きとか言わねえよ。
本気で、嘘泣きしてただけだよな?
本音で語れ。
謝るとか、償うとか、頑張るとか、どーでもいいだろ?
「あ、あの、私、本気で……思ってます」
このぐらいじゃしっぽは出さないってか。
いいか、よく聞け。
ヤンデレってのはなあ、改心するとか、生まれ変わるとかありえねえ。
いわば、魂そのものがヤンデレなんだよ。
仮にそうじゃないだとしたら、そいつはヤンデレなんてものじゃなく、別のおぞましい何かだ。
ああ、また泣くか、泣くのか。
お前が涙を流しても、俺の目には笑っているようにしか見えねえよ。
ほらな、笑ってるようにしか見えねえ。
いや、俺がそう思い込みたいだけなのか。
チクショウ、なんだか不安になってきた。
今の絵ヅラ、ものすごくまずくね?
いたいけな美少女を、猜疑心から泣かせてる俺って、めっちゃまずくね?
いや、俺は騙されない。
なあ、ヤンデレよ。
おまえ、畝傍と一緒にいたいんだろ?
「はい、死ぬまで一緒に。たとえ、死んでも」
こいつ、涙をぬぐいもせず、俺のことをまっすぐ見つめながら言い切りやがった。
ほらな、思ったとおりじゃん。
あざとい演技かましながら、これがコイツの本性だよ。
償うとか謝るとか、心の底からどうでもいいのさ。
すべてが畝傍、畝傍がすべてのヤンデレ女王様そのまんまだよ。
馬鹿が。
曖昧な肯定でぼかすなりすれば、丸く収まるってのによお。
そのぐらいの計算、できるだろうが。
間違いねえな、こいつはヤンデレだ。
一番大事なことは、どんな不都合があっても隠せねえ。
たとえ殺されようとも、一番大事なものを曲げない、隠さない、失わない。
ああ、まさしくピュアなヤンデレだ。
歪みに歪んでおぞましいまでの狂気に侵されつつも、こういう愚かしいまでの一途さがヤンデレファンの心を震わせちまうんだ。
これだから俺は、ヤンデレのことが嫌いになれないんだ、チクショウ。
俺は、大きく息を吐いた。
そして呟く。
応援はしねえ。
でもまあ、頑張れ。
少女のカタチをしたヤンデレ女王が執務室を出ていく。
ああ、これからドタバタと、ろくでもない日々が続いていくんだろうなあ。
そんなことを思いながら、俺はふっと窓の外に視線を投げた。
青い空と白い雲の、まだら模様の光景。
日常にはいろんなことがある。
こんなまだら模様の日々こそが、幸せっていうのかもしれないな。
いや、待って。
ちょっと待って。
エンディングっぽい言葉とか吐いてる場合じゃない。
あの、ヤンデレ少女、女王の能力は持ったままなのか?
持ったままなら、恐ろしい事が起きるぞ。
あのヤンデレは、畝傍のことが大好き。
あのヤンデレは、おそらく自分の精神状況により周囲の艦娘達や深海棲艦に影響を与える。
もう一度いう。
あの、ヤンデレは、畝傍のことが頭おかしくなるぐらい大好き。
つまり、畝傍大好き毒電波が常時垂れ流し……。
やめて、じきに艦娘も総ヤンデレ化ですね、なんて言わないで!
想像しちゃうじゃないか!
いや、まて……ちょおおおおおおおお。
この鎮守府が、姫や鬼に襲撃され続けてるのって、全部あの少女っていうか、ヤンデレのせいだったんじゃねえのか!?
見える、俺には見えるぞ!
世界中の深海棲艦が、この鎮守府目指して、猛烈な
永遠に続く鎮守府襲撃とか、洒落にならないんですけどォォ!
ああでも、津波のように襲いかかってくる深海棲艦を背に、『永遠はあるよ』とかあのヤンデレに黒幕オーラ背負わせて言わせてみたい俺がいる。
もちろん相対するのは畝傍のやつで、俺はただの見物人な。
あの女王級が、最後の1人とは思えないとか言うんじゃねえ!
鎮守府襲撃を重ねる中で、第2、第3の女王級とかポコポコ出現したら、南海のヤンデレ大決戦とか起きちゃうじゃねえか!
俺はそんな未来認めません!
チクショウ!
畝傍が『ゲーマーの血が騒ぐなぁ』とか言いながら、いい笑顔でアップを始める姿を想像しちまった。
ない、ないからそんな未来!
想像するな、俺!
白ロリと黒ロリのダブルキャストは基本ですよね。
なので、この話はあくまでも、おまけ話です。
何度も言います、これは
あ、みんな大好き鹿島さんの登場って、2016年だったか?
細けぇことはいいんだよ。
では、今度こそ本当にありがとうございました。
楽しんでいただけたなら幸いです。
また、機会があればお会いしましょう。