『各機に通達。ジャブローまで残り半分まで来た。しかし敵との遭遇戦との可能性は高い。各機周辺警戒を厳にせよ』
「言われなくてもやってるさ」
少し雲が出て来た。俺はフライアローを上昇させ警戒に当たる。眩い太陽、青い空、白い雲、前方に鳥の群れ…ん?
レーダーを確認すると反応がある。畜生!待ち伏せだ!
「ガルム12よりミデア隊。12時方向上空に敵機だ!数は20機以上だ!低空飛行で逃げろ!」
『な、なんだと!?コートニー軍曹、我々を守ってくれ!』
「やるだけやる。だが、大多数は其方に行くぞ!」
その直後ロックアラームが鳴り響く。そして多数のミサイルが飛んで来る。
「フレア射出!雲の中に回避する!」
ミサイルをフレアで何とか撒く。だが、ドップ6機が追って来る。
『たった1機で止められると思ってるのか?』
『ハハッ!これじゃあ戦闘じゃ無くて狩だぜ』
『ほらほら上手く逃げないと死んじゃうぞ?』
ドップ6機は瞬く間に俺の背後を取る。そして1機のドップが背後から更に接近して来る。
『連邦のクソ野郎が。此れで終わりだ!』
敵がロックして来る。ロックアラームが鳴り響く。だが俺はこの瞬間を待っていた。
「パラシュート射出!」
フライアローの後部からパラシュートを射出させる。本来なら緊急時に使う代物だが目くらましに使う。
『畜生!?パラシュートが絡まって前が見えない!』
『一度離脱しろ。最悪脱出するんだ』
ドップの隊列が崩れる。その隙に雲の中に入る。そして一気に旋回してドップの背後に付く。
「貰ったぞ」
ドップをロックしてミサイルを撃つ。ミサイルはドップに直撃して墜落して行く。そのまま30㎜バルカン砲で2機目を撃破。
『くそっ!2機やられたぞ』
『野郎、もう許さねえ!』
『落ち着け。囲んで行くんだ』
1機のドップが接近して来る。そのままドックファイトに縺れ込む。更に他のドップも来る。だが、ドックファイトは俺の十八番だぜ!
1機、また1機と撃墜して行く。
『クソ…何なんだ、此奴の…動きは』
「捉えたぞ」
5機目を撃墜。その時ミデア輸送隊から通信が入る。
『此方ミデア1番機、敵に囲まれてる!た、助けてくれ!』
「ガルム12了解。直ぐに其方に向かう」
パラシュートが絡まってるドップを無視する。そしてミデア輸送隊の方に急ぐ。
『ミデア3番機、第2エンジン被弾!速力低下!』
『密集して対処するんだ。弾幕をもっと張るんだ!』
『此方7番機被弾した!被弾した!ダメだ、墜ちる!脱出』
『ガンシップが墜ちた!残り4機しか残って無いぞ!』
『このままだと全機堕とされる。救援は来ないのか!』
急いでミデアの方に向かう。どのミデアも被弾してる。中には黒煙を上げてる機体もある。そして手近なドップをロックする。そして最後のミサイルを発射する。ミサイルはドップに直撃して爆散。そのままドップに突っ込み機銃を撃ち込む。
『護衛のフライアローか。叩き落とせ!』
今度はドップの群れが相手になる。だがミディアの護衛が最優先だ。ミディアに絡んでるドップに攻撃を仕掛ける。だがアッサリ回避される。勿論ミディアからも援護射撃は来る。しかし、戦力差が大き過ぎる。
「不味い!ミデア3番機!回避しろ!」
『無茶言うな!頼む、助けてくああああ!?!?』
ミデア3番機がミサイル3発直撃して爆散。残り3機。輸送機2機にガンシップ1機。
「クソ、ジャブローから援軍は来ないのかよ!そしてケツに食い付くな!」
機体をロールして振り切る。機体が悲鳴を上げてる気がするが無視する。
「後ろ取ったっ!ダメだ、捉えられ無い」
多勢に無勢。だが、前方から友軍の反応が有った。
『友軍だ!助かったぞ!』
『ジオンのクソ野郎どもを蹴散らしてくれ!』
漸くジャブローからの援軍が来たのだ。そして一気に形勢逆転する。流石に不利と判断したジオン軍は撤退して行く。漸く一安心と言った所かな。
『此方ジャブロー防空隊第37戦闘機隊のロータス1だ。良く耐えたな。もう安心してくれ』
『助かったぞ。ガルム12も奮戦感謝する。正直あんたが居なかったら全滅してたよ』
「役に立てたなら良いさ。はあ、疲れた」
『ガルム12大丈夫か?エスコートは必要か?』
「大丈夫です。ちょっと気が緩んだだけですから」
援軍のフライ・マンタに守られながらジャブローに向かう。
「漸くジャブローか。バリス艦長、それに皆さん。無事任務達成しました」
俺はあの空に散って逝った勇敢な戦友達に対し敬礼したのだった。