宇宙世紀と言う激闘の中で。   作:吹雪型
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山岳地帯補給物資破壊

救出作戦は多少の被害を出しながらも成功した。50名程が死傷、61式戦車2輌大破だ。それでも俺達ラングリッジ小隊は連邦兵達から感謝されていた。

 

『取り敢えずひと段落着いたみたいね。警戒も向こうがやってくれるみたいだし降りよっか。んー、疲れたー』

 

『レイナ、僕の狙撃を見たかい?どうだい、僕もやろうと思えばやれるのさ!』

 

『シュウ曹長、お疲れ様でした。敵モビルスーツ2機撃破は素晴らしい戦果です!』

 

「取り敢えず皆んな落ち着こうぜ」

 

俺達はコクピットから出る。すると連邦兵の人達が歓声を上げて俺達を迎えてくれる。

 

「助かったぜ!有難う!」

「ジオンに勝てたのはお前らのお陰だ!」

「うひょー!あの女パイロット凄く美人じゃねえかよ!」

「今から食事でもどうだい?俺らの奢りだぜ!」

 

歓声?を上げてる中に降りて行く。そんな中、かつての同期の声が聞こえた。

 

「シュウ?シュウなのか!おーい!俺だよ!」

 

「アーク?生きてたのか。無事生き残ってて良かった」

 

「それはこっちの台詞だぜ。てっきり宇宙の塵になってるかと思ってたぜ」

 

「そんな訳…いや、何度か塵になり掛けたけどさ」

 

思い返せば良く生き残れたもんだな。

 

「そんな事よりだ。お前モビルスーツに乗ってんのかよ?」

 

アークはジムを見ながら聞いてくる。

 

「そうだ。モビルスーツパイロットの転換訓練を受けてな」

 

「そっか…なあ、俺にも操縦出来るかな?」

 

相変わらずジムを見つめながら聞いてくる。アークが何を思ってるのか何となく理解出来る。この戦争が始まってからアークも何度も絶望を味わったのだろう。

 

「適正訓練を合格すれば多分な」

 

「なら、俺も受けてみるぜ。そうすればジオンをぶっ潰せるだろ?」

 

アークの目には憎悪が見え隠れする。やはりアークも戦争に染まってるな。いや、俺も染まってるんだろうな。自分が気付かないだけでさ。

この後市街地から撤退作業に入る。だが俺達ラングリッジ小隊は修理をした後、更に前進する。

 

「しかし、随分と派手に壊したな」

 

「いやー、敵が強すぎでした。正直死ぬかと」

 

「曹長が無事なら別に構わ無いさ。予備の部品は有るから直ぐに直せる」

 

モンド伍長はリミッターを外した事については言及しなかった。何だかんだで甘い人だよな。味方歩兵、戦車部隊は前線基地に後退して行く。

 

「ラングリッジ少尉!また会いましょう!」

「今度は俺が貴女を守ります!」

「好きだー!結婚してくブヘッ」

「裏切り者だ!粛清する!」

 

どいつもこいつもレイナ少尉にしか目が行ってない。

 

「みんなー!生きてまた会いましょうー!」

 

「「「「「了解です!ラングリッジ少尉!」」」」」

 

レイナ少尉の一言で言いなりになる野郎共。

 

「あんな性格だから同性から嫌われるんだな」

 

「シュウ曹長。それは絶対にレイナ少尉には言わない方が良いですよ?」

 

ルイス伍長が苦笑い気味に言う。しかし、俺はとうの昔に言ってるんだよな。

 

「ふっ、流石僕の許嫁だよ。実に素晴らしい!惚れ直したよ!」フサァ

 

アーヴィント少尉はレイナ少尉を再び惚れ直していた。いや、惚れ直したと言うよりゾッコンになったんじゃ無いか?

 

「こっちはこっちで面倒くさい常態になるし。本当にこの部隊は大丈夫かな?」

 

「だ、大丈夫ですよ。私もフォローしますから」

 

フォロー前提で話を進めるルイス伍長。

 

「お互い頑張りましょう」

 

「はい。宜しくお願いします」

 

俺とルイス伍長は握手する。何となく良い雰囲気になってるのは気の所為では無い筈。

俺達は味方部隊を見送った後、更に北東方面に進出する。其処で敵部隊を陽動、及び撹乱する事になる。

 

「さあ、ラングリッジ小隊!出撃よ!」

 

レイナ少尉の号令でトレーラーは動き出す。

 

「また戦場に行くのか」

 

ふと、あのグフのパイロットを思い出す。投降する事無く自決したパイロット。それ程までに強い意志を持ちながら戦っていたのだろうか?じゃあ俺は?其処まで強い意志なんて無い。

 

(考えても仕方無いのかもな。結局、俺は死にたく無いから戦場で戦うしか無いからな)

 

死にたく無いのに戦場に行く。この矛盾が今の世の中の常識の一つかもな。柄にも無い事を考えながら次なる戦場に向かうのだった。

 

……

 

市街地より更に北東に進む。この辺りはジオン軍の勢力圏内になる。しかし現在欧州前線基地に次々と戦力が集まってる為、警戒の穴は大きくなっていた。

 

「今回の目標はこの山岳地帯にあるジオン軍の補給物資の破壊に成ります」

 

俺達はホバートラックの中で作戦会議をしていた。そしてルイス伍長は地図を出しながら説明をする。

 

「我々の現在地は此方に成ります。そして敵の補給地点が山岳の頂上に一箇所、麓に二箇所有ります」

 

補給地点はバラバラだ。恐らく纏めて破壊されるのを警戒しての配置だろうな。

 

「敵の戦力はどの位なの?」

 

「はい。旧ザクが2機とザクキャノンが2機、更にトーチカが複数配置されてます。しかし、トーチカの位置は完全には解析されてません」

 

「因みにルイス伍長ならどの辺りにトーチカを設置します?戦術オペレーターとしての意見が欲しいです」

 

俺の意見に暫く考え込むルイス伍長。

 

「私でしたら最低でも此処と此処に設置します。残りはザクキャノンがカバーする形で出来ます」

 

ルイス伍長は理由も含めて意見を言ってくれる。

 

「なら、それに賭けましょう。私とシュウ曹長はハイパーバズーカ装備よ。後はビームスプレーガンか90㎜マシンガンね。アーヴィント少尉はトーチカを発見次第砲撃よ。トーチカを破壊したら次は敵モビルスーツに攻撃。最後に補給物資に攻撃よ。ルイス伍長は私達が逐一座標を送るから、それを整理してアーヴィント少尉に送って頂戴。残りの人達は量産型ガンタンクとホバートラックの隠蔽作業と周辺警戒よ。何か質問は?」

 

レイナ少尉は真面目な表情で聞く。しかし、レイナ少尉…貴女って人は。

 

(ちゃんと隊長出来たんだな。流石は下から一番と言えども士官学校出身は伊達では無いみたいだな)

 

俺は両手で顔を隠してそう思う。これならバレまい。

 

「シュウ曹長、今考えてる事を正直に言いなさい。上官命令よ」

 

「あ、汚ねえ。こんな時に上官振るのやめてくれません?」

 

「私はシュウの上官よ!」

 

豊かな胸を張りながら偉そうに言う。言われてみれば確かに俺の上官だったわ。

 

「レイナ少尉の真剣な表情も凛々しいなと思っただけですよ」

 

嘘は言ってない。ただ、全部言ってないだけさ。あー、でも逃れられそうに無いな。

 

「も、もう…馬鹿な事考えて無いで真面目にしなさいよ」

 

ちょっと頬を染めるレイナ少尉。あれ?怒られない?

 

「ゴホンッ!兎に角、作戦開始は明日明朝よ。それまでに準備を済ませるわよ。それからシュウは罰としてアーヴィント少尉の機体の擬態擬装作業を手伝う事!以上!」

 

レイナ少尉はそう言い残して出て言った。

 

「シュウ曹長…レイナは渡さんからな!」

 

アーヴィント少尉から人差し指をビシッと向けられる。そのまま出て行く。

 

「いや、意味分からないんですけど」

 

「シュウ曹長はもう少し女心を理解した方が良いですよ?私にとっても大事な事ですからね」

 

ルイス伍長も良い笑顔を向けながら言う。しかし、その笑顔が少し怖い。

 

「あ、はい。気を付けます」

 

「はあ、シュウ曹長には色々振り回されそうですね」

 

ルイス伍長もそのままホバートラックから出て行く。残された俺はと言うと。

 

「擬態作業手伝うか」

 

問題を先送りにしたのだった。

 

……

 

擬態作業が終了して夜になる。その間にジムを所定の位置に移動させる。俺のジムの装備はハイパーバズーカ、ビームスプレーガン、シールドだ。レイナ少尉はビームスプレーガンが90㎜マシンガンになっている。そしてレイナ少尉と二人っきりで行動しているが。

 

『………』

 

無言が続く。別に悪い事は言ってないんだけどな。

 

「そう言えばレイナ少尉は」

 

『私語は慎みなさい。今は作戦行動中よ』

 

すっごい真面目な返信が来たんですけど。いや、此れが本来軍人として正しい姿なんだろうけど。

 

(うわー、似合わねえ」

 

『ちょっと!真面目な私の方が良いんじゃ無いの!』

 

「うわ!吃驚した!だから心を読まないで下さい」

 

バッチリ口に出てたわよ!と怒られる。あれれ?可笑しいな。

 

「レイナ少尉、御免なさい」テヘペロ

 

前回はダメだったが、今回はテヘペロバージョンだ。これならイケる!

その時、機体からロックアラームが鳴る。目の前に居るジムがハイパーバズーカを此方に向けていたのだ。

 

「ねえ、シュウ曹長は知ってる?無能な部下は誤射に見せかけてヤるのよ?」

 

何をヤるんですかレイナ少尉殿。この後滅茶苦茶謝った。なあ、知ってるか?今作戦行動中なんだぜ?

 

『全くもう。はあー、肩が凝ったわよ』

 

どうやら真面目にやってたら疲れたらしい。

 

「でも真面目なレイナ少尉は綺麗でしたよ。普段は可愛い感じでしたが、綺麗なレイナ少尉は新鮮でしたし」

 

個人的には役得感が有ったな。

 

『……ふん。今度休暇が取れたら買い物に付き合って貰うからね。因みに拒否権は無いわよ』

 

少し不貞腐れた感じに言う。しかし怒っては無いみたいだ。

 

「了解です。お供させて頂きます」

 

そしてこの後は無言が続く。しかし、空気は悪く無かった。

 

(あれ?買い物に付き合うってさ、もしやデートになるの?)

 

この疑問に答えてくれる人は多分居ないだろうなと考えながら。

 








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