取り敢えず主人公達のジムにはアップデートされて無いバージョンなのでノーカンでお願いします。
でも撃破数は成るべく合わせます。
レイナ少尉は90㎜ガトリングガンを撃つ。しかし弾は敵に当たる事は無かった。代わりに逃げようとしたトラックの前に着弾させた。
『この後の処理は貴方がやりなさい。これは命令よ』
「レイナ少尉…了解しました」
『私は先に戻るわ。ルイス伍長に話は通しておきなさい。後処理について色々知ってる筈だから』
レイナ少尉はそう言ってブースターを使い離れて行く。この時俺は敢えて言わなかったが、俺も沢山の物を失ってる。何故なら第2の故郷と言えるサイド2コロニーはシドニーと一緒に消えたのだから。
元々苦い思い出が殆どだったので悲しい感情は少ない。だが、それと同時に胸の内にポッカリと穴が空いてしまった感は有るが。
「本当、儘ならないよな。何もかも上手く行く人生ならどれだけ楽な事やら」
俺は敵兵士に通信を繋げて改めて武装解除をさせる様に伝えるのだった。
……
あの後、ルイス伍長に話を通してバンブル小隊が捕虜を前線基地に運ぶ手筈になった。そして敵の補給物資は爆薬を仕掛けて爆破処理する事になる。
「じゃあな曹長。中々良い戦いっぷりだったぜ」
「バンブル少尉も援護感謝します。それでは捕虜をお願いします」
「へっ、任しとけよ。おし!お前ら大人しくしとけよ!そうすりゃあ面倒な事にならねえからな!」
バンブル小隊は捕虜を連れて行く。少々荒っぽかったが問題は無いだろう。良くも悪くも軍人だからな。
「ルイス伍長、此方の爆薬のセット完了しました」
整備兵の一人がルイス伍長に報告する。
「ご苦労様です。では我々もこの場を一時離れます。シュウ曹長、爆破音により敵が来る可能性はあります。状況を確認して戦闘を続行するか決めましょう」
「了解しました。所でアーヴィント少尉は?」
ルイス伍長は苦笑いになり明後日の方向に指を指す。其方を見るとレイナ少尉のジムのコクピットの前で何か喋ってた。
「自分が蒔いた種ですから申し訳無いと思うんですが…。何だかアーヴィント少尉が虚しく見えてしまうのは気の所為だろうか?」
ジムのコクピットに向かって一生懸命頑張ってる姿は涙を誘う物がある。アーヴィント少尉、御免なさい。
「あはは…。でも、私もレイナ少尉の気持ちは良く分かります。そんな時は一人になりたいんですけどね」
「ルイス伍長…」
ルイス伍長も少し遠い目になる。彼女の目には何が見えてるのだろうか。きっと、今見えている景色では無いのだろう。
「さて、アーヴィント少尉を連れてきますか。まだまだ仕事は有りますからな」
俺はルイス伍長に軽く手を振ってアーヴィント少尉の所に向かう。きっと色々面倒くさい事になるかも知れないが仕方無いだろう。
俺は一つ溜息を吐きながら歩くのだった。
……
宇宙世紀0079.11月1日。MS特務部隊第27小隊 ラングリッジ小隊に次の命令が伝わる。
【MS特務部隊第27小隊は遂行中の任務を中断し、機甲師団第4軍に臨時編入とする。以上】
機甲師団第4軍はラングリッジ小隊の丁度南に位置する場所だった。敵補給部隊を破壊した後、待伏せを継続していたがジオン軍が来る事は無かった。恐らく例の欧州反攻作戦の為に戦力を割けない状況なのだろう。俺達は素早く撤収作業に入り、機甲師団第4軍と合流するのだった。
……
宇宙世紀0079.11月3日。MS特務部隊第27小隊、61式戦車を主力とする機甲師団第4軍と合流。ラングリッジ小隊は後方に配置される。
俺達は機甲師団第4軍と合流を果たした。そして第4軍を見た最初の感想は61式戦車の群れだった。見渡す限り61式戦車ばかりだ。後は戦闘ヘリやホバートラックが沢山待機してる。更にビックトレーも1隻配備されており、後からもう1隻が追加される。
「しっかし、俺達の立場は肩身が狭いな」
この機甲師団第4軍に配置されてるモビルスーツはラングリッジ小隊のを合わせて合計12機だ。然も陸戦型ジムとホバートラックしか配備されて無い。赤と白のツートンカラーのジムが凄く目立つ。然も第4軍の指揮官アルバート・バライン大佐は根っからのモビルスーツ嫌いだった。
「MS特務部隊第27小隊は独立部隊として後方配備だ。以後は命令が有るまで待機せよ」
だってさ。然も態々独立部隊にしておきながら後方待機とは。そして自分達とは関係無い扱いにしてるし。まあ戦わなくて良いなら良いけどさ。それにしてもご飯が美味いな。
「やれやれ、君は相変わらず楽観的に考えてるみたいだね」フサァ
「アーヴィント少尉、お疲れ様です。そして何気に考えを読まないで下さい」
アーヴィント少尉が隣に座る。因みにこの間の件で少しだけ話をする位までの関係になった。
「それにしてもバライン大佐は何で俺達モビルスーツ隊を後方待機にさせたんでしょうか?」
「ふむ。まあ、これは噂に過ぎないが。この第4軍は捨て駒扱いされてるのも原因かも知れないな」
「捨て駒ですか。しかし第4軍は既存の兵器が主力と言え大部隊ですよ?」
「正確に言うなら既存兵器の一掃だよ。上層部はモビルスーツを主力にしたいのさ。僕達モビルスーツ部隊が各地で勝利を収めてるのも後押ししてるのさ」
「成る程。確かに61式戦車よりジムの方が良いですけどね」
ザクと同等以上の機動が出来るし、シールド持てるから生存性は有る。更にビーム兵器も扱える。コストは61式戦車より高いけど破壊されまくるよりはマシだろう。
「そういう事さ。そして何処にでも派閥と言う物は存在する。それだけは覚えておくと良い」
アーヴィント少尉はそう言って御飯を食べる。外を見ると61式戦車の上で笑いながら話してる戦車兵がいる。
地球連邦軍の陸上戦力の主力となっている61式戦車。最新モデルの5型に関しては初期モデルとは別物と言える高性能を獲得している。しかし、ジオン公国軍が作り上げたザクにより大損害を被る。地球連邦軍もモビルスーツを作りジオン軍に対抗する事を選んだ。
それでも、今迄地球連邦軍が戦い続けれたのは間違い無く61式戦車が戦い続けていたからに他ならない。オデッサでの戦いが最後の花になるとしても、彼等は前進するだろう。
「やっぱり、61式戦車は凄いな」
「ん?何か言ったかね?」
何でもありませんよと言いながら御飯をたべるのだった。
この後、ジムの最終調整を行う。調整と言っても精々関節部の慣らしとブースターの確認ぐらいだ。その時、レイナ少尉と出会う。あの戦い以来あまり話す事が無くなった訳だが。
「…何よ」
「何でも無いです」
御覧の有様である。しかし、レイナ少尉からしたら敵討ちの邪魔をされたんだから文句の一つぐらい言いたいのも有るだろう。結局、俺は今の問題を先送りにしてしまう。本来なら問題だらけだが。
宇宙世紀0079.11月7日。地球連邦軍【ホワイトベース隊】がジオン公国軍【黒い三連星】の異名を持つエース部隊と交戦。これを撃退するものの地球連邦軍マチルダ・アジャン中尉戦死。
宇宙世紀0079.11月7日。同日AM6:00【オデッサ作戦】開始。そして機甲師団第4軍もオデッサに向かい攻撃を開始するのだった。
……
AM6:00。各地に配置された25000門の火砲と2000基のミサイル、ロケットがオデッサの進撃路に向けて発射された。
『この戦いは地球に於ける勢力図を変える重大な戦局である。各員の奮戦に期待する!砲撃始め!!!』
バライン大佐からの通信と共にビックトレーからの砲撃も始まる。更に空を見上げれば航空機が多数オデッサに向かって行った。
「うわー、これだけの戦力を一気にオデッサに向けてるのか」
『それだけ連邦軍は本気と言う事よ。この戦いは絶対に勝たないと駄目なんだから』
『その通りさ。所で僕達は何時出撃するのかな?』
『まだよ。暫くは戦局を見守りましょう』
モニターを見るとジオン軍の火砲やモビルスーツの配置が分かる。ジオンに入り込んだスパイは優秀みたいだ。だが、ジオン軍も馬鹿では無い。地球連邦軍がオデッサを攻撃する事は理解してる筈だ。
『戦車、前へ!敵を圧倒するぞ!』
『俺達も戦車隊に続くぞ。各機、行くぞ』
61式戦車の大軍と攻撃ヘリは前進する。ジオン軍は応戦するが御返しだと言わんばかりに155㎜弾と対MSミサイルで反撃する。正に物量が違い過ぎるのだ。
そして、空の戦いも開始されていた。
『此方攻撃隊フライングアロー。これより戦車隊の支援に入る。行くぞ!』
『2時方向!ドップ接近!』
『俺達に任せな!野郎共、地球の空は俺達のホームグランドだと教えてやれ!』
オデッサの空が激しく爆発を繰り返す。地上からも対空砲が火を噴く。
『連邦め。そんな戦車で勝てると思うな』
『だが数が多いぞ!奴ら本気だ!』
『敵にモビルスーツ有らず!繰り返す、モビルスーツ有らず!勝てるぞ!』
しかし連邦の物量は圧倒的過ぎた。ザクが稜線から出て61式戦車や戦闘ヘリを数機破壊する。だが、その一瞬の隙が集中砲火を受けてしまう。そしてマゼラ・アタック戦車と61式戦車も互いに潰し合う。砲塔部分が高いマゼラ・アタック戦車は稜線からの砲撃が非常にし易い。しかし、そんなのは関係無いと言わんばかりに61式戦車は反撃する。
『チッ、支援砲撃要請!ポイント座標送ります!』
『此方司令部、了解した。40秒待機せよ』
『了解!派手に吹き飛ばしてやれ!』
ビックトレー2隻から艦砲射撃が開始される。そして、暫しの膠着になり着弾。更に対地攻撃機マングース隊もジオン地上軍に接近して行く。
『此方サンダー隊、ザクに対し攻撃を開始する。各機続け!』
攻撃機マングース隊は持てる爆弾をザクに対し撃ち込む。更にクラスター爆弾やロケット弾を施設やマゼラ・アタック戦車、歩兵に当てる。しかし、対空砲は彼等を逃して帰すつもりは無い。次々と攻撃機マングースは撃墜される。
戦場は膠着状態になりつつも連邦軍は前進する。
AM11:45。地球連邦軍機甲師団第4軍は最初のジオン前線基地を制圧に成功する。
『ビックトレー、前へ!戦線を押し上げる。モビルスーツ隊は護衛に付け!』
ビックトレーの前進と共に移動する。
『よう、ラングリッジ小隊。其方の調子は如何だ?』
『普通よ。それで何か用?』
『何、大した事じゃ無いさ。俺達の出番が未だに無いから暇してるんだよ。小隊メンバーだけだとネタが尽きちまうからよ。それに、出来ればアンタみたいな綺麗所と話がしたいしな』
『あら、口説いてるつもり?』
『まさか。俺には妻も子も居るんだぜ。そんな事した妻にモビルスーツごと破壊されるわ』
陸戦型ジムのパイロットは真顔で言う。恐妻家なのね。
確かにビックトレー周辺の防備は万全だ。対空砲は勿論の事、陸戦型ジムとジムの防備も有る。そして制空権は地球連邦軍優勢だ。
こうして俺達モビルスーツ隊はオデッサ攻防戦の一日を終える。
宇宙世紀0079.11月8日。遂にモビルスーツ隊に出撃命令が降る。この地球圏に於けるミリタリーバランスを賭けた戦いにMS特務部隊第27小隊ラングリッジ小隊も参戦する。
マチルダさーん!本当は何処かの補給場所で絡ませたかった。