宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型
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チェンバロ作戦2

『良し!このままソロモンに取り付くぞ!マルダ中隊突撃!敵を内側から食い破るぞ!』

 

『おらおら!お前らジオンは俺達に勝てないんだよ!』

 

ジム、ボール部隊が次々に宇宙要塞ソロモンに取り付いて行く。俺達ラングリッジ小隊はサラミス級ロイヤルと他艦隊を防衛する事にした。何故なら艦隊が少々前に出過ぎているからだ。だが、彼等艦隊の対空弾幕と艦砲は非常に心強い物がある。

 

『左舷弾幕を密に!敵モビルスーツが来るぞ!』

 

『後方より敵モビルスーツ接近!』

 

『艦砲用意!照準合い次第砲撃開始!』

 

『此方ミデル左舷被弾。モビルスーツ隊は援護せよ』

 

艦隊は宇宙要塞ソロモンのメガ粒子砲台も潰して行く。戦いは地球連邦軍優勢になっていた。

 

「此方ガルム2よりガルム1へ。そろそろ機体の冷却と燃料、後弾薬の補給を行いたい」

 

『そうね。私達もそろそろ補給が必要ね。ロイヤル聞いての通りよ。最初にガルム2の収容準備をお願い』

 

『此方ロイヤル了解です。各機は護衛に回って下さい。その後に順次補給に入って下さい』

 

ロイヤルを筆頭に艦隊は一度後退してモビルスーツ部隊の補給に入る。それに入れ替わる様に別の味方艦隊とモビルスーツ部隊が前進する。

 

『ガルム2、補給準備完了しました。サラミスの下部に来て下さい』

 

「了解。着艦開始します」

 

ジムをロイヤルの下部に移動させる。そして振動と共にジムは止まる。無事に着艦出来た様だ。

 

「ぷはぁ、疲れた。少し一息出来るな」

 

ヘルメットを外して頭を振るう。レーダーや外の様子を見ると敵はソロモンに取り付いた味方に手一杯の様子だ。

 

『シュウ少尉大丈夫ですか?あの様な機動は中々辛いと思いますが』

 

「ん?いや別に平気ですよ。特に身体に違和感は無いですし」

 

『そうなんですか?ですが余り無理はしないで下さい』

 

「了解です。まあ、今は多少の無理は必要でしょうが」

 

そして補給が終わり再び光が瞬く宇宙に出撃する。あの光が瞬く時には誰かが死んでるのだ。そう思うと不思議でならない。沢山の光が瞬いてるのだ。それで死んでる人間が居るとはあまり想像出来無い。

それからレイナ中尉とアーク上等兵も補給に入る。その間に戦いは新たなる局面に入る。

 

……

 

時間を少し遡る。ソーラー・システムの第1射受けたジオン軍の戦力はズタズタになっていた。そしてドズル・ザビ中将は妻ゼナと娘ミネバ・ザビを脱出させる。その後ドズル・ザビ中将は陣頭指揮を取る。残存艦隊を集結させソーラー・システムと第2連合艦隊に攻撃を仕掛けるもソーラー・システムの第2射により甚大な被害を出す。

この一撃が決定打となり宇宙要塞ソロモンからの撤退を決断する。

 

「ソロモンがこうも簡単に落ちるとはな」

 

ドズル・ザビ中将は巨大モビルアーマーに乗り込む。そう、自らを盾にして味方の撤退を支援する為だ。そんな中、ソロモン内部に突入していたジムとボール部隊はドズル・ザビ中将の乗る巨大モビルアーマーと遭遇。ジムとボール部隊は攻撃を仕掛けるがビームを全て防がれてしまう。

 

『ビームを!?化け物だあああ!!!』

 

その通信を最後に彼等は巨大モビルアーマーから放たれたビームの渦に飲み込まれて行った。

 

宇宙世紀0079.12月24日20:55地球連邦軍作戦司令官 第2連合艦隊マクファティ・ティアンム中将、敵巨大モビルアーマー【ビグ・ザム】の攻撃を受け戦死。又、第2連合艦隊に甚大な被害が出る。

 

「はっはっはっ!このビグ・ザムが量産の暁には連邦など一捻りだわ!!!」

 

この時、ラングリッジ小隊とサラミス級ロイヤルと一部艦隊は再びソロモンへ接近していた。しかしビグ・ザムは第2連合艦隊本隊へ向かっていた為命拾いしたのだ。

 

「何だよアレ。第2連合艦隊が…消えて行く」

 

『嘘でしょう?あんなの相手にするの?』

 

『然もビームを防いでるぜ。どうなってんだよ!』

 

あの巨大モビルスーツがビームを多方向に撃ち出した瞬間、射線に入っていたサラミス級やマゼラン級は次々に爆散していった。あの中に突っ込むのは至難の技じゃ無い。更に遠距離からの艦砲のビームを全て防いでるのだ。

しかし、ソロモンの地表にも敵戦力は残っていた。だが敵艦隊は次々に撤退して行く。

 

『此方サラミス級ロイヤル、艦長アーヴィント・アルドリッチ中尉。これより第2連合艦隊を救出に向かう。ラングリッジ小隊は援護せよ』

 

「うへぇ、死にたく無いな」

 

『おいおい、味方を見捨てるのか?』

 

「見捨てるつもりは無いぜ。唯、ハイパーバズーカとか効果有ると思う?」

 

艦隊からミサイルとか放たれてるし、何発かは直撃してるけど効いてる様子が無い。アレ倒せるのか?

 

『それでもやるしか無いわよ。それに、あんなにデカイんだから隙も大きい筈よ。なら接近してビームサーベルでも出来る筈よ』

 

『確かに。ならやるしか無いよな!』

 

俺達モビルスーツ部隊はロイヤルや他の艦艇に着艦して巨大モビルスーツに向かう。そして巨大モビルスーツに向かい徐々に近付いて行く。しかし、俺達の不安は杞憂に終わる。巨大モビルスーツの下方からRX-78-2ガンダムとコア・ブースターが接近。コア・ブースターは爆散するも、ガンダムはそのまま巨大モビルスーツにビームサーベルを突き立てたのだ。そして巨大モビルスーツから火の手が上がった後、大爆発を起こしたのだった。

 

「やっぱりさ、ガンダム1機有れば勝てるんじゃね?」

 

ジャブロー攻防戦の時にも思ったが、ガンダムの動きは尋常じゃ無い。初めて見た時よりも動きにキレが有った。

敵巨大モビルスーツが撃破された後、宇宙要塞ソロモンからの撤退をするジオン軍に対して追撃戦を行う。俺達ラングリッジ小隊とサラミス級ロイヤルも其処に参加する。しかし、此処にとあるエースパイロットが居た。後に【ソロモンの悪夢】と呼ばれるこの追撃戦を身を持って体験するとは思わなかった。

 

……

 

宇宙世紀0079.12月25日。

 

追撃部隊のサラミス級とマゼラン級の艦隊より少し後方からロイヤルと3隻のサラミス級は敵の追撃をする。しかし追撃戦は余り乗り気にはなれんな。

 

『ガルム2どうした?追撃しないのか?』

 

「別に。追撃戦なら他の部隊で充分だろ。俺はその取り零しを攻撃するさ」

 

『取り零しって。俺達最後尾に居るんだぜ?取り零し何て無いだろ』

 

「それならそれで良いさ。しかし、相手の戦艦…いや空母か?随分デカイな」

 

あのデカイ空母が殿を務めてる結果、追撃部隊は思う様に出来ていない。

 

『全く、ジオンは巨大兵器に何を求めてるのかしら?』

 

「浪漫とかじゃ無いですか?ほら、大火力で敵を制圧するとか」

 

『でも実際第2連合艦隊はかなりの被害が出たんだよな?』

 

アーク上等兵の言う通り、マクファティ・ティアンム中将の戦死と第2連合艦隊の甚大な被害を受けた。チェンバロ作戦は一応の成功を収めた。だが、第2連合艦隊の被害を考えると痛み分けになるだろう。

 

「浪漫も馬鹿に出来んな。結果コレだもん」

 

ロイヤルとサラミス3隻と歩調を合わせて行く。しかし、味方の通信から悲鳴に近い救援を受信する。

 

『何してる!たった1機のドムにッ!』

 

『来るな!来るなあああ!!!』

 

『弾幕を張れ!敵の動きを抑えるんだ!?』

 

前方を見れば次々に爆発が続いていた。更に味方の艦隊も次々と爆発が起こっていた。

 

「何だ?一体何が起こってる?」

 

『現在敵モビルスーツと交戦中です。しかし、敵は数機のモビルスーツの様です』

 

『え?数機のモビルスーツに足止めされてるの?』

 

『いえ、味方部隊にかなりの被害が出ています。敵の中に圧倒的なドムが居るとの事です』

 

1機のドム?ガンダムでは無くドムなのか?

 

「此方ガルム2。これより突撃して味方の援護に向かいます」

 

ブースターを全開にして一気に加速させる。その間にも味方の艦隊が次々に撃沈されつ行く。

 

『弾幕を!奴を近付かせるな!急いで後退を!?』

 

更にデカイ爆発と同時に味方との通信が途切れる。

 

「此方ラングリッジ小隊ガルム2。生きてる奴は居るか?誰か応答してくれ!」

 

オープン通信で声を掛ける。しかし、返事は無い。

 

(待て待て、さっきまで俺達の前方居た追撃艦隊が消えたとでも言うのか?そんな馬鹿な事が有ってたまるか)

 

しかし現実には前方からの追撃艦隊からの通信は無い。そして、奴との初めての邂逅を果たす。

 

『貴様で最後か。なら、大人しく落ちるが良い!』

 

通信から声が聞こえる。咄嗟に回避機動を取る。先程まで居た場所にビームが走る。ビームが放たれた方を見ると、青の四肢に緑の胴体のパーソナルカラーのドムが居た。

 

「エースパイロットかよ。だがな、それが理由で引き下がるかよ!」

 

此方もビームスプレーガンで応戦する。しかし、此方の攻撃を紙一重で避けて行く。だが、機動戦なら負ける気はしない。

一気に加速させてランダム回避を行う。ドムの攻撃を回避しながら反撃する。

 

『中々良い動きをする。だが、これはどうだ!』

 

ドムは此方に向かいビームバズーカを放つ。その攻撃は俺の回避先に向かっていた。

 

「くうっ!?まだまだ!」

 

咄嗟にシールドを構えビームを防ぐ。だが、ビームはシールドを破壊して左腕を持って行く。

 

「何つう火力だよ!」

 

『甘いな。沈めえええ!!!』

 

ビームバズーカを撃ちながらヒートサーベルを抜き此方に接近して来る。此方もビームスプレーガンを撃つが当たらない。そして一気に奴の間合いに入ってしまう。

 

「この野郎!調子に乗んな!」

 

ビームスプレーガンを放棄してビームサーベルを抜く。一気に距離が縮み、ヒートサーベルとビームサーベルが打つかる。

 

『中々の動きだ。だが、私の相手は君には務まる技量は無い!』

 

「此奴何を!うわっ!?しまっ!」

 

ドムは一瞬だけ後退する。俺はビームサーベルを振り下ろす形になるが、それは大きな隙になった。ビームバズーカの銃口が俺のジムのコクピットに向けられる。

 

(あ、終わった)

 

その直後、圧倒的弾幕がドムを襲う。

 

『ガルム2!無事なの!?』

 

『むう、新手か。だがこれ以上は時間掛けれんか』

 

ドムは一気にレイナ中尉のジムに向かう。

 

「レイナ中尉上に逃げろ!!!其奴はエースだ!!!」

 

俺も慌てて追いかけるが遅かった。レイナ中尉は俺の言葉に反応して咄嗟に上に行く。その直後ドムのビームバズーカのビームはレイナ中尉の機体の脚部に直撃する。

此方もジムのリミッターを解除してドムに突っ込む。

 

「ガルム3!ガルム1を連れて逃げろ!此奴はかなり強い!」

 

アークとレイナが何かを言ってるが聞いてる暇は無い。再びヒートサーベルとビームサーベルが打つかる。そのまま機動戦に突入する。

 

『ええい!邪魔をするな!!!』

 

「仲間をやらせるかよ!!!」

 

しかし、何度か打つかり合いジムの左足が斬り飛ばされる。その隙にビームサーベルを突き出すが紙一重で回避される。更に突き出した右腕をヒートサーベルで斬り捨てられる。最後に用無しだと言わんばかりかりに横っ腹に蹴りが入る。

 

「グフッ!?これ以上は無理だ。撤退する!」

 

ガルム1とガルム3が後退してるのを確認して俺も撤退する。その際60㎜バルカン砲を撃ちながら撤退するのだった。

 

『ふむ。此方も時間か。私と対峙して生きて撤退するか。状況判断は良い様だな』

 

ドムのパイロット、アナベル・ガトー大尉はそう呟きながら後退するのだった。

 

……

 

「ガルム1、3生きてるか?」

 

『ええ、何とかね。と言うかシュウ少尉の方が心配よ』

 

『俺もそう思うぜ。しかし、あのドムのパイロットは一体何者だよ』

 

「分からん」

 

分からんが、奴は本物のエースパイロットだと理解出来た。この後追撃戦は中止。代わりに追撃部隊の生存者の救出活動に入る。そして生き残りで救出出来たのはたったの100人前後だった。

 

宇宙世紀0079.12月25日。チェンバロ作戦終了。地球連邦軍は宇宙要塞ソロモンをコンペイトウに変更する。

宇宙世紀0079.12月25日14:00。サイド6リボーコロニーでサイクロプス隊の生き残りであるバーナード・ワイズマン伍長【クリスマス作戦】開始。

宇宙世紀0079.12月25日14:10。MS-06FZザク改でRX-78NT-1アレックスに対しゲリラ戦を展開し交戦。その後RX-78NT-1ガンダムを破壊するもMS-06FZザク改は大破、バーナード・ワイズマン伍長生死不明。

これによりアムロ・レイ少尉に渡す筈だったRX-78NT-1アレックスは、そのまま終戦を迎える。

 




アナベル・ガトー大尉に勝てるパイロットはかなり限定されると思うんだ。

後バーナード・ワイズマン伍長には死亡説と生存説があるから生死不明にしました。でも量産機でガンダム倒すとか胸熱ですな。





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