宇宙世紀と言う激闘の中で。   作:吹雪型
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ア・バオア・クー攻防戦4

弾薬と燃料を再び補給して直ぐに戦場に戻る。そして再び空母ドロスに向かい攻撃を仕掛ける。その頃空母ドロスはNフィールドでの防衛に奮戦していた。

 

「司令部との通信が取れんだと?連絡が取れるまで通信を続けるんだ」

 

「了解です」

 

通信兵は再度司令部との連絡を試みる。

 

「このまま前進し続けるのは不味い。幾らドロスが堅牢と言えども限界は有る。各艦に通達、本艦を中心に現宙域を死守する。この場を守り切れれば勝利は我々ジオンに有る!」

 

ドロスの艦長はNフィールドに居る艦隊に鼓舞する。しかし突如Sフィールドに現れた地球連邦軍第1大隊とホワイトベースが侵攻して来た事により後続に居る部隊がSフィールド防衛に行ってしまった事、そして司令部との連絡が途絶えた事がNフィールドでの戦闘に大きな変化を及ぼす。

 

……

 

Nフィールドには空母ドロスを中心に戦線を維持するジオン公国軍。しかし次々と轟沈して行く味方艦隊により、徐々に防衛網に穴が出来て来る。

 

「ガルム1、3。左翼の方がモビルスーツが少ない。これより吶喊して敵戦線を混乱させます。止めても無駄ですけど」

 

『分かってるわよ。止めるつもりは無いわ。唯、無茶はしないでよ』

 

そいつは無理な相談だなと内心思いながら敬礼する。そして試作ジム改のブースターを全開にして敵陣に突っ込む。今は他のモビルスーツ部隊が空母ドロスに向かい攻撃を仕掛けてる。しかし、周りのムサイ級が邪魔になってる状態だ。

 

「なら、その障害を取り除く迄」

 

ムサイ級の周りには護衛のゲルググやドムが居る。相手も此方に気付き迎撃に来る。

 

『く、来るのか?この!落ちろ!落ちろおお!』

 

2機のゲルググとドムからのビームやバズーカ弾を避けながらロング・ライフルで反撃。ロング・ライフルの命中率は非常に高い。正直ビームスプレーガンより使い勝手は良い。

そしてロング・ライフルから放たれた90㎜弾は吸い込まれる様にドムに命中。ドムは回避機動を取る間も無く爆散。その間にもゲルググとの間合いが詰まって行く。

 

「止まったら集中砲火だ。このまま突き進む!」

 

シールドを構えロング・ライフルを仕舞う。そしてビームサーベルを抜きゲルググに接近。

 

『此奴!来るな!来るなあああ!?』

 

「ッ!子供の声だと?」

 

恐らく俺より年下の声だろう。オープン通信から偶然聞こえた。しかし今更引き退るつもりは無い。ゲルググとの間合いを詰めビームサーベルを振るう。そして…ゲルググの両足を斬り割く。

 

『ジミー!ど、どうすれば!?』

 

更にもう1機のゲルググにも近付く。相手もビームライフルを撃つが最早ビームライフルを撃つ間合いでは無い。今度はビームライフルを持つ右腕を斬り飛ばす。そして序でにゲルググのコクピットに蹴りを入れておく。

 

「そのまま動かなければ死ぬ確率は減るぞ」

 

2機のゲルググに向かいオープン通信で伝える。伝わったか確認する事無く、そのままムサイ級に向かう。

 

『モビルスーツ隊やられました!』

 

『迎撃急げ。ミサイルと艦砲で敵を近寄らせるなよ』

 

ムサイ級から多数のミサイルと艦砲が放たれる。それを回避機動を行い避けて行く。その時、ムサイ級の艦橋に一筋のビームが貫く。どうやらレイナ中尉が上手く狙撃をした様だ。そして、そのビームに気付いた他の艦艇は慌てて艦砲の一部を向ける。しかし、それは悪手だ。

弾幕が薄くなった時点で一気に敵艦隊に近付く。そして艦橋やエンジン部分に次々と90㎜弾を撃ち込む。敵艦隊は完全に混乱してしまう。そして、その隙を見逃す程地球連邦軍は甘く無い。

防衛が薄くなった左翼側から次々とジム、ボール部隊が突入。更に後方の艦隊からメガ粒子砲が敵艦に次々に撃ち込まれる。

 

『敵の後続が少ないぞ!今がチャンスだ!ドロスに取り付け!』

 

『あのデカブツさえ落とせばコッチのもんだ!』

 

次々とドロスに近付き攻勢を強める地球連邦軍。更に前線を押し上げた結果、マゼラン級の艦砲射程内に入る。

 

『モビルスーツ隊順次ドロスに取り付きつつ有ります』

 

『味方に当てるなよ。砲撃始めええ!!!』

 

マゼラン級からの艦砲も次々と直撃し始めるドロス。

 

『第2ブロック被弾!』

 

『第2ブロック隔壁閉鎖。此方からも反撃するんだ!味方はどうなってるか!?』

 

『味方艦隊は尚も健在。しかし左翼側から連邦が侵入してます』

 

『モビルスーツ隊を左翼に廻せ!右翼は艦隊で対応しろ!それから格納庫に居るモビルスーツは全て出撃させろ!』

 

しかし右翼側のモビルスーツ部隊は泥沼に近い戦いを強いられており左翼側に行く事が出来無い。更に格納庫も最早修羅場で有り、これ以上速くする事が物理的に出来無い。

 

『左翼より高速で接近する機影!アレは、奴です!』

 

ドロスの艦橋モニターに映し出された機影は高機動型ザクに近いシルエットだが、決定的に違うのは味方では無い事。試作ジム改が真っ直ぐにドロスに向かっていた。

 

「悪いがお前には落ちて貰うぞ」

 

ドロスから次々とモビルスーツ隊が発進される。中には作業用だろうか旧ザクですら出撃して居る。

 

『この艦には若いモンが沢山居るんでな。悪いがこれ以上は』

 

「邪魔だ」

 

そのままビームスプレーガンで旧ザクを撃ち抜く。旧ザクは何も出来ずに爆散。そしてカタパルトから出撃しようとするザクを捉える。

 

『わあああ!?目の前に敵が!?』

 

「終わりだ」

 

ビームスプレーガンをザクに向けて乱射する。ザクは何発もビームを受けて格納庫付近で爆発。そのままビームスプレーガンで更に撃ちまくる。

 

『敵の攻撃だ!第4格納庫はもうダメだ!?』

 

『不味いぞ!弾薬庫に引火するぞ!全て宇宙に捨てるんだ!?』

 

それは艦橋内部にも直ぐに報告が行く。

 

『第4格納庫隔壁閉鎖。これ以上の被害は不味いぞ』

 

『しかし中には未だ整備兵とパイロットが』

 

『この空母ドロスを沈ませる訳にはいかん。数百の犠牲で済むなら問題無い。隔壁閉鎖しろ!』

 

更に他のジム部隊は空母ドロス付近で敵と交戦。その隙にボール部隊が空母ドロスのエンジン部分に取り付く。

 

『各機撃ちまくれ!此処をやればドロスは最早虫の息だ!』

 

ボールの180㎜程反動キャノンから放たれる砲弾が次々とエンジン部に直撃。そして遂にドロスのエンジンから悲鳴の様な爆発が起きる。しかし直後にボール部隊はドロス隊のモビルスーツ部隊により壊滅する。

 

『モビルスーツ隊は何をやってるか!司令部との通信はどうなってるか!?』

 

『現宙域を防衛せよとの事です!』

 

『これ以上の被害を受けてはドロスとて持たんぞ!後続の部隊はどうなってる!』

 

『第8セクション火災発生!消化剤を大量に持って来い!』

 

『この艦が落ちたら終わりなんだぞ!何としても守り切れ!』

 

ドロスから次々と爆発が起きる。特にエンジン部の燃焼と爆発が止まらず、更に被害は拡大する。

 

『私の母艦が…おのれ、連邦め!!!』

 

黒き閃光と呼ばれるジオンのエースパイロットは出撃して空母ドロスの現状を目の当たりにする。ドロスにはジムがハイパーバズーカで機銃座や砲台を破壊したり、ビームサーベルで艦艇に穴を開けていた。そこから漏れ出すのは空気だけでは無かった。

 

『貴様らあああーーー!!!』

 

黒き閃光は自身の機体である高機動型ザクのブースターを全開にして地球連邦軍に攻撃を仕掛ける。しかし、最早空母ドロスは限界だった。

 

「もうこの区画はダメだ!逃げるぞ!」

 

「ま、待ってくれ!わあああ!!!」

 

爆発に飲み込まれる乗員達。

 

「誰か!この扉を開けてくれ!頼む!火が!」

 

「嫌だ!こんな所で死にたく無い!助けてくれ!」

 

取り残された乗員は悲鳴を上げて死んで行く。

 

「艦長!機関室に被害が出てます!また各セクションにも被害多数!これ以上は艦が保ちません!」

 

「そうか……」

 

空母ドロスの艦長は静かに目を閉じる。艦の爆発は収まらず振動がドロス全体に響き渡る。そして艦長は最期の命令を降す。

 

「本艦はこれ以上の戦闘は不可能と判断。これより退艦命令を発令。脱出艇を用意して脱出せよ」

 

しかし、この退艦命令は遅過ぎた。最早空母ドロスには地球連邦軍の攻撃を耐え切る事は出来無かった。そして、退艦命令が出て僅か数分後には空母ドロスは各部で爆発の連鎖が起こる。それは乗員だけで無く、多くのパイロットやエースパイロットをも巻き込んで行く。

 

宇宙世紀0079.12月31日9:40。Nフィールドにて大型空母1番艦【ドロス】轟沈。乗員の生死不明。

 

ジオン公国軍はNフィールドの防衛網に大きな穴が空いてしまったのであった。








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