宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型
<< 前の話 次の話 >>

54 / 85
一年戦争終結

目が覚めたら知らない天井が見えた。いや、多分一度位は見た事が有ると思う。独特の匂いに気付き、此処が医務室だと直ぐに理解した。

 

「俺は…そうだ、敵は?仲間は無事なのか!戦いはどうなってる!?」

 

「目が覚めた様だな。先ずは落ち着きたまえ、シュウ・コートニー少尉」

 

声のする方を見れば軍医が此方を見ながら他の怪我人を見ていた。軍医は他の者に患者を任せて此方に来る。

 

「さて、先ずは戦況を伝えよう。地球連邦とジオン公国…いや、ジオン共和国は終戦協定を結んだ。そして、我々地球連邦はジオン公国に勝利した」

 

勝利。そして終戦協定。遂に、長かった悲惨な戦争が終わったんだ。

 

「そして、此処はサラミス級ロイヤルの中だ。コートニー少尉の小隊は君とレイナ・ラングリッジ中尉が生き残った」

 

俺とレイナ中尉が生き残った。つまり、アークは。

 

「残念ながらアーク・ローダー上等兵はKIA(戦死)が確認された。コクピット直撃だったらしい」

 

「そう、ですか…」

 

分かっていた事だ。アークは俺の目の前で死んだ。俺がもっとしっかりしていれば。

俺は自身の手を握り締める。自分自身の中途半端な考え方の甘さがアークを殺した。もっと非道に成っていればアークはきっと…。

 

「君が何を思ってるかは分からない。だが、戦場は皆が平等になる場所だ。自分を責めても意味は無い」

 

「なら!アークは何で死んだ!俺が、俺が敵を殺してれば…」

 

俺は俯き嘆く。それ以外何も出来無いから。そんな俺に軍医は言う。

 

「君は神にでもなったつもりかね?残念ながら君は唯の人間であり唯の兵士に過ぎん。それに戦場はそんな甘い場所では無い。それは君自身が良く理解してる筈だ」

 

「っ……」

 

何も言えなかった。言葉が出てこなかった。そんな事は無いと言えなかった。いや、分かっていた。戦場は個人の力ではどうする事も出来無いと。

 

「今は何も考えずゆっくり休みやさい」

 

軍医は一言残して他の怪我人を見に行く。大切な親友を失った哀しみ。戦争が終結した喜び。これから先の見えない不安。だから目を閉じて涙を流す。安堵と哀しみの感情を抱きながら。そして、これ以上の犠牲者が出ない事を願いながら。

 

宇宙世紀0080.1月4日。シュウ・コートニー少尉原隊復帰。

 

あの後レイナ中尉、ルイス軍曹からは凄く心配され、アーヴィント中尉やモンド軍曹からも無茶をするなと言われる。他の仲間達からも沢山声を掛けられた。多分アークを失った事が表情に出てしまってたかも知れないな。

そんな中、俺は格納庫に来ていた。自分の機体を確認する為だ。

 

「うわー…これ、スクラップ一歩手前だよ」

 

其処には大破判定確実の試作ジム改が有った。左腕と右脚は無くなっており、左肩はヒートホークの傷跡が残っていた。他にも被弾した痕跡が有り、良くこの状態で戦ったと思ってしまった。

 

「本当よね。もうスクラップ行きは確実ね」

 

「いきなり出て来て悲しい事言わないで下さい。此奴は俺の愛機ですよ?」

 

「その愛機を大破にしたのは何処の誰かさんかしらね?」

 

何処からともなく現れたレイナ中尉と話をする。そしてレイナ中尉の言葉に対して反論は出来なかった。

 

「それでも、私はシュウに感謝してる。だってシュウが前線に出てなかったら私は生きて帰って来れる自信は無いわ」

 

「何言ってるんですか。レイナ中尉だって充分な腕前が有るでしょう。それに隊長だから指揮だってしてる訳ですし」

 

「私…殆ど指揮して無い」

 

「そ、そんな事は…」

 

無いとは言えないかなぁ?いや、でもレイナ中尉が隊長に就いてるのは納得してるし。

 

「良いじゃないですか。指揮いらずの優秀な部下が居ると思えば」

 

「自分で優秀とか言うなよな〜。このこの〜!」

 

レイナ中尉は俺の頭を腕に抱え込みホールドする。色々嬉しい展開だが、今はやめて欲しい。

 

「レイナ中尉、腕離して下さい」

 

「嫌よ。だってアンタの雰囲気暗いもの。それに、部下の面倒を見るのは隊長の役割でしょう?」

 

「レイナ中尉…やっぱりな」

 

(立派な隊長だよな)

 

間違い無くレイナ中尉は優秀な隊長だよ。本人は過小評価してるけど。

 

(まあ、口には出さないけどな!)

 

間違い無くレイナ中尉は調子に乗るからな。黙っておこう。

この後、モンド軍曹から試作ジム改の処遇を伝えられた。

 

「先ずは結論から言いましょう。試作ジム改は解体、撤去されます」

 

「やっぱりですか。何となく予想はしてましたけど」

 

試作ジム改は想定以上の機動戦を行った為、各部の関節部の損傷とフレームの歪みを発生させてしまったのだ。

 

「此奴は少尉と最後まで戦い続けました。試作機で有り、後継機の存在は無いと決定された機体です。少尉と共に戦い全てを出し切りました。コートニー少尉を護りきれたのです」

 

モンド軍曹の言葉を聞きながら試作ジム改を見続けだ。RGM-79ジムのOSを引き継ぎ、試作ジム改となった愛機。俺の無茶な機動に自身を壊してまで最後まで付き合ってくれた。なら、もう休ませてやるべきだろう。

 

「そうですね。なら、見送ります」

 

俺はモンド軍曹に伝える。そして試作ジム改を再び見る。満身創痍と言える状態まで付き合ってくれた。なら、俺がわがままを言う訳には行かない。最後までしっかりとした姿勢を示すべきだ。

 

「ありがとう。ゆっくり休んでくれ」

 

RGM-79CRP試作高機動型ジム改に対して感謝と敬意を込めて敬礼をする。俺は大丈夫だと安心させる為に。

 

「そうだ、俺の次の乗機は何になります?」

 

「あー、それが…アレですね」

 

モンド軍曹の視線の先を見るとRB-79ボールが鎮座していた。そのモノアイ?部分が確実に光ったのが見えたのだった。

 

「マジか…」

 

(試作ジム改の修理要請しようかな?)

 

割と本気で考えたのだった。因みにレイナ中尉は今まで空気を読んで黙っていたが、俺の乗機を知り声を殺して大爆笑してた。

 

「声漏れてるんだよ!笑うなら声出して笑えば良いじゃ無い!」

 

「アッハッハッハーーー!?アンタの乗機がボール?チョーウケるんですけどーーー!?」

 

本当に遠慮無く笑いやがって。いつか締めてやる!

この時、俺は多少なりとも気落ちしてた気分が戻っていた。何だかんだと色んな人達に気を使われていたと感じたのだった。

アークを失った哀しみは有る。だが、愛機に対してしっかりとした姿勢を示した。なら、親友に対しても示さないとな。

俺は空元気を振り絞りながら声を上げるのだった。空元気を出し続ければ、その内元気になると信じて。

 

 

 

宇宙世紀0079.1月3日。この日、ジオン公国が地球連邦に対する宣戦布告を行った。それから一年と言う長い間激しい戦いを続けて来た。

地球連邦政府は再び中央集権体制を確立し、地球圏に再び平和と安定を約束する。そしてザビ家の様な行いを再び起こさない為に。

しかし、それは地球連邦軍の武力をより強力な物にジオニズム自体を早期鎮圧する為に過ぎ無いのである。争いの火種は燻り続ける。暗礁宙域で再起を起こさんとする者達。スペースノイドの真の独立を目指す者達。地球連邦政府の横暴に反感を持つ者達。

だが、誰もが願うのは同じ。其処に立場など関係無い。戦いの先に有る平和な世界を求めて。

 

一年戦争で散って行った全ての英霊に対して哀悼を込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙世紀0083.10月。ジオン公国残党軍将校の通信記録。

 

【我々は、3年…待ったのだ】




改めて思った事。ア・バオア・クー戦長ーい!8話分有るじゃーん!

そう言えば高機動型ジムカスタムとか誰か乗ってたのかな?誰も居なかったら使おうかと思うんだ!





※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。