宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型

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誤字報告ありがとうございます。何時も助かってます。
更にレビューも書かれてましてドギマギしました。本当にありがとうございます( ^ω^ )
時間があれば最初に投稿した物も直したいと思います。

後はオリジナル兵器に追加有ります。


第217パトロール部隊VSシュウ・コートニー1

「ふう、何とか勝てたな」

 

『お見事です、コートニー中尉。流石ベテランと言った所でしょうか』

 

「そんなんじゃ無いですよ。恐らくプライドが問題だったと思いますよ」

 

AE社のテストパイロット達の能力は高かった。だが、連中は連携を疎かにした感じが有った。恐らくテストパイロットとしてのプライドが仲間との連携を阻害した可能性が有る。

俺とて1対3で確実に勝てるとは思わない。だが、最初にバラバラに行動してくれたお陰で助かった訳だ。

 

『そうですか。それでは弾薬、推進剤の補給後に再度模擬戦を行います。それて宜しいでしょうか?』

 

「はい、構いません」

 

俺は次の模擬戦に備えて準備をする為に一度格納庫に向かうのだった。

 

……

 

弾薬、推進剤を補給した後再び宇宙に飛び出す。そして暫く待機してると、それはやって来た。

 

『フッフッフッ、待たせたわね!今回の模擬戦の相手はこの戦力よ!』

 

『さあ、シュウ中尉存分に楽しんでくれ給え』フワァ

 

ノリノリのレイナ大尉とアーヴィント少佐。

 

「おいおい、マジかよ。マジで…アレを相手にするのか?」

 

その正体はサラミス改級のロイヤルだった。しかし形状が多少変わっていた。先ず一番目を引いたのは艦底に増設されてるハンガーとカタパルトだ。下部主砲を撤去してモビルスーツ搭載能力を向上させたのだろう。そしてハンガーには対空砲も設置されていた。

 

『さあ、モビルスーツ隊出撃よ!』

 

『『『『『『『了解!』』』』』』』

 

更にロイヤルの上に搭乗していたウィスキー小隊、ロック小隊の6機のジム改が飛び立つ。更にカタパルトからある機体が2機発進する。

 

「なっ!?あの機体は新型じゃ無いか!」

 

ロイヤルから発艦したモビルスーツはジム・カスタムFbのベース機となってる物だった。何時の間にあんな物を配備したんだ。

 

『その通りよ!でも正直このジム・カスタムで貴方に追い付ける自信は無いけど』

 

『自分もしっかり援護出来るか自信無いです…』

 

レイナ大尉はジム・カスタム、ウィル少尉はジム・キャノンⅡに搭乗して出撃する。

 

「と言うかお前達ウィスキー、ロック小隊の連中はコロンブスの搭載機だろ!」

 

コロンブスの艦載機が出て来るのは理解していた。だが、ロイヤルまで相手をするなら話は別だ。そうそうに退場して欲しい所だ。

 

『そんな釣れない事言うなよな。お前さんの為に態々来てやったんだ』

 

『今迄の連戦連敗の借りを今日返してやるぜ。今此処に面子やプライド何ぞ要るかってんだ』

 

「そ、そこまでして俺に勝ちたいのか?」

 

『『勝ちたい!』』

 

小隊リーダー2人は気合充分と言わんばかりに返事をする。

 

『それに対シュウ・コートニー戦術を試す良い機会だぜ』

 

『楽しみにしてろよ?謝ったって容赦し無いがな!』

 

『『ワッハッハッハッ!!!』』

 

コイツら…何が対シュウ・コートニー戦術だよ。だが、ジム・カスタムFbをフルに扱い切れればそんな物何て関係無いさ。

 

『コートニー中尉、ラングリッジ、ウィスキー、ロック小隊及びロイヤルの準備完了しました。其方は如何でしょうか?』

 

「ハイパーバズーカを追加でお願いします。此処まで来たら引き下がるのも癪ですしね」

 

此方も首の凝り解して行く。そして暫くしてハイパーバズーカを装備。これで此方も準備完了だ。

 

『では模擬戦のルール説明を行います。状況はミノフスキー粒子散布後の戦闘になります。コートニー中尉の撃墜、もしくはロイヤルの撃墜の何方かで終了となります。又、艦載機は全て撃墜する必要は有りません』

 

「成る程ね。了解した。此方は何時でも大丈夫です」

 

機体を所定の位置に止めながら返事をする。そして、オペレーターからカウントダウンが始まる。それはジム・カスタムFbの最後の試験が始まる事だ。

 

「シュウ・コートニー、ジム・カスタムFb出るぞ!」

 

試験開始と同時にブースターを全開にして宇宙に飛び立つのだった。

 

……

 

「さて、シュウ中尉はどうやって来るかね」

 

アーヴィント少佐は艦橋から見える宇宙を見据えながら呟く。ジム・カスタムFbの性能表には一通り目を通してるだけで無く、シュウ中尉の操縦センスも充分理解していた。

 

「ルイス少尉、シュウ中尉はどの様に攻めて来ると思うかな?僕は上から来ると予想してるがね」

 

帽子の位置を直しながら意見を言う。それに対してルイス少尉は少し考えながら発言する。

 

「シュウ中尉の取れる選択は多く有りません。今回の模擬戦ではミノフスキー粒子が散布されてますが、レーダーやミサイル等は多少なりとも使用可能です」

 

「そうだね。正直、この模擬戦の勝敗は最初から決まってる物だからね」フワァ

 

サラミス改級は優秀な艦である事はアーヴィント少佐自身が良く理解していた。更に護衛となるモビルスーツは8機。其処に新型2機も付いてるのだから負ける要素がほぼ無いに等しい。だからこそシュウ中尉がどの様に攻めて来るか気になる訳だ。

 

「私は、シュウ中尉は正面から来ると思います」

 

「砲門数が若干減ったがロイヤルの正面火力は高いのだがな。それでも正面から来るのかね?」クルクル

 

自身の前髪を指で弄りながらアーヴィント少佐は問う。

 

「だからこそです。その火線の前では味方部隊は展開出来ません。それに、シュウ中尉自身の戦い方は一撃離脱です。恐らく向こうが捕捉されたと理解した瞬間…来ます」

 

それから直ぐにレーダーに反応が出た。

 

「レーダー反応…12時の方向。正面です」

 

「やれやれ、まさか本当に正面からとはね。ロイヤルを月の地表に近付ける。ロイヤルから攻撃はまだするな。ウィスキー、ロック隊は直ちに迎撃に当たれ」

 

アーヴィント少佐はウィスキー、ロック小隊に迎撃命令を降す。それと同時に彼等は動き出す。

 

『野郎共、遂に奴を叩き落とすチャンスが来た。今日この日を持ってコートニー中尉を潰すぞ!』

 

『今迄の訓練の成果を出して見せろ。そうすれば確実に勝てる!』

 

両小隊長は部下達を鼓舞する。

 

『そうだよな。このまま負けっ放しなのは頂け無いし』

 

『確かにな。大体、彼奴の機動が可笑しいんだよ。同じ機体と言われても信じられんもんな』

 

『中身が変なんだよ。中身がな。特にパイロットと言える場所が一番変なんだよ。多分何所かがバグってるぜ』

 

仲間達はシュウ中尉に対して言いたい放題だ。今迄負けっ放しで鬱憤が溜まってるのかも知れない。因みにこの時シュウ中尉はクシャミを一つしたとか。

 

『各員その意気だ。さて、そろそろ会敵するぞ。各機密集陣形を取れ』

 

ウィスキー、ロック小隊はシールドを構えながら各小隊で固まる。

 

『良いか?交互に撃ちリロード中はカバー。そしてお互いシールドで手堅く防ぐ。奴の土俵で戦うのは無理だからな』

 

彼等はシュウ中尉の高機動能力を認めていた。だからこそ同じ土俵で戦えば即敗北するのも理解してしまったのだ。

 

『隊長、12時の方向に反応出ました。ガルム2が此方に来てます!』

 

『おいおい、何て速度だよ。もう直ぐ其処まで来てるじゃねえか』

 

『各機迎撃用意!奴を見つけ次第攻撃開始だ!』

 

そして遂にシュウ中尉とウィスキー、ロック小隊との戦いが始まるのだった。

 

……

 

俺は地表スレスレで飛行しながらレーダーを確認。ミノフスキー粒子が散布されてる物の小細工等は意味が無い。

 

「クシュン!ズズ。まあ、小細工出来る装備は無いけど」

 

クシャミを一つしながら結論を出す。やる事は単純に正面から攻めるだけだ。リスクは高いが他の方法だとジリ貧になるだろう。丁度その時レーダーに反応が出た。

 

「前衛はウィスキーとロック小隊か」

 

この模擬戦の勝利条件はロイヤルの破壊だ。なら素直に相手をする必要は無いだろう。そもそも対シュウ・コートニー戦術とか意味分かんないのと素直に相手をする義理は無い。

 

「でも、それだと後々面倒だよな」

 

あの小隊には毎回勝たせて貰ってる。序でに食堂でのオカズを一品頂いてる。だけど、その分相手をしないと色々文句を言われる。いや、どちらにしろ文句は言われるか。

 

「仕方ないか。ある程度は相手をしてやるさ」

 

じゃないと実戦の時に不確定要素を持ち込む形になる。それにオカズを一品頂け無くなりそうだし。

 

「さて、行きますか」

 

躊躇無くブースターを全開にしてウィスキー、ロック小隊に襲い掛かる。相手は直ぐに反応して防御陣を築く。此方のロング・ライフルの射程に入り射撃を開始。

しかし、小隊は散開する事無く固まったまま回避行動を取る。そして90㎜マシンガンとビームスプレーガンで迎撃する。

 

『各機、味方との連携を崩すな。しっかり固めて行けば必ず勝てるぞ』

 

『この野郎!この前のハンバーグの恨みは忘れてねえぞ!』

 

『俺はチキンナゲットだ!』

 

『大好きなプリンちゃんをよくも…絶対に許さ無い!』

 

『これ以上の悲劇を起こす訳には行か無いんだ!』

 

この瞬間、彼等の思いは一つになった。必ずシュウ・コートニーを撃破し恨みを晴らして見せると。

 

「他の人から頂くオカズやデザートはどれもこれも美味かったよ。また今日も御馳走になるよ」

 

『『『『『『やらせるかあああ!!!』』』』』』

 

通信内容はとても幼稚だったが、その戦闘は侮れ無い物が有った。90㎜マシンガンとビームスプレーガンの弾幕は殆ど途切れる事は無く、お互いしっかりとカバーし合っていた。

更にシュウ中尉が上空に逃げようとすればロイヤルからの艦砲とミサイルが放たれる。しかし、艦砲を回避しながらミサイルをあっさり迎撃又は回避してしまう。

 

『良い感じだ。奴を追い詰めるぞ。この調子なら勝てるぞ!』

 

『攻め切るチャンスが無いって訳か。これは勝負有ったな』

 

ウィスキー、ロック小隊のメンバーは勝ちを確信する。しかし、彼等はシュウ・コートニーの事を全て理解していなかった。

 

「連携は中々良かったな。だけど、それ以上の弾幕と連携は散々体験して来たよ」

 

シュウ・コートニーは一年戦争を生き抜いて来た男。更にRGM-79CRP試作高機動型ジム改に搭乗してア・バオア・クー攻防戦を駆け抜けた。故にたった6機のジム改とサラミス改からの弾幕は…緩いと感じていた。

 

「じゃあ、そろそろ仕掛けるか」

 

ジム・カスタムFbをウィスキー、ロック小隊に向けて突撃させる。無論相手は迎撃する為に90㎜マシンガンとビームスプレーガンで弾幕を展開。しかし、殆どを回避され数発をシールドで防がれてしまう。

そしてロング・ライフルで反撃されシールドを構えるウィスキー小隊のメンバー達。その横を通り過ぎた瞬間だった。ジム・カスタムFbの追加ブースターとAMBACにより瞬時に反転。背中がガラ空きのウィスキー小隊がモニターに映し出される。

 

「チェックだ」

 

ロング・ライフルから放たれる90㎜弾が容赦無く襲い掛かる。そして瞬く間にウィスキー小隊は大破判定を受けてしまう。

 

『嘘だろ!?一瞬でウィスキー小隊をやりやがった!?』

 

『然も反転しながらの逃げ足が速いぜ』

 

『アレが試験機…いや、試験機とコートニー中尉の実力か』

 

ロック小隊は全滅したウィスキー小隊を見ながら呟く。

 

「さて、ロック小隊もやらせて貰うぞ」

 

ロイヤルからの砲撃を回避しながらロック小隊に襲い掛かる。

 

『もう来やがった!ヤバイぞ!?』

 

『兎に角撃て!俺達のオカズが、オカズが!』

 

ジム・カスタムFbをから身を守る為再びシールドを構えながら射撃するロック小隊。

 

「二度も三度も同じ手は悪手だぞ」

 

左手にハイパーバズーカを装備しながらロング・ライフルを撃つ。そして至近距離からハイパーバズーカを連射する。幾らシールドを構え様とも大破判定を受けて仕舞えばシールドは使え無い。そしてシールドの大破判定と共に2機のジム改が撃破される。

 

『こ、このまま…引き下がれるかあああ!!!』

 

最後のジム改は模擬刀を抜き接近戦を仕掛ける。だが此方は追加ブースターを反転させ後退している為、距離が中々詰まらない。その隙にハイパーバズーカで狙いを付ける。

 

「悪いな。これで終わりだ」

 

ハイパーバズーカから放たれた弾は真っ直ぐにジム改のコクピットに向かう。そして最後のジム改が大破判定を受けて動きが止まるので有った。


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