宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型
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観艦式1

手練れが操縦していたザクを撃破した後、逃走したザクを追跡する。しかし、ザクはレーダー外に離脱した為追跡が困難な状況だ。

 

『中尉、敵を見失いました。どうしましょう?』

 

「そうだな。追撃は厳しいな。それに、あんまりロイヤルから離れ過ぎるのも不味いしな。ガルム1、一旦帰還を進言します」

 

『そうね。それにまだこの辺りに残党軍が潜んでる可能性も有るしね。ガルム1より各機に通達。一旦帰還して再捜索を提案するわ』

 

他の連中も同じ事を思っていたのだろう。反論も無くアッサリ提案に乗る。こうして一時帰還をしてローテーションでC区画の索敵を行うのだった。

 

……

 

宇宙世紀0083.11月10日。地球連邦軍はコンペイ島宙域にて観艦式を行う。

 

遂に地球連邦軍による観艦式が開始される。それと同時に各防衛エリアでジオン公国残党軍の攻撃が活発化する。それは俺達第217パトロール艦隊も例外では無かった。ジオン公国残党軍は先日までの散発的な動きは無く、組織的に此方に攻勢を仕掛けて来る。其れ迄の嵐の静けさが嘘の様である。

 

『ロイヤルよりモビルスーツ隊に通達。2時方向に敵を確認。ザク6機、リックドム3機、それから高速で接近する未確認機を2機確認。直ちに迎撃に当たって下さい』

 

ジオン公国残党軍は今迄は此方を避ける様に行動していた。だが、今は明確な目的の元に此方に攻撃を仕掛けて来る。

 

『ま、また増援ですか?一体何機いるんですか!』

 

『こっちはまだ片付いてないわよ』

 

『此方ウィスキー小隊、現在ロック小隊と共に敵と交戦中。此奴等間違いない。正規軍だ!』

 

『クソッ!かなりの手練れだ。各機互いにフォローし合え。気を抜いたら殺られるぞ』

 

そしてウィスキー、ロック小隊も現在別の宙域で交戦中。

 

『此方も敵と交戦中。残党の割には手が込んでるじゃないか』

 

『ラルフ1よりロイヤル。此方も身動きが取れそうに無い。寧ろ増援を寄越してくれ』

 

更に他のモビルスーツ部隊も敵と交戦しており身動きが取れない。

 

「ルイス少尉、未確認機の位置は?」

 

『未確認機は間も無く艦隊の射程に入ります』

 

それと同時に第217パトロール艦隊と同宙域の防衛に当たってるサラミス改級6隻の砲塔が動き出す。そして躊躇無く砲撃が開始される。

 

『未確認機更に速度を上げて接近!』

 

『ミサイル発射!対空戦闘用意!』

 

ロイヤルを中心としてサラミス改級からミサイルが多数放たれる。だが、敵の進行は止まらない。

 

「ガルム2よりガルム1へ。俺が向こう側の敵の足止めを行います。今ならまだ間に合います」

 

『良いわ。行きなさい。こっちもサッサと片付けて合流する。ガルム3、行くわよ!』

 

『了解です。行くぞ残党軍め!』

 

残り3機のザクに対し攻撃を仕掛けるガルム1、3。そして此方もブースターを全開にして艦隊に向かう。

 

「ガルム2よりロイヤル!今から其方に向かう。だから沈むんじゃないぞ!」

 

『了解です。艦長、間も無く敵が対空砲の射程に入ります!』

 

『対空防御。敵を近づかせるな。意地でも叩き落とすんだ!』

 

そして未確認機がMS-21D1ドラッツェ改と言うジオン公国残党軍が作り上げたモビルスーツだと、この戦いの後から知ったのだ。

 

……

 

ドラッツェ改のパイロットは己の機体のメリットとデメリットをよく把握していた。この機体はAMBACが殆ど作動せずモビルアーマー寄りだと言う事。そして圧倒的な加速性と素性の良さを持ち合わせている事。

 

『マーク1よりマーク2。どうやら敵さんのモビルスーツ隊はお留守の様だな』

 

『味方の陽動が上手く行った様だな。なら、彼奴等は鴨同然だ。対艦戦なら此方に分が有るからな』

 

そう、彼等は対モビルスーツ戦より対艦戦に重視していた。確かにモビルスーツ相手には運動性が無い為分が悪い。ならば、いっその事対艦戦一択にしてしまえば良いのでと考えたのだ。

そして、自分達に与えられた機体がMS-21D1ドラッツェ改。MS-21Cドラッツェより性能向上を果たし、更に右腕は通常のマニュピュレーターに戻されている。その為武装はザク、リックドムとの共通で使用可能になったのだ。

自分達の機体に搭載してる武装はザクバズーカ、シールド、ビームサーベル、更にプロテクトタンク兼スラスターにはシュツルム・ファウスト4つ搭載。その火力は決して侮れる物では無い。

 

『敵艦を視認。突っ込みながら1隻は仕留めるぞ』

 

『マーク2了解。なら旗艦を潰す』

 

サラミス改級からのビームとミサイル群を回避して行く。そして、対空砲が火を噴くのと同時にザクバズーカが放たれる。

 

『ほら喰らいな。遠慮は要らんぞ』

 

2機のドラッツェ改は第217パトロール艦隊を中心とするサラミス改級に向けてザクバズーカを放ちながら接近するのだった。

 

……

 

「敵2機此方に向かってきます!」

 

「弾幕、敵2機に対し集中砲火しつつ上舵を取れ。回避任せる」

 

対空砲の弾幕が展開されたのと同時にザクバズーカからも火が吹く。

 

『モビルスーツも無い艦隊何ぞ、怖く無いんだよ!』

 

『このまま擦れ違いざまに1隻堕とす』

 

ザクバズーカの弾頭に混じる様にドラッツェ改は突っ込む。サラミス改級から放たれる弾幕に怖気る事無く的確に回避して行く。

 

「敵、弾幕を抜けてきます!」

 

「ミサイル発射!爆破設定1秒にし、艦を正面に向けるんだ!」

 

ロイヤルからミサイルが放たれる。ミサイルはドラッツェ改とロイヤルの間に爆煙が生じる。

 

『そんな子供騙し何ぞに引っかかるか。これで終わりだ!』

 

2機のドラッツェ改は躊躇無く爆煙に突っ込む。それと同時にアーヴィント少佐は指示を出す。

 

「急速前進!突撃だ!!!」

 

「り、了解」

 

そしてドラッツェ改のパイロットは信じられない物をみる。爆煙を抜けると旗艦の艦首部分がモニター一杯に映る。

 

『ッ!?』

 

余りに予想外な光景に思考が止まる。反射的に機体を動かすが最早間に合わない。ドラッツェ改の加速性の高さと運動性の低さが仇となり、コクピットに艦首の先端が突き刺さる。

 

『マーク1!貴様あああ!!!』

 

仲間の仇討ちだと言わんばかりにシュツルム・ファウストを2発発射。弾頭はロイヤルの艦橋下と右舷主砲に直撃。

そのまま通り過ぎ、後方に向けてシュツルム・ファウストを向ける。このギミックはMP-02Aオッゴの部品を流用している為、後方に向けて攻撃が可能となっている。

 

『これで堕ちろおおお!!!』

 

更にシュツルム・ファウストを発射。

 

「迎撃!撃ち落とせ!」

 

ロイヤルからの対空砲の弾幕がシュツルム・ファウストを狙う。しかし、近距離からの攻撃を迎撃するのは困難を極める。弾頭はロイヤルのエンジン部分に2発被弾。

 

「く、被害報告を知らせろ」

 

「右舷主砲大破。艦橋下、第2補助ノズル、エンジン部に被弾。更に被弾の衝撃により機関室にて火災発生。及び負傷者多数」

 

「メインエンジン停止。消火急げ。衛生班、ダメコン班も出動させるんだ」

 

「了解です」

 

ロイヤルは撃沈には至らなかったが、一時的に身動きが取れなくなる。

 

『チィ、次こそは…ッ!モビルスーツだと?』

 

マーク2がレーダー反応を確認する。それはジム・カスタムFbが高速で迫っていた。

 

『何だこの速度は?クソ、ここまでか。一度味方と合流する』

 

マーク2は冷静に状況を判断する。仲間を殺されたが、自身が死んでは仇討ちが取れなくなる。そして、何より作戦の成功を見届けなくては意味が無い。機体を回避機動を取る様に動かしながら味方の方に向かう。例えジム・カスタムFbが高機動と言え、ドラッツェ改の加速、高速性は群を抜いているのだった。






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