お前ら、止まるんじゃ…ねぇぐわっはっぷげらっぱあ!?←オーバーリアクション
宇宙世紀0083.11月11日。ロイヤル、レオニードは月と地球の間付近に到着。
同時刻、月に向かっていたコロニーはAE社との事前の裏取引により推進用レーザーがコロニーに向け照射。コロニーは推進剤点火により月の引力を抜け地球落下軌道に入る。また、ステンファン・ヘボン少将率いる艦隊の大半は推進剤不足となり追撃不可能になる。この時ステファン・ヘボン少将は自身の置かれた状況を見て「謀られた」と呟いた。
同日、地球連邦軍アルビオン隊はAE社の所有するラビアンローズと接触。ガンダム試作3号機を受領する。
宇宙世紀0083.11月12日。地球連邦軍アルビオン隊は単独行動を取り、ガンダム3号機単機にてデラーズ・フリートと交戦。コロニー落としの阻止を行うも、アクシズより譲渡されたノイエ・ジールと交戦し足止めを食らう。
同日、デラーズ・フリート所属シーマ・ガラハウ中佐が地球連邦軍上層部のコリニー派との裏取引に成功。星の屑の最終目標等を伝える。更にこの情報を元にコリニー派はジョン・コーウェン中将を更送。
地球連邦軍第1地球軌道艦隊、コロニー落下軌道上に展開開始。
様々な思惑、思想、そして憎悪が運命を大きく揺さぶる。その運命の荒波の中を兵士達は駆け抜ける。自分達の正義と信念を信じて。
宇宙世紀0083.11月12日。
ロイヤルとレオニードは月と地球の間の近くで待機していた。その間にも味方からの情報は逐一入って来くる。そして事態は最悪な状況に陥ってしまう。月へ向かっていたコロニーは突如進路を変更。月の引力を抜け地球への落下軌道へ入ったのだ。そんな中アーヴィント少佐は少しだけ物思いに耽っていた。
(父上。僕は必ずコロニー落としを止めてみせます。ですから、どうか僕達を見守って下さい)
アーヴィント少佐は目を開け目の前の状況を確認して行く。そして俺達モビルスーツパイロットはいつでも出撃出来る様にコクピット待機を命じられていた。
……
コクピットの中は静かな物だ。偶にモニターとかの機械が動く音が聞こえるくらいだ。そんな中、俺は目を瞑って考えていた。
(ベルガー・ディードリッヒ。奴もまた一年戦争の犠牲者なんだ。例えアークを殺した奴だとしても)
それと同時に思う。奴との決着の時は近いと。必ず奴は俺の前に現れる。その時、俺は戦う。そして俺は俺のやり方で戦う。
(アーク、見ててくれ。お前や他の人達の死を無駄にはしない。絶対にだ。だから…まだ成仏すんなよ)
俺は拳を握り締めながら意識を集中させるのだった。
……
(またコロニーを落とすなんて。それにアーヴィントのお父さんまで。信じられない)
レイナ・ラングリッジ大尉もまたコクピットの中で考えていた。
(シドニーの二の舞なんて絶対に許さない。それだけは阻止しないと…また、私やアーヴィントみたいな人が大勢出来てしまう)
彼女の母と弟は一年戦争時、ジオン公国軍が行ったブリディッシュ作戦によってオーストラリアの首都シドニーと共に消えた。突然の家族の死。自分達には関係が無いと思っていた。だが戦争は大勢の人々を巻き込んで行く。其処には慈悲も救いも無かった。
(絶対にコロニーを止める。同じ過ちは繰り返させない)
レイナ大尉は改めて決心する。コロニー落としを阻止してみせると。
……
「ベルガー少佐、遂にコロニーは地球への落下軌道へ入りました」
「そうか。流石はデラーズ閣下の戦術と言えよう。まさか、これ程まで連邦軍を掌で踊らさせるとは。見事としか言えんな」
ベルガー・ディードリッヒ少佐が率いる艦隊もデラーズ・フリートと合流を果たす。その時、彼等の近くを1機の大型のモビルアーマーが通る。
「あの機体は?」
「アクシズより譲渡された機体だと聞いてます。確かパイロットはアナベル・ガトー少佐です。ついさっき観艦式襲撃を成功させた英雄ですよ」
「アナベル・ガトーか。また懐かしい名だ。彼と通信を繋げれるか?」
「少しお待ち下さい」
暫く待つと通信が繋がる。
「久しいな、アナベル・ガトー。先ずは観艦式襲撃お見事だと言っておこう」
『ベルガー・ディードリッヒか。やはりお前なら我々と共に呼応してくれると信じていた』
「当たり前だ。例えデラーズ・フリートが無くとも私はジオン軍人としての誇りを貫かせて貰うさ」
ベルガーの言葉を聞きガトーは笑みを浮かべる。
『その言葉を聞けて安心した。これで心置き無く戦えると言えるもの』
だがベルガーはその言葉に待ったを掛ける。
「ガトー。済まないが私は別の戦いをしなければならない」
『別の?それは一体』
ガトーは少し眉を顰める。しかし、ベルガーは言葉を続ける。
「一年戦争の時からの因縁と言う奴だ。奴との決着を付ける事が出来るなら、私は…」
ベルガーの目にはガトーの姿を写しては無かった。そして独り言の様に呟く。
「この命散ろうとも悔いは無い」
そして静かに闘志を燃やす。その姿を見てガトーは静かに目を瞑る。そして一言伝える為口を開く。
『そうか。なら…思う存分に行くが良い。だが、死に急ぐ出ないぞ』
ガトーはそう言い残し通信を切る。
「無論だとも。このままでは死ぬに死に切れんからな」
ベルガー少佐は誰に言う事も無く一人呟く。そんな彼を周りの部下達は心配そうに見守るしか出来なかったのであった。
……
ロイヤルとレオニードがコロニーの地球落下軌道コースに居た頃、地球連邦軍第1地球軌道艦隊が地球上に展開しつつあった。そしてロイヤルとレオニードの位置は第1地球軌道艦隊臨時旗艦マダガスカルも把握していた。
「あの2隻は何処の所属の物だ?まさかコーウェンの部隊がまだ居たと言うのか。おい、あの艦と通信を繋げろ」
第1地球軌道艦隊司令代理のバスク・オム大佐はロイヤルとレオニードと通信を試みる。しかし同じ頃、第1地球軌道艦隊の展開を確認したアーヴィント少佐は旗艦との通信を試みていた。
「バスク大佐。先程の2隻のサラミス改から通信が来てます」
「ほう、対応は早い様だな。良いだろう。通信を繋げろ」
暫く待つと通信が繋がる。
『此方コンペイトウ所属第218パトロール艦隊旗艦ロイヤル。艦長のアーヴィント・アルドリッジ少佐です』
「第1地球軌道艦隊司令代理のバスク・オム大佐だ。して、要件は何だ?」
バスク大佐はアーヴィント少佐を見てまだ若いと感じた。それと同時に何故前以てその場所に居るのか気になっていた。何故ならデラーズ・フリートの狙いが地球へのコロニー落としだと言う情報は最新の情報だ。しかしコンペイトウ所属の連中がその情報を知ってるのは不可解なのだ。
『はっ。現在コロニーは地球への落下軌道に入っております。我々はコロニーへの接触を試み様としております。しかし、その為には第1地球軌道艦隊の戦力が必要です』
「成る程な。だが、貴様に一つ聞きたい。何故コロニーが地球へ向かうと知っていた。理由を言え」
『コロニーが月へ向かった時、地球への落下予測をした者がおりました。自分はその予測が非常に現実味が高い物だと考えた結果、第218パトロール艦隊を2つに分け月と地球に向かわせてました』
バスク大佐は手を顎に当て考える。
(つまり此奴等はコロニーが月へ落ちないと予測したのか?だとしたら多少は使える連中か)
「成る程な。貴様は随分と優秀な様だな」
『いえ、自分と言うより部下の戦術オペレーターの状況予測が的確で有った為です。私はその情報を元に行動を致しました。唯、此れは独自の行動になります。後で処罰は如何様に受けます』
アーヴィント少佐の真っ直ぐな目を見てバスク大佐は益々気を良くした。その為彼等をその場所から動かす必要が有った。
「そうか。だが貴様等の予測を我々も把握していたのだ。その為の秘密兵器も現在展開中だ」
『我々以外にも予測していた者が居たのですね。良かった』
その言葉を聞きアーヴィント少佐は一瞬驚いた表情をするが直ぐに安堵の表情を取る。だがそんな彼の表情を無視してバスク大佐は命令を下す。
「その通りだ。よって貴様等第218パトロール艦隊は第1地球軌道艦隊への臨時編入を命ずる。我々の手でコロニー落としを阻止するのだ」
『はっ!了解致しました。所で、秘密兵器とは一体』
「来れば分かる事だ。話は以上だ」
バスク大佐はアーヴィント少佐の話を敢えて無視する事で合流を急かすので有った。何故ならコロニーは徐々に此方に近付きつつあるからだ。
「【ソーラー・システムⅡ】の展開を急がせろ。コロニーの地球落下阻止は我々が行うのだ』
第1地球軌道艦隊の背後には多数のミラーが並べられていた。それは一年戦争時に使用されたソーラー・システムと同じ兵器が着々と準備がされていたのだった。
更新頻度落ちるかも。