宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型
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シュウ・コートニー大尉と言う存在

俺は爆発した方へ向かう。其処にはアモス中佐が此方を見ながら待っていた。

 

『流石と言っておこうかな。まさか私の部隊が旧式で手負いの奴にアッサリやられるとはな。流石はエースとだけ言っておこうか』

 

アモス中佐は此方にザクマシンガン改を向けながら言う。それを無視して部下の安否を聞く。

 

「あの2人はどうした?」

 

『ああ、彼等はジオン残党にしてやられたよ。いやはや残念でならないよ。この作戦の後には名誉あるティターンズへの入隊が待っていたのだがね』

 

「そんな気は無い癖によく言う。それに彼奴らの腕じゃ無理だ。アンタら程の実力が無ければティターンズでやって行けないだろう」

 

アモス中佐の言葉で最初からティターンズに入れる気が無いのは充分理解出来た。そして彼奴らは口止めに殺された訳か。

 

『君に褒められて悪い気はせんよ』

 

「けどな…彼奴らは俺の部下だった。それも味方によって殺された。この代償は払って貰うぞ」

 

ジム・ライフルの銃口をアモス中佐に向ける。

 

『実力無き者にティターンズに入る資格無し。ほんの僅かとは言え夢を見せてやっただけ有難いと思って貰いたいものだね!』

 

「貴様の欲なんぞに夢なんてあるかあああ!!!」

 

ジム・ライフルとザクマシンガン改が同時に発砲。そのまま俺は奴に近付く様に機体を前に動かす。

 

「目的は何だ!味方を殺す程の事をしてやる程なのか!」

 

『全ては貴様が悪いのだ。シュウ・コートニー大尉』

 

「何?」

 

左手にビームサーベルを展開し振りかぶる。それに対しアモス中佐もビームサーベルを抜き対処する。

 

『貴様がエースパイロットで無ければ良かったのだ。そうすればあの2人は死なずに済んだ物をな』

 

「巫山戯るな!そんな理由で殺したのか!」

 

ビームサーベルを突き出す。しかしハイザックのミサイルポッドが此方を狙う。

 

『これも任務なのでね。それに君が知る必要は無いのだよ』

 

「チッ、付属品が多いな」

 

ビームサーベルを放棄しながら60㎜バルカンでビームサーベルを破壊する。そしてビームサーベル内のエネルギーが爆発しミサイルの狙いを撹乱させる。

 

『クッ、この距離で対処するか!』

 

そしてジム・ライフルでハイザックを狙う。同時にザクマシンガン改の銃口が此方に向く。

 

『中々上手く避けるじゃ無いか!旧式の割にな!』

 

お互い銃撃戦を行う。しかしジム・ライフルの残弾がゼロ。予備弾倉も使い切った為、最早使い物に成らなくなる。俺はジム・ライフルを放棄して、もう一本のビームサーベルを構える。

 

「コレで決める」

 

一言呟きジム改のブースターを全開にしてアモス中佐のハイザックに突っ込む。ハイザックからザクマシンガン改の弾幕が襲い掛かる。多少の被弾は覚悟の上だ。致命傷にさえ成らなければ問題は無い。

アモス中佐は後退しながらザクマシンガン改を乱射する。それに対しランダム機動を行い回避して行く。被弾はするものの大した損傷には至っては無い。

 

『クソ!弾切れか!』

 

ザクマシンガン改からの弾幕が途絶える。その隙を逃す事無くハイザックに突っ込む。ビームサーベルを振るうタイミングを確認。アモス中佐は後退しながらザクマシンガン改のリロードを試みる。だがデブリが邪魔で後退速度が出てはいない。

 

「終わりだ」

 

『っ!?』

 

俺の言葉にアモス中佐は息を飲む。その間にビームサーベルの間合いに入る。何時も通りに決める。そしてビームサーベルを振るう瞬間だった。それは運命だったのかも知れない。折れた心に整備不良の機体。この2つが合わされば当然の結果だったのだろう。

 

次の瞬間、機体に振動が走った。

 

「な、何だ!?」

 

モニターで機体状況をチェックする。そして原因が直ぐに分かった。それはバックパックが再び咽せてしまったのだ。

 

「こんな時に!?」

 

俺はペダルを踏み直す。しかしその隙は余りに大き過ぎた。急激に速度を落としたジム改に対しアモス中佐は冷静に後退を開始。その間にザクマシンガン改のリロードを済ませる。

 

『貴様…私を辱めた罪は重いぞ!!!』

 

ザクマシンガン改の弾がジム改に対し次々と着弾する。未だにバックパックが止まってしまい右脚部のスラスターで回避を試みるも吹き飛ばされる。

 

「ぐわあああ!?こ、この野郎!!!」

 

コクピット内にも被弾の影響により破片が左肩に突き刺さる。しかし気にしてる余裕は無く、60㎜バルカンをハイザックに向けて撃つ。しかし60㎜バルカンの攻撃を無視してハイザックは近寄って来る。

 

『手古摺らせおって。これで終わりだ!』

 

ハイザックの右腕からワイヤーが飛び出す。そしてジム改のコクピットに先端がくっ付く。次の瞬間、ジム改に対し電撃が走る。それはアモス中佐のハイザックには鹵獲用に追加装備されている【ヒート・ワイヤー】だった。

 

「ッッッ!?!?!?!?」

 

途轍も無い電撃が身体を襲う。そして一瞬にして意識を失って行く。

 

(そう、言えば…約束を……破って)

 

あの人と約束した事。もう二度と戦場には出ないと言う約束。それをすっかり忘れてしまっていた事。薄れ行く意識の中様々な後悔を思い出して行く。そして視界が徐々に徐々暗転して行く。

 

(最後……謝り、たか…な)

 

何に対しての謝罪なのか。最早思い出す事無く意識を手放したのだった。

 

……

 

「クソ。こんな…旧式に!」

 

アモス中佐は八つ当たりにジム改を何度も踏み付ける。するとブラーサ小隊のハイザックが近寄って来る。

 

『アモス中佐、申し訳有りません』

 

「貴様等!たかが1機相手に何をしていたか!然も手加減されてるでは無いか!」

 

ブラーサ小隊は損傷機こそあれど死者は居ない。その事に気付いたアモス中佐は更に怒りが増す。

 

『『『申し訳有りません!』』』

 

「ふう、ふう…まあ良い。この機体からパイロットだけ出しておけ。機体は破壊しろ。私は先に戻る』

 

『はっ!了解しました!』

 

アモス中佐は部下に後処理を任せて先に帰投する。そして自身の手を見つめる。その手は恐怖による物なのか震えていたのだった。

 

(死の恐怖か。だが勝ったのは私だ。それが全てだ)

 

そして操縦レバーを何時もより強く握る。自身の受けた恐怖を押し潰す為に。

 

宇宙世紀0085.2月11日。ルナツー方面軍第031パトロール部隊、ヘイルズ小隊はジオン残党軍との戦闘により全滅する。

 

運命は力有る者を決して逃がしはしない。




ジム改「力尽きてすまんな」
吹雪型「俺も力尽きてすまんな」





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