宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型

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アフリカ大陸前哨基地

宇宙世紀0085.7月31日。サイド1、30バンチコロニーにて反地球連邦政府デモが行われるも、ティターンズ司令官バスク・オム大佐は毒ガス【G3】をコロニー内に注入を指示。結果1500万人の民間人が犠牲となる。後に【30バンチ事件】と呼ばれる。

 

しかし、この情報はティターンズによる徹底した報道規制により真相は殆どの人達には伝わらなかった。だが、この事件はスペースノイド、地球連邦軍とティターンズとの間により深い確執を作る結果になる。元々ティターンズを危険視してる地球連邦軍将兵は多数居る。

ティターンズは確かに治安回復や戦果を挙げてきた。だがそれ故に増長し傲慢な態度を取り、スペースノイドを弾圧し続けた。

 

……

 

強化人間。その存在は人工的にニュータイプを作り出す事だ。身体を薬物による強化。催眠や強迫観念によるマインドコントロール。そして1番の目的は感応能力の獲得にあった。

しかしロイ・ブラックモア博士はニュータイプの存在を認めつつも新人類とは認めていなかった。彼にとってニュータイプとは兵器を効率良く動かし、敵を圧倒する存在だと考えていた。つまりオールドタイプのエースパイロットを強化すれば容易に効率の良い兵器が手に入ると。

勿論彼は研究者として被験体のデータを各施設に送る。そのデータは様々な形で強化人間研究に関わる事になるのであった。

 

宇宙世紀0085.11月1日。アフリカ大陸前哨基地。

 

アフリカ大陸は一年戦争で敗走したジオン残党軍が多数潜伏している場所だ。地球連邦軍もジオン残党軍の討伐作戦を何度も行なっていた。だが現地の住民に紛れたり、地球連邦軍に非協力的な住民がジオン残党軍に手を貸すなどで討伐作戦は順調には進む事は無かった。

更に宇宙世紀0081には連邦再建計画によりRGM-79Cジム改に統一される。しかし前線の兵士にとってジム改は到底満足出来る機体では無く、そのまま配備されてるモビルスーツを使用し続けるケースもある。

 

……

 

「ふあ〜、暇だなぁ。早いとこ交代来ねえかな」

 

前線で監視任務を受けてるRGM-79FD装甲強化型ジムのパイロットは欠伸をしながら任務に就いていた。とは言うもののジオン残党軍との本格的な戦闘は殆ど起きない。当初は討伐作戦を幾度となく行なっていたが、最近では監視任務のみである。

 

「これもティターンズ様々だな。彼奴らが出しゃばってるお陰で何もしなくても給料が出る。最高だな」

 

そう言ってウィスキーの入ったボトル缶の蓋を取り煽る。現にジオン残党狩りの仕事はティターンズが積極的に行なってる。なら彼等が暇してても誰も文句は言わない。

 

『おい、交代の時間だぜ』

 

「んお?やっと来たか。待ちくたびれたぜ」

 

暫くすると交代の連中が来る。機体はRGA-80ジム・キャノンだがビームライフルを装備してる辺り近代化改修済みなのが分かる。

 

『何言ってやがる。何もして無いだろうが』

 

「何もねえから暇なんだよ」

 

そんな時レーダーに反応が出る。識別を確認すると味方のミデア輸送機が2機此方に接近していた。彼等は何となくズーム機能を使いミデア輸送機を見る。そのミデア輸送機は紺色でティターンズのエンブレムが付けられていた。

 

「あれってティターンズの輸送機かよ」

 

『みたいだな。だけど俺達には関係無いさ』

 

しかしティターンズの輸送機を見ても自分達には関係無いと思ってる彼等は他人事である。

 

「そうだな。しっかし、随分低空で飛んでるな。給油しに来たか?」

 

『分かんねえな。案外この辺りを荒らしに来たりしてな』

 

「勘弁してくれよな。そんな事したらトバッチリを被るのは俺達だぜ」

 

『違いない。だが着陸態勢に入ってるな。やっぱり給油しに来たかもな』

 

彼等が話してる間にミデア輸送機は前哨基地へ着陸態勢に入る。そんなミデア輸送機を尻目に自分達の任務に戻るのだった。

 

……

 

ティターンズ所属のミデア輸送機は前哨基地に着陸する。そして積荷を外に出す準備をする。

 

「各自急ぎモビルスーツを搬出せよ。私はこの基地の司令官に話を通しておく」

 

其処にはアモス中佐が数人の部下に指示を出ている姿があった。

 

「中佐。連中はどうしますか?」

 

「彼奴らはミデアに待機させておけ。何かあれば私かブラックモア博士に連絡をするんだ」

 

「了解しました」

 

アモス中佐は司令官に会う為にビックトレーに向かう。そしてアモス中佐は慎重な対応をされながら司令室へ通される。

 

「突然の訪問失礼する。私はティターンズ第6独立戦隊所属アモス・ベアリー中佐だ」

 

「これはこれは。まさかティターンズの中佐殿がこんな僻地に来られるとは。あ、私は地球連邦軍」

 

「君の事は資料で読んだから名乗りは必要無いよ。例え裏でジオン残党から賄賂を受け取り仮初めの平和を作り上げ、更に軍費の一部を横領していてもだ」

 

自身に身に覚えがある司令官は一瞬で顔色を青を通り越して白くなる。更に脂汗が大量に出て最早全て当たってると自白しているものだ。

 

「だが私は寛大な心の持ち主だ。これから言う事に素直に頷けば良い。勿論拒否して貰っても構わない。その時は君の栄えある軍人人生が終わり、残りの人生を牢屋で過ごす事になるがね」

 

「あ、あぁ…わ、分かりました。全て…了承します」

 

「そうかそうか。ではこれより前線を上げる。君の持つ全ての部隊に通達せよ。ジオン残党狩りを開始するとな」

 

「りょ、了解しました!」

 

「期待してるよ。我々ティターンズへの積極的な協力をな」

 

アモス中佐は司令官の返事を聞き司令室を後にする。そしてアモス中佐はミデア輸送機に戻りブラックモア博士に会う。

 

「ブラックモア博士これより三日後此奴らの実践投入をする。構わんな」

 

「勿論です。では私は最後の調整を行なっておきますので」

 

ブラックモア博士は特に気負う事は無く何時もと全く変わりは無かった。

そんな彼等の背後にはブラックとダークブルーの色合いのRGM-79Q-NT ジム・アルトが鎮座していたのだった。


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