宇宙世紀と言う激闘の中で。   作:吹雪型
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アニメ版ではワッケイン少佐ですが、他の作品だと大佐とか他の階級ですよねー。一応大佐の階級にしてます。


V作戦参加

宇宙世紀0079.5月1日

 

この日、ルナツーのワッケイン大佐に呼び出された。何かやったかと不安を感じつつ執務室に向かう。そして先の戦闘により俺は軍曹になった。

 

「失礼します。シュウ・コートニー軍曹です」

 

「入ってくれ」

 

失礼しますと一言言ってから入室する。ワッケイン大佐は仕事中なのか書類処理をしていた。

 

「さて、今日君を呼び出したのはある作戦の為に呼んだ」

 

「ある作戦ですか?」

 

その作戦は地球連邦軍がジオン軍と対等の立場で戦う為の作戦。そして、この戦いに勝つ為の作戦。それを【V作戦】と言う。

 

「君はこのV作戦をより早く成功させる為に、鹵獲したザクをジャブローに運んで貰う。そして、君が宇宙での戦闘を行なったデータも持って行って貰う」

 

「地球に降下…了解です」

 

「それと、君は重力下でのモビルスーツの動かし方は大丈夫かな?」

 

重力下での動かし方か。多分無理だな。

 

「無理です。一応動かし方は覚えてますが、実際動かした訳では有りませんので」

 

「成る程な。なら今から一週間以内に重力下でのモビルスーツの動かし方を覚えるんだ。ザクに乗る許可は出す」

 

「了解しました」

 

こうして、ルナツーの表面を歩く練習をする。地球の重力下とは違うが、何もし無いよりかはマシだろう。そして一週間後、俺は地球に降下する事になった。

 

……

 

宇宙世紀0079.5月8日。俺は大気圏突入カプセルの中に入ってるMS-06C通称ザクのコクピットの中に居た。因みにパイプの無いザクは旧ザクだ。最も地球連邦軍にとっては旧ザクもザクも脅威以外何物でも無いけど。

 

「まさか、このメモ帳も渡す事になるとはな」

 

何と無くメモ帳を読みながら思う。確かに色々為になる事が書かれてるからな。そしてザクの機体チェックと武器も確認する。

120㎜ザクマシンガンとザクの残骸から拾った接近用のヒートホークだ。更に手投げのグレネード5個装備している。これらの武器はもしもの為の物である。出来れば使いたく無い物だが。

 

『コートニー軍曹、これよりパラマウンにより地球まで運んで行く。その後ジャブロー上空に降下させる』

 

「了解しました」

 

『軍曹、君の乗っているモビルスーツを必ずジャブローに届けるんだ。頼んだぞ』

 

俺は頷く。そして、ザクを乗せた大気圏突入カプセルを搭載したマゼラン級パラマウンを中心としてサラミス級3隻で固める。今回の作戦はスピード重視になる。敵は無視して交戦は避ける。兎に角地球に向かう。

 

『しかし、君とは何かの縁があるのかもな。助けられた後も何度も戦場を共にして来た』

 

「そうですね。お互いこの戦争から生き残りましょう」

 

『うむ、その通りだな』

 

遂に地球に向けて発進する。現在地球の戦力図はジオン軍優勢だ。地球というホームグラウンドでありながら地球連邦軍は敗戦続き。ジオンに兵無し。今は言葉を信じる事が出来そうに無かった。

 

……

 

「間も無く地球軌道上に入る。対空監視を厳にせよ」

 

「了解しました」

 

マゼラン級パラマウンのバリス艦長は不安感に包まれていた。と言うのも宇宙はほぼジオン軍に制圧されている。そんな中、地球に向けて航行しなければならないのだから無理は無い。

 

「レーダーに感あり!ミサイル群来ます!」

 

「ミノフスキー粒子散布、艦隊迎撃用意。最大戦速で地球に向かうんだ」

 

ミノフスキー粒子を散布してミサイル群をやり過ごす。そして、メガ粒子砲も飛んで来る。勿論艦隊も撃ち返すが速力は落とさない。

 

「レーダーに更に熱源接近!モビルスーツです!艦長、このままではジャブロー降下は出来ません!」

 

通信兵から悲鳴の様な報告が上がる。

 

「降下ポイントを変更する。地図を出せ!」

 

地球連邦軍が維持している基地の場所がモニターに表示される。そして、一つの基地に目標を変える。

 

「ジャブロー降下は不可能と判断。よって、降下を早めてベルファスト基地に降下させろ」

 

艦隊が進路を変更。しかし、その間にもメガ粒子砲は飛んで来る。

 

「チェリオ機関部に被弾!誘爆します!」

 

「デミリア、ザクに囲まれてます!」

 

『此方デミリア、行ってくれ…故郷の…家族の仇をザザザザ』

 

通信が切れたのと同時に光が艦橋を照らす。

 

「クラスタから通信。『我、殿に就く。御武運を』」

 

「〜〜ッ!機関最大戦速!壊れても構わん!何としてでもカプセルを降下させるんだ!コートニー軍曹、予定より早いが降下開始だ。貴官の健闘を祈る」

 

『待って下さい!自分が出ればこの艦だけでも』

 

「駄目だ。君の任務はそのモビルスーツを…ザクをジャブローに届ける事だ』

 

『しかし!此の儘では!』

 

ドンッ!

 

バリス艦長は椅子の肘掛けを拳で叩く。

 

「戦局を見誤るな!今、目の前の犠牲と今後の犠牲を比べるのだ。今の君は大局を見て行動しなければならん!」

 

『大局…了解、しました。バリス艦長、御武運を』

 

「君もな。コートニー軍曹」

 

コートニー軍曹との通信を切る。

 

「大気圏突入カプセル、降下用意」

 

「降下用意…良し」

 

「降下開始!目標連邦軍海軍基地ベルファスト。艦の速力はそのまま。カプセルと並走させるんだ」

 

「クラスタと通信途絶。モビルスーツ接近!」

 

「……艦を反転。迎撃用意!死にたく無い者は脱出の許可を出す。安心しろ、罪には問わん」

 

艦内放送にて全乗組員に伝える。しかし、殆どの人間は逃げずにその場に残る」

 

「マリア…すまない」

「母さん、其方に行くよ」

「さて、最後の御奉仕と行きますか」

 

そんな乗組員を見てバリス艦長は目を瞑る。彼が何を思っているのかは誰にも分からない。

 

「総員、戦闘開始!ジオンの連中共に連邦の意地を見せろ!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

マゼラン級パラマウンは地球軌道上ギリギリで戦闘開始。モビルスーツも攻撃を開始するが、どうしても一歩引いた場所で攻撃をする。パラマウンはムサイ級3隻と砲戦を開始。

 

「第2、第3ブロック被弾!」

「ミサイル発射管大破!誘爆は有りません!」

「これ以上の降下は危険です」

「ダメコン急げ!艦を保たせるんだ!」

「敵艦1隻を撃破!やりました!」

 

ムサイ級を1隻撃破に成功。しかし、最早これまでだった。

パラマウンはゆっくりと地球の重力に引かれて行く。しかし、パラマウンが轟沈する最期まで攻撃は止まるは無かった。この奮戦はその場に居たジオン軍将兵に畏怖を与える結果となった。地球連邦軍の兵士は誰もがジオンを憎んでいるのだと痛感させたのだった。

 

……

 

大気圏カプセルのザクのコクピットで思う。何も出来ない無力感。しかし、今は耐えなければならない。でなければ、今日散って行った者達は何の為に死んで行ったのか。

 

「必ず、この機体をジャブローに届けます。必ず」

 

大気圏に突入して激しく揺れ動くザクの中で死んで行った者達に誓うのだった。

 








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