ハリー・ポッターと古王の帰還 作:ハリムラ
幾千の時が流れたのだろう、何だろうこのふにゃふにゃした感覚は…ん?誰だこの女は、なぜ私を覗き込むまさか巨人か!
「はーいアリシア、ご飯のお時間ですよ~」
突然口に入れられる白くて甘ったるいどろどろした何か、しかし不思議と嫌な感じがしない?
何だろう、いったい何が起きたんだ…私はフランディール・ルシアーナ、偉大なる魔王と呼ばれた魔法使いだぞ!
「ほらほら泣かないの~、あなたは将来ホグワーツ魔法魔術学校で立派な魔法使いになるのよ」
ホグワーツ?どこだそこ…魔法魔術学校だと、私がまだ知らない土地が有るとは何と言うことか
あれ…何だこのぷにぷにの腕と指は、何だ…この真ん丸とした顔は!
まさか私は生まれ変わったのか!
≪ドゴオォォン!≫
その時、突然この家に雷が落ちた、いや、雷ではない…この力そして溢れんばかりの知識、紛れもなくフランディール・ルシアーナの記憶と力!
うむ、前世でやっておいた呪文がキチンと発動したようだな
「何が起こったの…?」
なるほど、この人が今度の私の母か…悪くないじゃないか、今度は必ず助ける…誰も傷つけさせない戦争は終わったんだ
アリシア・ボスフェルト、それが今回の私の名前らしい中々可愛らしくてとても気に入った
何より驚いたのが今の世界だ私が生きていた世界は西暦910年、そして今は1980年何と1070年も私は眠っていた事になる
世界も戦争していたあの時代とは変わり平和で皆が笑顔になれる世界に変化していた、私の家は純血の魔法使いの家系の様だ、父は魔法省?とか言う所で闇払いとして働いており母も元々は闇払いをしていた
私は古代に培った魔法が使えるかを確認した、うん全然問題なし、後は体を馴染ますために練習だな
11年の月日が流れ私は11歳になった、今日はいよいよ父と杖を買いに行く日だ、向かう店はオリバンダー創立1598年のお店らしい、う~ん何か聞いたことあるような無いような…
ダイアゴン横丁と言う商店街のような場所に来ると、私は早速父を急かしオリバンダーの店へ入った、店は埃っぽいが確かに良い杖が揃っていた
「いらっしゃいませ、本日はどのような杖をお探しで?」
「うむ、娘の為の杖なのだが初めて持つため扱いやすいのを頼む」
…いや、絶対あなたより杖を使い続けてきた自信がある、まぁここは父の顔を立てとくか
「よろしくお願いします、オリバンダーさん」
オリバンダーに握手を求める、オリバンダーもニコニコしながら手を握り返してくる
「ヒィッ!」
突然私の手を握ったオリバンダーが飛び上がった、顔は青くなり先程までの笑顔が消え失せた
「どうした、何かあったのか?」
「い、いえ…少々お待ちを」
そう言うとオリバンダーは店の奥から5本程杖を持ってきた
「さぁどうぞ」
「ありがとうございます、なるほど本体はひのき、芯にペガサスの尾毛か…悪くはないが少し耐久性が低いな」
「さ、左様で…ではこちらは?」
「あぁ~、本体は楠木で芯に竜の琴線かこれは量産型だな作りが雑だ」
「正解です」
それ以降も次々言い当てるアリシア、オリバンダーは最後の一本を渡す、うん、いままでの中では一番良い作りだな…どれ
軽く魔法を使おうとするその時
≪ピキ!≫
杖は粉々に弾けとんだ
「ダメだな、弱すぎる…」
「アリシア…お前何で杖の種類が分かるんだ、熟練の杖職人にしか分からないとされるものだぞ」
あ、つい癖で訂正箇所なども丁寧に教えてしまった…
「こ、この前丁度勉強する機会があったので~…」
「あの、申し訳ありませんが当店にはアリシア様の使える杖がございません、申し上げにくいのですが杖が怯えていますな…」
だろうな、正直いってあんな程度の杖なら昔の時代にはざらにあったむしろあれ以上の杖しか無かったと言えるだろう、何と杖作りの練度も下がったものか
戦わなくても良いのだ、そんなに強い杖は要らないのだろう、しかしどうする…やはり取りに行くかぁ~
「父上様、私は少しお手洗いに行って参ります」
そう言うと私はトイレへと駆け込んだ、さぁ久し振りの魔法だうまく行くか?
使った魔法は≪姿消し≫古代の魔法の一つだだ、結果は上手く行った、今は姿眩ましと言う魔法が在るようだがそれは魔法省が管理していて使うと見つかってしまう様だから使わないようにしなければ
取り合えず防衛魔法を張って入れないようにしておこう、私は辺りに防衛魔法を展開、これで姿眩ましを使いこの領域に入ることは出来なくなった…と言うことでどこに来たかと言うとここ、フランディール・ルシアーナ邸である
「うわー、昨日のことのようなのに凄く懐かしく感じる…、ちゃんと清潔の魔法も効いてるみたいね、キレイなお屋敷のまんまだ」
アリシアが階段を上がり元自室へ入るとそのベッドの上にはミイラのようになった元私ルシアーナの遺体がいた、その手にはキチンと≪エンペラー≫が握られている
「さぁ、賭けね私の魂が同じならこの杖は私を受け入れるけど違うなら…」
私は一呼吸置き体にフラージス≪鎧≫の呪文を付与し一気に杖に手を伸ばす、杖を握るその手はうっすらと白銀に光輝き千年の時を越え主人を迎え入れるような温かい光だった
続けて地下へ降りフランディールの剣を引き抜き腰に添える、これまたしっかりと主人を覚えていたようだ美しい紅蓮の鞘に白銀の刀身、波打つ紅蓮の波紋は変わらずその怪しい模様を浮かび上がらせる
私はまたしっかりと防衛術をかけ直し家から今度はまたダイアゴン横丁へと姿消しを行使した
≪パチン≫と言う独特のラップ音と共に先程のトイレへ現れると直ぐ様父、イーニアスの元へと向かう
イーニアスはホグワーツへと連れていく動物を選んでいた
「あぁアリシア、やっと来たか…おや?その杖と剣はどうしたんだい?」
「あ、えぇっとー実は…昔自分で作った物です!」
一瞬の沈黙、その後父はゆっくりと口を開いた
「そうか!何と言うことだ我が娘はここまでの天才だったとは!」
父はアリシアに杖を見せるように促す、私は防衛術を外し父へと杖を渡す
「うーむ、始めてみる形式の杖だ…しかしデザインも重さ重心共に完璧だ、十分すぎるほどの杖だなここまでのものは私も見たことが無い…」
それはそうだ、私の全力の魔法に耐えうる為に巨鬼族が作り上げた最強の杖だぞ、あの時代巨鬼族が作った武器となればどんななまくら刀だろうが今の値段で一本数百万円は下らない
「その剣は?」
「これも私が…」
これまた父に渡す、すらりと剣を抜くとふぅとため息を吐いた
「な、何て事だ…美しい」
父は私の事を天才だ何だとひたすら誉め続けている、すると二つの影が私たちの前で止まった。
「おや、これはイーニアス・ボスフェルト殿、ホグワーツへの買い物ですかな?」
そう言いながら近付いてくるのは金髪の親子おそらく父の同僚か何かだろう
「あぁルシウス殿か、我が娘への動物を選んでいたのです、そちらが息子さんか?」
見るからにやんちゃそうな子供がルシウスの隣にいる
「ドラコ・マルフォイと申します」
キチンと礼はできる様だな、私も父に挨拶を促された
「アリシア・ボスフェルトと申します、どうぞお見知りおきを」
銀色の長髪が頭を下げると同時にさらさらと流れる、その湖のように透き通った青き瞳はドラコの瞳を見つめる
「何とお美しい娘さんか、それに持っている杖も何と豪華にして繊細な仕事、いやはや素晴らしい娘さんをお持ちですな」
「ハッハッハ、自慢の娘ですよ」
父同士はこれから飲みに行くとどこかへ行ってしまった、夕刻には帰るから戻らなかったら家まで帰りなさいとお金を置いて
「そ、そうだ!我々も何か食べに行かないか?」
ドラコは笑顔でこちらに賛成を促す、まぁやること無いしいっか
「ええ、是非とも」
私が了承するとマルフォイがスッと腕を出してくる、中々スマートにやるじゃないか
私はごくごく自然にその腕へ私の腕を絡める
「では行こうか」
私とマルフォイは暫く行ったところの喫茶店でお茶をしながら時間を潰した
「そうか!アリシア殿もホグワーツへ入学するのだな、私のところにも実はもう入学許可の手紙が来ているのだ」
アリシアの元にはもうホグワーツからの入学案内が来ていた、どうやら魔法省に勤めている所には早めに届く様だな
「所でアリシア殿はどこの寮を狙っているんだ?やはり純血と言えばスリザリンか!」
ん?寮とは何だ?
「ホグワーツには様々な寮が在るのか?」
「何と、知らないのか仕方がない説明させてもらおう…」
マルフォイの話を聞いて驚愕した、何て言うことだ…ホグワーツ魔法魔術学校とはゴドリック・グリフィン、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、サラザール・スリザリンの四人が作り上げた学校だったのか!
私はこんなにも嬉しかった事は無い、私の教え子達が今度は逆に教える立場になって学校を作るなんて…
私が感動に打ちひしがれるとマルフォイはこちらを覗込んできた
「あぁ、そうだな、私はどこの寮でも構わない…むしろ全部の寮を入りたい位だな!」
「何と向上心がある方なんだ…!そうですね是非一緒の寮になる事を祈っています」
こうして私達は別れ半月後に迫ったホグワーツ入学への準備を整えた、そしてとうとう入学の日、私は母とキングス・クロス駅へ来た
「さぁアリシア、あそこが9と4分の3番線よ、暫く会えなくなるけど元気でいるのよ…別にホグワーツで一番に何かならなくて良い、ただ楽しんできなさい」
私は母の胸へ飛び込み熱い抱擁を交わし汽車へと乗り込んだ、母は寂しくなるからと足早にホームを出た
「さてと、どこに座ろうかな…」
空いている席を探すため通路ををうろうろしていると一つ誰も居ないブースを見つけた
私はその席の窓側へ陣取ると隣の席に持ってきたバックを置いた、そして腰に添えたフランディールの剣を椅子へと立て掛ける
「フム、中々上等な椅子だな悪くない」
青い対面式の椅子に腰かけると少し眠くなってきてしまった、まだ発車まで時間があるし少し眠ろう
三十分程だろうか、電車のガタンと言う音と共に目が覚める…何だこいつら?
そこにはブースの扉からこちらを覗き込む大勢の男子生徒がいた
私は立ち上がり扉を開け質問した
「あの…この席に何か?」
「い、いや、その席は我々の指定席の筈なのだが…」
私は急いで扉に立て掛けられている文字を見た、確かに指定席と書いてある
「これは失礼した!直ぐに出ていく」
「いや!良いんだ…あなたのように美しい人を他の奴等と同じ席に座らせる訳にはいかない!その席は使ってくれ、丁度私にも席が見付かったとこだ!」
そう言うと男子生徒は足早に子分のような者達を引き連れどこかへ行ってしまった
「何か悪いことしたなぁ~、まぁいっか!」
私は部屋にシャウト≪消音≫の呪文を掛け読破し終わったホグワーツの教科書をまたダラダラと読むことにした
「本当に何なのこの呪文、ウィンガーディアム・レビオーサ≪浮遊せよ≫馬鹿じゃないの?真言魔法発動≪飛べ≫」
私が杖を取りだしフランディールの剣へそう命令すると剣は一人でブース内を飛び回った
「これを使えば楽なのに?」
これは物体に対して命令を下すことができる古代魔法だ、続けてアリシアは光球を作り出しまた部屋を飛び回らせまるで花火が咲き乱れる幻想的な部屋にした、その時突如部屋をコンコンとノックされた、部屋には不可視の呪文を掛けていたのであちらからでは私が教科書を読んでいる様にしか見えない筈だ
「は、はーい」
≪ガチャ!≫
「ネビルのカエル見なかった?逃げちゃ…て、何てキレイなの」
え!?そんな馬鹿な部屋の魔法は消した筈だなぜ彼女に見えているんだ!
「いや、そうでも無いわ」
「何言ってるの!とてもキレイよ、私こんなにも美しいものを見たのは初めて…」
「そ、そうかな~?良かったら隣の席に来ない?独りで寂しかったの」
「えぇ是非!」
何故彼女に見えたのか聞かねば
「私はアリシア・ボスフェルト、よろしくね」
「私はハーマイオニー・グレンジャー、ハーマイオニーって呼んで」
「じゃあ私はアリシアでお願い、ねぇハーマイオニーさっきは何がキレイだって言ってたの?」
私は意を決してハーマイオニーに訊ねた
「それはあなたの事よアリシア…何て可愛らしいの、この髪も銀色に染まって触っても良い?」
ハァァァーーービックリしたぁ~、この世にもまだ魔法の残痕でその時使われた魔法を読み取る力がある人がいるのかと思ったわ
「えぇ良いよ、少し前まで長髪だったのだけど邪魔だから切っちゃったの」
「わぁぁ、とってもサラサラね、何で切っちゃったの勿体無い」
「だってこれからは色々な魔法の授業があるのでしょ?焦げたりするかも知らないしね」
私が笑うとハーマイオニーも笑った、ここで私は一つのお願いをハーマイオニーにした
「ねぇハーマイオニー、私と友達になってくれない?」
暫く無言のハーマイオニー、しかし直ぐに
「勿論よアリシア!宜しくね!」
こうして汽車に揺られているととうとう見えてきた、湖に浮かぶお城、ホグワーツ魔法魔術学校だ。