ハリー・ポッターと古王の帰還 作:ハリムラ
肌寒くなってきた今日この頃、布団の温もりが恋しくまた今日も二度寝をしてしまう
「……て」
ん?どこかで誰かが叫んでいる、まったく…人が気持ち良く寝ていると言うのに何て奴だ
「…シア」
シア?そいつが悪いんだな…
またアリシアはまぶたを閉じ夢の世界へ旅立とうとしたその時!
「アリシア!!!」
両肩を掴まれ起こされるアリシア、その目は何が起こったのかまだ理解していない
「朝だよ!!!」
その眼前には、身だしなみを整えローブを着たハーマイオニーの姿
「ん~?あぁ、おはよぉ~ハーマイオニー?」
まだ開ききって無いまぶたを擦り、寝ぼけて滑舌が回らないアリシアを抱き起こしお風呂場へ押し込むハーマイオニー、お風呂場の壁越しに会話を始める
「ねぇアリシア、今日はハロウィンで何時もよりご飯が豪華なんだって!」
「何だと!それは楽しみだ!早く夜にならないかなぁー」
シャワーを浴び終わり部屋へと出てきたアリシア、その体は熱で薄紅色に染まり何か甘い匂いを香らせる
ローブに身を包み、腰にフランディールの剣を差し胸ポケットに杖をしまう
さぁ勉学に励もう!
一時間目は魔法史、教えるのはカスバート・ビンズ教授この学校で唯一ゴーストが教える授業だ、この中で私アリシア・ボスフェルトや弟子四人の歴史なども教えられたが少し違う点も多く見当たる…この際しっかりと教えてやるか?
二時間目は薬草学、これも中々好きな教科だ、自分の知っている薬草も多くあった
逆に自分の知らない薬草等も増えており、とても興味深く聞いていてとても勉強になる教科だ、新しい薬でも作ろうか
三時間目は飛行訓練、ここで少し驚いたのはハリーポッターの飛行能力の高さだ
少し前、初めての飛行訓練でまるで箒を自分の手足のように扱っていた…少し羨ましいな
残念ながら私は余り箒を使った飛行が得意では無いことが分かった、早くアイツを見つけなければな…
ハリーポッターは最年少シーカーに選ばれ心の底から尊敬出来る
ここで昼食だ、一つの授業が長いためもう昼を回っている、今日はハロウィンと言うことで早くもカボチャ料理が出ていた
私はカボチャジュースにカボチャケーキを頂いた、本当に美味しいなぁ。
四時間目は闇の魔術に対する防衛術、これはクィレル先生が担当だ、実践で役立つかは分からない簡単な授業だが、余り皆得意では無さそうだ…ハリーポッターはそこそこの腕だな
五時間目は魔法薬学、スネイプ教授が教える教科でスリザリン生ばかり贔屓する少し気に食わない授業でもある。
何回かシメようかと思ったがダンブルドアと学校の関係者には手を出さない約束だからな我慢しよう…だが
≪パチン!≫
アリシアが指を鳴らと同時に何故かスネイプ教授は教壇から滑り落ちた
これぐらいは良いだろ?隣ではハリー、ロン、ハーマイオニーを筆頭にグリフィンドール生がクスクス笑ってる
最後の六時間目、最後の今日の授業は呪文学だ、今回は浮遊術をやるようだな
授業が進みいよいよ自分達で羽を浮かす練習が始まった、 私は案の定一発で成功した
しかし私と同じタイミングで 離れた席にいるハーマイオニーも成功した
流石はハーマイオニー、魔法の上手さと覚えの良さは群を抜いてるな
さて、やっとお楽しみの夕食時間だ!
私はハーマイオニーを誘おうと教室を出てすぐの中庭で待っている
「あ!ハーマイオニー…?」
ハーマイオニーを見つけ手を上げて合図した、だがそれに気付かず顔を伏せたまま走り去ってしまった
何だ…?腹でも痛いのか?
私は一人で大広間へと向かった、何時もと同じ席に座り目の前に置かれた料理を凝視するアリシア、しかし料理には食べた形跡は無い
「早くハーマイオニー来ないかな…お腹が減ってしょうがない」
アリシアは大広間にハーマイオニーが居ないことを確認して来るまで料理を我慢していた、しかし机に置かれた料理の豊潤な香りはそんな我慢を露知らず食欲を沸かせる
「い、急いでくれハーマイオニー…私はもう限界のようだ!」
その時、突然大広間の扉が激しく開かれ闇の魔術に対する防衛術を教えるクィレル先生が入ってきた、その顔は血が引いており真っ青になっている
「トロールが!!!地下室に…お伝えしま…」
そこまで言うと力尽きたように倒れこんだ
そんなことはどうでも良い!トロール何ぞ何匹来ようが関係ない!早くこのカボチャパイにかぶり付く…その方が大切だ!
しかし周りはアリシアの心境とは裏腹に、阿鼻叫喚の渦に包まれた…中には泣き出す生徒もいる
「静まれーーーーー!!!!」
ダンブルドア校長の怒声がそんな渦を切り裂いた
よし、良いぞダンブルドア校長、早くトロールを潰してこい、そして早くこのパイを食べさせてくれ!
「監督生は皆を連れて寮へ、先生方は私と地下室へ」
おいおいダンブルドアちょっと待て!!!
私のご馳走はどうなる!まだ食べていないんだぞ!
アリシアがダンブルドアを睨むと、チラリとこちらを見たが直ぐに視線を逸らした
あのジーさん…まさかこのままお開きとは言わないだろうな?
仕方がなく監督生に付いていく事にした、が途中であることに気が付く
「グリフィンドール!しっかり付いてきて、はぐれないように」
「あの…先程からハーマイオニーの姿が見えなくて、私探してきます!」
監督生にそう言うとアリシアはハーマイオニーを探しに向かった、と言ってももう場所は分かっている
今までは使う必要が無かったが緊急時と言うことで≪広域探索呪文≫を使った
一階の女子トイレにハーマイオニーの魔力を感じる…しかしそんなに腹が痛いのか?それに不味いなこの大きさ、トロールが地下室から上がって来た。
私は急いで女子トイレへと向かう、しかしそこにまた二つの魔力を関知した
「この普通とは違う魔力はハリー、そして実に平凡な魔力はロンか?」
彼らは何故女子トイレに向かってるんだ?
しかし好都合だ、何とか私が着くまで持ちこたえてくれ!
私が女子トイレに着いたとき目にしたのはトロールに足を掴まれ逆さまになったハリー、そして洗面台の下で怯えたハーマイオニーの姿だった
「巨人に成り損ねた半端者が!私の友に何をする!!!」
フランディールの剣を抜きトロール目掛け駆け出した、トロールが暴れたせいで水道管は引き千切れ床は水浸しになっている
私の弟子たちの学舎を壊しよって!お前は決して許さない
アリシアはトロール目掛けてフランディールの剣を振り抜いた
≪ドシャ!!≫
重い音と共に激しい水飛沫が上がり、辺りの水はトロールより流れ出た血によって真っ赤に染まる
≪グオオォォォォ!!!≫
自分の切り落とされた左腕を見つめ叫ぶトロール、直ぐに近くに転がる棍棒を手にしてアリシアの頭上へと振り下ろす
「作られた巨人トロール、流石の闘争本能だな…」
アリシアはまるで指揮をするようにエンペラーを動かす
「真語魔法発動≪止まれ≫」
同時にトロールの棍棒が上空で停止する、空振りしたトロールはその勢いのまま前のめりに倒れ込む
ゆっくりとした足取りで起き上がろうとするトロールの眼前に立ち、頭を踏みつける
「さぁ、終わりだ…」
エンペラーをトロールの頭に添え氷のような冷たい声で言った
「対魔獣魔法≪皇帝の槍≫」
淡い光がエンペラーから放たれたと思った瞬間、トロールは頭に大きな風穴を開け水が溢れる床へ崩れ落ちた
傷口からは止めどない鮮血が流れ続けていた
「ふぅ、大丈夫かハーマイオニー?」
後ろを振り向くアリシアの胸にハーマイオニーは飛び込んできた、よっぽど怖かったのだろう何時も気丈なハーマイオニーがこんなに感情を露にしたのだ
「大丈夫だハーマイオニー、あなたは私が守ってあげる…だから大丈夫」
優しいアリシアの声に落ち着きを取り戻し離れるハーマイオニー、そして直ぐ側にはハリーとロンがこちらを向いて呆然としている
「ハリー、ロン、今回は助かった礼を言う」
ハーマイオニーの手を握りながらハリーとロンに頭を下げる、二人は首を横に振りなにもしていないと言っていたが今回は紛れもなくハリーとロンのお陰だ、大切な友達を失わずにすんだ
直ぐに廊下の方が慌ただしくなった、先生方がトロールを追ってここにたどり着いたのだ…
「まぁ、何てことです…誰か説明なさい」
マクゴナガル先生は慌てた様子で私達に説明を求めハーマイオニーが一歩前に出て弁解を始めようとした、しかし弁解が始まることは無かった
「少し待てハーマイオニー、これは我々の責任ではない」
辺りにいた先生方は女子トイレ内に集まり中には生徒も数人入り口に隠れながらこちらの様子を伺っている、アリシアは冷静な口調と態度で話を続けた
「マクゴナガル先生、先ずはトロールがホグワーツにどうやって入り込んだかを考えてください。
難攻不落、あのグリンゴッズの金庫よりも安全だと言われているホグワーツですよ?
そこにこんなに足が遅く体が大きい、そして何より知能も低いトロールが入り込んだんです、これがそんなに軽い事件では無いことは確かな筈です。」
口ごもるマクゴナガル先生、辺りの先生方もこの異常事態に気付いてきた様だ
しかしマクゴナガル先生は直ぐに反論を上げた
「それに関しては既に調査を進めています、何より避難指示があった生徒がこの場に居ることが問題なのです!」
これぐらいの反論を受けることは勿論想定内だった、この事に関してもアリシアはゆっくりの語る
「では、なぜ各寮ごとに先生を付けなかったんですか…もしもトロールと生徒が鉢合わせたらどうするつもりだったんですか
それに監督生に寮生の人数確認もさせず、私やハリー、ロンが気が付かなければ最悪ハーマイオニーは…その上トロールは包囲網から逃しこんな内部への侵入を許す始末だ…」
アリシアに確信を突かれとうとう黙り混むマクゴナガル先生
「先生方にはどこからトロールが入り込んだか、そして二度とこのようなことが起こらない様に再発防止に勤めて頂きたい、では」
「お待ちなさい!」
両脇に並んだ先生方の前を通りすぎようとするアリシアへマクゴナガル先生が声を掛けた
「…アリシア・ボスフェルト、ハーマイオニー・グレンジャーを助けた勇気を認めグリフィンドールに15点を与えます、同じくハリー・ポッターとロン・ウィーズリーにも5点ずつ与えるものとします」
先生の目を見て礼儀正しく礼をすると踵を返し寮へと戻った
「まったく教師陣は一体何を考えているだ…まぁハーマイオニーが無事で良かった」
教師に対する不満と安堵の言葉を口にする、しかしアリシアは「明日はハリーのクディッチ初試合だから休もう」とだけ言ってハーマイオニーと部屋へ戻った
「ねぇアリシア、今日は助けに来てくれてありがとう」
「ん?何だそんなことか、当たり前だろ…と、友達なんだから」
照れ隠しに布団に潜ってしまう、それから二人はゆっくりと意識を闇に落として行った
さぁ、今日はハリーのクディッチ初試合だ、今日は授業も無くその寮生は自分の寮を応援することだけに集中できる
ハーマイオニーと共に朝食を食べようと大広間に向かうとハリーとロンが向かい合って座っている、私とハーマイオニーはハリーの両脇に座った
「おはようハリー、今日はクディッチの初戦だな相手はスリザリンか?」
アリシアが訊ねるとハリーはうつ向いたまま頷いた、視線の先には少ししか手をつけていない料理がある。
成る程、緊張してご飯も喉を通らないと言ったところか…仕方がない
ハリーの皿に手を伸ばすと、スプーンで料理を掬いハリーの口元へ運ぶ
「えっ!アリシア、これはなに…?」
「何って、誰かに食べさせて貰った方が喉を通ることがあるだろ?ほら、諦めて口をひらけ、折角の料理が冷めてしまう」
同時に辺りの生徒が慌ただしくなる、中には鬼の形相でこちらを睨む者や咳をしてまるで風邪を引いているようにしている生徒もいる
殆どは男子生徒だが中には数人の女子生徒もいる
恐る恐る口を開くとスプーンが口に入り料理を置いて出ていく、何故だろうかとても美味しく感じる…
「さぁ、一杯食べるんだ」
次々送られてくるスプーンを平らげるハリー、とうとう何時も以上に食べてしまった
「では、私とハーマイオニーは応援席に行くとしよう、ハリー応援しているぞ」
ハリーの餌付けと自分の食事を済ませたアリシアはそれだけ言うと席を立ち去っていった
アリシアとハーマイオニーが居なくなった大広間にいた全男子生徒の混乱は、トロールの騒動とも肩を並べる程であった…
≪≪≪アリシア様に応援されているんだ!負けたら承知しないぞハリー!!!≫≫≫
男子生徒の総意を受け、決して負けることが出来ないと心に誓うハリー・ポッターだった
そんな事とは露知らずアリシアとハーマイオニーはクディッチの会場へと向かっていた、道中の出店で売っていたオヤツを買い用意は万全だ
会場にはホグワーツから徒歩15分ほどで着いた、話しながら歩くと直ぐに着いてしまうな
競技場は全長約150メートル、こんなに広い競技場内から胡桃大のスニッチを探さなければいけないとは…めんどくさい
「あ!アリシア始まるよ!」
ハーマイオニーは選手入り口を指差した、同時にハリー達グリフィンドールチームとスリザリンチームが入場した
コートの中央にはマダム・フーチ先生が達球を空へと解き放つ、さぁクディッチの始まりだ!!
次話は少し遅くなるかもしれません…。