トリップして大冒険   作:ウボァー

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第四話 ボス戦に向けて

「ヒーロー、いのちだいじに、ね?」

 

「りょーかい優香! ベホマラー!」

 

「まさか、回復呪文まで使うとはな……。スライムの勇者、か」

 

 きらきらとした光が私達を覆うと同時に、ヒュンケルの全身を覆っていた火傷がひいていく。それを確認したクロコダインが話しかけてきた。

 

「少し休ませてやったら意識も戻るだろう。……それで、お前たちはこれからどうするんだ?」

 

 魔王軍などにかかわらず、故郷に帰った方がいいのでは、と彼は思っているに違いない。クロコダインは知らない。私達は何処へも行く当てはないことを。

 候補があるとすれば、デルムリン島ぐらいかな。何処の誰かわからなくてもきっと、ダイが育ったデルムリン島なら受け入れてくれるだろう。……でも。

 

 私たちの都合で関係無い人達を巻き込むわけにはいかない!

 

 

「ヒュンケルが助けようとしてくれたけど、魔王軍に狙われているのは変わらないんでしょ? だったら」

 

「ぼくたちも協力するよ、クロコダイン」

 

「……!」

 

 クロコダインがはっと目を見開く。

 

「私自身に戦う力はないけど、ヒーローの力が必要になるかもしれない。そのときはよろしく、ね」

 

「おうともさー! 優香はぼくが守る! そして勇者も守っちゃう! だってぼくは『ヒーロー』だもん!」

 

「……そうか、恩に着る!」

 

 感謝の言葉とともに土下座しようとするクロコダインを止める。

 

「わ、そこまでしてくれなくてもいいですから!」

 

「ピキー!?」

 

 あれからヒュンケルが目を覚まし、ダイ達に加勢することに決まった。私達も加勢するって伝えたらヒュンケルも驚いた顔して「……すまない」だったからね。力のない女が戦場へ行くのに悶々としているみたいだったけど、ヒーローがライデインを実際に使っているのを見てしぶしぶ了承した。

 

 ヒュンケルとクロコダインにはヒーローの戦い方について相談すると伝えてから、少し森の奥へ入った。二人とも根っからの武人だからね、後で練習試合を頼んだら快く承諾してくれたよ。……怪我しない程度にね?

 

 魔王軍との戦いは激しいものになる。それにヒーローはスライムだから、いくら強力な呪文が使えるとはいえ攻撃を一撃でもくらえば倒れてしまう。ここはスピード勝負でいくしかないかな。

 その間、私はどこかに隠れるしかないのが一番大変だな。でも私がいないと戦いにヒーローは参加しないだろうし……。ボディーガード呼びとかできたらいいんだけど。……あっゴールド持ってなかったわ。

 

「そういやヒーローさ、なんでヒュンケルだけ回復すればよかったのにベホマラー使ったの?」

 

「あう」

 

 にっこりスマイルが歪む。口をもごもごさせた後、聞き取れるぎりぎりの声量で呟いた。

 

「……今のぼくが使える回復呪文ね、ベホマラーしかないの」

 

「……しか?」

 

 恥ずかしそうに頬を赤く染めこくんと頷くヒーロー。とりあえず一言。

 

 それとんでもないことだよ!? なんでホイミ飛ばしてベホマラー!? ダイの大冒険だとレベルアップじゃなくて契約して呪文を覚える。初級呪文から契約していって、最終的には極大呪文……だと私思うんだけどなー。

 それにしてもベホマラーの契約か。スライムがベホマラーなんて契約できるとは思えないんだけど。それだったらライデインもか。

 

「ヒーローが呪文の契約するのって大変じゃなかった?」

 

「……? 契約なんてしてないよ?」

 

 契約しないで。

 え、ベホマラーをレベルアップで覚えたの!? ……いやスキルポイントの線もあるのか。ダイの大冒険だと特殊な事情がない限り契約無しで使えるのはありえない。

 そうだとすると、ヒーローって一体何者なんだ……。別の世界からやって来た、とか。いやーそんなこと……ありえそうで怖い。

 

「それ、みんなには黙っとこうか」

 

 ダイ達なら大丈夫だろうけど、もしザボエラやミストバーンに知られたらどんな実験されるか……。だったら始めから黙っていた方がいい。

 

「優香がそういうなら」

 

 ヒーロー正直すぎて怖いわー。何も疑問持たないで了承しちゃったよー。

 

「そーいえばさー、優香」

 

「何?」

 

「優香の後ろにいるシャドー、どうする?」

 

 ……はい?

 

 ゆっくりと振り向く。

 

 そこには、黄色の目を光らせたシャドーがこっちを見ていた。

 

「ほぎゃあぁあ!?」

 

 絶叫。静かな森に私の声が響き渡る。

 

「……っユウカ! 敵か!?」

 

 武器を手に駆けつけてくる二人。私は腰が抜けてその場に座りこんでしまった。揺らめく黒い影を見たクロコダインが真空の斧を振りかざそうとすると、シャドーは私たちと二人の間へ割り込むように移動した。両腕を真横に伸ばし、私を守ろうとしているように見える。

 

「そいつは?」

 

「なんかいつの間にかいたんです……」

 

 ふわりと佇んでいるそのシャドーは、二人が構えを解くのを確認して腕を下ろした。くるりとその場で回って、私を真っ直ぐ見て動かない。

 はっ、これがもしかして例の『なかまになりたそうにこちらをみている!』ってやつ!?

 

「敵か?」

 

 ふるふる、と頭を横に振る。

 

「ぼくらのなかまになりたいの?」

 

 頷く。野良モンスターを仲間にするのに必要なのは。

 

「名前……必要だよね」

 

 うむ、と頷くクロコダイン。

 シャドー、黒い、クロ……はさすがに犬みたいだなパス。それじゃ、黒の別の言い方……。

 

「ネロ……はどうかな」

 

 ぽつりと思いつきで零しただけの言葉。いろいろ候補上げてから選んでもらうようにしようかな、と私は思っていた。

 だが、名前候補の一つをシャドーが聞いた瞬間。目をかっぴらいて大仰なお辞儀をする。

 

 

 

「……ネロ、それが我が名なのですねマスター。ただの影であったワタクシに与えられし命、元より惜しく等ありません。これよりネロは、マスターに永遠の忠誠を誓いましょう!」

 

 

 

 なんだこれ。

 

 

 

 ……いやホントに、なんだこれ。ものっそいハイテンションで語りだすシャドー、あらためネロ。クロコダインもヒュンケルも口開いちゃってるよ。

 

「マスター! このネロがいる限り、大魔王だろうが勇者だろうがその御体に指一本触れさせません!!」

 

 妙に張り切りすぎているシャドー。荒い鼻息が聞こえてきそうだ。いやシャドーに鼻無いけど。

 

 あれー? この世界じゃシャドーやガストは暗黒闘気からできている感じじゃなかったけー? おっかしいなー私の目の前にいるシャドーがミストバーンと同系列のモンスターに見えないけどなー。

 なんかこのノリどこかで見た気がするような……あ、オバロのパンドラズアクター。

 

「マスター、ピンクワニ&死に急ぎ野郎と戦う必要などありません。経験を稼ぐのは試練の門かメタキンコインと相場が決まっています。無駄に体力を使う必要はありません」

 

「…………え」

 

 なんでお前DQXのこと知ってんの!?

 

「私はマスターの影。マスターの知識は全て存じ上げております」

 

 胸に手を置いて、私の心の中の疑問に答えるネロ。こいつ心の中までお見通しかい! いやだこんなパンドラズアクターモドキ!

 

「……何を言っているのかわからん所もあるが、お前がユウカを守る、ということか?」

 

「勿論で御座います!! 分かりきってることを質問なんかすんな魔王軍の裏切り者達!!」

 

 私以外には毒吐きまくるのか。言葉使いも荒くなってるし。お前らマスターに近寄るんじゃねえオーラを出しながら私の影に足(といえるのか?)を突っ込んでいるネロ。ヒーローは私の前をぴょこぴょこ跳ねている。

 わーい前も後ろも安全だー……。ネロが敵に変な挑発さえしなければ。この性格だと絶対に敵に対しても毒吐くよね。相手キレるよね。矛先私に向くよね。

 

 こんな仲間で大丈夫かフレイザード戦!?




DQXで天地雷鳴士くるってことはマガルギさんクルー? いいかげんギスヴァーグに乗っ取られてた前のすがたも出してやって下さい……。
個人的に楽しみです、今回の大型アプデ。
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