トリップして大冒険   作:ウボァー

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第五話 優香達が戦いに参加した!

~ポップside~

 

「ユウカ、ポップは任せた」

 

「了解です、ヒーローお願い!」

 

「ピキー!」

 

 ヒュンケルによって氷魔塔が崩れた後、俺は知らない女の人とスライムの回復呪文で手当されていた。

 

「お前達はあの女をやれ! ヒュンケルは俺が直々に殺してやる!」

 

 ハドラーが部下に命令を出す。ガーゴイルやアークデーモンが武器を手にこちらへ向かってくるのに、あいつは見向きもしない。アバンの使徒としての使命に目覚めたと思っていたが、間違いだったのか!? くそ、俺の呪文でどれだけ仕留められるか……!

 体を起こそうとすると、女性が俺を軽く押さえて首を横に振る。

 

「ヒーロー、ガンガンいっちゃって!」

 

 了解の意を示すようその場で飛び跳ねるスライム。こんなところでやられるわけにはいかないってのに! スライム一匹じゃ戦闘にもならねえよ……!

 

「随分と薄情だな。自分の身が惜しいか?」

 

「ふ、どうやら俺がいない間に、魔王軍は相手の力量も測れなくなったらしいな」

 

「ピキキーッ!」

 

 スライムが叫ぶと同時にガーゴイル達に向かって稲妻が落ちる。忘れるはずがない、その稲妻は。

 

「ライデインだと!? そのスライム……まさか貴様は!」

 

「は? 貴様はー、なんて格好つけやがって鼻垂れ中間管理職のくせに生意気なんですよ元魔王。マスターの安眠の為にもさっさとくたばりやがれ! ドルクマ!」

 

 ハドラーに向かってドルクマという聞いたこともない呪文を使うシャドー。ってか今、女の人の影から出てこなかったか!?

 

「すごく怪しいだろうけど敵じゃないからね……あとネロ、ドルマ系じゃなくてヒャド系使ってって私言わなかった!?」

 

「は、うっかりしていましたマスター! これからはマヒャデドスを使うようにします!」

 

「駄目だこいつ、早く何とかしないと……」

 

「……ピキ」

 

 何言ってるのか意味がわからない所もあるが、俺たちの力になってくれるのは間違いないだろう。ヒュンケルが俺たちに声をかける。

 

「マァム、ポップ、ここは俺達に任せて中央塔へ向かえ。ダイもすぐ駆けつけてくるはずだ!」

 

 マァムは戸惑っているようだった。仕方ねえ、相手はハドラーだ。ヒュンケルとあの女の人のモンスター達がいるとはいえ、勝てるかどうか不安なんだろう。

 

「で、でも……」

 

「そっかサンキュー! 誰だか知んねえけど、あんたもありがとよっ!」

 

 マァムの手を取って走り出す。まだマァムは心配そうな顔をしてヒュンケル達を見つめている。

 

「心配いらねえよ。あのヒュンケルが助っ人に連れて来たんだぜ? だから大丈夫だって!」

 

 

 

〜主人公side〜

 

「マスターに手を上げようとするなど……死んでくれる? というわけでザラキーマ」

 

「……うわー」

 

「これはひどい」

 

 ライデインをくらったガーゴイル達が立ち上がろうとした所にネタ交えつつ即死決める仲間モンスターってどうよ。死霊が敵の周囲に漂う。アークデーモンには即死入ってないけど、頭をおさえて蹲っている。戦力にはならないだろう。

 ハドラーには効いていない。まあ言っちゃえばボスだしね。即死決まる魔王っていないよね。条件揃えばダメージくらう破壊神はいたけど。

 なんとかこっちに向かって呪文を唱えようとするアークデーモンに、ネロは追い打ちをかけた。

 

「さらにマヒャド! 死と氷の溶鉱炉(コキュートスキューポラ)、完成です」

 

 アークデーモンの頭上から巨大な氷塊が落ちてきた。周囲にはザラキーマで呼んだ死霊達。逃げ場は無い。なすすべも無くマヒャドに押しつぶされる。……あ、これ蒼天のソウラに出てきた技。私の記憶から引っ張り出したんだろうけど、こんなとこで使うとは思わなかった。

 

「……こっちは大丈夫だけど、加勢しよっか?」

 

「父の仇だ、ハドラーは俺が倒す。ユウカはポップ達を追ってくれ」

 

「カッコつけ発見〜、壁にでも話しかけたらどうです? 過去形になりたいんですねぇ、わかると」

 

「ちょっとネロ黙って」

 

「了解ですマスター!」

 

 原作ではハドラーに勝っているとはいえ、相手は元魔王。助けようかとも思ったけど、あの目の光を見たら任せるしかないよね。ポップが走って行った方へ足を向ける。

 

「負けないでよね、ヒュンケル!」

 

 ちらりとこちらを見て、口の端を上げるヒュンケル。

 

「マスター、ワタクシのトベルーラで飛んでいきますか?」

 

 羽をはためかせながらネロが提案する。走って追いかけるよりは空を飛ぶ方が楽だろう。

 

「お願い」

 

「畏まりました、では」

 

 ネロがその姿を黒い霧のようなものに変え、私の背中に纏わり付いた。霧は集まり、コウモリのような羽だけの姿になった。私はヒーローを抱き抱えた。

 

「それでは……トベルーラ!」

 

 体が空へと舞い上がる。私達は中央塔まで真っ直ぐ飛んでいこうとした、が。

 

「うわぁっ!?」

 

 塔から炎が放たれる。ネロが旋回してくれたお陰で無事だったが、何発も撃たれたらいつかは当たる。これは間違いなくフレイザードの仕業だ。

 

「走るしかないか……降りよう、ネロ。……ネロ?」

 

「……おのれおのれおのれおのれおのれぇっ!」

 

 ネロがキレた。いつか来るとは思ってたけど早すぎない!?

 

「あわわ……」

 

 ヒーローが腕の中で震えている。落ち着かせるために頭をぽんぽんする。ダイ達が見えたのでそこに着陸するようネロに伝えると無言で降下していった。沈黙が怖い。

 

「ほいっ、と。ヒーロー大丈夫? ネロは……うん。大丈夫だね!」

 

「……そのシャドー、大丈夫そうには見えないけどな……」

 

 ネロが呪詛を吐いているのは気にしてはいけない。いいね?

 

「私は優香。この子はヒーローで……このやばそうなのがネロ。君がダイで間違いない?」

 

「あ、はい! 俺がダイです。こっちはゴメちゃんって言うんだ」

 

「ピィッ!」

 

 竜の騎士と神の涙。こうして見ると普通の男の子とモンスターにしか見えない。大魔王を討つ世界の希望。

 

「クロコダインとヒュンケルから話は聞いた。私達も手伝うよ」

 

「ええっ! そんな、俺たちの戦いに巻き込むわけには……」

 

「まあ魔王軍に狙われてるし、もうどうにでもなれー、みたいな所はあるよ」

 

「はぁ!? 魔王軍に狙われてるって、どんなことしたらそうなるんだよ!」

 

 ポップが叫ぶ。まあ戦闘能力無さそうな女が狙われてる、ってなったら普通そうなるよねー。

 

「後で話す! 日没までに倒さなきゃいけないんでしょ!」

 

 私がそう言うと、アバンの使徒達は弾かれたように動きだした。

 

「俺はポップ!」

 

「マァムよ、よろしく!」

 

「よろしくお願いします……行くよ、皆!」

 

「おうともさー!」

 

「炎と氷の合体事故野郎、砕いて武器の材料にしてやろうか……」

 

 ネロはいい加減戻って来てお願い。

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