Shachiku und Panzer   作:神田猫

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聖グロリアーナ編①

 聖グロリアーナは主に関東周辺を航行する学園。在学生は神奈川県横浜市出身者が多い。

 入学には優秀な学業成績のみならず、スポーツ、芸術、ボランティアなどの活動に打ち込んでいなくてはならない。そのため、戦車道の名門校に数えられる強豪校でありその他競技でも優秀な成績を収めている。

 イギリス、正式名称『グレードブリテン及び北部アイルランド連合王国』の学校と連携しており英国の作法や格式を重視する傾向にあり、日本随一の『お嬢様学校』。

 さらに、イギリスの良い点だけでなく悪い点もコピーされており、典型的なものと言えば授業中であろうが校外活動中であろうが紅茶を嗜み、ニシンのパイや国民食のフィッシュ&チップスがよく食べられている。

 戦車道の成績は準優勝、優勝経験はない。西住流本家のお膝元––––黒森峰、日本最大級の学園規模を誇る––––サンダース大付属、昨年の戦車道大会決勝で絶対王者の黒森峰を破り10連覇を阻止した––––プラウダと並び、全国高校戦車道四強校に数えられる。長い伝統を持ち、強固な装甲が特徴のイギリス戦車を用いや高い連携力を生かしす浸透強襲戦術を得意としている。さらに、試合中での紅茶を嗜み、一滴たりとも零さない、高い技術練度も併せ持つ。

 生徒の中でも優秀な成績を収め、幹部クラス・幹部候補生には紅茶やハーブティーなどにちなんだニックネームを名乗ることになる。特に、優秀な成績を収めた生徒に送られるダージリンは他の幹部生から一線を画すほどの信用と憧れの的となっている。

 一方、OG会の影響により試合で使用する戦車はやや他の強豪校に劣っており”チャーチル”、”マチルダ”、”クルセイダー”がほとんど。一応”クロムウェル”、”カヴェナンター”も所有しているがあまり試合では使われない。

 

「ようこそお越しくださいました。隊長のダージリンです」

 

 当代ダージリン。学業成績はトップ、戦車道の隊長としては守りの名手と言われている。戦車道の腕も確かであるが、操縦に関しては非常に荒く整備部から運転禁止令を出されたと聞いている。

 

「初めまして。日本戦車道連盟の天城と申します」

「こちらアッサムとオレンジペコ。私の乗車するチャーチルの砲手と装填手を務めております」

 

 大きな黒いリボンをつけた身長の高い生徒がアッサム。諜報に長けたデータ主義者。ダージリン側近中の側近で、情報処理学部第六課による情報の他、自らも潜入調査を行う情報収集活動を得意としている。

 おっとりとした印象の身長の小さい生徒がオレンジペコ。一年生ながらニックネームを名乗り、ダージリンの側近中の側近となった幹部生。今年度入学したため高校での実戦経験はないものの、驚異的な装填速度を誇ると聞いている。

 ダージリンに紹介されると2人は揃ってお辞儀をする。

 

「天城様の噂は聞いておりますわ。元海上自衛隊2等海尉、戦車道連盟の新筆頭役員の候補、男性ではあるものの戦車道にも精通し全盛期の蝶野1尉を超える練度の持ち主だとか。さらに、喋れる言語は6ヶ国語、趣味の将棋はアマチュア5段、TOEIC満点––––」

 

 アッサムはペラペラと情報を話し始める。さすが日本のMI6と呼ばれる聖グロの情報六課に太いパイプを持つ生徒なだけはある。

 

「ははは、よくご存知で」

「ダージリンと面会の予定のある方は誰1人漏れなく素性を調べておりますので」

「アッサム、その辺の話は後で良いんじゃないかしら?」

「し、失礼しました。ティータイムの用意をしてありますので、どうぞこちらへ」

 

 ダージリンに注意され慌てるアッサム。一方のオレンジペコはずっとモジモジと恥ずかしそうに体を揺すらせ黙り込んでいる。

 アッサムの案内に従って入った部屋はさながら英国の宮殿の一室のような造りをしていた。

 ティーカップにオレンジペコが紅茶を注ぎ、状況報告が始まった。

 

「予め連絡いただいた戦車道で使用する戦車5種、強襲戦車競技(タンカスロン)で使用している”テトラーク”、”ハリー・ホプキンス”の2種を連盟に報告しました。後は、車種の登録番号の照合を行えば戦車の今年度分登録は完了となります」

「かしこまりました。後ほど、整備部まで案内いたします」

「それと、昨年度に使用した砲弾を確認します。こちらは試合統計で使用します」

 

 履修調査で行うのは大きく、戦車登録・使用弾数調査・会計調査の3つ。履修調査で戦車を登録するのは、使用状況を細かく検査出来るようにだ。登録しなくても使用可能だが、登録しておけば補助金が増える可能性があるので多くの学校で登録が行われる。

 現状把握している点、把握できていない点、情報の使用についてなどの説明を済ませる。

 

「全過程の状況は承知しました。戦車道の一日教官制度……と言う制度があると聞いたのですが、こちらはどのように」

「それは各校の戦車道部にお任せしています。紅白戦、技術指導、戦術指導など大抵の指導は行えます」

「そう、ですね……では、紅白戦をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

 紅白戦は、言わずと知れた練習試合の形式だ。紅組と白組の2組に分かれ練習試合を行うスタンダードな形式。

 戦車道は歩兵のない完全な戦車戦なので、練度と数、車両の性能の3点が主に試合を左右する。戦術も3点に大きく左右されるので主に重要視されるべきは練度・数・性能だ。

 

「では、ルールは戦車道連盟公式戦規約に準ずる。自分は1輌、戦車道部からは10輌選抜ということで行いましょう」

「1輌? 1人で全ての作業をこなすのですか?」

「はい。とは言っても、自分用に改造してありますので十分1人でも可能です」

 

 戦車道は女性の嗜みとされてきたので、男性の経験者は非常に少ない。だが、そんな男性アウェーな状態でも真摯に戦車道に打ち込んできた人間の多くは圧倒的な才能や技量を持つものが多い。

 天城は戦車道の公式戦に出たことはないものの、指揮官としても、車長としても、乗員としても高い練度を誇りドイツ代表の絶対エース・ヴィットマンと車両が同じなら互角に渡り合うと言われる。海上自衛隊出身だが、学生時代は戦車道を学んでおり陸上自衛隊の機甲科からスカウトがかかるほどの腕前を持つ。

 

「車種は良く乗っておられるティーガー戦車を?」

「いえ、今回は本気で行きたいのでセンチュリオンを使用させていただきます」

「「えっ……」」

 

 ダージリンとアッサムは衝撃を受けた。

 戦車道で使用される戦車の中で最強クラスの性能を誇り、尚且つ稀少性の高いセンチュリオン。多くのマニアや研究機関が喉から手が出るほど欲しがっているが、開発国のイギリスがあまり外に排出しないため英国籍以外の人間が個人で所有することはほとんどない。ただし、英国にパイプを持つ島田家は例外。

 

「センチュリオンを個人所有されているのですか?」

「はい。A41センチュリオンを1輌。改造してありますので純正とは言い難いですが」

「そんな話は……これは情報科のチェックミス……」

 

 アッサムはPCを出し、ブツブツと独り言を言いながら考え込んでしまった。

 情報主義者にとって調べ漏らしほど痛いものはないだろう。まあ、簡単に分かるような場所に戦車は置かないものであるが。

 

「そうですか。では私ダージリン。全力をもって戦わせていただきます。オレンジペコ、戦車の準備を」

「は、はい!」

 

 素早く気持ちを切り替えるダージリン。やはり、日本屈指の高校生指揮官は伊達ではない。

 オレンジペコは一礼し、部屋を出る。

 

「オレンジペコが気になりますか?」

 

 部屋から出るオレンジペコを目で追っていた天城にダージリンが問いかける。

 

「ずっと萎縮していましたので、少々」

「彼女は入試の成績はトップ、戦車道でも好成績を収め、幹部候補生となりました。ですが、まだ環境に対応できていないようなのです」

「自信がない、ように見えますね。周りに憧れの先輩がいるというのは後輩にとってプレッシャーや不安の種になりますから」

「一応私たちもなるべく負担をかけないように気を配っています、でも1年生の幹部候補生は彼女だけですし……近々1人増える予定ではあるのですが」

「その負担はかなり大きいと考えています」

 

 天城はオレンジペコの心理状況を少なからず理解できた。

 海上自衛隊で憧れの護衛艦に配属された天城は、今までは憧れでしかなかった環境に急に身を置き、遠い存在だと思っていた先輩自衛官と過ごす日々を送っていた。乗艦前はワクワクしていたものの、いざ環境に身を置くと萎縮してしまい、自分の学んできた技術や知識への自信が自然と薄れていってしまったことがある。

 

「聖グロの内部に口出しするつもりはありませんが……放置はできません」

 

 経験上それを解決するには、自分の技術、知識が必要とされているということを自覚することが必要だ。だが、今の聖グロでそれが出来るとは言い切れない。なら、自分が完全ではなくともチャンスを作るべきだと天城は思った。

 

「一つ、私に考えがあります」

 

 天城の発言にダージリンとアッサムが食いつく。

 

「「どんなですか!」」

「それはですね––––––––」




 あけましておめでとうございます。そして、長らくの間更新しないで申し訳ありませんでした。神田猫です。
 まず始めにご報告を。諸事情あって処女作を削除せざるおえない状況になってしまいました。昨年の年末に削除いたしました。

 そして、10月22日から2ヶ月以上更新できず、改めて申し訳ありませんでした。その時期から私、体調(というかメンタル)を崩しておりまして、しばらく創作活動のできる状態にありませんでした。治療の甲斐あって少しずつ回復してきていますが、未だ安定したとは言い難い状態なので不定期更新は続きます。

 最後に、最初の一話目から10人以上の方にお気に入り登録をいただけたこと感謝申し上げます。これからもよろしくお願いいたします。


※この作品は『ガールズ&パンツァー』の二次創作作品です。原作の設定も多く取り入れていますが、オリジナルの設定も多くございます。くれぐれも設定を鵜呑みにされませんようご注意ください。オリジナルの設定は、この作品のみ有効です。
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