落第騎士と幻影騎士の英雄譚   作:またたび猫

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皆さんお久しぶりです‼︎
やっと修正や続きが書き終わりましたので
投稿しました。


是非、『評価』や『栞』更には『お気に入り』や
『投票』などの応援、よろしくお願いします‼︎



【お知らせ】
近いうちに『リメイク版』と『旧作』を合併して
『リメイク版』が消えるので気をつけてください。

いきなりで本当にすみません……



破軍学園代表選抜編
刃の重みと一刀の価値


「今日は気分転換するにはいい気分だな…」

 

 

僕はそう年寄り臭く呟きながら

ショッピングモールの中を歩いていた。

 

 

「しかし、次から次へとめんどくさくなって

来たな……」

 

 

雪の瞳は死んだ魚のような目で昨日起きた出来事

を思い出していた。

 

 

『黒鉄一輝達の件』や破軍学園を代表する雷切、

『東堂刀華からの決闘の申し込み』などの出来事を

思い出せば思い出す程に嫌になる程の散々な昨日

だったのでいつもなら部屋でネットでFPSなどを

するのだが今日はいつもと違って気分転換に外に

出てショッピングモールに来ていた。

 

 

「まぁ、今日は沢山遊んで嫌な事忘れるぞ‼︎」

 

 

雪はまるで運動会の選手代表の宣言するように

拳を突き上げてやる気を出しながらウキウキと

ゲームセンターへ行った。

 

 

 

 

それが不幸の始まりだと知らずに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今日もクレーンゲームで沢山の景品を

ゲットするぞ!」

 

 

雪はそう言ってカチャカチャとゲーム機を何時間

も操作したりクレーンゲームで景品を沢山ゲット

していると

 

 

 

「動くな‼︎手を上げろ‼︎」

 

 

武装した謎の集団達がM4のマガジンをいきなり

持って一般人に向けていた。だが、雪はそんな

解放軍に気付かずにまだクレーンゲームなどを

して集中している。

 

 

「おい‼︎ 動くなって言葉が聞こえてないのか‼︎」

 

 

「すみません。赤ん坊みたいにギャーギャーと

うるさいですよ?せっかくのゲームに集中が

出来ないじゃないですか?」

 

 

雪はそう平然とゲーム操作して言いながら

男に見向きもせずゲームを操作していると

男はゲームの機械をM4のマガジンで射撃した。

そうせいかゲームは壊れて全く動かなくなった。

 

 

「カカカ…どうだ?

これで自分の立場が分かっただろ?」

 

 

男がそう言うと雪の瞳には光は全く無くなり男達を

見る目はまるで愚かなゴミを見る様な軽蔑の目に

なって溜息をついていた。

 

 

「なんだ、その不満そうな顔は? 豚の分際で

《新世界》(ユートピア)の《名誉市民》の

この俺に…「黙れ…下衆風情が…」」

 

 

雪がそう声を冷たくして言うと男はキレたのか

雪に睨みつけながら『M4のマガジン』を向けて

トリガーに指を入れていた。

 

 

「カカカっ、良いぜ……そんなに死にたいなら

今すぐにでも殺してやるよ‼︎」

 

 

男が背後にいる5、6人の仲間達に聞こえるように

言っていると

 

 

「殺すとか言うのは別にいいけどさぁ…今の

あんたのその腕でマガジンを持ってトリガーを

引く事が出来るのかな?」

 

 

雪が男に冷たい声でそう言って【カチン】と静寂に

包まれたゲームセンターに音が鳴り響くが男は馬鹿

にしたように言おうとするが

 

 

「何を言ってやが……へ? う、嘘…だろ?

う、腕…? 両腕が…ない?」

 

 

男は両腕が無くなった事に今になって気付いた。

そして足元には男の両腕が地面に落ちて生々しく

【ピクピクっ】とさせて大量の血を流して

ただ醜く動くだけだった。

 

 

「う、腕が⁉︎ 俺の両腕が‼︎嘘だ‼︎嘘だ‼︎嘘だーー‼︎

こんなふざけたの間違いにきま…『黙れ…童みたい

に騒いで実に耳障りだ…』」

 

 

雪がそう言ってまた【カチン】とまた鳴らすと男の

首はゆっくりと落ちてそして首が無くなった血塗れ

の体は【ゆらり、ゆらり】と揺れて【ぐちゃり】と

鈍い音を立ててその場で倒れた。

 

 

 

「お、おい⁉︎一瞬にしてあいつの首が⁉︎

あいつ、まさか…伐刀者なのか?」

 

 

 

「って事は今のは…あいつの固有霊装なのか…?」

 

 

「しかし、見えなかったぞ⁉︎」

 

 

 

武装した解放軍達は怯えそして警戒しながら雪に

ただマガジンを向けていた。

 

 

「し、しかし…‼︎人間が銃に勝てるはずがない⁉︎

こちらが有利のはずだ‼︎」

 

 

 

男達はマガジンを雪に連発して一分一秒でも

撃ち殺さんと何発かの弾を放っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、黒の高級車の中では月影総理は冷静に国会

などの資料や暁学園の資料を作成【パラパラ】と

一枚一枚確認するように見ていた。

 

 

 

「そ、総理…」

 

 

「なんだね?」

 

 

月影総理は秘書に目もくれずに返事をしながら淡々

と書類に目を向けていた。

 

 

「あの伐刀者は危険です‼︎総理が暁学園へと誘って

依頼した解放軍達に比べ物にはならず、どの伐刀者

達よりも危険です‼︎今からでも遅くはありません‼︎

縁を切ってください‼︎あいつは明らかに『異常』

です‼︎ 未来予知が出来る貴方なら分かっている

はずです⁉︎」

 

 

秘書はそう言うと月影総理は秘書の一言で秘書が

自分に一体、何を言いたいのか月影総理には

はっきり分かった。

 

 

「……君にはそう見えたんだね?」

 

 

「はい。ですから……」

 

 

秘書は月影総理に申し訳なさそうに言うと

月影総理は書類を鞄の中に入れて秘書の顔を真剣に

見ていた。

 

 

 

「君はあの【第三次世界大戦】の内容を

どれだけ知ってるかな?」

 

 

 

「たしか…『黒鉄龍馬』と『南郷寅次郎』…

この『二人の英雄』のお陰で日本を勝利へと

導けたんでしたよね…?」

 

 

秘書が自分が知ってる【第三次世界大戦】の内容を

ゆっくりとそう言うと月影総理は一呼吸して秘書に

「表向きはね…」と言って言葉を紡ぐ。

 

 

「実はあの大戦で『もう一人の英雄』が

いたんだよ…」

 

 

「あ、あり得ません‼︎どの記録にだってそんな記述

はありませんでしたよ⁉︎」

 

 

秘書は月影総理の言った言葉を信じられないと

言う表情を浮かべていると月影総理は顔色を

変えずに更に話しを続ける。

 

 

「君は『因幡 家』を知っているかね?」

 

 

「い、いえ…私も詳しくは知りません…」

 

 

秘書はそう言うと「まあ、そうだろうねえ…」と

月影総理はそう言って更に話しを続ける。

 

 

 

 

「だったら『韋駄天流』という名前の流派なら君も

聞いた事があるんじゃないかな?」

 

 

 

月影総理が秘書にそう言うと

 

 

 

「い、韋駄天流って…あの韋駄天流ですか⁉︎

ですが、月影総理…その流派は……」

 

 

 

「あぁ、君が驚くのは無理はないだろう。

その流派は『暗殺』に特化した歴史の闇に葬られた

流派だからね?」

 

 

「ま、まさか…あの男が⁉︎」

 

 

秘書は何かを理解したのか青ざめた表情で

月影総理を見ると月影総理は薄く微笑みながら

 

 

「彼の家系は代々『忍』の家系でね?更に彼と

昔に彼と『契約』して私の警護をしてもらって

いてね?」

 

 

「だ、だったら尚更ですよ‼︎ 総理‼︎ そして

更にはあの様な者とけ、契約ですか⁉︎一体、

どんな契約をしたのですか‼︎」

 

 

秘書は不安そうに月影総理を見ながら聞くと

月影総理は笑いながらこめかみをポリポリと

かきながら申し訳なさそうな表情で

 

 

「すまないが…『契約の内容』は残念ながら

秘書である君でも明かせないんだ…」

 

 

「な、何故なんですか⁉︎

まさか…脅されているんですか⁉︎」

 

 

「私は脅されていないよ…そして君に言わない

理由は彼の許可なしに言う事ではない事と

思うからだよ…だから今の私から言える事は

全くないんだ…」

 

 

「そんな事が…無神経に聞いてすみません…」

 

 

「良いよ、こちらこそすまないね…だけど私は

君の事も信用しているよ……あっ!どうやら

着いたようだね? 今日も頼むよ?」

 

 

「は、はい‼︎ 分かりました‼︎

全力で頑張ります。月影総理‼︎」

 

 

 

月影総理と秘書はそう言って車から降りて暁学園

の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで終わりか?」

 

 

「ば、馬鹿な‼︎ な、何故‼︎ どうして銃弾が全く

当たらないんだ‼︎」

 

 

「と、とにかく撃て‼︎」

 

 

傷のある隊長みたいな男が残っている少数の

解放軍達に「構えよ‼︎」と急いだ口調でマガジンを

構えるように叫ぶとを構えて雪に放つと

 

 

 

「やれやれ…懲りない連中だな…」

 

 

雪はそう言って大量銃弾の中に突っ込んでいく。

 

 

 

そして、雪に向かってくる大量の銃弾はかすりも

せず全く当たらなかった。

 

 

 

「なんで…なんで当たらないんだー⁉︎」

 

 

 

顔に傷がある男は顔を歪めながらそう叫んでいる中

何のお構いなく雪は解放軍達との距離を一瞬にして

近づいて

 

 

 

「うるさい…逝ねーー」

 

 

「ぐ、ぐはぁ‼︎」

 

 

「く、来るな‼︎ や、やめてくれ‼︎」

 

 

「ど、どうして……有り得ない‼︎」

 

 

雪がそう一言言うと武装した解放軍の男達全員の

体はまるで豆腐でも斬るが如くあっさりとそして

滑らかに一瞬にしてバラバラに解体されてもう

誰が誰なのか分からないくらい醜い肉塊に

成り果てた。

 

 

 

「そ、そんな…い、一瞬にして全滅だ、と…」

 

 

 

それを目の前で見ていた傷のある男は次は自分が

あの目の前にある醜い肉塊になると想像した途端、

顔が真っ青な表情で尻もちをつきながらまるで人

ならざる化物見るかのような怯えた表情で雪を見て

いた。

 

 

「て、てめぇ…何をしやがった‼︎」

 

 

「何をって別に何もしてけど…?」

 

 

「嘘つくんじゃねぇ‼︎」

 

 

雪は頭傾げながらそう答えると男は苛立った表情で

声を荒げると雪は溜息をつく。

 

 

「そもそも…小細工でもしない限り人間が…刃物が

銃に勝てる訳がねぇだろうが‼︎」

 

 

傷のある男が額から汗を流しながら声を荒げて言う

が雪は能面のような涼しい顔をしながら首を傾げて

 

 

『だが、人間が…いや、刀や剣が銃に絶対勝てない

なんて理屈や道理や理屈はないだろ?』

 

 

雪は冷めた表情で男にそう言うと男は雪を見て

自分自身の体が震えて無意識に言葉を言っていた。

 

 

「た、頼む…た、助けてくれ‼︎もう二度と悪い事は

絶対にしない‼︎今すぐに解放軍や組織を抜ける‼︎

今、ここで神様や仏様に誓うから‼︎」

 

 

男が泣いて鼻水を出しながら神や仏に縋るような

言葉を雪に言うと雪は呆れた顔しながら後ろを

向いて

 

 

「……失せろ…目障りだ…」

 

 

雪が男にそう言うと男は背後に落ちている

サバイバルナイフをゆっくりと拾い上げて両手で

握りしめて背後を向いた雪に向けて感情や力任せで

振りかざした。

 

 

 

「てめぇが失せろ‼︎この馬鹿野郎が‼︎」

 

 

男がそう言うと雪は男を見て慌てる表情もなく

溜息をつきながら淡々と話し始める。

 

 

「お前…さっきから何か変に解釈して更に勘違い

しているみたいだけど…さっきの言葉は見逃す意味

で言った訳じゃない…もう、『お前を見る価値が

ないって意味だ…』それに…僕は神や仏など全く

信じてなどいなくてね…?」

 

 

「がっ‼︎ そ、そんな…馬鹿な‼︎」

 

 

 

雪は男にそう言うと男は苦痛と絶望感が混ざった

表情を浮かべてそう言うと【カチン】と音が鳴った

瞬間、男は一瞬にして肉塊の残骸に成り果て雪は

ちらりとその肉塊を見た後、その場を後にした。

 

 

 

雪は今、思い出したと言う表情でポケットから

携帯を取り出して黒乃理事長に連絡していた。

 

 

 

「黒乃理事長…もう使ったんですけど…

《固有霊装》を使う許可を大至急ください…

ふぁ〜〜〜……」

 

 

 

雪は携帯を耳につけて怠惰に欠伸をしながら学園に

いる黒乃との会話を続ける。

 

 

 

『報告が遅過ぎだ…馬鹿者…それに最近は緊張感が

まったくもって無さ過ぎだぞ… 全く……だが、

了解した…無理はするなよ?』

 

 

 

「もちろん、分かってますよ?

僕も簡単にこんな所で死にたくないですしね?」

 

 

『…そうか……』

 

 

 

黒乃理事長はそう言って『では、健闘を祈る‼︎』

と言うと通話が切れた。

 

 

 

「全く…解放軍の奴らは時と場合を考えろよ…」

 

 

 

雪は悪態をつきながら音を立てずに近づくと

ある人物の人影が見えた。

 

 

 

「くそ…せっかくの僕の彼女達とデート中だった

のに一体何があったんだよ…」

 

 

その人物は『桐原静矢』だった。

 

 

 

「よう‼︎ 久しぶり‼︎ クズ矢君…?」

 

 

 

「‼︎ おい…僕の名前はクズ矢じゃない…静矢だ‼︎

桐原静矢‼︎」

 

 

「はいはい…分かりましたよ…」

 

 

「なんでそんなにも僕の顔を見て嫌そうな表情を

するんだよ‼︎」

 

 

今の雪の表情は今まで見た事のない程の嫌そうな

表情を桐原静矢に向けていた。

 

 

「騒ぐなよ…空気読めよ…クズ矢君? 女の心を

もてあそぶ雰囲気は読めるのに…本当マジ空気

読めよな…?」

 

 

「お前…後で覚えとけよ…」

 

 

桐原は雪を睨みつけてそう言うと雪は桐原の

そんな言葉と態度を無視して話しを続ける。

 

 

「ところでクズやん…今の状況分かるか?」

 

 

「おい‼︎とうとう『クズ矢』から『クズやん』に

成り果てたぞ‼︎『才能のないFランクの騎士』が

調子乗るなよ‼︎」

 

 

 

「いいから…さっさと答えろ…?」

 

 

雪が桐原静矢にそう言うとその場の雰囲気が一気に

寒気に一瞬にして覆われて雪を見ると雪の瞳には

『返答の答えしか認めない』と言っている様な

気がして気づいたら桐原静矢の手が無意識に

【ガタガタ】と震えていた。

 

 

「い、今ショッピングモールの中では

ショッピングモールのフードコートの近くで二十四

から三十人の規模でいろんな全員銃器などを武装

しているよ…これでいいだろ⁉︎」

 

 

桐原静矢は額に脂汗を流しながら雪にそう言うと

雪は淡々と何事もなかったかのように桐原に

 

 

「まぁ…よく出来た…及第点と言った所か?」

 

 

雪が桐原静矢にそう言うと静矢が舌打ちしながら

雪に睨みつけると

 

 

「じゃあ、自称天才騎士(笑)のクズやん君、

君にはデパートのこのフロアにいる解放軍はお前に

任せるよ?」

 

 

「……は?」

 

 

静矢は雪の言っている意味が全く分からず、

ただ思考が真っ白になって停止していた。

 

 

「おーい? 聞こえてる…? えっ? もしかして…

クズ矢君。まさか…ビビって君の大事な大事な

女の子達を見捨てて自分だけでもこの場所から

逃げようとしてないだろうなぁ? ねぇ…天才騎士

のクズ矢君?」

 

 

「‼︎」

 

 

静矢は雪にそう指摘されると図星だったのか額から

大量の脂汗や冷や汗を流しながら雪の瞳から視線を

逸らしてかなりの動揺していた。

 

 

 

「な、なんで…ど、どうして、天才の騎士たる僕が

に、逃げないといけないんだ‼︎騎士にもなれない

無能な君達、『Fランクの騎士』達とは住む世界が

根本的に違うんだよ‼︎」

 

 

 

動揺して表情で桐原は雪に言うと雪は静矢を

まるでゴミを見るような光なき目で

 

 

 

「お前…つまらない奴だな……」

 

 

 

雪はそう静矢に言うとフロアの手摺に視線を向き

一歩、また一歩と歩みを進める。

 

 

 

「まぁ、せいぜい自称天才騎士君の実力を思う

存分と発揮してくれ…後、もし、逃げたりしたら

そうだなぁ……お前の名誉や名声の全てを消す

からな?」

 

 

 

雪はそう言って最上階のフロアの手摺の上に

ゆらりと乗って仰向けの状態で勢いよく落下して

落ちていった。

 

 

「お、おい‼︎ 待てよ‼︎」

 

 

桐原静矢は落下していった雪に必死になって声を

かけると

 

 

「おい‼︎誰かいるぞ‼︎」

 

 

 

「捕まえろ‼︎ 最悪の場合は生死は構わん‼︎

構わず撃ち殺せ‼︎」

 

 

「くそ‼︎ あいつ覚えてろよ……」

 

 

桐原静矢は顔を歪めながら解放軍と対峙していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確か、フードコートはここか…」

 

 

 

雪はそう呟きながらフードコート付近の様子を

お店のカウンターの中で様子を見ていた。

 

 

 

解放軍の部隊はショッピングモールを占拠し大勢の

人質を捕えることに成功していた。人質は非力な女

子供に限定し、周りの見通しの良いフードコートに

集められている。窓はバリケードで固めて外からの

情報をシャットアウト、制御室は敵の手に落ちて

警察が侵入しやすい通路にシャッターを下ろして

ある。

 

 

 

人質を見張る者、外からの突入に対処する者と

分かれてショッピングモール内を広く防衛を

している。人質がいる以上、警察もおいそれと

突入が出来ない。出来たとしても解放軍は戦場で

腕を慣らしている、苛烈な銃撃戦が起きるのは

確定的だ。そうなれば民間人への被害も大いに

あり得た。

 

 

 

「今はまだ大丈夫そうだな…」

 

 

 

雪が安心した表情でそう言っていると事態は

雪が予想しなかった思わぬ方向へ進行していた。

 

 

 

 

『お母さんをいじめるなぁ!』

 

 

 

「‼︎」

 

 

 

一人の少年が若い母を乱暴に扱っているのを見て

飛び出し、手に持っていたソフトクリームを兵士

に投げつけた。

 

 

『このガキがぁぁああああああ‼︎‼︎』

 

 

『あぐっ』

 

 

『シンジッ!』

 

 

ヤキンという開放軍の兵士が怒りに任せて年端も

いかぬ少年を蹴り飛ばした。泣き出す少年に母が

駆け寄り抱きしめ、許しを乞うている。

 

 

『おいどけよ女ァ!邪魔だろうが!』

 

 

『オイてめぇ何してやがるッッ‼︎』

 

 

『このクソガキが俺の服にこのアイスを

ぶつけやがったんだよォ!ぶっ殺してやるッ!』

 

 

『そんなことでキレてんじゃねえよボケッ!

人質に手ェ出すなっていやわかるんだ!

テメェがビショウさんにぶっ殺されるなァ

勝手だが、あの人がマジでキレっと二桁以上、

マジで殺さねぇとヤバイくらい収まねぇんだよ!

俺らにまでお前のとばっちりが来るだろうがッ!』

 

 

 

 

『うっせえよッ!こんだけいるんだから

一人二人ぶっ殺そうがわかんねっーのッ!』

 

 

制止を振り切り、キレたヤキンはライフルの銃口を

親子に向ける。

 

 

『ひっ!、お願いですっ! 命だけは……ッッ!』

 

 

「ダメだねェ! 豚の分際で来たる《新世界》の

《名誉市民》である俺様のズボンを汚したんだァ!

死んで償えやァッ‼︎」

 

 

 

なんのちゅうちょも容赦もなく絞られる引き金。

瞬きの間に吐き出される鉛の暴力。

 

 

 

 

それらの襲来にせめてもの抵抗か、慎重な母は

子供を自分の身体で庇うように覆い被さる。

 

 

だがそれは無意味だ。

 

 

 

鉛の弾頭は彼女の肉を容易く貫き、その下にいる

子供を穿つ。

 

 

 

そうなるはずだった。

 

 

 

 

 

しかしーー鉛の弾頭は母親に到達すらなかった。

なぜなら、親子と銃弾の間に割り込んだステラの

炎が、煤すら残さずに消し飛ばしたからだ。

 

 

 

 

 

 

「待ちなさい!」

 

 

 

引き金を絞る寸前、人質の中からステラは

立ち上がると帽子を捨てた。

 

 

 

「あぁん? なんだぁ? てめぇ」

 

 

 

「ヴァーミリオン皇国第二皇女、

ステラ・ヴァーミリオン。人質を代表して、

アンタ達の親玉と交渉させなさい」

 

 

 

「ヴァーミリオン……? まさか……」

 

 

学のないヤキンでもその名くらいは知っている。

 

 

「オイオイオイ、まさかこんなところに皇女サマ

がいるたぁな」

 

 

驚きはしたが自分達が有利な立場にいるには

変わりない、すぐに自信を取り戻してヤキンは

下卑た笑みを浮かべた。

 

 そこへ――。

 

 

「おやおやおや〜? これはこれはとんでもない

お方が紛れ込んでたもんだぁ」

 

 

外套に金刺繍、解放軍リベリオンの使徒の証だ。

 

 

「あんたが連中の親玉?」

 

 

「ヒヒヒ、よくご存じで。ええ。その通りです。

私は開放軍の使徒で名はビショウと申します。

お見知りおきを、お姫様」

 

 

 

男ーービショウは恭しく頭を垂れて名を名乗り、

そして人質を囲む部下達にステラに向けたものとは

違う、攻撃的な眼光を向ける。

 

 

「おい。何をガタガタやってんだ。

てめぇらぁお留守番もまともにできねえのかよぉ」

 

 

「ひっ」

 

 

 

「俺ァ大人しく待ってろつったよなぁ?

大切な人質に手を出すなつったよなぁ俺?」

 

 

 

「お、俺たちぁ止めたんスよ!

でもヤキンの奴が言うこと聞かなくって!」

 

 

 

 

「ヤぁキン……。この騒ぎの原因はテメェか?」

 

 

 

「ヒッ……す、すんません…ビショウさん。

で、でもあのガキがオレのズボンにアイスを!」

 

 

 

 

 

「アァ⁉︎ たかがそんなことでガタガターー

……いや」

 

 

 

 

 

 

ふと、ビショウは何を思ったのか、思案顔をして

黙り込むと、

 

 

 

 

「……ヒヒヒ」

 

 

 

 

「び、ビショウさん?」

 

 

 

「……アァ、ヤキン。そりゃ災難だったなァ。

同情するぜ俺ァ」

 

 

 

 

 

急に先ほどまでと態度を豹変させ、ズボンを

汚された部下の肩を叩きーー

 

 

 

 

「だが安心しろ。てめぇら《名誉市民》の名誉は

俺たちが守ってやるからな」

 

 

 

 

 

懐から拳銃を取り出すと、その銃口を母親に

庇われている子供へ向けた。

 

 

 

 

 

「な、なにをするつもり⁉︎」

 

 

 

 

 

「何って、そりゃ決まってまさァお姫様。

《名誉》である俺達に逆らってアイスで汚した。

このガキに自分のやったことの当たり前のケジメを

分かるまでしっかりとつけさせるんですよォ。

…大事な事でしょう?人として」

 

 

 

 

「人質には手を出さないんじゃないの⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

「そりゃ大人しくしていれば……の話でさァ。

なのにこのガキは大人しくしていなかった。

まあ大人じゃないから仕方ないかもしれませんが…

それでもガキがやったことは間違いなく罪だ。

《名誉市民》であるこいつらの名誉を傷つけた罪。

命をもって贖われる必要がある。罪には罰を。

罰には許しをーーソレは俺のモットーでしてね…ッ。」

 

 

 

トリガーに掛けられたビショウの指に力がこもる。

 

 

 

 

「ーーーーーッッ‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 

瞬間、ステラは躊躇わなかった。この男が本気で

引き金を引くと確信したから。ステラは即座に

《妃竜の罪剣》を顕現させ、

 

 

 

 

「はぁああああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

床を蹴り、ビショウに斬りかかった。

ーーーそれを見て、ビショウは薄笑う。

 

 

 

 

(誘われたッ⁉︎)

 

 

 

 

 

だが構うもんか。固有霊装を展開する余裕なんて

与えない。ビショウの武装は拳銃一つ。

 

 

 

 

そんなもので私の《妃竜の罪剣》の渾身の

打ち下ろしが簡単に防げるものかーー!

拳銃ごと断ち切る。その気概をもってステラは

《妃竜の罪剣》を振り下ろし、しかしその刀身は

ビショウの左手の差し出し人と中指にすんなりと

受け止められた。

 

 

 

 

 

「なっ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

「ヒヒヒ、ざーんねん。速い。それに強い。

さすがは噂のAランク。だが悲しきかな、

世界の広さと怖さを知らない」

 

 

 

 

 

 

ステラは驚愕を隠せない。自分の渾身の一撃を、

素手で、指の力だけで受け止めるなんて、人間業

じゃない。 そんなことをすれば指が剣の重さを

受けきれずに腕が縦に裂ける。もし、受け止め

きれたとしても、《妃竜の息吹》の炎熱が腕を

焼き潰すはずだ。なのに、ビショウは重さも炎も

ものともせずに、軽々と《妃竜の罪剣》を

受け止めた。

 

 

 

どうして?

 

 

 

 

 

 

だが答えよりも速く、ビショウの右拳が、

ステラの腹部を打ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

「が、は……っ」

 

 

 

 

突き抜ける衝撃にステラの膝が一撃で落ちる。

《妃竜の羽衣》越しですら一撃で自分の体力を

根こそぎ持って行く攻撃力。

 

 

 

 

(どうして、あいつを見た見た目は…そんな力の

ある伐刀者には見えなかったのにッ)

 

 

 

 

 

 

なんだこのふざけた攻撃力は、ステラは悶絶

しながらビショウを見上げ、

 

 

 

 

「その……指、輪!」

 

 

 

 

ビショウの攻防のからくりに気づいた。

 

 

 

彼の両手中指から禍々しい赤光を放つ指輪。

一見するとただのファションにしか見えないが、

これこそがビショウの固有霊装ーーーー

 

 

 

 

 

「二つで一構えの固有霊装《大法官の指輪》。

その特性は『罪』と『罰』。左の指輪は俺に対する

ありとあらゆる危害を『罪』として力を吸収し、

右の指輪はその力を『罰』という魔力に変えて敵に

撃ち返すことができる。……ヒヒヒ、つまり相手が

強ければ強いほど強くなるってワケでさぁ」

 

 

 

「……なるほど、アタシは自分の全力で

殴られたわけね」

 

 

 

 

どうりで立てないはずだと納得する。

 

 

 

 

 

 

「相手がどんな力を持っているかわからないのに

闇雲に飛び込むもんじゃないんですよォ。

お姫様。ヒヒヒ」

 

 

 

 

 

 

「……そう、させたのは、アンタじゃないの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒヒヒ、いやいや、すみませんねぇ。

何しろ相手があの《紅蓮の皇女》ともなれば、

手段を選んでいられる場合じゃァないですわ。

……しかしまあ、感心しましたぜェ、お姫様。

息を潜めて大人しく隠れていれば良いものを、

一個の国皇女である御身を、警備も付けずに

ガキ一匹のために盾にするとは…。いやいやァ、

実にヴァーミリオン家らしいご立派な考えだ。

素晴らしい皇族の鑑とでもいうべきですかねェ。

そこでこのビショウ、ステラ姫のその勇気に敬意

を表し、あのガキを救う提案を致しましょう」

 

 

 

 

「どういう、こと?」

 

 

 

 

 

「ごくごく簡単なことでさァ。

誰もが知っている簡単な贖罪の方法。

悪いことしたたら謝る。それだけのこと。

お姫様があのガキの代わりに謝るのですよ。

ーーーー全裸で、土下座してねぇ。カカカカ!」

 

 

 

 

 

 

ビショウはステラにそれができないことを

わかって、あえて選ばせている。

 

 

ただ、彼女を辱めるためだけに。

 

 

 

そして、……ステラの回答はやはり一輝が予想した

通りのものだった。

 

 

 

 

 

「………わかったわ」

 

 

 

 

悔しさを押し殺す声で《妃竜の罪剣》をしまい、

了解の意を示すステラ。

 

 

 

 

 

「その代わり、約束しなさい。人質には金輪際

危害を加えないって」

 

 

 

 

「もちろん。このビショウ、

約束は守る男で通ってますんで、ご安心を……。

まあ身代金と俺たちの逃走が成功することが

一番の条件ですがねェ」

 

 

 

 

 

「………約束、したわよ」

 

 

 

念押しするように確認してから……ステラは

立ち上がる。膝が笑っているのは、先ほどの

打撃のダメージが抜けていない空だろう。だが

…ゆっくりと人が見てる前で衣服を解いていく

両手が震えているのは、悔しさに違いない。

 

 

 

 

 

「うはは! こりゃすげえ、皇女様の

ストリップだ!」

 

 

 

 

「イカスアイデアだ!さすがビショウさんだぜ!」

 

 

 

 

「おら脱ェ!はははっ!」

 

 

 

こんなゲスどもの前で素肌を晒さなければならない

恥辱に頬を真っ赤に染めながら、ステラは一枚、

また一枚と衣服をはだけていく。

 

 

 

 

 

カーディガンがはだけ、美しいなで肩が露わに

なる。スカートが足元に滑り落ち、魅惑の脚線

がゆっくりと観衆に晒される。ブラウスのボタン

が一つずつ外されて、揺れる布の隙間から小さな

臍の穴が覗く。そしてついには、彼女の肌を包む

ものは白いレースの下着だけになった。

 

 

 

 

「うはー。すっげえ胸だ。ホントウに学生かよ〜」

 

 

 

 

「たまんね〜」

 

 

 

 

 

「ビショウさん! 写メいいっすかッ⁉︎」

 

 

 

 

「ガタガタうるせェよ早漏野郎がァ。

メインはここからだろうがよォ。ヒヒヒ」

 

 

 

 

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」

 

 

 

 

聞くに堪えないよな薄汚い声。それを直に受け、

ステラの身体が大きく震えた。そのとき、一輝

はステラの頬に光なにかを見る。

 

 

涙。

 

 

 

 

 

その瞬間、一輝は『ブチ!』と何かが千切れる

音を聞いた。それは一輝の噛みしめた唇の肉が

ちぎれた音だったが、同時に彼の中にある、

彼をその場に止めていた『理性』の網もまた

千切れた。

 

 

 

 

(ーーーステラッッ‼︎ ‼︎)

 

 

 

 

「落ち着きなさい」

 

 

 

だが、一輝の衝動に行動はついてこなかった。

ついて行けなかった。

 

 

 

 

「ぐっ」

 

 

 

身体が動かない。何かに縫い付けられたように。

見れば、有栖院は自らの固有霊装《黒き隠者》の

刃を、一輝の影に突き立てていた。

 

 

 

 

 

《黒き隠者》相手の影を介して動きを封じる

有栖院の伐刀絶技が、一輝の行動を封じた

のだ。

 

 

 

 

 

「……冷静になりなさい。今出て行って

どうするの」

 

 

 

 

「だけど……ッ、今出て行かないとステラが

……ッ!」

 

 

 

 

「大丈夫。あたしに策がある」

 

 

 

信じられない言葉に一輝が目をむく。

 

 

 

 

「……今、珠雫が動いている。だからあと少し

待ちなさい」

 

 

 

「珠雫が…………?」

 

 

 

「ええ。魔力を隠しながら人質全員を守れる

水の結界の準備しているわ」

 

 

 

 

言われ、一輝はもう一度ホールを見下ろし、

魔力の気配を探ろうと目をこらすが、

 

 

 

 

「………そんなの、どこにも見えないけど」

 

 

 

 

「そりゃそうよ。珠雫はBランク騎士で全体的な

能力値はステラに劣るけど『魔力制御』だけは

今年度ぶっちぎりナンバーワンなんだから。

その一点に限って言えば珠雫はAランク相当の

力を持っている」

 

 

「!」

 

 

有栖院の言葉に、一輝の表情が驚きに染まる。

『魔力制御』とは、早い話、魔力の扱いの巧さを

示すステイタスだ。このステイタスに秀でている

者は、普通の伐刀者が10の魔力を必要とする

行動を、2や3の魔力で行うことができたり、敵

に気づかれないように魔力を用いる『迷彩』と

いう技術を駆使することができる。そして黒鉄珠雫

は取り分けこの技能に秀でた伐刀者なのだ。

 

 

 

「珠雫クラスの業師が本気で迷彩かけたら、誰にも

見破れやしないわよ」

 

 

 

 

「じゃあなんで動いているって言い切れる

のさ…………!」

 

 

 

問いかけに、有栖院は生徒手帳を見せた。どうやら

マナーモードにはしたものの、電源を落として

いなかったらしい。そしてディスプレイに映って

いるのはーー珠雫からのメール。

 

 

 

『今決壊はってる できたら合図出す』

 

 

 

端的な、誤字だらけのメールだ。たぶん周囲を警戒

しながら、ろくに画面も見ないで打ったのだろう。

 

 

 

だが意味は伝わる、はずだった…

 

 

 

「貴様‼︎ 一体、何者だ‼︎」

 

 

(この声は⁉︎)

 

 

(一体、何が起きたというの…?)

 

 

 

一輝と有栖院は声が聞こえる方に視線を向けると

 

 

 

 

「貴様等か…? デパートを占拠や一般人を人質して

《名誉市民》だとか《新世界》とほざいてこんな

ふざけた茶番劇をしている阿保共は?」

 

 

 

 

暗くてよく見えなかったが二人は目をよく凝らして

見て見ると一輝達が『よく知っている人物』の姿

だった。

 

 

 

 

「あの人は…確か……」

 

 

 

 

有栖院はそう言って訝しげな表情でいると

 

 

 

 

「せ、因幡先輩‼︎ ど、どうし…ふっぐッ‼︎」

 

 

 

一輝は驚いた表情でそう言うと有栖院が自らの手で

一輝の口を抑えた。

 

 

 

「落ち着きなさい‼︎ 一輝‼︎」

 

 

 

有栖院がそう言って一輝を落ち着かせると一輝も

いつものように冷静さを取り戻した。

 

 

 

「ご、ごめん…アリス…」

 

 

 

一輝は申し訳なさそうに言うと有栖院は身を

潜めて冷静な表情で

 

 

 

「んで、一輝、さっきあの人のことを…因幡先輩

って言っていたけど…」

 

 

 

有栖院がそう質問すると一輝はゆっくりと答えた。

 

 

 

 

「彼は…因幡 雪先輩……破軍学園二年のFランク

の騎士の生徒だよ……」

 

 

 

一輝がそう言うと有栖院は一輝の今の話しを聞いて

ある疑問が浮かんだ。

 

 

 

「あの人…あなたと同じFランクなの…?

あなた以外のFランクの騎士がいたなんて……

初めて知ったわ……」

 

 

有栖院は驚きを隠せずにいると一輝は更に話しを

続ける。

 

 

 

「それは間違いないみたいだよ…前理事長も

そう言っていたからね……」

 

 

 

一輝達がそう話しているとフードコート広場は

更に状況が悪化していた。

 

 

 

「テメェ…さっきから茶番劇とか阿保とか

もしかして…俺達に言ってるのかァ?」

 

 

ビショウはこめかみの辺りには青い筋がビキッと

なって雪を睨んでいると

 

 

 

「馬鹿なのか?貴様は? 周りをよく見てみろ。

貴様等以外にこの言葉が一番相応しい奴等が

この場にいると思うのか?子供でも当たり前の

ように分かっている事を聞くなんて貴様、随分と

阿保だな。阿保にも程があるぞ?」

 

 

 

 

 

雪はビショウ達にそう言うとビショウは俯いて

小声で何かをぶつぶつと呟いた後、

 

 

 

 

「そうか…そうか…………ヒ、ヒヒヒ…ヒヒヒ‼︎」

 

 

 

「び、ビショウ……さん…?」

 

 

 

ビショウはいきなり大笑いをし始めているのを

他の下っ端の解放軍達は心配そうにしていた。

 

 

 

すると、

 

 

「ヤァーーキン……」

 

 

「は、はい‼︎」

 

 

 

ビショウがヤキンの名前を呼ぶ。

 

 

 

「あのガキを撃ち殺す前にこの《名誉市民》である

この俺を侮辱した愚かで醜いあの豚を撃ち殺せ‼︎」

 

 

 

「わ、分かりました‼︎」

 

 

ビショウは雪の言葉にかなり激怒する姿を見て

解放軍の下っ端達はビショウの怒りに歪んだ表情

を見て【びくり‼︎】と肩を震わせて怯えながら

慌てて雪に銃口を向けていた。

 

 

 

「……それは、戦線布告と取っていいんだな…?」

 

 

 

雪はビショウにそう質問するとビショウは人を

馬鹿にして見下すような悪魔染みた満面の笑みを

浮かべて

 

 

 

「ヒヒヒ‼︎ バーーカ‼︎ 見て分からねぇのかよ‼︎」

 

 

 

ビショウはそう言って上げていた右腕を下ろすと

沢山の銃弾の雨がものすごい勢い速さで雪に目掛け

て飛んでくる。

 

 

 

(む、無理よ…あんなに沢山の銃弾の数‼︎)

 

 

 

(ひ、一人であんな数を相手するなんて‼︎ あの人、

無謀にも程があるわ‼︎死にに行くようなものよ‼︎)

 

 

 

ステラや珠雫が雪を見てそう思っていると

 

 

 

「そうか………」

 

 

 

雪がそう言った瞬間、

 

 

 

 

【カチン】

 

 

 

 

そう鳴った瞬間、周りから【カランカラン】と

何かが地面に落ちた複数の音が周りからした。

 

 

 

 

「……は?」

 

 

「う、嘘でしょ…?」

 

 

「あ、あり得ない…ふざけてる……」

 

 

 

珠雫やステラ、ビショウなどが言葉に

出来ないでいるは無理もない、何故なら…

 

 

 

 

「ま、真っ二つになってる…しかも、全部…」

 

 

 

その音の正体は至極単純だった。それは先程、

ビショウ達解放軍が放った銃弾が全部綺麗に

真っ二つになって地面に落ちた音だった。

 

 

 

 

「銃弾を斬るのも案外難しくないな……」

 

 

 

雪は平然と先程の銃弾の雨を対したことはないと

言って溜息つきながら先程真っ二つに斬り捨てた

大量の銃弾をつまらなそうに見てそう言うと

 

 

 

 

 

 

「あの避けるのも不可能に近い銃弾の雨の中、

全部、撃ち落としたって言うのか? あり得ない…

しかも今の一瞬にしてか…?」

 

 

 

「ば、化物かよ…あいつ⁉︎」

 

 

 

解放軍の下っ端達が少し後退りながら怯えて

慌てていると

 

 

 

『我が一刀の刃の錆びになれ………』

 

 

 

雪がそう言って右手には『灰色一色の刀』が

あった。

 

 

 

「そ、それが…テメェの固有霊装なのか…?」

 

 

 

思考が追いつかなくなったビショウはとても

焦った表情で言うと

 

 

 

「えっ? あぁ……まぁね…ていうか見れば

分かるでしょ?」

 

 

 

雪は面倒くさいと言った表情でビショウの質問

に答えると

 

 

 

(あれがアイツの固有霊装…初めて見た…)

 

 

 

ステラが雪を見ていた。それに固有霊装を

『出すところすら全く見えなかった。』と

そう思っていると

 

 

 

「殺せ‼︎殺せ‼︎殺せ‼︎ そいつを《名誉市民》で

あるオレ達を貶すその愚かな豚を今すぐ殺せ‼︎」

 

 

 

ビショウは慌てて下っ端の部下達にそう指示を

出して銃を構えて銃口を雪に向いて発砲しようと

するが

 

 

「あんた等…目障りだな……」

 

 

 

雪がそう言って刀を鞘から抜いて銃を構えた

ビショウの部下達に向かって一直線に走っていく。

 

 

 

 

「あ、アイツ…ま、真っ向から‼︎」

 

 

 

「あれでは、間違いなく…格好の的じゃないか…」

 

 

 

 

ビショウの部下達そう思いながら一瞬、

戸惑いながらも銃を構えようとするが……

 

 

 

「遅い…そして邪魔……」

 

 

 

 

雪はそう言ってビショウの部下達と構えていた

銃を一瞬にして斬り捨てていった。

 

 

 

「ぐ、ぐはぁ‼︎」

 

 

「そ、そんな…馬鹿な⁉︎」

 

 

「や、やめ……がぁ‼︎」

 

 

 

男達は雪にあっさりと全員が斬られた瞬間、

とても悲痛な表情を浮かべて倒れた。

 

 

 

 

 

「アンタ等さあ、さっきから演説みたいに御大層

な下らない言葉をベラベラと並べるな僕達は今、

『命を奪い合う殺し合い』をしているんだぞ?

それに躊躇うぐらいなら最初から武器を取るな」

 

 

 

 

雪は斬り捨てたビショウやその部下達に氷の様な

冷たく更に光がない瞳を向けて呆れた声を出して

いた。

 

 

 

 

 

「そ、そんな馬鹿な事があってたまるか‼︎

だ、だって…少なかったが、マシンガンを持った

部下達が千人以上はいたんだぞ‼︎ テメェはそれを

あっさりと‼︎」

 

 

 

 

 

「えーっと…確かビショウだっけ……?

そんなつまらぬ戯言をほざいたり動揺して更には

自分の伐刀者の能力に愚かにも溺れている時点で

お前は伐刀者としては三流だよ…でも、さっきの

無能な烏合の集のリーダーとしては一流だ……

間違いなくな…」

 

 

 

 

「んだと‼︎ テメェ‼︎ガキのくせに運良く全員を

倒したからって図に乗るなよ‼︎」

 

 

 

 

その時のビショウは冷静な判断は全く取れずに

ただ、今の彼の心を動かしてるのは雪への怒りの

感情だった。

 

 

 

だが、しかし…

 

 

 

 

(大丈夫だァ……落ち着け……オレには、

《大法官の指輪》がある…『罪』と『罰』。

左の指輪は俺に対するありとあらゆる危害を『罪』

として力を吸収し、右の指輪はその力を『罰』と

いう魔力に変えて敵に撃ち返すことができる。……

ヒヒヒ、つまり、あのガキが強ければ強いほど…

強くなるってワケだぁ…ヒ、ヒヒヒ…それに拳銃も

手元にある。)

 

 

 

 

ビショウは自分の固有霊装の『罪』と『罰』を

思い出した瞬間、ニヤリと笑いながら余裕がある

表情で雪を見ていた。

 

 

 

 

「そちらがこないなら、こちらから行くぞ…」

 

 

 

 

 

「ひ、ヒヒヒ…アァ…別に構わねェぜ?」

 

 

 

 

「後悔するなよ……」

 

 

 

ビショウはそう言って勝ちを疑わない考えを

していたがその誤った選択がビショウの運命を

かなり左右する。

 

 

 

 

(さぁ来い‼︎ 貴様が来た瞬間に確実に俺の

『固有礼装』か『拳銃』で後ろにいる人質の

目の前で確実に殺してやる‼︎)

 

 

 

 

ビショウは雪を見てそう思ってる中、ビショウ

が一瞬だけ瞬きをした瞬間、

 

 

 

 

 

『き、消えただと‼︎ 何処だ‼︎ 何処にいる‼︎

姿を現せ‼︎この卑怯者‼︎ 臆病者‼︎』

 

 

 

 

ビショウが驚きながら叫んで雪を必死になって

フードコート周囲や人質達の顔を確認しながら

探していると

 

 

 

 

 

「こっちだ…鈍間。」

 

 

 

 

「ーーッ!」

 

 

 

 

 

ビショウは背後から聞こえる声に反応して振り返る

と雪の持っていた刀の刃が刺突となってビショウの

喉を刺し貫き【ぐしゃり】とトマトが潰れたような

生々しく鈍い音を立てながら血が飛び散って壁に

貼り付けの様になっていた。

 

 

 

 

 

 

「が、がふっ‼︎ があぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 

「ひ、ひぃ‼︎」

 

 

「う、嘘…‼︎」

 

 

 

喉を刺し貫かれたビショウは苦しみの声を上げて

ステラは生々しい状況を見て青ざめた表情をして

珠雫は両手で胃から込み上げて来る感覚が来て

必死に口元を抑えていた。

 

 

 

 

 

「どうやらここまでのようだな……」

 

 

 

 

雪は死んだ魚のような光無き瞳でビショウの喉に

突き刺さった刀を容赦なく引き抜くとビショウは

その場に倒れて今にも息の虫である血塗れの

ビショウを見下ろすとビショウは力を振り絞って

雪を睨みつけながらも必死になって逃げようと

まるで芋虫のように這いつくばっていた。

 

 

 

 

「な、な…ぜ…どう…して…だ…よ…‼︎」

 

 

 

ビショウが苦しそうに掠れた声でデパートの

出口に向かって這いずりながら言うと雪は

 

 

 

 

「あんたは僕を舐めてたみたいだからなぁ…

それにこの愚かで最悪の事態を招いたのは

間違いなく貴様の傲慢さが生んだんだ…」

 

 

 

 

雪がそう言って地面を這い蹲るビショウをまるで

ゴミ屑を見るが如き瞳をして一歩、また一歩と

ゆっくりとビショウを追いかけていく

 

 

 

「お前もこいつ等によく言っていただろ?

『罪には罰を。罰に許しをーー』それがお前の

信条であり一番のモットーなんだろ?」

 

 

 

 

「や、や……め、ろ‼︎ く……るな‼︎」

 

 

 

ビショウは必死になって地面を這い蹲ってると

 

 

 

 

「逃げるな…ゴミ屑…」

 

 

「がっ‼︎ があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎

い、イテ…イテェよ‼︎ やめてくれ‼︎ 頼む‼︎

た、タのムから…‼︎ 許してくれ‼︎」

 

 

 

 

ビショウは弱々しく掠れた声で雪に泣きながら

懺悔をする。だが、怯えるビショウの姿から見て

ビショウの瞳に写る雪はまるで人間ではなく

化物でも見ているような怯え方だった。

 

 

 

だが、雪はそんなビショウの『身勝手な懺悔』を

決して許さない。

 

 

 

「駄目だ。因果応報……今迄自分が犯した己が

醜くて罪深い行いを悔い改めろ…」

 

 

 

 

「い、イヤだ…! 死にたくない…死ぬのは…

死ぬのはイヤだああああぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 

 

ビショウは掠れた声で必死になって叫び続ける。

その姿はまさにワガママを言って駄々をごねる

幼き童の様に喚き散らしながら右手に持っていた

拳銃を雪に向ける。だが、雪はそれを予知していた

かのように当然であるかのように灰色一色の直刀で

平然と切り落とした。

 

 

 

 

「う、腕が…ない? 腕が‼︎ 腕がああああぁぁ‼︎」

 

 

 

ビショウは最初は理解出来なかったが腕がない感覚

と目の前でボトッと鈍い音がした方へ恐る恐る視線

を向けて見てみると自分の腕らしき物体が転がって

おり更には大量の血がじわじわと目の前で流れ出て

いて転がっていた。

 

 

 

 

「せめて最後ぐらいは『上に立つ者』として、

そして…『隊を率いる者』としての己が務めを

潔く果たせ…」

 

 

 

 

「ぐっ‼︎ ぐがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 

 

雪が冷たい声でそう言ってビショウの腹部を

容赦なく踏んでビショウの髪を掴み持ち上げて蔑み

の目で見ているとビショウはとても怯えて苦しそう

な顔と朦朧とする意識と掠れた声で悶えて必死に

足掻くが雪はビショウをその場に座らせるのを見て

ステラが慌てながら

 

 

 

「ち、ちょっとアンタ‼︎ 一体、何をする気なの⁉︎」

 

 

 

ステラは雪にそう聞くと雪はステラをつまらない物

を見るかの様に見ながら

 

 

 

「何をって…今からこいつの首をはねる…」

 

 

 

 

「ア、アンタ‼︎何、バカな事を言ってるの⁉︎

別に殺すまでの必要はないじゃないの‼︎」

 

 

 

ステラが雪に声を荒げてそう言うと

 

 

 

「貴様…まさか、こいつに今更、変な温情や

情けをかけているのではないだろうな…?」

 

 

 

「違うわよ‼︎ 私が言ってるのは殺す必要がない

って言っているのよ‼︎」

 

 

 

ステラがその言葉を言った瞬間、一瞬にして雪の

殺気でフードコートの周りの空気が重たくなって

変わっていく。それは人質達と紛れて一緒にいた

『Bランク』の騎士の珠雫すら雪の異常の殺意に

当てられて耐え切れずに嘔吐していた。

 

 

 

 

「………貴様、それを本気で言っているのか?」

 

 

 

「あ、当たり前じゃない‼︎」

 

 

 

ステラが雪の殺気に当てられて怯えて今にも

この場で嘔吐をしそうにながらも必死に雪に

反論していた。

 

 

だが、

 

 

「……緩い」

 

 

「…は?」

 

 

 

「だから緩いって言ってるんだよ……」

 

 

 

雪はそう言ってフードコートに集められた

人質達の方へゆっくりと向かっていく。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

「おい…そこの女…」

 

 

 

「わ、私…ですか…?」

 

 

 

雪に言われた瞬間、人質の中にいた女性はビクリ

と肩を震わせていた。

 

 

 

「こっちにきて立て……」

 

 

「…えっ?」

 

 

「いいから立て…二度は言わない。」

 

 

「は、はい…」

 

 

女性は雪に言われた通りに指示された場所に

立っていた。

 

 

 

 

「立ちましたけど……一体…「逝ね」」

 

 

 

女性が全てを語って雪に振り返る前に雪は背後から

忍びより灰色の刀で逆袈裟で女性の首の顎動脈に

当たって更に右肩から左脇腹までばっさりと躊躇い

や容赦など雪には一欠片も一切なく斬り捨てた。

 

 

「がっ‼︎ がっふ‼︎ な、なんで…⁉︎」

 

 

「理由は…貴様が誰よりも知っているはずだ…

この三流が」

 

 

 

「く‼︎ クソォ…‼︎こ…こんなはずじゃ……

「うるさい…さっさと逝け…」くそがあぁぁ‼︎」

 

 

 

女性が悪態を吐くと雪は最後に自分の固有霊装の

灰色の刀の刃を女性の心臓部に突き立てた瞬間、

大量の血飛沫が飛び散り女性は叫び声を上げて

フードコート中に響き渡りそして生き絶えた。

 

 

 

「さてと…いるんだろ? 黒鉄一輝?」

 

 

 

雪は溜息つきながら女の死体から刀を荒く抜いて

刀を鞘に滑らせるように収めようとしてると雪は

一輝が近くにいる事に気付いて溜息をつきながら

そう言うと

 

 

「……気づいていたんですね?」

 

 

「当たり前だ…全然、自分自身の感情と気配を

全くもって隠しきれてなかったぞ…お前?」

 

 

雪と一輝が話してると

 

 

 

「アンタ‼︎ 何を平然と言っているのよ‼︎

何の罪のない人質を殺したのよ⁉︎」

 

 

 

ステラは雪の平然とした態度に激怒していると

 

 

「…何の罪のないだと……?」

 

 

 

 

 

雪がステラの言葉を聞いた瞬間、ピクリと身体が

反応して視界をステラに向ける。

 

 

 

本気で言っているのかこの皇女様は…?

この皇女様といい…そしてこの黒鉄兄妹は本当に

理解しているのか?破軍学園みたいにいつもお優し

過ぎる『生徒』や『生徒会長』や『先生』、そして

『理事長』達みたいに甘やかしてくれると思って

いるのか…?

 

 

そう思っていたならなんと的外れ過ぎて最も

愚かな回答だろう…

 

 

 

呆れた表情をそう思っていると

 

 

 

「だ、だってそうでしょ…? ねぇ、イッキ?」

 

 

 

「そうだね…確かにステラの言う通りだ…雪先輩…

僕も貴方のやり方は少しやりすぎだと思います…」

 

 

「私もお兄様と同じ意見です‼︎それにその人は

なんの躊躇いもなく解放軍の使徒の喉を刺し貫く

人なんですよ‼︎」

 

 

一輝がそう言うと俯いて膝ついてふらふらな状態

だったステラと珠雫が雪にそう言うと

 

 

 

「…はぁー…お前等…本当にお人好しの阿保か?

今、僕が斬りつけたこの女が何の罪のない一般人

だと本当に思っているのか…?」

 

 

 

雪は光なき瞳で一輝達をギロリと睨みつける。

 

 

「だ、だって実際、そうでしょ⁉︎」

 

 

 

ステラが雪に苛立ちながら言うと雪はさっき

心臓を一差しした女性の死体に近づいて

 

 

 

「だったら、お前等はこれを見ても言えるのか?」

 

 

 

雪がそう言って女性の死体を足で蹴って退かして

女性の所持品の鞄を拾って血塗れの鞄の中に手を

躊躇いなく突っ込むと中には普通の女性が絶対に

持っている筈のない。むしろ軍人などが携帯して

持っていそうな『拳銃』や『サバイバルナイフ』、

更にはトランシーバーに近い『通信機』などが

入っていた。

 

 

 

「あ、あれって⁉︎ まさか‼︎」

 

 

「け、拳銃ですよね…?」

 

 

「それにナイフや通信機だなんて‼︎」

 

 

一輝達が驚いている中、雪は更に話しを続ける。

 

 

「恐らくだが……この女も解放軍の手先で更に

保険も兼ねて人質の中に紛れて最悪の場合には

ビショウって奴のタイミングに応じて何人かの

人質を使って盾にでも使ってこの場を逃げる気

だったのだろうと周りの誰もが見ても分かると

思うんだが?それでも貴様等は今、倒れている

この女は本当に罪がない人間だったと言えるか?」

 

 

「で、でも‼︎ 仮に仮説が合ってとしても‼︎

別に殺すまでの必要はないでしょ⁉︎」

 

 

 

ステラは納得がいかないと雪に言うと今のステラ

の言葉に不満だったのか雪は視線をステラに

向けて

 

 

 

 

「だったら何か?人質の誰かが殺されるまでの間、

ただ指を咥えて人が死ぬのを見て眺めていろと…?

それは随分と薄情で他人事過ぎる最悪の愚策の考え

の事だな?更には『世間を全く知らず、更には鶏

以下の記憶力の箱入り娘 のようだったな…案外

対した事ないな…噂に聞いていたヴァーミリオン

皇国の第二皇女様の騎士としての力は対した事

無さ過ぎるぞ?』」

 

 

 

「何ですって‼︎」

 

 

 

ステラは雪の言葉に癪に触ったのか何の合図も

なしにいきなり炎を纏った《妃竜の罪剣》を顕現

させて剣先を雪に向いていた。

 

 

 

「落ち着いて‼︎ステラ‼︎」

 

 

「退いて‼︎ イッキ‼︎」

 

 

それを誰よりも早く気付いた一輝がステラを

必死になって宥めて説得をしていると雪は

そんな状態を無視して更に話しを続ける。

 

 

 

「己の身を守れずにこのような醜態を晒す行為、

まるで痴女のように自分自身の身体を晒していた

貴様などにとやかくと言われる筋合いはないと

思うのだが、違うか?ステラ ヴァーミリオン殿?」

 

 

 

雪はステラに棘があり含みがある言い方をすると

 

 

 

 

「アンタ‼︎ 言いたい事ばかり言って‼︎」

 

 

 

「だが、事実だろ?」

 

 

 

雪のその一言がステラの心の炎に言葉という

油がドボドボと勢いよく注がれて更にステラの

怒りの炎の火力がますます増していく。

 

 

 

「それと黒鉄一輝、

僕は二度言うのは好きではないがもう一度言う。

己の友や妹、更には周りにいる目の前の人質に

なった人間達すら守れないのならば今すぐその

鈍の剣を捨てて伐刀者を剣客やめてしまえ…

その方が貴様の身の為だ…」

 

 

 

「貴方にお兄様の何が分かるんですか‼︎」

 

 

 

珠雫は雪の言葉に怒りを含ませ、更に敬愛する兄、

一輝を雪という男に侮辱されて怒りが増していた。

 

 

 

 

「僕がこのペテン師の事なぞ知るわけないだろう

それに実際、今の状況を見ればわかるだろ?

こいつの鈍の猿真似模造の剣を振るっているから

そうやって誰も守れないんだと思うが違うか

黒鉄一輝?」

 

 

 

「………」

 

 

 

「お兄様をペテン師などと言うなんて貴方だけは

絶対に許しません‼︎」

 

 

 

「珠雫も落ち着いて‼︎」

 

 

珠雫は怒りに身を任せて自分の固有霊装の

【宵時雨】を顕現させる。そんな中一輝は必死に

なって珠雫を収めようとしている時、一輝は雪の

言葉を思い出し返す事が出来ずにいた。

 

 

 

 

「別に許して欲しいなんて思わん……それに結局

の所…そうやって剣客紛いの事をするからお前は

大事部分を何度も見逃して今のように愚かな過ち

を犯すんだ……」

 

 

 

雪は一輝を見ながら悪態つきながら

 

 

 

 

「…ちぃ…興が削がれた……じゃあな……」

 

 

 

 

そう言った後、雪は灰色の刀を一振りして刃に

付いた大量の血を払って刀を鞘に収めた後、

刀の顕現を解除してその場を後にしようとした時、

 

 

「待ちなさい‼︎」

 

 

雪の背後から声が聞こえて振り返ると

 

 

 

「…何だ…『ヴァーミリオン?』」

 

 

 

雪が面倒いといった表情していると

 

 

 

「予選で覚えておきなさいよ‼︎」

 

 

 

「まぁ、覚えていたらな 後、お前との試合は

期待しないで待っておくよ。」

 

 

 

「絶対にアンタのその減らず口を黙らせて

やるんだから‼︎」

 

 

 

ステラが雪に大きな声で言うが雪は興味がないと

言った表情をしながらデパートを出ると警察達が

入ってきて

 

 

「おい‼︎貴様‼︎」

 

 

 

 

警察官の一人が雪の存在に気づいて振り向いた

瞬間、

 

 

 

「い、いない…だと…?」

 

 

 

 

あり得ない…確かにいたはずだ…それに人質に

されて解放されてすぐに隠れられる時間は

なかったはずだ…

 

 

 

警察官の青年がいくら周りを探してみても

見付けられずにいると

 

 

 

 

「おい貴様‼︎ 何をしている‼︎」

 

 

 

 

「す、すみません‼︎」

 

 

 

 

 

警察官の青年は上司に怒られながらも後ろを

振り返って

 

 

 

(さっきのは…見間違いだったのか……?)

 

 

 

警察官の青年は頭を傾げながらさっきの気配は

気の所為だったんだと思ってその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危なかった…警察の取り調べってとても長いし

自分のことも話さないといけないから本当に

面倒いから嫌なんだよな……」

 

 

 

気怠そうに文句を言いながら雪は帰り道を一人で

歩いていると

 

 

 

「ヴゥーヴゥーヴゥー……」

 

 

 

雪のズボンの中に入っていた携帯が鳴って手を

ズボンに荒く突っ込んで携帯を取り出して画面を

起動させて画面を確認すると

 

 

 

『因幡 雪様の選抜戦第一試合の相手は、

二年一組・出雲 咲夜様に決定しました』

 

 

 

「やっと、来たか……」

 

 

 

雪はそう呟いた後、血のように染まる真っ赤な

夕陽を眺めながら携帯を握りしめていた。




読んでいただきありがとうございます‼︎
これからも書いていきますのでぜひ、
ロクでなしシリーズも応援よろしくお願いします‼︎


楽しんで読んで頂けたら有り難いです。

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