落第騎士と幻影騎士の英雄譚   作:またたび猫

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どうも皆様お久しぶりです。


『お気に入りを96人』、『しおり28人』更に
『投票者11人』も登録していただき本当に
ありがとうございます。本当に感謝感激です。
他の作品にも『お気に入り』や『しおり』、
『投票』など更には『意見』や『感想』などの
応援をしてもらえると心や精神の支えになります。



後、2018年が終わり、2019年になって『平成』が
終わり『新しい元号』なっていきますがこれからも
頑張って『落第騎士』や更にロクでなし魔術講師と
『死神魔術師』や『白き大罪の魔術師』などの作品
をどうかよろしくお願します‼︎



■■の心

「貴様‼︎ 一体、どういうつもりだ‼︎」

 

 

 

今、雪がいる場所は破軍学園の理事長室であった。

そして黒乃は声を荒げて雪に憤っていた。

 

 

 

「どうしたんですか…黒乃理事長? どうして

そんなに声を荒げているんですか?」

 

 

 

そんな中、雪は平然とした表情して頭を傾げる。

 

 

わざとボケたりしてるのではなく本当に黒乃の言葉

や理事長室に呼ばれた意味が分からないといった

表情を目の前で浮かべているのだ。

 

 

そんな雪の反応と態度を見て更に声を荒げる。

 

 

 

『何がだと……? 巫山戯るな‼︎

解放軍デパート立て篭もりについての件だ‼︎』

 

 

 

何故、黒乃理事長が激怒しているかと言うと

『解放軍のデパート立て篭もり事件』についてに

雪に怒っていた。特に一番許せなかったのは

『解放軍惨殺事件』についてだった。

 

 

「ああ、そんなことで声を荒げているんですか?

全く……何がいけないんですか? 僕はただ人質を

助けただけですよ? 」

 

 

「決まっているだろ‼︎ 貴様はデパートを占拠して

いた1万近くいた解放軍を全員を皆殺ししただろ‼︎

何で皆殺しにしたんだと聞いている‼︎」

 

 

黒乃は事件後、一輝達から事件についての話の内容

を聞いて事件の真相を問い質す黒乃は雪を理事長室

に呼び出した目の前にいる雪に事件の真相について

問いただしていた。

 

 

 

 

「そんなつまらぬ内容で黒乃理事長は僕を理事長室

に呼び出したんですか? はあ…まったく…理由は

とても単純にして明快な回答です。あいつらは人を

痛ぶり傷つけ悦に浸り楽しむ様な屑共だったから

あの場で犯罪者の屑共を皆殺しにした。

これが理由です。皆殺しにしなければ全員死んで

しまっていたのでやも得ないく皆殺しにしました。

満足でしょうか? 黒乃理事長?」

 

 

 

 

雪は溜息をつきながら頭をガリガリとかきながら

そう言っていると黒乃は机の上にあった大量の

吸った後の煙草が溢れている灰皿に【グリグリ】と

灰皿に押し付け火を消した後、椅子から立ち上がり

【カツカツ】とヒールの音を立てながら視線を雪に

向けて近づいていく

 

 

 

「満足か? だと……? 巫山戯るな‼︎ 貴様は…

貴様は一体、人の命を何だと思っているんだ‼︎」

 

 

雪の態度を見て黒乃は更に激怒した。目の前にいる

『雪』という男は私に平然とこう言っているのだ。

『生きる価値のない愚か物共だったから殺した。』

そして『そんな屑共は死んで当然だと』そんな理由

で人を殺したと一輝達から聞いた瞬間、この雪の

『今回の件』の行いを許せなかった。

 

 

 

こいつは人を殺してなんとも感じないのか?

 

 

そして今、私が一番気になったのはこいつは

どうしてそんなに平然としていられるのだと、

いくら考えても全く分からなかった。

 

 

 

「人の命を何だと思っている、だと…?」

 

 

 

雪はそう言うと視線を黒乃に向ける。

だが、それはーー

 

 

 

「だったら、黒乃理事長。貴方に問います。もし、

『罪人の命』と『善人の命』、どちらかを天秤に

かけて一人分の命しか救えず、更にはもう片方は

見捨てなければならない…そんな状態だったら

貴方はどちらの選択をして命を助けますか?

まさか、善人悪人、どちらの命も関係なく助ける

なんてそんな『愚かである偽善者のような選択』

を元KOK・A級リーグ選手で元世界ランキング3位

の『世界時計(ワールドクロック)』と呼ばれた

貴方がそんな甘ちょろいことを言いませんよね?」

 

 

 

「‼︎ ッ…そ、それは………」

 

 

 

冷たくて硝子玉のような冷たくて暗い瞳で黒乃を

見る。それはこの世界に役に立って社会に貢献を

している『善人の命』と人の人生を害する事しか

考える出来ない世界の膿みたいな『悪人の命』だ。

どちらの命を救い、そして切り捨てるべきか

誰が見ても一目瞭然で分かる筈だろうと黒乃本人

に訴えられている気がする…いや…間違いなく

訴えているのだろう。

 

 

そして『曖昧な答えは決して許さない』と

言っている気がした。

 

 

 

雪の質問に対して答えれず黒乃の目が泳いで更に顔

を歪ませて額から汗をダラダラとまるで滝のように

流れていくら拭いても吹いたも止まらない。そして

何か反論しようと口にするが答えられなかった。

何故なら随分と昔、戦場に向かった事がある黒乃は

知っている。『戦場』や『今回の様な人質事件』

などでは口先だけの綺麗事や軽はずみな言葉で解決

して済むはずがない。それを知っている黒乃だから

こそ何も言えない。

 

 

 

だが、これだけは言える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『無為意味な畜生の如き殺戮など『一人の人間』

としてそして『一人の伐刀者』としてその行いを

認められないし決して許して良いという通りなど

あるはずがない…ッ‼︎』

 

 

 

黒乃が握り拳を作りギュッ‼︎と力を入れる。

 

 

 

 

 

 

「それが答えですよ。 どんなに『父親』や『母親』

更には『教師の先生』などが『教科書』や『言葉』

で周囲の人間達に人の命を奪っては駄目だと綺麗事

を言って促がしても全てが腐り切っている悪人達

には何十何百の悪行を行いそして『善人の命』を

『家畜』の様に見下す様に弄び奪ってしまっても

反省をするどころか 『己の娯楽』と『愉悦』の為

に平然と楽しんでいる。それどころか犯罪を嬉々と

してそしてその犯罪のスリルを味わいたいと言って

面白半分の犯罪者達が増え続けている。それこそ

解放軍みたいな犯罪者達なら尚更ですよ?」

 

 

 

雪はゆっくりの口調で黒乃に丁寧に説明する。

だが、黒乃には納得できなかったのかギリッ…と

歯軋りの音をさせる。

 

 

 

「だからって…「彼等だって僕達と同じ命がある

人間なんだから殲滅させる必要がないだろうって

言いたいですか? だったら黒乃理事長、貴方は

甘すぎる……」」

 

 

「‼︎」

 

 

「それに僕がやった事はただどちらの人間が良い

かを天秤にかけただけに過ぎないですのでその結果

とやかく文句を言われる筋合いはない筈ですが?」

 

 

黒乃が言おうとした瞬間、雪は黒乃が言おうとした

事を簡単にあっさりと言い当ててみせて更に人質を

助けたのだから言われる筋合いは全くもってないと

言ったのだ。だからこそ何故かは分からないが黒乃

は本能的にかつてないほどの胸騒ぎをこの目の前に

いる雪というこの学生騎士から感じた。

 

 

 

(まさか…ここまでとは予想していなかった…

だが、こいつは今、ここでどうにかしなければ‼︎)

 

 

 

 

黒乃は視線を雪から逸らさない様にしながら霊装

の二丁拳銃『エンノイア』を顕現させようとすると

 

 

 

『まもなく黒鉄一輝選手と桐原静矢選手の試合開始

の時間になります。選手の方は試合会場に集まって

ください。繰り返します……』

 

 

 

 

「もう、そんな時間か……」

 

 

 

試合開始のアナウンスが流れると雪はつまらなそう

にそう言って懐から懐中時計を取り出して確認する

と黒乃に背を向けて理事長室を出て行こうと

していた。

 

 

 

 

「おい‼︎ 待て‼︎ 話しは…「貴方に話があっても

僕には話す事は何も無い…」」

 

 

 

黒乃は出て行こうとする雪を必死に引き止めるが

雪はそんな黒乃に暗くて冷たい瞳を見て黒乃は

理解した。そして自分自身向けて語っている

気がした。

 

 

 

『もう何も語るな。』とそう言っている様な

気がした。

 

 

 

 

「では、黒乃理事長。僕はこれで失礼します。」

 

 

 

 

雪は黒乃に冷たくそう言い放ちながら黒乃に背を

向けて理事長室から出て行った。

 

 

 

「やれやれ……黒鉄やヴァーミリオンなどの問題児

を見てきたが『因幡 』と言う騎士はかなりの

問題児だな…」

 

 

 

黒乃はそう呟いた後、先程の張り詰めた空気に解放

されたからだろうか懐から煙草とライターを取り出

して煙草に火をつけて吸って吐くと空中に大量の煙

を出していた。

 

 

 

「そう言えば…最近色々と忙しくて忘れていたが

私が理事長に就任する前も前理事長も様子が

おかしかったな……」

 

 

 

 

黒乃は自分が初めてこの破軍学園に来た時の事を

思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、今から破軍学園理事長は私がしても

構わないですね?」

 

 

 

「あぁ…構わない。」

 

 

 

 

黒乃は前理事長に質問すると前理事長は黒乃の

質問に答えるが顔色がとても良くなく真っ青で

目元には濃いクマがあって調子が悪いのは誰が

見たって誰でも分かるぐらいの症状だった。

 

 

 

「じゃあ、早く理事長申請の書の書類を用意を…」

 

 

 

「お、おい‼︎ 無理するな‼︎ あんた、

ふらふらで今にも倒れそうじゃないか‼︎」

 

 

 

前理事長はそう言ってフラフラしながらも

理事長室の机の上に置いてある申請書の書類を

取ろうとした瞬間、前理事長は転びそうになり

ながらも膝をついてそして左手で机を支えにして

「はぁ、はぁ…」と息を荒げながら右手で頭を

抑えるのを黒乃は見て必死になって前理事長を

止めていた。

 

 

 

「だ、大丈夫だ…気にするな…ほら、

受け取りたまえ……滝川君」

 

 

 

前理事長が黒乃にそう言って机の上に乗っていた

申請書の書類を手にとって黒乃に渡す。

 

 

 

「ありがとうございます…後、私の今の名前は

滝川ではなく神宮寺ですって…ん? なんだ……

これは…?」

 

 

 

黒乃は申請書を見て『ある文章の内容』が

気になり目に入った。

 

 

 

その文章の内容はーーー

 

 

 

『一番端の部屋に手を出してはいけない。』

 

 

 

とその文字は赤い文字の注意事項で書いてあった。

 

 

 

これは一体、どういう事なんだ…?

 

 

更にこの文章の内容は? しかも赤い文字で

『手を出すな』だと? 幾ら何でも前理事長が

先程渡したこの文章の内容は大袈裟過ぎるだろ…

 

 

 

 

「すまないが…これは一体…?」

 

 

 

黒乃は赤い文字の注意事項の印に指差して

前理事長に質問すると

 

 

 

「あ、あ…ああぁぁ…ああああああああぁぁぁ‼︎」

 

 

 

「⁉︎」

 

 

前理事長は更に真っ青な表情をして両手を頭に

抑えながら狂ったような叫び声を錯乱に近い声を

上げていた。

 

 

 

「お、おい…一体、どうしたんだ…?」

 

 

 

 

「うるさい‼︎ 私に触るな‼︎ 黙ってろ‼︎」

 

 

 

 

 

黒乃がフラフラになった前理事長を心配なって

ビックリしながらも恐る恐ると近づいて質問を

するといきなり叫び出して

 

 

 

「止めろ‼︎ 止めろ‼︎ 止めろ‼︎ 何も聞くな‼︎

私は何も悪くない‼︎ 私は…私は……私は‼︎」

 

 

 

「お、おい…落ち着けよ…」

 

 

 

 

「落ち着いてなんていられるか‼︎ 嫌だ‼︎ 嫌だ‼︎

助けてくれ‼︎ 私は 『あの時の交わした約束』は

絶対に違えないと誓うから…だから‼︎ だから‼︎」

 

 

 

 

(あの時の約束……? なんだ、それは…? )

 

 

 

言っている意味が分からなかったが黒乃はとにかく

前理事長を宥めるが冷静な判断が出来ない状態で

暴れている前理事長は頭を掻き毟りながら涙を

流して醜い声で叫んでいる。

 

 

 

「がっ‼︎ がぁ…がああああああぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 

更には前理事長は首元を爪でガリガリと何度も

掻き毟って更には口元から涎をダラダラと垂らして

過呼吸状態なっていきはぁ、はぁ…呼吸が荒くなり

大量の血がポタポタと雫なって地面に流れ出た後、

その場所で倒れた。

 

 

 

 

「お、おい‼︎ 大丈夫か⁉︎ 返事をしろ‼︎」

 

 

 

黒乃は倒れた前理事長に声を掛けるが

 

 

 

「…私は……私は…悪くない……」

 

 

 

まるで悪夢にうなされるように何度もうわごとを

言っていた。そして黒乃はそれを見て『ある疑問』

が浮かんだ。

 

 

 

それは何故、前理事長がこんなにも怯えて

更には精神は完全に崩壊しているのだ?

 

 

 

黒乃は少しの間、右手の人差し指を顎に当てて

考えてそして何かを理解したのか急いで前理事に

渡された散乱した破軍学園の書類を全部拾い上げて

ペラペラと音を立てて再度見返す。

 

 

 

そう黒乃は思い出したのだ。

 

 

 

先程、前理事長と会話をした時に手渡された

破軍学園の申請書や配置などの見取り図などの

資料の中に『赤い文字で書かれた印の場所』の

話しをした瞬間に前理事長は異常な発狂をして

ガクガクと体を怯えて良い大人なのに本当に

泣き叫んでいるのが分かった。

 

 

 

(そう言えば…先程、渡された資料の中に赤い文字

と印で書かれている場所があったな…一度、自分の

目で確かめに行ってみるか……)

 

 

 

 

黒乃は思考を巡らせながらも理事長室の電話を

使って医療班を呼んだ後、前理事長は救急車に

運ばれてサイレンや野次馬達などの騒ぎ出す声が

混ざり合っても出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー…面倒い……」

 

 

 

寝癖ついた少年は死んだ目をしながら部屋で

ダラダラとしながらも箸でポテトチップスを

パリパリと食べてメロンソーダを飲んでゴクゴクと

渇いていた喉に流し込んで怠惰に過ごしていた。

 

 

 

 

「何もする事もないし……暇だ……」

 

 

 

 

少年がそう言っていると

 

 

 

 

《ピンポーン》

 

 

 

「んぁ…?」

 

 

 

ブザーが鳴ると少年はやる気の無い声を出して

視線を玄関に向ける。だが、少年は起きて出る

様子はない。

 

 

 

 

(誰だろう…? まぁ、別にどうでも良いか……

僕には関係ないし…)

 

 

 

少年はそう考えごろ寝しながらパソコンを起動

させてユーチューブやスマホのアプリゲームガチャ

をしていると

 

 

 

《ガチャリ》

 

 

 

「えっ…?」

 

 

 

少年は《ガチャリ》と音がした瞬間、少年は

情け無い声で声を出すと同時に《テッテテーン‼︎》

と最高ランクのSランクが出た音楽演出が部屋の

中で鳴り響いていた。

 

 

 

「暗いな…それに誰かいるみたいだな…」

 

 

 

黒乃はそう愚痴をこぼしながらも真っ黒な部屋の

奥に進むと寝転がっている少年がいた。更に服装

の姿はだらしなく黒の半袖のシャツと白の半ズボン

を履いていた。

 

 

 

「あ、あの…どちら様でしょうか…?」

 

 

 

「ん…? 私はこの破軍学園の新理事長として

新しく就任した神宮寺 黒乃だ。貴様こそ名前を

教えて貰おうか?」

 

 

 

黒乃は怠惰でだらしないかっこをした少年に目を

離さず警戒しながらも質問をする。

 

 

 

 

「僕の名前は『因幡 』と言いますけど…?」

 

 

 

雪は溜息をつきながら自分の名前を名乗ったのが

神宮寺 黒乃と因幡の初めての出会いだった。

 

 

 

「その時に因幡と初めて会ったのがあの時

だったな…」

 

 

 

 

 

黒乃が因幡を見て最初に感じた第一印象はただの

睡眠ばかりでゴロゴロして自堕落でやる気の無い

死んだ魚の目をした落ちこぼれでFランクの怠惰な

騎士という印象しかなかった。

 

 

 

だが、

 

 

 

(ステラ・ヴァーミリオン…今、『切腹を名誉な事』

だと…貴様はそんなふざけた事を言ったのか?)

 

 

 

 

(だからヴァーミリオン…『切腹と名誉』を

取り違えて何も知らない奴がこれ以上、

『切腹を名誉』だとかこの国の歴史を

二度と軽々しく言うな……)

 

 

 

 

その時、黒乃は因幡の瞳を見て思った事は因幡は

歪であり、異常過ぎる男だと思った。更には何故か

分からないがとても悲しみなどが虚ろな瞳に写って

グルグルと混ざりあって視線を向けている様な

気がした事を鮮明に思い出していた。

 

 

 

 

それだけならまだどれだけ良かった事か

だが、そんな黒乃の思いを裏切っていく。

 

 

 

 

それが解放軍の使徒の一人のビショウが率いる

解放軍がデパートを占拠してデパートの中にいた

一般人を人質にしていた最近の事件だ。

 

 

 

 

昨日、一輝達の話によれば因幡はデパートで人質と

共に立て籠もっていたビショウの喉を自分の霊装の

刀を使って刺して更には解放軍の部下達と武装して

いた銃を容赦や躊躇いなどなく片っ端から

切り捨てて皆殺しにして鎮圧たらしい。

 

 

 

 

そして一番驚いたのは『最弱のFランク』である

雪がビショウ達などのデパートの解放軍達を

たった一人であっさりと制圧した事だ。

 

 

 

だが、制圧と言う生半可な甘い言葉ではなく何十体

の酷い死体が転がっており、奇跡的に生き残りは

一人二人はいたがもはや精神すら保てずに壊れて

言葉すら話せない者や呆然として「あー…あー…」

ともはや言葉が話せるかどうか分からない状態の

者などいてもはや同情せざる得ない程でまさに

見るも無残な地獄絵図に近い惨状だった。

 

 

 

そんな中、ビショウだけが魔導騎士連盟日本支部

に保護されてこの硝子越しの真っ白なベッドの部屋

で奇跡的に命を取り留めた。そしてビショウは

解放軍の使徒だからなのか両手はベッドの手摺りに

などに括り付けて厳重に拘束されているが喋る事は

おろか瞳に光は全く無くなって口を開けて廃人の

様な虚ろな瞳をして施設の天井を眺めていた。

 

 

 

黒乃や魔導騎士連盟日本支部の人間達がビショウに

どれだけ質問をしてもビショウは黒乃達に視線を

向ける事はなくただ遠い目をしていた。

 

 

 

 

「駄目ですね…完全に精神が喪失しています。」

 

 

 

「……………………………」

 

 

 

「クソが‼︎」

 

 

 

「解放軍の使徒が生きていると聞いて来てみれば

心ここにあらずって言うところだな…これでは

使い物にはならんぞ‼︎ どうするのかね⁉︎」

 

 

 

「それはこちらが聞きたいくらいだ‼︎ そもそも、

貴方方がもっと早く行動していればこの様な失態を

晒さずに済んだ筈だ‼︎」

 

 

 

 

「貴様にだけには言われたくない‼︎そもそも貴様は

前回の解放軍の捕獲作戦で情け無い失態を晒して

いたではないか‼︎」

 

 

 

「何だと‼︎」

 

 

 

 

黒乃は硝子越しからではあるが精神喪失して意識を

失っているビショウを見て黙って静寂な空間の中、

他の魔導騎士連盟日本支部の幹部の人間達は悪態を

つきながら自分の失態を棚に上げて他の幹部達の

他人の過去の失態を醜く言い合って押し付け合う。

 

 

 

すると、

 

 

 

「静かにして下さい‼︎ ここは医療機関の施設内

ですよ。他の人に迷惑がかかります。騒ぐなら

今すぐ出て行って下さい‼︎」

 

 

 

ここの医療機関の医者らしい人物が出て来て怒り

のこもった声で魔導騎士連盟日本支部の幹部達に

言う。すると機関の医者に言われた魔導騎士連盟

日本支部達の幹部達は

 

 

 

「貴様‼︎ 一体、何様のつもりだ‼︎

貴様こそ身の程を弁えろ‼︎」

 

 

 

「そもそも、我々は魔導騎士連盟日本支部の

者だぞ。医者の分際で私達に指図をするな‼︎」

 

 

 

 

医者の態度が癪に触ったからなのか自分達に

言ってくる医者の言葉に対して魔導騎士連盟

日本支部の幹部達は矛先を医者に向ける。

 

 

 

(くだらん……これだから頭の固い老人共は…

此処まで来て権利や振りかざして自分の保身に

拘るのか?)

 

 

 

黒乃はちらっと視線を向けて言い争いをしている

魔導騎士連盟日本支部の幹部達に小さな溜息を

ついて看護師に近づいて看護師に聞く。

 

 

 

「すまないが、こいつに用事があるんだが、

構わないだろうか…?」

 

 

 

「えぇ……構いませんが……出来れば患者の負担に

ならないようにしてくださいね……?」

 

 

「分かっている。元からそのつもりだ……」

 

 

 

黒乃は看護師とそう話すと一人で再度、

奥の硝子越しの部屋に急いで入った。

 

 

 

その時、私は焦っていたのかもしれない。

デパートで一体、どのようなやり取りがあったのか

をどうしても知りたかった。何故か分からないが

その事件の内容を知っておかなければならないと

私の本能が言っている様な気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

黒乃が入ると真っ白な部屋でビショウはベッドに

横たわって両手両足はベッドに固定されてモニター

の電子音の音が部屋に響いて消毒液や薬品の匂い

などがした。

 

 

 

(こいつが…黒鉄達が言っていた解放軍の使徒か…)

 

 

 

黒乃はベッドに横たわっているビショウを見ると

虚ろな瞳で黒乃を見ていた。

 

 

 

 

「今から質問するが構わないな?」

 

 

 

 

「構いませんが…患者の負担にならない様に

して下さい……」

 

 

 

 

「あぁ…」

 

 

 

 

 

黒乃は看護師そう言われて返事をすると黒乃は

ビショウに質問をしていた。

 

 

 

「何故、デパートを占拠した?」

 

 

 

 

黒乃がそう言うとビショウはゆっくりとだが、

右腕が上がる。すると黒乃はもちろん看護師も

びっくりしながらも急いであ行からわ行まで書いて

あるプレートを持って来てビショウの手元に立てて

一個ずつ指でゆっくりとであるがなぞっていく。

 

 

そして

 

 

 

「か、つ、ど、う、し、き、ん、の、た、め」

 

 

 

黒乃がそう読み上げると予想通りの答えだった。

活動資金の為にビショウは今回のデパートの

占拠事件したらしい。黒乃は更に質問を続ける。

 

 

 

 

「次の質問だ。貴様はデパートで一体、

何を見た?」

 

 

 

 

 

黒乃がビショウに更に質問すると

 

 

 

(なにを……?)

 

 

 

 

ビショウはプレートでそう言うとビショウの顔色

が真っ青に変わる。

 

 

 

(あ、アイツ…アイツがアイツがアイツがアイツが

あいツがアいツがあイツが人の姿ヲシた化物…

いヤ…ヒとのカわを被ッた悪魔‼︎あく魔‼︎アクマ‼︎)

 

 

 

 

ビショウがプレートでそう言うとビショウは

いきなりヒステリックになってしまいベッドの上で

暴れ出す。

 

 

 

「なっ⁉︎」

 

 

 

 

黒乃は驚く。何故ならビショウは黒乃の目の前で

暴れて刺さっていた点滴の針を無理矢理に抜き取り

爪で自分の身体を掻き毟り傷つけていく。

 

 

 

「先生‼︎ 大変です。患者さんの容体が‼︎」

 

 

 

看護師が叫びながら近くにあるナースコールを

押しながらビショウを必死になって抑えていた。

 

 

「急いで麻酔の用意を‼︎」

 

 

「はい‼︎」

 

 

医者と看護師は急いでやり取りしてる中、

魔導騎士連盟日本支部の幹部達も硝子越しの

部屋に入ってきた。

 

 

 

 

 

「これは一体、どう言う事かね。神宮寺君‼︎」

 

 

 

「それはですね……」

 

 

 

 

 

黒乃は全てを魔導騎士連盟日本支部の幹部達にも

話した。『何故、デパートを占拠したのか』、

そして『デパートで一体、何を見たのか』を

聞いた瞬間、ビショウが暴れ出した事を

 

 

 

 

 

「なるほど……そう言う事だったのだな、

だが、これは良くない傾向だな…神宮寺君。」

 

 

 

魔導騎士連盟日本支部の幹部の一人で誰よりも

白髪で老けた男が笑顔で黒乃に言うと黒乃は

 

 

 

「私の判断ミスです……すみませんでした。」

 

 

 

黒乃がそう言った後、魔導騎士連盟日本支部の

老けた老人の幹部は黒乃にはっきりとではあるが

遠回しに「この部屋から出て行け」と言うと

黒乃は何も言わずその指示に従って出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私とした事が…焦ってしまい今回はらしくない

失敗をしてしまったな…」

 

 

 

 

 

黒乃は後悔の言葉を呟きながら懐から煙草を

取り出して火をつけて「ふぅーー」と煙草を

吸って空を見上げながら空中に大量の煙を出して

自分の先程の失敗を思い出していた。

 

 

 

 

そう、先程の黒乃らしくない間違った判断をした

理由は言うまでもなく『因幡』だ。黒鉄達の話を

聞いた瞬間、いてもたってもいられなかった。

 

 

 

確かに伐刀者の最低ランクの(Fランク)の騎士の

黒鉄でも『一刀修羅』や『模倣剣技』、更には

『完全掌握』などがあるがしかし、因幡にはそんな

話しなどを聞いた事がない。なのにその因幡が

一万人以上の解放軍達を一人で一瞬にして皆殺し

にしたのだ。

 

 

 

そんな事件を一人で解決した奴が最弱で恥晒しの

伐刀者の筈がない。しかも因幡は無傷で全員を

自分の霊装の刀で顔色変えずに平然と殺したんだ。

 

 

 

そこまで来ると一つだけ疑問が浮かぶ。それは

デパートの人質立て篭もり事件で解放軍の使徒すら

斬り捨てた因幡はそれだけの力を持っていながら

何故、『最弱で怠惰の騎士なのだろう…?』

黒乃はいくら考えても分からなかった。

 

 

 

 

(ごちゃごちゃと頭で考えるのは止めだ…私とした

事がさっきかららしくない…明日にでも因幡を

呼ぶか……)

 

 

 

黒乃はそう考えながら学園に向かって行って更に

情報収集の為に一輝達にデパートの事件についての

事情聴取などをこまめにしてそして次の日になって

そして現在に至る。

 

 

 

 

「やれやれ……今度こそと思っていたんだが……」

 

 

 

 

黒乃は雪がいなくなった後、理事長室で懐から

煙草を取り出してライターで煙草に火をつけて

一服する。

 

 

 

 

 

「しかし、そうなると……ますます因幡の事が

分からなくなってきたな……」

 

 

 

 

黒乃は手元にあった七星剣武祭の書類を纏めて

横に置きながら溜息をついて因幡の個人情報の

書類を眺めながら座っていた理事長室の椅子に

立って理事長室の窓を眺めながらも自然と口で

呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜〜…疲れた……」

 

 

 

雪は理事長室を出た後、つまらなそうに廊下を

一人でブラブラと歩いていた。

 

 

「それにしても……」

 

 

黒乃理事長は霊装を顕現させていたなぁ……

机で見えないようにしていたけどあまり良い

気分はいえない……はぁ…本当に面倒事は

勘弁してほしい……

 

 

 

雪がそう感じながら溜息を吐いていると

 

 

 

「貴方は……」

 

 

 

「おぉ、因坊じゃねぇか?」

 

 

 

雪は声がする方へ視線を向けると常に着崩した

着物を纏う飄々とした黒髪の小柄な女性。

西京 寧音だった。

 

 

 

「えぇ…そうですね。んで、僕引き止めて

一体、何か用事ですか? 西京寧々先生?」

 

 

 

 

雪は気怠げに欠伸しながらも硝子玉のような

死んだ魚の様な冷たい瞳を寧々に向ける。

 

 

 

「別に用はねぇよ? ただ、最近噂になっている

因坊に興味が湧いた。それだけの事だよ。」

 

 

 

「そうですか……流石ですね。

んで、どんな噂があるんですか?」

 

 

 

寧々とそんなやり取りをしながらも雪は呆れた

表情をしながらも寧々の話しに適当に相槌を打つ。

 

 

 

雪は分かっていながらもわざとらしく聞くと寧々

は「そうだねぇ……」と言いながらも扇で口元を

隠しながら

 

 

 

「例えば……『解放軍デパート惨殺事件』……

とか、どうだ?」

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 

寧々は意図して言っているのかそれとも何も

知らずに言っているのか分からない……いや、

恐らくわざと言っているのだろう。雪はその話し

を聞いた瞬間、怠惰で怠そうな表情だったのが

一瞬にして消えて虚ろで光なき瞳で寧々を訝しむ

様に見る。

 

 

 

 

黒乃理事長といい、この目の前にいる(ロリっ子)

……じゃなかった、西京先生も一体、何が目的で

僕をどうしたいんだろう……? そしてどうして

ほっといてくれないんだろう…

 

 

 

 

雪は深刻そうな表情して寧々に警戒していると

 

 

 

 

「おいおい、そんなに警戒するなよ。私は別に

くーちゃんみたいにガミガミとああだこうだと

口うるさく口出して言うつもりはねぇから

安心しなよ?」

 

 

 

「……だったら、一体、なんだと言うですか?

寧々先生…僕に何か言いたい事があるならこんな

回りくどく焦らさずに今、ここで言いたい事を

はっきりと言ったらどうですか?」

 

 

 

寧々は雪そう言ってニヤリと口元を上げるのを

見て雪は寧々の回りくどさに呆れていると

 

 

 

「あぁ、そうだったなぁ…まぁ、そうだねぇ……

私が言いたい事はたった一つだけだ。」

 

 

 

寧々はそう言って扇で口元を隠して雪と話して

いると寧々の姿が一瞬にして消えていた。

 

 

 

 

(これは……!)

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

「テメェが何を考え行動しようと構わねぇーが

これ以上、くーちゃんを困らせるならテメェを

許さねぇーからな……」

 

 

 

 

雪が気づいた時には先程少し離れた場所にいた筈の

寧々はいつの間にか目の前にいて鉄扇型の固有霊装

の鉄扇型の紅色鳳を広げて雪の首元に突きつけて

先程の笑顔が嘘の様に敵意の瞳を向けていた。

 

 

 

なるほど……警告か、変な事をしたらお前を

容赦しないと……だが、そんなの僕には関係ない

 

 

 

 

「これは『抜き足』ですか?」

 

 

 

 

「⁉︎ て、テメェ……何故、それを…?」

 

 

 

 

 

雪が技の名前を躊躇いなく淡々と言うと寧々は

目を見開き驚いて信じられないと言わんばかりの

表情を浮かべながら雪から視線を外さずに警戒を

しながらも恐る恐ると質問していた。

 

 

 

何故ならこの男は自分の技の一つである『抜き足』

を何の躊躇いもなく一瞬にして看破して見せたの

だから…

 

 

 

 

 

『抜き足』とは特殊な呼吸法と歩法によって相手に

自身の存在を認識させなくする技の一つである。

寧々が『抜き足』をこの学園で使ったのは一輝と

ステラが試合する時、一輝に一度見せたあの時だけ

のはずである。

 

 

 

 

なのに雪は寧々に紅色鳳を突きつけられている

と言うのに雪は何事もなかったかの様に平然と

涼しい表情をして虚ろな瞳で寧々を見ていた。

 

 

 

(こいつは一体…一体なんなんだ……なんで……

どうして、平然としていられるんだ…?)

 

 

 

 

寧々は『夜叉姫』の異名を持つ現役のKOK選手で

あり、現世界ランキング3位という功績を残して

いる超一流の騎士で『魔人の1人』だと言うのに

(Fランク)である雪は(魔人)寧々の威圧に

怖気つどこか平然とした表情で今目の前に立って

いるのを見て一瞬だが、寧々の背筋から一瞬で

あるが寒気が気がしたのだ。

 

 

 

 

 

「この際です。はっきりと言っておきます。」

 

 

 

 

 

雪はいつもの怠惰な表情ではなく能面のような

無表情そう言うと驚いた表情をした寧々を無視

して 更に話しを続ける。

 

 

 

「僕の本音を今、言わせてもらうならば…貴方達

が何をどう思ってどう行動するかは僕から すれば

どうでも良いし貴方達の自由だ。だが、貴方方の

身勝手な考えを他人に無理矢理に押し付けるな。

全くもって聞いていて非常に不愉快極まりない…」

 

 

 

この時、雪は寧々に本音と言っているが内心では

ほんの少ししか本音は言っていなかった。だって

いくら話し合っても全くもって無為意味で時間の

無駄とやってみても無駄だと目に見える。ならば、

そんな無駄は省くべきだと思ったからだ。

 

 

「テメェは一体……」

 

 

寧々は今の予測不能な状態に納得出来なかった

のか小声で雪に何かを言おうとしてるのを雪は

決して見逃さなかった。

 

 

そして寧々は恐らくこう言いたかったのだろう。

『テメェは一体、何者なんだ。』とだが、その発言

を許すほど雪は甘くなかった。

 

 

 

 

「これ以上、対話をするつもりはありません。

では、試合があるので失礼します。西京先生」

 

 

 

雪は寧々にそう言って何事もなかったかの様に

寧々の横を通って『落第騎士』の黒鉄一輝と

『狩人』こと桐原静矢の試合がある試合会場に

欠伸をしながら向かって行った。




読んでいただきありがとうございます‼︎
心より感謝します。これからも読んでもらえると
ありがたいです‼︎


【報告】

最近は新しい作品を書いているので少し遅れますが
これからも頑張って投稿していきますのでよろしく
お願います‼︎

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