雨が降り、雷がゴロゴロと鳴る夜。
日も暮れ、更に雨も降っているため、尋常じゃない程の寒さがそこにあった。
そんな寒い中、学校の近くの道路に2つの影があった。
「あー...寒い」
「ほんとにごめんね?スマホ学校に忘れちゃって...」
「まったく...夏ならまだしも、冬だし、夜だし、雨降ってるし...」
「でも、なんだかんだ言って付いてきてくれるよね」
「別に...君が1人の時に変質者とかに会ったら僕もやだし」
「そう...ありがと」
「...」
雨の日の夜。その日は心奏に頼まれ、心奏のスマホを取りに学校に向かっていた。
「...玲君はお化けとか怖くないの?」
「別に? そんなの人の恐怖心によるものだよ」
「頼もしーなー...」
「そう?普通だと思うけど」
「...学校と言えば、怪談だよね?」
「怪談ねー...」
学校の怪談。
学校の怪談とは...まぁ学校にまつわる階段のこと(Wikipedia参照)である...そのまんまだね。
学校の怪談は子供の他愛ない嘘からできているって言われているけど。そんな嘘が広まって社会現象にもなっているんだとか。(Wikipedia参照)
3階だけのはずなのに、4階への階段があるとか、音楽室のピアノの音が聞こえるとか、理科室の人体模型や骨格標本が動き出すなど、そんな話を7つ集めた物が学校の怪談である。(Wikipedia参照)7つ全てを知ると不幸が訪れるんだとか。(Wikipedia参照)
「...ねぇ?玲君?」
「? どうかしたの?」
私に呼ばれた玲君が私の顔を見る。玲君の優しい黒い色をした瞳に私の顔が移る。
「__________」
がさごそと、物音がする。私達がいつも使っている教室だ。
「あそこ...誰かいない?」
「んー...ホントだ...僕の後ろに隠れてて」
「う、うん」
玲君に言われた通り、玲君の後ろについて歩いていくと、ひとつの影がニョキっと出てきた。
「きゃーーー!!」
「うん...?都神くんと、心奏?」
「...あれ?千秋?」
「なにー?まさか私に驚いたのー?」
千秋がにやーっとした顔で私を嘲笑う。なんかムカつく。
「だって、急に出てくるもんだから...玲君は?」
「ん?あぁ...」
ホントに怖いもの知らずなんだなぁ...。
「そうそう、これ、探しに来たんでしょ?」
「あ、私のスマホ。なんで千秋が?」
「ふっふっふっ...心奏の考えは何だってお見通しなのだよ」
千秋はそのやたらとでかい胸をはる。ちらっと自分の胸を見る...なんか悲しくなってきた。
それはともかく。
「スマホも無事あったし...帰ろっか」
「...」
「玲君?どうかした?」
「...なにか聞こえない?」
玲君の言う通り、どこからか綺麗な音がする。学校で綺麗な音って言うと、誰かが楽器を演奏しているのであろう。
...こんな時間に?
教室の時計を見ると、短い針は8時を過ぎていた。今私たちはこの学校に忍び込んでいるという形になる。...この学校の先生戸締りしっかりしてなくて良かった。
「じゃーんけーん!」
「え?」
「ふぇ!?」
千秋からの突然のジャンケン。とっさに私は拳を出して、
「ぽい!」
玲君 パー
私 グー
心奏 パー
...なんか負けた。悔しい。
「じゃあ、心奏! レッツラゴー!」
「え? え!?」
「多分今の音は吹奏楽部の部室からだと思うから! 行ってきて!」
「えぇ!? やだよ!」
無理無理無理。こんな暗い中1人とかウサギの孤独死のように寂しい死に方しちゃうよ? 独りは耐えられないからね?1人は大丈夫だけど独りは無理だからね?
「れ、れいくn...」
「あ、都神君はここで待ってようか」
「ま、待って!もう1回!もう1回ジャンケンさせて!」
「えー...しょーがないなー...じゃーんけーん」
玲君 チョキ
私 パー
千秋 チョキ
.........打合せしてるレベルだよねこれ。
____________。
「し、失礼しまーす...」
結局あの後五回連続で一人負けして、吹奏楽部の部室に来ました。途中、廊下で雷が鳴って恐怖のあまり玲君に泣きついたのはいい思い出です。全然良くないけど。
「こ、ここでいいんだよね...? 電気は...」
とりあえず明かりを...あ、あった。
...あれ?点かない?
何度かスイッチのオンオフを繰り返すが、
...電球切れちゃってるの? これ全部?
仕方が無いから明かりを付けずに部室の外側を手探りで歩く。
「どうか何もありませんようにー...」
叶わないであろう願いをしつつ。私は部室を歩いていた。この静寂の中、時計の針さえうるさく感じてしまう。
私が部室を半周したあたりで...
窓越しでもおおきな雷が鳴る。それと同時に、
「...へ?」部室の後ろ側に飾ってある絵画。それが全部、
血のように赤くなった目で私を見ているように見えた。
「い...」
備え付けにピアノの蓋が勝手にバンバンとなった。マリオであんなの見たことある。
「もう無理ぃぃぃぃぃ!!!」
部室の椅子や譜面台を倒しながら全速力で玲君達のいる教室へと走った。今なら50m走で5秒代だせそう。
_________。
「で、どうだった?」
「...絵画の目が全部こっち向いてた」
「なにそれ怖い」
「ピアノが勝手にバンバン鳴ってた」
「なにそれ怖い」
「いやもうホントに怖かったんだからね? なんなら千秋行ってみたら?」
「えー、やだよー、怖いし」
この野郎。
「ま、まぁ、やることやったし、帰ろっか」
「むぅ...」
結局、あの後は何もなく。学校を出るとそのまま千秋と別れ、雨の降る中2人で帰っていた。
「...で、大丈夫だった?」
「大丈夫も何も、逃げてくる時に体ぶつけまくったから、そこら中痛い...」
「大丈夫じゃ無さそうだね...ん、もう着いたみたい」
「あの...」
「ん?」
「今日は...玲君の隣で寝てもいいかな?」
自分でも恥ずかしいってことがわかる位恥ずかしいセリフだった。なんだ隣で寝てもいいかな?って、恥ずかしすぎる。...玲君の返答は...?
「ごめん...君のこととなると姉さんがうるさくなるから」
「そっか...」
「じゃあね。おやすみ」
「うん」
____________。
ドアを開けて自分の部屋に入る。玲は先ほどの心奏の言葉を思い出して、顔を赤くしていた。
「いきなりあれは卑怯でしょ...」
そう言いながら、風呂に入るため服を脱ぐ。すべて脱いだ玲の肌は、綺麗な肌の方を探すのが難しいほど傷や痣だらけだった。
「いっつ...」
まだ痛いなぁ...もう11年前だって言うのに、傷がまだ痛む。...この体、心奏に見られるわけには行かないよな...。