「ねぇ、玲君?」
「ん?」
文化祭当日。出し物の準備のためいつもより早く家を出て、通学路を歩いていると、ふと心奏が玲に問いかける。
「今回って8話目だよね?」
「何をいきなり...」
「だって、8話目で文化祭の回って、早すぎない?」
「まぁ...この話始まったの二学期からだし...しょうがないんじゃない?」
「うーん...アニメだったら文化祭の回したらもう終盤じゃない?」
「アニメの見すぎだよ...」
「それも、もう二学期だから水着回とか無いじゃない!」
「...温水プールのある所に行ったらどうなの?」
...という、何ともメタメタしい会話をしていた。
実際そうだよね。うん。
8話にして、文化祭だもん。展開早すぎだもん。
...これはまさかあれか? 深夜アニメのように12話で終わっちゃう奴なのか?
...そんなことを考えながら、教室に来るお客様と接客してました。玲君のメイド姿が目の保養になってます。
暁島高校の文化祭は見どころが多い事で有名であるが、
「そこのイケてるお兄さん。良かったらお店に遊びに来てくださいね」
「「は、はい!!」」
(ちょろい...)
客が多いため、どのクラスも商売の熱が入る。因みに心奏達はと言うと...
「ありがとうございましたー!」
...玲君めっちゃハイテンションじゃない...?そんなに女装が楽しいの...?(違うと思う)
「ひゃあ!!」
楽しそうな玲君を眺めていると、突然お尻を撫でられた。誰かと思い、後ろを振り向くと、そこには遊園地にいたいつぞやの男性3人組だった。
「あ、あんた達...」
「やっほー。今度こそ俺らと遊ばね?あの怪力女もいねぇし」
(玲君の事だ...)
「心奏ー? どうかしたー?」
私の悲鳴を聞きつけたのか、他の客を相手にしていた玲君が駆けつけてきた。
「な! お前いたのかよ!」
「いるんじゃねぇよ!」
「帰れや!」
「...? 何でこの人たち怒ってるの?」
「えーと...」
「「「お前のせいだろ!!」」」
「...は?」
「てめぇがいきなり俺たちに暴力振るったのが悪いんだろうが!!」
「...あー。そんなこともあったっけ」
「忘れてんじゃねぇぞ!」
男が立ち上がり、玲君の顔へと拳を突くが、その拳は玲君に当たること無く、逆にその男は玲君にまた背負い投げされた。
「てめぇ...また!」
「...アンタらだって、また心奏にちょっかい出してるじゃないか」
「んなことはどうだっていいんだよ!」
「自分勝手だなぁ...僕の1番嫌いな人種だよ...」
人じゃなくて、人種と言うあたり、かなり皮肉めいている。私も嫌いだけどね。あぁいうの。
「てめぇ!!」
もう1人の男が殴りかかってくる。だがそれも、いつ何処で驚かせに来ているのか分かりきっているホラー映画を見るように、涼しい顔をしてまた鳩尾に一発入れた。
「が...」
倒れた男を尻目に、3人目の男に言い放った。
「悪いけど、女性店員にちょっかいださないでくれる? ここはそう言う店じゃないんですけど」
「...ちっ! わぁーったよ!!」
3人目の男は机を蹴り飛ばし、2人の男達を連れて教室から出ていった。
「ふん...」
「あ、ありがとう...また助けてもらっちゃって...」
「別に? 気にしないでよ。そんなこと」
『凄いぞー!!』
『さっきの技完璧にきまってたぞー!』
『お嬢さん、やるねー!』
「えーと...あの、僕、男です...」
『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』
やっぱりお客さん全員驚いてた。初見は女の子だと、思っちゃうよね。
「僕、そんなに女の子に見える...?」
「...うん」
「...」
___________。
「じゃあ、前半20人は、これで終わりだね。あとは俺達がやるから、お疲れ様」
「お疲れさーん」
「んじゃ、あと頑張れよー」
「都神君、私たちとどっか行く?」
あれから1時間たち、午後の1時。ここからは後半20名が仕事に入る。あとさり気なく玲君をナンパしたヤツ許さない。
「あー、ごめんね。心奏と行きたいからさ...」
「むー...心奏がいるならしょうがないねー。じゃあねー」
「うん、じゃあ」
「...玲君、私がいない時はあの子達と遊んでるの?」
「...いや? 前にカラオケとか誘われた時も心奏を理由にして断ってるよ」
「き、急にそんな事言わないでよ...照れるから...」
「じゃあ、もっと言ってあげようか?」
「いいから!行こっ!」
私は、玲君の手を握って走り出した。