「フォルテはどこだ」
軽食を済ませてスクリーミング・エリアに来た誠一郎。
ほぼ銀に近い金髪を探しているのだが、全然見つからない。
というか、このあたり、悲鳴が多くてちょっと怖い。
あ、電話来た。
「フォルテからだ」
出てみることにした。
「どうしたんだ?フォルテ」
『誠一郎様。今、時間はありますか?』
「あるぞ」
『では、『ギフト・オブ・フィア』というアトラクションで会いましょう』
そういって通話を終了するフォルテ。
「『ギフト・オブ・フィア』……日本語訳にすると『恐怖の贈り物』か?一体何をさせる気なんだろうか……」
何か悪いことしたかな。と思いながら誠一郎は向かうことにした。
★
お化け屋敷の前でフォルテは待っていた。
「フォルテ」
「誠一郎様」
こちらに気が付いたようだ。
「で……このお化け屋敷がそのアトラクションなのか?」
「はい」
……えぇ。
「一体何をするんだ?このお化け屋敷で」
「入りましょう」
話を聞いてくれなかった。
『魔界発現世行きデスガイド』のコスプレをした女性スタッフが説明してくれた。
それによると……一応、一対一のシングルデュエルらしい。
のだが……。
「デュエル開始時、デッキから手札を五枚引いた後、お互いに、こちらのカードを発動して下さい」
そういって女性スタッフからカードを渡される。
ギフト・オブ・フィア
フィールド魔法
このカードはデュエル開始前に発動する。
このカードはフィールドの離れない。
①:ターン終了時、SPを任意の数消費して発動できる。(最大三つまで)
消費したSPによって、以下の効果を適用する。
●1つ:相手はデッキからカードを一枚ドローする。その後、ホラーギミック・レベル1を起動する。
●2つ:相手はデッキからカードを一枚ドローする。その後、ホラーギミック・レベル2を発動する。
●3つ:相手はデッキからカードを一枚ドローする。その後、ホラーギミック・レベル3を発動する。
下手すれば友情が壊れそうなカードである。
「それでは、ごゆっくりどうぞ。そちらのカードは記念のプレゼントですので、持って帰って大丈夫です」
……。
「誠一郎様。行きましょう」
「ああ……」
デュエルルームはそれなりにあるようだ。
一つの部屋に入って、お互いにデュエルディスクを構えて立つ。
「なるほど、俺にホラーを見せて精神攻撃をするという作戦だな」
「はい、正攻法では勝てないので、奇策を用いることにしました」
「いいだろう。それでも勝てないということを教えてやる」
カードを五枚引く。
そして……。
「「フィールド魔法、『ギフト・オブ・フィア』を発動!」」
ちょっと空気が重苦しくなった程度だ。
「「デュエル!」」
誠一郎 LP4000
フォルテ LP4000
「私の先攻。私は自分フィールドにモンスターが存在しないことで、魔法カード『魔光技術・プロトタイプサモン』を発動。デッキからレベル4以下の『魔光騎士』モンスター一体を特殊召喚します。私は『魔光騎士ソニック』を特殊召喚!」
魔光技術・プロトタイプサモン
通常魔法
①自分フィールドにモンスターが存在しない場合発動できる。デッキからレベル4以下の「魔光騎士」モンスター一体を選択し特殊召喚する。
魔光騎士ソニック ATK1500 ☆4
「魔光騎士ソニックの召喚・特殊召喚成功時、デッキから『魔光具』を一枚手札に加えることが出来ます。私は『魔光具・プロテクトマグネット』を手札に加えます」
ほう。安定したスタートだ。
「私は光属性の魔光騎士ソニックをシンボルリリース!魔の光を綴る機械の兵士よ。光の意思を手に、我が盾となれ!」
ソニックがシンボルになる。
「オーディナル召喚!レベル5『魔光騎士ペンタゴン』!」
五角形の盾を構えたモンスターが出現する。
魔光騎士ペンタゴン ATK2300 ☆5
フォルテ SP0→1
「私はペンタゴンに『魔光具・プロテクトマグネット』を装備させます」
磁石が肩に装着される。
「私はカードを一枚セットしてターンエンドです。そして、ギフト・オブ・フィアの効果を、SPを一つ消費して発動!」
「デッキからカードを一枚ドローする」
フォルテ SP1→0
発動を宣言した瞬間、部屋全体が暗くなった。
まったく見えない。
と思って数秒後、いきなり誠一郎の頭にぬれた何かが落ちてきた。
「うおおおっ!」
いきなりのなにかにすごく驚く誠一郎。
と思ったら、電球がパッとついた。
「はぁ、はぁ、一体何が……あ」
誠一郎の右下にはぬれた『雑巾』があった。
フォルテの方を見ると……笑ってやがる。
肩を震わせて爆笑するのを我慢している。
「ぐぬぬ……俺のターン。ドロー!」
こうなれば仕方がない。こっちだってやり返してやる!
「俺は手札一枚をコストにして、『星王兵リンク』を特殊召喚!」
星王兵リンク ATK1700 ☆4
「そして、魔法カード『星王の転生』を発動。墓地の『星王』モンスターを除外して、同じ攻撃力の星王兵モンスターをデッキから特殊召喚する。俺は墓地に送った『星王兵ディメンション』を除外して、攻撃力1000ポイントの『星王兵ゲイザー』をデッキから特殊召喚!」
星王の転生
通常魔法
①:墓地の「星王兵」モンスターを除外して発動できる。デッキから、除外したモンスターと同じ攻撃力の「星王兵」モンスター一体を特殊召喚する。
星王兵ゲイザー ATK1000 ☆3
「そして、除外されたディメンションの効果発動。一ターンに一度、このカードが除外された場合、デッキから『星王』カード一枚を手札に加える。俺は『星王兵フォース』を手札に加える」
星王兵ディメンション
レベル3 ATK1000 DFE1300 闇属性 戦士族
このカード名の効果は一ターンに一度しか発動出来ない。
①:このカードが除外された場合に発動できる。デッキから「星王」カード一枚を手札に加える。
「リンクの効果に寄り、リンクとゲイザーを守備表示にして、デッキから『クリムゾン・ワイズマン』を手札に加える。そして、ゲイザーの効果発動。このカードの表示形式が変更したターン中に一度発動できる。デッキからカードを一枚ドロー!」
星王兵ゲイザー
レベル3 ATK1000 DFE1000 闇属性 戦士族
①:このカードの表示形式が変更したターン中に一度発動できる。デッキからカードを一枚ドローする。
「そして、闇属性のリンクとゲイザーをシンボルリリース!黒き七つの星々よ、閃光の果てに一つとなりて、賢者の宝玉を紅に染めろ。オーディナル召喚!レベル7『クリムゾン・ワイズマン』!」
クリムゾン・ワイズマン ATK2500 ☆7
誠一郎 SP0→2
「バトルだ!クリムゾン・ワイズマンで、魔光騎士ペンタゴンを攻撃!『クリムゾン・ビジョン』!」
「『魔光具・プロテクトマグネット』を装備した『魔光騎士』モンスターが攻撃対象になった場合、相手モンスターの攻撃を一度だけ無効にできますが……」
「だが、俺がサーチしたカードの効果を忘れたわけじゃないだろう。手札の『星王兵フォース』を墓地に送り、効果発動。星王兵モンスターをリリースしてオーディナル召喚されたモンスターが攻撃する攻撃宣言時に発動し、ダメージステップ終了時まで、相手の魔法、罠の効果をすべて無効にする!ペンタゴンに装備された魔光具は破壊されないが、効果を無効にすることは可能だ」
魔光具・プロテクトマグネット
装備魔法
「魔光騎士」モンスターのみ装備可能
①:一ターンに一度、このカードを装備したモンスターが攻撃対象に選択された時に発動できる。その攻撃を無効にする。
星王兵フォース
レベル3 ATK900 DFE1200 闇属性 戦士族
①:「星王兵」モンスターをリリースしてオーディナル召喚されたモンスターの攻撃宣言時、手札のこのカードを墓地に送って発動できる。ダメージステップ終了時まで、相手フィールドに存在する魔法、罠の効果はすべて無効になる。
魔光騎士ペンタゴン
レベル5 ATK2300 DFE1500 光属性 機械族
オーディナル・効果
光属性×2
①:このカードが装備した「魔光具」装備魔法はカードの効果では破壊されない。
『SP1』
「む……」
フォルテ LP4000→3800
フォルテは少々、妙だと思った。
それなりの状況を整えた誠一郎だが、残っている手札は五枚。
フォルテがドローさせた部分はあるが、それでも、これ以上のカードを使用する様子がない。
と言うことは……。
「……」
速いところ、ターンを終了させたいのだろう。
だがしかし!
「罠発動。『シンボル・ドレイン』!自分フィールドに存在するオーディナルモンスターが戦闘で破壊されたターンのバトルフェイズ中に発動可能です。相手のSPを0にして、その分、私のSPを増やします」
「あ……」
シンボル・ドレイン
通常魔法
①:自分フィールドのオーディナルモンスターが戦闘によって破壊されたターンのバトルフェイズ中に発動できる。相手のSPを0にして、変化した数値分、自分のSPを増やす。
誠一郎 SP2→0
フォルテ SP0→2
「……」
絶句する誠一郎。
あと、クリムゾン・ワイズマンまで誠一郎を白い目で見てきた。
「……俺はカードを二枚セットして、ターンエンドだ」
「私のターン。ドロー。まずはSPを一つ消費して、魔法カード『シンボル・ドロー』を発動。デッキからカードを二枚ドローします」
フォルテ SP2→1
フォルテは四枚の手札を見る。
「そして、魔法カード『魔光技術・パワーキューブ』を発動。墓地の『魔光騎士』オーディナルモンスター一体を除外して、デッキからレベル2の『魔光騎士』を二体、特殊召喚します。私は墓地のペンタゴンを除外、デッキから『魔光騎士コントロール』と『魔光騎士ターゲット』を特殊召喚」
魔光騎士コントロール ATK700 ☆2
魔光騎士ターゲット ATK600 ☆2
魔光技術・パワーキューブ
通常魔法
①:自分の墓地の「魔光騎士」オーディナルモンスター一体を除外して、デッキからレベル2の「魔光騎士」モンスター二体を特殊召喚する。
「魔光騎士コントロールの効果発動。このモンスターが『魔光技術』魔法カードの効果で特殊召喚された場合、デッキから一枚ドロー出来ます。そして、魔光騎士ターゲットの効果発動。コントロールと同じ条件で、デッキから『魔光具』を一枚手札に加えることが出来ます。私は『魔光具・ドラゴエンジン』を手札に加えます」
魔光騎士コントロール
レベル2 ATK700 DFE600 光属性 機械族
このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。
①:このカードが「魔光技術」魔法カードの効果で特殊召喚された場合に発動できる。デッキからカードを一枚ドローする。
魔光騎士ターゲット
レベル2 ATK600 DFE700 光属性 機械族
このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。
①:このカードが「魔光技術」魔法カードの効果で特殊召喚された場合に発動できる。デッキから「魔光具」装備魔法一枚を手札に加える。
二体来たか……。
「私は光属性のコントロールとターゲットをシンボルリリース!魔の光を綴る機械の兵士よ。光の意思を手に、任務を遂行せよ。オーディナル召喚!レベル7。『魔光騎士アクセプター』!」
魔光騎士アクセプター ATK2600 ☆7
フォルテ SP1→3
「アクセプターの効果に寄り、SPを一つ消費して一枚ドロー」
フォルテ SP3→2
「そして、手札の装備魔法、『魔光具・ドラゴエンジン』『魔光具・プラズマカノン』を装備させます」
竜の紋章が付いたバックパックのようなものが背中に装着され、さらに、大きなレールカノンが右肩に装備された。
「ドラゴエンジンの効果に寄り、攻撃力が500ポイントアップ。プラズマカノンの効果で、攻撃力は400ポイントアップします」
魔光騎士アクセプター ATK2600→3100→3500
「バトル!魔光騎士アクセプターで、クリムゾン・ワイズマンを攻撃!ドラゴエンジンの効果に寄り、装備モンスターは相手の魔法カードの効果を受けません。プラズマカノンの効果で、戦闘ダメージは倍になります」
魔光具・ドラゴエンジン
装備魔法
「魔光騎士」モンスターのみ装備可能
①:装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、相手の魔法カードの効果を受けない。
魔光具・プラズマカノン
装備魔法
「魔光騎士」モンスターのみ装備可能
①:装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップし、戦闘で相手に与えるダメージは倍になる。
「クリムゾン・ワイズマンの効果が、魔法カードの発動コストを踏み倒す効果だから、罠カードはそこまで投入されていないと思ったわけか。プラズマカノンはサーチしたカードじゃないからほぼおまけで来たというわけだな」
「……その通りです」
「なら甘い。1000ポイントのライフをコストをワイズマンの効果で踏み倒して、速攻魔法『序数賢者の演算』を発動。クリムゾン・ワイズマンを対象にして、このターンの戦闘破壊耐性を付与、さらに、対象モンスターの戦闘によって発生する俺のダメージは0になる」
序数賢者の演算
速攻魔法
①:1000ポイントのライフをはらい、自分フィールドのオーディナルモンスター一体を対象にして発動できる。ターン終了時まで対象モンスターは戦闘では破壊されず、そのモンスターの戦闘で発生する自分へのダメージが0になる。
②:このカードの①の効果を発動したターン終了時、相手フィールドの表側表示のモンスター一体を選択して破壊する。
「フォルテはこのカードを知ってるな」
「そうですね」
「ならどうする?」
「私は魔法カード『魔光技術・アポーツコード』を発動して魔光具を回収、そして、『月の書』を発動して、アクセプターを裏側守備表示にします」
アクセプターがセット状態になった。
「私はこれで、ターンエンドです」
「『序数賢者の演算』は強制効果だが、対象モンスターがいないから不発だ」
「ですが……SPを二つ消費して、ギフト・オブ・フィアの効果を発動します!」
フォルテ SP2→0
「嫌がらせをするつもりだったか?だが、それも無駄だ。永続罠『ミスタイプ・リザルト』を発動。お互いのフィールドに同名カードが表側表示で存在する場合、そのカードの効果は無効になる」
ミスタイプ・リザルト
永続罠
①・お互いのフィールドに同名カードが存在する場合、そのカードの効果は無効になる。
「そ……そんな」
「こんなフィールド魔法一枚で俺に嫌がらせができると思ったのか?確かに特殊だが、カードなら怖くはないぞ……おい、ワイズマン、何だその目は」
ワイズマンが「何言ってんだタコ」とでもいいたそうな目で誠一郎を見ている。
「まあいい。俺のターン。ドロー。アクセプターの守備力は1500だったな。俺は『星王兵リンク』を召喚」
星王兵リンク ATK1700 ☆4
「そして、魔法カード『一騎加勢』を発動。クリムゾン・ワイズマンの攻撃力を1500ポイントアップする」
クリムゾン・ワイズマン ATK2500→4000
「バトル。リンクでセットモンスターを攻撃して、ワイズマンでダイレクトアタックだ。残念だが、特殊とはいっても、所詮はこんなもんだ。もっとしっかりカードを選べよ。フォルテ」
「……はい」
フォルテ LP2800→0
★
「ところで、誠一郎様。実際問題、そのカードをどうするのですか?
「彩里にはあまり見せたくはないカードなんだよな……記念にもらったけどどうしたものか……」
実際問題、どうしたものかと思っていた。
「……さて、どうするか……ん?」
誠一郎がフォルテを見ると、フォルテは観覧車を見ていた。
別に特殊なデュエルは関係ない。普通の観覧車である。
「乗るか?観覧車」
「……はい」
早速行ってみる。
デュエルの方に人が行っているのだろう。そこまで人はいなかった。
「すごいな。一番高いところで150メートルもあるのか……通りでどこからでも見れるはずだ」
「そうですね……」
向かい合って座って、外を見る。
「もうそろそろ暗くなってるからなのか?若干夜景っぽくなってるな」
「遠くの町もきれいですね」
「まあ、遠くの街がきれいなのは、夜勤のサラリーマンが頑張ってる証拠だから、綺麗じゃないって言うと失礼になる気がするけどな」
「……」
フォルテが妙なものを見るような目でこちらを見る。
で、色々諦めたようだった。
「ほんの二年前までは、こんなものが見れるとは思っていませんでしたね」
「だろうなぁ」
フォルテが遊霧家に来た経緯を思いだしながら、誠一郎は同意する。
「まあ、それはいいだろ。いろいろ思うことはあるだろうが、何があろうと、俺がいるんだからな」
「そうですね。始めてデュエルをした時から、私は1たりともダメージを与えたことがありません」
「逆に1だけダメージを与えるのってすごく難しいけどな」
「……できるんですか?」
「別に不可能じゃない。そうだな。まどろっこしい計算を除けば、どんどんライフをはらう効果を使っていって、後半は『ライフ半分』をコストにするカードを使っていけば、ライフは必ず1で止まる。あとは、『自分のライフポイントの数値が攻撃力になるモンスター』に『財宝への隠し通路』を使えばいい」
※現実的(?)な例を挙げると、『SNo.39 希望皇ホープONE』の効果を使って(この時点で相手に効果ダメージあるけどノーカン)、10→5→3→2とハーフコストで払っていき、後は『機皇帝グランエル∞』で……無理がある!
「面白い方法ですね。やろうとは思いませんが……」
「メンドイし、自分のライフが風前の灯火だがな」
「モンスターの攻撃力を半分にし続ける方がやりやすいと思いますが……」
「攻撃力半分って次のターンにまで続かないパターンが多いからな。専用デッキ作る必要があるし、作っても成功しないし、出来たとしても上からたたかれるもんな。デュエルディスクのライフゲージの写真を撮り損ねた時のあの絶望感はすごいぞ」
「……実体験なのですか?」
「うん」
誠一郎だってそう言うくだらないことをやっていた時代は当然ある。
あの時の『3999』を誠一郎は忘れない。
「まあそれはいいや……」
「そうですね」
はっきり言ってどうでもいいことも確かである。
「それにしても、最近は平和だと思っていたんだが、いきなり『リアリティ・テーゼ』とか訳の分からん連中がポッと出てきたからな……」
「私も驚きました」
「まあ、こういうのは後手に回るしかないからな。回ったうえで迷惑だったら叩くだけだが」
「誠一郎様は、何時もそうではありませんか」
「そうだったかな……そうだな。うん」
大体そうだ。
最後まで待った方が、相手は一番強い。
だから、変なところで手だししない。
誠一郎は何時もそうだ。
後悔したことはない。
公開させることができるほどの敵はいなかった。
リアリティ・テーゼは、どうだろうかね……。
窓の外を見ながら、誠一郎は微笑んだ。
「……なあ、なんか変な音していないか?」
「気のせいだと思いますが」
だといいけど。
観覧車を降りる。
すると、近くになったタワーっぽいモニュメントにひびが入っているのが見えた。
そこそこ大きいものだが……。
「あ、やばい」
誠一郎がそういった瞬間、タワーの柱が折れてこちらに倒れてきた。
「危ない!」
スタッフが叫んだ。
高さは五メートル以上はあるかなり大きいオブジェクトだ。直撃すればデュエリストでも(?)やばいことになる。
が。
ズ……。
という音とともに、フォルテが倒れてきた柱を片手で受け止める。
左腕の盛り上がった筋肉を見て誠一郎は悲鳴を上げそうになったが、さすがにそれはやめた。
フォルテはちょっとだけ腕を引く。
そして、さらに力を入れた。
「「「「!?」」」」
力を入れられて、倒れてきた柱は垂直に戻される。
フォルテは両手をぱんぱんとたたいて、誠一郎のほうを見た。
「……?どうかしたのですか?」
「まるでさっきの行動が日常茶飯事であるかのように言わないでほしい」
周りでも驚いている。
何が起こっているのか思考停止しているものもいれば、プラスチック製だと思って無理やり納得した者もいる。
わかっているのは、ここにいると騒ぎになるということだ。
「離れるぞ」
「はい」
特に不思議そうな印象もなくフォルテはついてくる。
誠一郎は、どこで育て方を間違えたのかと頭を悩ませた。