「え、この学校って学園祭あったの?」
「学園祭とはちょっと違う見たいね。と言うより、エリアSの中でも資産を持っている人が勝手に開いているイベントみたいなものだから、祭りと言うよりはイベントのようなものよ」
「へぇ……」
「みんなが期待してる誠一郎様と御堂天音のデュエルが行われるということで、入場者もかなりのものになると推測されています」
……え。
「俺その話聞いてないんだけど」
「でも、みんなそう言ってるわよ」
「お兄ちゃんも、デュエルすることに関しては問題ないと思う」
「まあ、負けることはないさ」
自分が渡したカードを全面的にエースカードにしてくるとは思わなかったが。
とはいえ、別に悪い状況ではないだろう。
すでにフェイクラスターは使っていないらしい。
まあ、使っていたとしてもいなかったとしても、それは天音次第だが。
「それにしても、御堂天音とのデュエルが衝撃的だったのか知らんが、なんか話しかけられるようになったんだよな……」
トップアイドルの称号は伊達ではない。
誠一郎は、そんな御堂天音を変えた人物として有名になっていた。
変にかかわるだけならいいのだが、御堂天音にかかわりすぎたといえるだろう。
有名税くらいなら払うつもりだったが、ちょっと過剰課税な気がする。
「学校内でもすでに有名だもんね」
「お兄ちゃんに勝てば御堂天音とお近づきになれるんじゃないかって、御堂天音ファンのクラスメイトが言ってた」
「勝てるわけないでしょ……」
単に、強いのだ。誠一郎と言う男は。
確かに、
その実力が知れ渡っている(匿名大会だったので知られているのは本来おかしいのだが)裏社会では、今でも誠一郎をとりこもうと計画を練っている人間がいるのだ。
「そう言えば、誠一郎って負けたことあるの?あのステージ以外で」
聖が聞いて来る。
「ああ。あるぞ」
「え、あるの!?」
聖は驚いた。
「ああ。思いっきりやって、そして負けた。多分、お互いに本気だったと思うけどな」
「はぁ……一体誰?」
「いや、多分、二度と会えない人だからな。その出会えた状況も、かなり特殊なものだったし」
「すごい人がいるんだね」
「だな。ただ、エースは魔法使い族だったよ」
「誠一郎と同じだね」
「そうだな」
全力だった。紙一重だった。
それでも、負けたのは誠一郎だ。
「ま、それについて話すのは別の機会だ」
「お兄ちゃんはあまり話したがらない」
こればかりはな……。
「それにしても、イベントねぇ……遊園地に行ったときみたいな感じか?」
「このイベント限定のフィールド魔法が全校生徒に配られる予定のようです」
「バトルロイヤルルールになるのかね?まあ、モンスターの展開に支障がないのなら問題はないけど」
最大限、様々なカードの組み合わせに刺さらないように作るだろう。
「それにしても、学生が試算を出して、学校の平日を使ってイベントを開くとは……」
「すさまじい計画ですよね。教育委員会とかどうなったのでしょう」
「デュエルで倒したんだろ」
「それもそう」
まあ、そう言う感じなのだ。こればかりは何を言っても仕方がない。
(どうなるのかね……)
★
放課後、誠一郎は正門に行くと界介が待っていた。
「界介。どうかしたのか?」
「まあ、ある程度話は聞いていると思うが、いろいろと話しておこうと思ってな……」
「それはいいが……」
誠一郎は彩里、フォルテ、刹那、聖の方を見る。
聖は界介と会うのは初めてだからだろう。「だれ?」と言う顔をしていた。
「ああ、
「知っての通り、黛聖よ。投資家って……私と同い年に見えるけど」
「実際同い年だ。最終学歴は中卒だが」
「うるせえな」
高校に言っていないからな。この男。
「デュエルは強いの?」
「デュエリストとしては、誠一郎の弟子の一人だ」
「マジで?」
「マジだ。こう言う業界でも、デュエルが弱いと舐められるからな」
界介は頭をガリガリとかいた。
「実際どれくらい強いの?」
「私より上で、彩里様より弱いくらいでしょうね」
フォルテがそう言った。
「まあ要するに、俺と比べるとたいしたことないってことだ」
「それ言ったらダメだろ」
界介はげんなりした。
「お前だな。シルバーオフィスに人材を送りこんだのは」
振り向くと、元素四名家の一人、火野和春が歩いてきた。
学校内だが、スーツを着こなしている。
相変わらず、厳格な感じだった。
「……火野家の次期当主か」
「そうだ。誠一郎が強いのはそれとして、あまり弟子は見ないからな」
そういいながらデュエルディスクを構える。
界介は溜息を吐いた。
「まあいいか」
界介もデュエルディスクを取り出した。
「界介、最近忙しいのにデュエルちゃんとやってるのか?」
「まあ、なまっているのは確かだが……お前の弟子と言う立場としては、これくらいの奴が相手じゃないとな」
和春が頬をピクッと動かした。
「ほう。俺が準備運動だというのか?」
「ああ。その通りだ」
界介はデュエルディスクを構える。
「ねえ。誠一郎。実際どうなの?」
聖が聞いて来る。
「……そうだな。まあ、見ていれば分かる。それに、最近デュエルで来ていなくてなまってるのは火野和春も同じだ。取り決めで、あまり他の元素四名家とはデュエル出来ないからな。思いっきりやるのなら、界介くらいのデュエリストを相手にする方がいい」
「まあそれでも……界介より、本気でブチ切れた刹那ちゃんの方が強いんだけどね」
「!?」
刹那が『え!?』という表情で彩里を見る。
フォルテも遠い目をする。
「そうですね。私と彩里様の二人が借りでも止められませんでした……」
「一体どんな化け物なのよ……」
「むーーーーー!!!!!」
散々な評価に唸り声を上げる刹那。
そしてそれをほほえましい表情で見ている誠一郎。
「まあ、今はデュエルを見よう。投資家と実業家のデュエルって言うのも気になるしな」
二人がちょうど準備を終えたところだ。
「「デュエル!」」
界介 LP4000
和春 LP4000
「俺の先攻だ」
先攻は界介。
「俺は手札から永続魔法『シンボルバンク』を発動。このカードを発動時の処理として、相手はSPを2つ増やす。そして、このカードに『インテレストカウンター』を一つ置く」
和春 SP0→2
シンボルバンク
発動した永続魔法から、シンボルポイントが二つ出てきて、和春のデュエルディスクに入った。
「インテレスト……『利子』か」
「そういうことだ。相手は自分ターン中、自分が持っているシンボルポイントを任意の数使って、使ったポイント一つにつき、このカードのインテレストカウンターを一つ取り除くことが出来る」
「ほう……もし残っていたら?」
「俺のターンのスタンバイフェイズ時、このカードに乗っているカウンター一つにつき、俺はシンボルポイントを一つ増やせる」
シンボルバンク
永続魔法
「シンボルバンク」は自分フィールドに一枚しか存在できない。
①:このカードの発動時の処理として、相手プレイヤーはシンボルポイントを2つ増やし、このカードにインテレストカウンターを一つ置く。
②:相手はメインフェイズ中に、シンボルポイントを任意の数消費することで、ポイント一つにつき、このカードのインテレストカウンターを一つ取り除くことが出来る。
③:自分のスタンバイフェイズ時、このカードに乗っているカウンター一つにつき、自分はシンボルポイントを一つ増やす。
利子。とはよく言ったものだ。
「で、俺はカードを二枚セットして、ターンエンドだ」
「モンスターを出さないのか?」
「俺のデッキに、オーディナルモンスター以外のモンスターカードは入っていないよ」
聖が驚いた。
「モンスターなしで展開するデッキなの?」
「展開って言うのかね……まあ、見ていれば分かる」
和春は面白そうだ。と言いたそうな表情でカードを引く。
「俺のターン。ドロー!自分フィールドにモンスターが存在しないことで、『爆炎獣マッドウルフ』は特殊召喚できる」
爆炎獣マッドウルフ ATK1600→2000 ☆4
「レベル×100の攻撃力を自前で確保してくるモンスターか……」
「ああ。それが爆炎獣たちの共通効果だ。そして、手札一枚をコストに、フィールド魔法『爆炎倉庫ウェポンソウル』を発動」
燃え盛る木造の建物が出現した。
「なあ。思いっきり燃えてるけど、あれ、大丈夫なの?」
「問題はない。装備魔法『デュアル・ブレイズ』をマッドウルフに装備、チェーンして速攻魔法『爆炎の壺』を発動。さらにチェーンして『サモンチェーン』を発動だ」
「そう来たか……」
「サモンチェーンの効果で、俺はこのターン。通常召喚回数が三回になる。爆炎の壺の効果で、墓地の爆炎獣を除外して二枚ドローだ。俺は『爆炎獣フレアウルフ』を除外して二枚ドロー。デュアル・ブレイズの効果で、マッドウルフは二体分のオーディナル素材にできる」
爆炎の壺
速攻魔法
①:自分の墓地の「爆炎獣」モンスター一体を対象にして発動できる。そのモンスターを除外し、デッキからカードを二枚ドローする。
「ウェポンソウルとデュアル・ブレイズ、そしてサモン・チェーン……まさか……」
フォルテは気が付いている。
そして、それは全員がそうだ。
「俺は炎属性の爆炎獣マッドウルフをシンボルリリース。『爆炎獣コロナフェンリル』をオーディナル召喚!」
爆炎獣コロナフェンリル ATK2200→3000 ☆8
和春 SP2→4
「いきなり来たな……」
「ウェポンソウルの効果に寄り、墓地から『デュアル・ブレイズ』を回収。そして、除外されているフレアウルフの効果。自分フィールドにオーディナルモンスターが存在する時、除外されているこのカードを特殊召喚できる」
爆炎獣フレアウルフ ATK1000→1300 ☆3
爆炎獣フレアウルフ
レベル3 ATK1000 DFE1000 炎属性 獣族
このカード名の②の効果は一ターンに一度しか使用できない。
①:このカードが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力は、このカードのレベル×100ポイントアップする。
②:自分フィールドにオーディナルモンスターが存在する場合に発動できる。除外されているこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
「そして、『シンボル・ドロー』を発動。SPを一つ使って二枚ドロー。さらに、コロナフェンリルの効果発動。SPを二つ使い、デッキから『爆炎獣』オーディナルモンスター一体を手札に加えることが出来る」
和春 SP4→3→1
「サーチか……」
爆炎獣コロナフェンリル
レベル8 ATK2200 DFE1000 炎属性 獣族
オーディナル・効果
炎属性×2
①:このカードが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力は、このカードのレベル×100ポイントアップする。
②:一ターンに一度、シンボルポイントを二つ消費して発動できる。デッキから「爆炎獣」オーディナルモンスター一体を手札に加える。
『SP2』
「俺はデッキから『爆炎獣ケルベロス』を手札に加える。そして、フレアウルフに『デュアル・ブレイズ』を装備。そして、炎属性のフレアウルフをシンボルリリース。『爆炎獣ケルベロス』をオーディナル召喚!」
爆炎獣ケルベロス ATK2500→3200 ☆7
和春 SP1→3
「オーディナル召喚の成功により、墓地の『デュアル・ブレイズ』を回収。そして、魔法カード『爆炎獣連携』を発動。自分フィールドに、爆炎獣オーディナルモンスターが存在する場合、一体につき一枚ドロー出来る」
「またドローカードか」
爆炎獣連携
通常魔法
「爆炎獣連携」は一ターンに一度しか発動出来ない。
①:自分フィールドに「爆炎獣」オーディナルモンスターが存在する場合発動できる。自分フィールドの「爆炎獣」オーディナルモンスター一体につき、カードを一枚ドローする。
「魔法カード『エクスプロージョン・ロッド』を発動。自分フィールドの『爆炎倉庫』を一枚墓地に送ることで、デッキから爆炎獣モンスター一体を手札に加える」
次の瞬間、ウェポンソウルが吹き飛んだ。
エクスプロージョン・ロッド
通常魔法
①:自分フィールドに存在する「爆炎倉庫」カード一枚を墓地に送って発動できる。デッキから「爆炎獣」モンスター一体を手札に加える。
「俺が手札に加えるのは、『爆炎獣マグマレオパルド』だ。そして、手札の魔法カード一枚を墓地に送り、魔法カード『ブレイズ・コネクト』を発動。自分フィールドに存在する『爆炎獣』オーディナルモンスター一体につき、『爆炎獣トークン』一体を特殊召喚する。俺は『デュアル・ブレイズ』をコストに、二体のトークンを特殊召喚!」
ブレイズ・コネクト
通常魔法
①:自分フィールドに存在する「爆炎獣」オーディナルモンスター一体につき、自分フィールドに「爆炎獣トークン」(炎族・炎・星1・攻0/守0)を一体特殊召喚する。
爆炎獣トークン ATK0 ☆1
爆炎獣トークン ATK0 ☆1
「そして、炎属性の爆炎獣トークン二体でシンボルリリース。『膜炎獣マグマレオパルド』をオーディナル召喚!」
爆炎獣マグマレオパルド ATK2300→3000 ☆7
和春 SP3→5
「一ターンに、レベル7以上のオーディナルモンスターを三回も召喚するとは……」
残っている手札は一枚。
だが、ここまでの連携を生み出せるカードを手札に引き込む運も持っている。
「マグマレオパルドの効果。一ターンに一度、800ポイントのダメージを受けてもらう」
「チッ……」
界介 LP4000→3200
「バトルフェイズ!爆炎獣ケルベロスで、ダイレクトアタック!」
ケルベロスの攻撃力は3200。
当然、この攻撃が通ればデュエルは終了する。
「罠発動『ブロック・インテレスト』を発動。相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。その攻撃を無効にして、相手フィールドのオーディナルモンスター一体につき、自分フィールドの『シンボルバンク』に、インテレストカウンターを一つ置く」
ブロック・インテレスト
通常罠
このカード名のカードは一ターンに一度しか発動出来ない。
①:相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。その攻撃を無効にして、相手フィールドのオーディナルモンスター一体につき、自分フィールドに存在する「シンボルバンク」一枚に、インテレストカウンターを一つ置く。
シンボルバンク IC1→4
「だが、まだ攻撃できるモンスターが……」
「永続罠『債務主導権』を発動。自分フィールドに存在する『シンボルバンク』にインテレストカウンターが存在するとき、相手モンスターは攻撃できない」
債務主導権
永続罠
①:自分フィールドに存在する「シンボルバンク」にインテレストカウンターが存在する場合、相手モンスターは攻撃できない。
②:自分フィールドに「シンボルバンク」が存在しない場合、フィールド上のこのカードは破壊される。
②:このカードを墓地から除外して発動できる。デッキから「シンボルバンク」を一枚手札に加える。
「なるほどな……」
「で、どうする?」
和春は自分の手札の見た。
「カードを一枚セット、ターンエンドだ」
「へぇ……なるほどな。俺のターン。ドロー!スタンバイフェイズ、シンボルバンクに乗っているカウンター一つにつき、俺はSPが増える」
界介 SP0→4
さて、どうする?界介。
「俺は『シンボル・ドロー』を発動。SPを一つ消費して二枚ドロー」
界介 SP4→3
「そして魔法カード『シンボル・テクノロジー』を発動。自分のSPを全て消費して、消費した数一体につき『シンボルトークン』を特殊召喚する」
シンボル・テクノロジー
通常魔法
「シンボル・テクノロジー」は一ターンに一度しか使用できず、このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外でモンスターを特殊召喚できない。
①:自分のシンボルポイントを全て消費して発動できる。消費した数一つにつき、自分フィールドに「シンボルトークン」(魔法使い族・光・星4・攻2000/守0)一体を特殊召喚する。
界介 SP3→0
シンボルトークン ATK2000 ☆4
シンボルトークン ATK2000 ☆4
シンボルトークン ATK2000 ☆4
「攻撃力2000のトークンだと……」
「そう言うことだ。まあ、その攻撃力はあまり意味はないけどな」
「何?」
「魔法カード『トークン・カラーズ・チェンジ』を発動。自分フィールドに存在するトークンを全て、炎、水、風、地、いずれかの属性を宣言し、俺が宣言した属性にする。俺は地属性を選択」
トークン・エレメント・チェンジ
通常魔法
①:炎、水、風、地属性の内一つを宣言して発動できる。自分フィールドに存在するすべてのトークンは、宣言した属性になる。
シンボルトークン 光→地
シンボルトークン 光→地
シンボルトークン 光→地
「全てだと?」
「そうだ。俺は地属性のシンボルトークン三体をシンボルリリース!」
三体のトークンがシンボルに変わる。
「竜の力を得た岩石よ。地の底に湧き上がる怒りを宿し、愚か者が立つ大樹を砕け!」
空間がひび割れていく。
「オーディナル召喚!レベル10『鎧王龍リソスフェア・ドラゴン』!」
鎧王龍リソスフェア・ドラゴン ATK3000 ☆10
界介 SP0→3
「レベル10のオーディナルモンスター……」
「俺の四枚の切り札。その一枚さ。リソスフェア・ドラゴンの効果発動。SPをすべて使うことで、相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」
鎧王龍リソスフェア・ドラゴン
レベル10 ATK3000 DFE2000 地属性 ドラゴン族
オーディナル・効果
地属性×3
①:一ターンに一度、シンボルポイントを全て消費して発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。この時、相手モンスターの「効果では破壊されない」効果は適用されない。
②:このカードが破壊される場合、代わりにシンボルポイントを一つ消費することが出来る。
『SP3』
界介 SP3→0
三体のオーディナルモンスターにブレスが向かっていき。そして破壊した。
「く……罠発動『オーディナル・リボーン』!自分のオーディナルモンスターが破壊されたターン中に発動できる。SPを消費することで、一つにつき一体、墓地のオーディナルモンスターを攻撃表示で特殊召喚する!」
オーディナル・リボーン
通常罠
このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。
①:自分のオーディナルモンスターが破壊されたターン中に発動できる。SPを任意の数消費することで、一つにつき一体、墓地のオーディナルモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。
和春 SP5→2
爆炎獣コロナフェンリル ATK2200→3000 ☆8
爆炎獣ケルベロス ATK2500→3200 ☆7
爆炎獣マグマレオパルド ATK2300→3000 ☆7
「もう戻って来るのか……」
「どうする?」
「ふーむ……カードを一枚セットして、ターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー!」
和春はドローしたカードを見て、苦々しい顔をした。
「……降参だ」
「何?」
「このデュエル。降参する」
和春 LP4000→0
お互いに、戦闘ダメージを受けなかったデュエル。
だが、和春は、ドローしたカード一枚で、敗北を認めた。
「……まあ、何か事情があるっていうのなら構わないさ」
モンスターたちも消えて、デュエルは終了だ。
和春は何も言わずに戻って行った。
「最後。一体何を引いたんだろう……」
「……さあな」
誠一郎には一応。心当たりがあった。
だが、それは今言うべきではないだろう。
元素四名家の、呪いのようなものだから。
「で、界介、何かあるんだろ?」
「ああ。それじゃあ、近くの喫茶店にでも行こうぜ」
界介も、追及するべきでは無いことは理解している。
だからこそ、何も言わない。
聖は気になっているようだが……まあ、裏と言うものを一番知らない人間だ。仕方がないだろう。
イベントは近い。
誠一郎としても、アドリブは多少聞くが、自分だけが台本を持っていないというのは嫌だった。