遊戯王 Replica   作:レルクス

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三話

「おい!お前、いい加減に、俺とデュエルしろ!」

 

 火野正也が相変わらずうるさい。

 何故ここまで戦いに来れるのかわからんのだが……。

 

「……誠一郎様。どうしますか?」

「……しゃーない。一回だけつきあってやるか」

 

 と言うことで始まった。

 実のところ、誠一郎はデュエルする必要がないのだ。

 実技単位取得試験。

 これは、イーストセントラルで最も難関の試験と言われており、在学中における実技の授業におけるデュエルの必要性をなくすほどの実力を閉める必要がある。

 基本的に実力主義である故に、こうした特権のようなものを持つものは、デュエルを拒否できる。

 あとは器の問題なのだが、基本的に、誠一郎はデュエルをしていなかった。

 

 実のところ、この試験をクリアしたことがあるのは前例がいくつかあるのだが、その該当者はいずれもデュエルをして、ランキングにも乗っている。

 だが、デュエルをしていない誠一郎は、スコアが存在しない。

 ただし、実技単位をとれるほどの実力を持つ故、『エリアゼロ』というところに位置している。

 

「フン。やっとやる気になったか」

「別に、やる気になったというより、これ以上断り続けると逆に器を問われると思ったからなんだが……とりあえずはじめようぜ」

 

 誠一郎は立ち上がって、デュエルディスクを取り出した。

 

 実は、誠一郎がデュエルするのを見るのが初めてのものも多い。

 そう言うこともあって、一体どんなデュエルをするのかを楽しみにする生徒も多い。

 いつの間にか端末を構えて動画を撮影しようとする生徒もいる。

 

 デュエルコートに移動して、お互いにデュエルディスクを構えた。

 

「「デュエル!」」

 

 誠一郎 LP4000

 正也  LP4000

 

「先攻は譲ってやる」

「後攻がほしい。の間違いだろ。まあいいけどな」

 

 誠一郎はあくびをしながら、手札を見る。

 そして、カードを一枚セットした。

 

「俺はカードを一枚セット、ターンエンドだ」

「なに!?」

 

 正也だけではなく、これには他の生徒も驚いた。

 あれほど、実力があるとされていながら、先攻を与えられて、行ったことが一枚のカードのセットだけ。

 確かに、驚くのも無理はない。

 

「ほら、お前のターンだぞ」

「ば、バカにするな!俺のターン。ドロー!俺は手札の『爆炎獣マッドウルフ』の効果発動。自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚することが出来る!」

 

 爆炎獣マッドウルフ ATK1600→2000 ☆4

 

 

 爆炎獣マッドウルフ

 レベル4 ATK1600 DFE800 炎属性 獣族

 ①:このカードが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力は、このカードのレベル×100ポイントアップする。

 ②:自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

 

「そして、装備魔法『デュアル・ブレイズ』を発動。マッドウルフに装備。このカードを装備したモンスターをリリースしてオーディナル召喚を行うとき、一体で二体分のオーディナル素材にできる!」

 

 

 デュアル・ブレイズ

 装備魔法

 炎属性モンスターのみ装備可能

 ①:このカードを装備したモンスターをリリースしてオーディナル召喚を行う場合、装備モンスターを、一体で二体分のオーディナル素材にできる。

 

 

「ほう……なるほどな」

「余裕ぶっていられるのも今のうちだ。俺は炎属性のマッドウルフをシンボルリリース。爆炎を身にまとう三つ首の番犬よ。燃え上がる魂で敵を滅ぼせ」

 

 マッドウルフが二つのシンボルになり、素材となる。

 

「オーディナル召喚!現れろ。レベル7『爆炎獣ケルベロス』!」

 

 爆炎獣ケルベロス ATK2500→3200 ☆7

 正也 SP0→2

 

「手札二枚で、レベル7のオーディナル召喚を行う状況を作りだし、そのままオーディナルモンスターを出してくるとはな。それに、攻撃力も3200と高いじゃないか」

「舐めるな。俺は手札から速攻魔法『ブレイズ・クロー』を発動。自分フィールドの炎属性モンスター一体の攻撃力を、ターン終了時まで800ポイントアップする」

 

 

 ブレイズ・クロー

 速攻魔法

 ①:自分フィールドの炎属性モンスター一体を対象にして発動できる。そのモンスターの攻撃力を、ターン終了時まで800ポイントアップする。

 

 

 爆炎獣ケルベロス ATK3200→4000

 

「……他にも代用できるカードが多そうなカードだが、手に入りやすかったのか?」

「ずいぶんと余裕だな」

 

 そりゃまあ。

 

「俺にはリバースカードがあるからな」

「よほど自信があるようだな。だが、俺がモンスターを召喚する時に発動していないのだから、召喚に反応するタイプのカードではない。なら、召喚反応系のカードではないはずだ。なら、ミラーフォースのような強力なカードなのだろう」

「どうだろうな」

「ごまかしても無駄だ。俺は手札から速攻魔法『サイクロン』を発動。そのセットカードを破壊する!」

 

 正也は自信満々に『サイクロン』を発動した。

 周りでも、このサイクロンの発動には驚いているものもいるし、中には、正直、誠一郎のデュエルが期待外れだと思うものもいるだろう。

 まあ、普通に見れば、カードを一枚セットしただけでターンを終了し、その相手がサイクロンを持っていたのだ。そう考えるのも当然といえる。

 

「プレイングミスだな。手札一枚をコストにして、カウンター罠『アヌビスの裁き』を発動する」

「え……」

「知らないのか。思いだしたくないのか。どちらにせよ、手札から発動できるカウンター罠を持っていないのなら効果処理に入るぞ。まず、そのサイクロンの発動を無効にして破壊する。そして、相手モンスターを一体破壊して、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える」

 

 誠一郎はケルベロスを指さした。

 

「俺は、ケルベロスを選択。破壊して、その攻撃力、4000ポイント分のダメージを受けてもらうぞ」

「な……うわああああああ!!!!!」

 

 正也 LP4000→0

 

 決着である。

 

「な……ばかな……」

「相手のセットカードの警戒は必須だろ。それと、サイクロンを握っていたのなら、ターンの開始直後に発動するべきだった。除去カードは、自分のフィールドにカードがある時に発動するものではない」

「く……」

「俺のフィールドにモンスターはいなかった。そんな状態で、攻撃力4000のモンスターを用意できるのなら、出したいと思う気持ちは理解できなくもないが、勝負を急ぎすぎているのにも限度がある。ケルベロスの効果も知っているが、我慢強いモンスターだ。一気に勝負を決める必要もなかっただろう」

 

 

 爆炎獣ケルベロス

 レベル7 ATK2500 DFE1000 炎属性 獣族

 オーディナル・効果

 炎属性×2

 ①:このカードが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力は、このカードのレベル×100ポイントアップする。

 ②:シンボルポイントを一つ消費して発動できる。このモンスターはターン終了時まで、戦闘では破壊されない。この効果は相手ターンでも使用できる。

 『SP2』

 

 

「確かに、セットカード一枚なら、お前が言ったように、ミラフォと予測するのもいいだろう」

 

 『強制脱出装置』だと予測するのなら、最初にサイクロンを使うべきだが。

 

「召喚反応系のカードかもしれないと思っていたのなら、対応できるカード……『死者蘇生』でも手札にあったのか?」

「う……」

 

 正也が使ったカードは、『爆炎獣マッドウルフ』『デュアル・ブレイズ』『爆炎獣ケルベロス』『ブレイズ・クロー』『サイクロン』の五枚。

 ドローカードが一枚残っている。

 

 正也は手札を見る。

 確かに、そのカードは『死者蘇生』だった。

 彼がドローフェイズでドローしたカードであり、カード効果に対する耐性がないケルベロスが突破されても、次のターンで挽回できると思っていたはずだ。

 というより、思っていた。

 

「まあいずれにしても、最初にサイクロンを使わなかったのは、致命的なプレイングミスだ。せめてそれくらいはしっかり考えてから挑んで来い。フォルテ、行くぞ」

「はい」

 

 誠一郎はあくびをしながら、そのままデュエルコートを出ていった。

 

「ちなみに、誠一郎様。アヌビスの裁きの手札コストで何を墓地に送ったのですか?」

「亀」

 

 超電磁タートルだった。

 

 ★

 

 撮影した動画と言うのは、実のところ、投稿できる場所があれば誰かがはりつけているもので、珍しい誠一郎のデュエルと言うこともあって、見るものはいた。

 同じ人が何回見ているのかはわからないが、学内専用掲示板で、数十分で回覧数が一万に達するレベルだった。

 

 そして、とある、学校の会議室にて。

 

 そこでは、四つの席がある机が存在し、そのすべてが埋まっていた。

 

「ずいぶんとあっさり決まったなぁ……」

 

 そうつぶやくのは、緑色の短い髪を揺らす、端正な顔つきの男子生徒だ。

 飄々とした雰囲気であり、威厳と言うより、親しみやすさを感じる。

 風間家当主。風間浩一(かざまこういち)

 元素四名家の中で唯一。学生が当主の一族だ。

 

「フン。火野正也は分家の中でも下位の下位。あの程度の実力しかないことは分かり切っている」

 

 赤い髪をオールバックにして、外国製のオーダーメイドのスーツを着た男性だ。

 学校内であるというのに、制服ではなくスーツを着ているので、社会人としての経験があることはわかる。

 若干、ポケットに膨らみがあるのは、名刺交換の場にいたからだろう。

 右腕に付けている腕時計も、履いている革靴も高級なものである。

 端正な顔つきであり、品格を感じられるものだ。

 火野家次期当主。火野和春(ひのかずはる)

 現当主の息子である。

 

「ですが、火野家に黒星が増えていることも事実。元素四名家としては、我々も油断はできない状況ですよ」

 

 そう言うのは、水色の長い髪を揺らす女子生徒。

 面倒見のいい雰囲気と、清楚ながらも、包容力にあふれた容姿をしている。

 何故か、学校内部だが着物を着ている。

 上に立つもの特有の腹黒さはそこまで感じられないが、劣っている雰囲気はまるでない。

 胸も大きくその存在を主張している。

 名前は水谷聡子(みずたにさとこ)

 代々、子供は女性だけが産まれ、そして、女性がその当主の座についてきた一族。

 彼女は分家の出身でありながら、次期当主は確実とうわさされている才女だ。

 ただし、次期当主ではない。

 

「元素四名家は、東地区の君臨者でなければならない。このままでは、元素四名家の強さに疑いを持つものが出て来るだろう」

 

 高校生にしては重々しい声が響く。

 茶髪を短く切りそろえ、鍛え上げられた体を持つ男子生徒だ。

 風間浩一が『飄々』

 火野和春が『品格』

 水谷聡子が『包容』

 ほか三人を表すのがこれらの言葉だとすれば。

 この男、土門天理(どもんてんり)は『砦』

 

 実質、元素四名家の頂点に君臨する『土門家』の次期当主であり、現役の父を超えるとされる決闘者。

 そして、イーストセントラルの序列一位に立つ男。

 

「それにしても、この遊霧誠一郎って言う一年。今まで見たことが無いけど、こんな奴がいたなんてね。僕、初めて聞いたよ」

 

 浩一はからからと笑う。

 

「もともと、俺達の世代は『宝の世代』だとか言われていたがな……ただ、全くデータにないのも妙だ。調べたが、両親がいないことを除いて、変わった印象はない」

 

 和春は声色を変えずに帰す。

 

「私としては、距離感さえ考えておけばいいと思いますけれど」

 

 聡子はフフッと笑う。

 

「……聡子。それはどういうことだ」

 

 天理が聞くが、聡子はそれに答えようとはしない。

 

「まあ、聡子ちゃんは次期当主は確実だっていわれているのに、全くその座に興味がないくらいだからね。何か考えがあるんでしょ?」

「フン。俺にとってはどうでもいいことだ」

 

 和春は聡子のことを気にしている様子はない。

 ただ、少し、気になっていることはあるようだ。

 そして、天理はそこをつく。

 

「和春。最近、火野家の周りでこそこそと嗅ぎ回っている者たちがいることは気づいているな?」

「当然だ。火野家の中でも才能のない分家は、その力を使って威張り散らしているようだからな。俺に時間があれば直々に叩き潰してやるところだが、選民主義派の連中がミスを出しやがるから手に追えん……」

 

 一人の社会人として、そして、経営者としての一面を持つ和春は、財力と言う点においても元素四名家の中でも大きい。

 元素四名家はもともとスポンサーが多いのだが、和春は、個人資産においても高校生の域を超えている。

 ただ、それゆえにつながりが大きいのだが、大きい分、小回りが効かない部分が大きい。

 和春の資金、情報、権力、実力はどれも高いのだが、周りの連中のミスが大きいのだった。

 

 大人と赤ん坊では、できる失敗の大きさに限界がある。

 赤ん坊なら、家にあるものを壊す程度だろう。だが、それでも『破損』という名の『損害』が発生するだけであり、歴史的な価値を求めなければいくらでも取り戻せる。

 だが、大人の失敗はそうではない。

 実力主義がいつの間にか選民主義に変わることなど、歴史を見ればいくらでもあるのだが、実力主義によって獲得した利権と言うのは、人の思考を狂わせるだけの『魔力』を引き起こす『魔法』があるのだ。

 

 魔女がシンデレラにかけたように、『魔法』と、それ以上の『呪い』があることなど、考えることはない。責任を負うのは、上に立つもの達ではないからだ。

 

 そして、そんな連中の失敗は、時に、数億という規模では済まない損害になることもある。

 

 何の皮肉か、他の元素四名家はそんな火野家を反面教師にしており、人事部のもの達はすごくうるさいのが現状だ。

 

「いずれにせよ、対応するのは必要でしょうね」

「元素四名家っていっても、絶対的じゃないしね」

 

 東の支配者。

 その異名は正しい。

 実質、東エリアにおける様々な権利の根本には、元素四名家がある。

 ただ、逆に言えば……。

 

 東しか、支配できなかった。とも言える。

 

 ★

 

「誠一郎。あんた、あんなデュエルをするのね」

「聖。あんなデュエルとはどういうことだ?」

「悪い意味じゃないわよ。ただ、まさか一枚のカードだけでデュエルに勝つなんて普通じゃないわよ」

「それはそうかもしれないが、火野正也本人のタクティクスはそこまで悪いものではないからな。あとは、何処でひっくり返せばいいのか考えればいいだけだぞ」

 

 カフェで話している。

 誠一郎。フォルテ、聖、刹那の四人だ。

 

「確かに、悪いものではないですね」

 

 実際にデュエルをしたフォルテもそう評価する。

 

「エリアFとは言うが、格上にしか挑んでないから戦績はボロボロみたいだな。ただ、過去の上位エリアのデュエルのステージの観客席には、大体あいつはいる。一応、頑張れる部分は頑張ってるみたいだ」

 

 実際にデュエルをすればなんとなく分かるものだが、誠一郎の実力は他のデュエリストとは違う分類にいるので(『上位』というより《亜種》というのが自己評価)、客観的に見れる。

 火野正也。という生徒の実力は悪いものではないし、向上意欲もある。

 おそらく、相手を選べばすぐに上のエリアに行けるだろう。

 だが、そう言うことを考えないのだ。

 

「というより、アイツも、実技単位取得試験をクリアした俺と戦いたかっただけなんだろう。一昨日、俺とフォルテが一緒にいる資格がないとかいろいろ言っていたが、あれは単に挑発して俺を引っ張りだしたかっただけだ。相手を土俵に引っ張りだすのに挑発するのは有効な手段だが、語彙力がな……」

 

 あの程度の実力と言葉では、誠一郎は動かせない。

 ただし、一度デュエルした後ならば、評価を変える。

 

「お兄ちゃん。火野正也がまた挑んできたらデュエルするの?」

「そのつもりだ。アイツは、俺に負けてもまた挑んでくるだろうからな。それこそ、何度でも」

「どういうこと?」

 

 聖にはわからないか。

 

「誠一郎様は強すぎるのです。それこそ、本気にさせた相手すらほとんどいないほどですから、言ってしまえば、何度も挑戦したいと思う相手ではないのです」

「お兄ちゃんの敵であった組織は多いけど、敵であり続けた組織はいないってことでもある」

「……カード一枚で勝っちゃうもんね」

「手札コストを含めると実質二枚だが」

「そう言う問題じゃないでしょ」

 

 確かにそう言う問題ではないな。

 

「で、これからどうするんだ?」

「特に予定とかあるの?」

 

 聖の質問にほかの三人は首を横に振った。

 

「まあいいんだけど……その、あんた、そのコーヒー。いつも飲んでるの?」

「ん?ブルーアイズ・マウンテンならいつでも飲んでいるぞ。こう見えて金はあるからな」

「しかも、お兄ちゃんはその圧倒的資金を使って『大金を使う仕事』をしている」

「財力という点においてはすごいですよ」

 

 聖は『何言ってんのこいつら』とでも言いたそうな表情で固まっていたが、もう何でもありか、と驚く以上にあきれていた。

 

「一杯3000円のコーヒーをいつも。ねぇ……」

「おいしいぞ」

「もうそこまでいくと味の違いなんて分からないわよ」

 

 まあそうだろうな。

 

「もういいわ。なんかあんたたちの日常を聞いていても、こっちの常識が覆されるということだけがわかった気がする」

「そのほうがいい。お兄ちゃんに毒されると将来ろくなことにならない」

「さすがに妹に言われると傷つくんだが……」

 

 苦笑する誠一郎だが、次の瞬間には復活している。

 

「さて、どうするかな……それとも、アイツらの相手をした方がいいのか?」

 

 誠一郎は、カフェの外から中にいる誠一郎たちを見ている赤い髪の生徒達のほうを指さした。

 

「……そうですね。はっきり言って営業妨害ですし」

 

 カフェの内装もいいし、味と価格のバランスも学生向けで、テーブルの数も多く、いろいろな意味で固定客が多そうな場所だが、流石に入り口を陣取られたら話にならない。

 四人が飲んだ代金をカードではらうと、誠一郎はカフェを出た。

 

「おい、ちょっと待て」

 

 赤い髪の男子生徒三人が来た。

 一人がリーダーと言った感じかね?

 

「俺達とデュエルしてもらおうか」

「……ちなみに聞くが、何故?」

 

 聞いておきたい。

 まあ、予想はできるけど。

 

「これ以上、俺達火野家の評判を下げないためだ」

「俺達は元素四名家の中でも、いずれトップに位置する」

「お前みたいな部外者に負けた分は、きっちり清算させてもらうぜ」

 

 それはいいのだが……。

 

「全員でバトルロイヤルなのか?それとも俺がお前たち三人を勝ち抜けばいいのか?どちらでもいいぞ」

「ふざけやがって……バトルロイヤルだ」

 

 リーダーの男は青筋を立てながらも言った。

 

「誠一郎様。いいのですか?」

「別に構わんし、俺が負けると思うか?」

「お兄ちゃんが負けるのは想像できないけど……」

「ちょっと前まであんなにめんどくさそうにしてたのに、今更やりだすのも妙って話よ」

「そうだな……」

 

 誠一郎はちらっと視線を逸らす。

 そこには、隠れてこちらのタクティクスを確認しようとする火野正也の姿があった。

 

「まあ、ちょっと見せておきたいものもあるってことだ」

「……ならいいと思う」

 

 刹那がそう言った。

 刹那がいいと言えば、一応フォルテも従うので、聖も多数決で負ける。

 いや、聖は賛成の票を入れるというより、棄権していると言った方が正しいのだが。

 

 誠一郎はデュエルディスクを構えて、三人のところに行った。

 

「さあ、俺達の実力を見せてやるぜ」

「たまには他の元素四名家とも戦ってみたいけどな……序列一位から四位を元素四名家のそれぞれが居座ってるって話だったから期待しているんだが……まあ、まずは目の前の火の粉をはらうとしよう」

 

 誠一郎はデュエルディスクを起動して、カードを五枚引いた。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 誠一郎 LP4000

 凌士(りょうじ)  LP4000

 矢吹(やぶき)  LP4000

 勇実(いさみ)  LP4000

 

「俺達のターンからだ。先ほどのデュエルは確認しているが、先攻を渡すわけにはいかない」

「このデュエルは、特殊バトルロイヤルルールが適用される」

「よって、俺達三人のターンから始まり、ラストのお前のターンからバトルフェイズが可能と言うことだ」

 

 実質的に、誠一郎VS火野家三人と言うことになるので、バトルロイヤルでもそういうルールになるのだ。

 

「俺からバトルフェイズが可能って……その一階のバトルフェイズで負けるとは思ってないんだな」

「フン。こちらは三人だ。当然だろう」

「数の暴力って言わないか?」

「物量作戦だ」

 

 さいですか。

 

「俺のターンだ。俺はマッドウルフを特殊召喚!」

 

 爆炎獣マッドウルフ ATK1600→2000 ☆4

 

「自分フィールドにいない場合は特殊召喚だったな」

「そうだ。そして、手札一枚を捨てて、フィールド魔法『爆炎倉庫リサイクルソウル』を発動」

 

 出現したのは、燃え上がっている木造の(・・・)倉庫。

 

「……いや、あれ、大丈夫なのか?」

「問題などない」

 

 さいですか。

 

「俺はマッドウルフに『デュアル・ブレイズ』を装備させて、マッドウルフをシンボルリリース。『爆炎獣ケルベロス』をオーディナル召喚!」

 

 爆炎獣ケルベロス ATK2500→3200 ☆7

 凌士 SP0→2

 

 お、来たか。

 まあ、エリアFの正也が所有していたのだからある程度予想はしていたが。

 

「そして、俺は『爆炎倉庫ウェポンソウル』の効果発動。自分フィールドに『爆炎獣』オーディナルモンスターがオーディナル召喚されるたびに、墓地の装備魔法一枚を手札に加えることが出来る。俺は墓地の『デュアル・ブレイズ』を手札に戻す。ターンエンドだ」

 

 

 爆炎倉庫ウェポンソウル

 フィールド魔法

 このカードは手札を一枚捨てて発動できる。

 このカードが自分フィールドに存在する場合、自分は他の「爆炎倉庫」と名の付くカードを発動出来ない。

 ①:自分フィールドに「爆炎獣」オーディナルモンスターがオーディナル召喚されるたびに発動できる。墓地の装備魔法一枚を選択し、手札に加える。

 ②:フィールドに表側表示で存在する「爆炎獣」モンスターは、相手のカード発動時、対象にならない。

 

 

「次は俺のターンだ。ドロー!俺はまず『爆炎倉庫ゲートソウル』を発動」

 

 またもや出現。燃え盛る木造倉庫。

 

「効果発動。一ターンに一度、手札からレベル4以下の『爆炎獣』モンスター一体を特殊召喚できる。俺は『爆炎獣ライズ』を特殊召喚!」

 

 

 爆炎倉庫ゲートソウル

 フィールド魔法

 このカードは手札を一枚捨てて発動できる。

 このカードが自分フィールドに存在する場合、自分は他の「爆炎倉庫」と名の付くカードを発動出来ない。

 ①:一ターンに一度、手札からレベル4以下の「爆炎獣」モンスター一体を特殊召喚することが出来る。

 ②:フィールドの「爆炎獣」モンスターが攻撃するとき、戦闘を行う相手モンスターは、攻撃宣言時からダメージステップ終了時まで効果を発動出来ない。 

 

 

 爆炎獣ライズ ATK1700→2100 ☆4

 

 フォルテがデュエルしていた時に出てきたモンスターだな。

 

「そして俺は、自分フィールドに『爆炎獣』モンスターが特殊召喚されたことで、手札から『爆炎獣ソニックライオ』を特殊召喚できる」

 

 爆炎獣ソニックライオ ATK1500→1900 ☆4

 

 

 

 爆炎獣ソニックライオ

 レベル4 ATK1500 DFE300 炎属性 獣族

 ①:このカードが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力は、このカードのレベル×100ポイントアップする。

 ②:自分フィールドに「爆炎獣」モンスターが特殊召喚された時、手札のこのカードを特殊召喚することが出来る。

 

 

「俺は炎属性のライズとアグリケイトをシンボルリリース。『爆炎獣ケルベロス』をオーディナル召喚!」

 

 爆炎獣ケルベロス ATK2500→3200 ☆7

 矢吹 SP0→2

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 最後は勇実のターンだ。

 この男子生徒のデュエルディスクだけデザインが違うので、おそらくリーダーなのだろう。

 

「俺のターン。ドロー!俺は手札一枚をコストにして、フィールド魔法『爆炎倉庫シグナルソウル』を発動」

 

 そして発動される燃え上がる木造倉庫。

 ……何か熱くなってきた……ような気がする。

 

「シグナルソウルの効果発動。一ターンに一度、俺はライフを500回復する」

 

 勇実 LP4000→4500

 

 

 爆炎倉庫シグナルソウル

 フィールド魔法

 このカードは手札を一枚捨てて発動できる。

 このカードが自分フィールドに存在する場合、自分は他の「爆炎倉庫」と名の付くカードを発動出来ない。

 ①:一ターンに一度発動できる。自分のライフを500ポイント回復する。

 ②:フィールドの「爆炎獣」モンスターは、相手モンスター全てに続けて攻撃することができる。この効果で相手モンスター全てに攻撃したモンスターは、バトルフェイズ終了時に破壊される。

 

 

「そして、フィールドに爆炎獣が二体以上存在することで、手札から『爆炎獣アグリケイト』を守備表示で特殊召喚!」

 

 爆炎獣アグリケイト DFE300 ☆5

 

 

 爆炎獣アグリケイト

 レベル5 ATK1600 DFE300 炎属性 獣族

 ①:このカードが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力は、このカードのレベル×100ポイントアップする。

 ②:フィールドに「爆炎獣」モンスターが二体以上存在する場合、手札のこのモンスターを守備表示で特殊召喚することが出来る。

 ③:1ターンに1度、自分メインフェイズ1に発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、このカード以外のフィールドの「爆炎獣」モンスターの攻撃力の合計分アップする。この効果を発動するターン、このモンスターしか攻撃できない。

 

 

「そして、アグリケイトに『デュアル・ブレイズ』を装備させ、シンボルリリース!『爆炎獣ケルベロス』をオーディナル召喚だ!」

 

 爆炎獣ケルベロス ATK2500→3200 ☆7

 勇実 SP0→2

 

「俺はこれでターンエンド。さあ、貴様のターンだ!」

 

 勇実はそう言って、誠一郎を指さす。

 そして、誠一郎は、静かにこう答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……バカだろ。お前」




レルクス「さて、一話でのあの後書きもしっかり削除した。これで何も問題はない」

誠一郎 「それを後書きで言ってどうするんだ……」

レルクス「いいんだよ。トーク番組で『編集で消しておいて』なんていっても普通にでるだろ?あれと一緒だ」

誠一郎 「そこまでいうのならいいが……」

レルクス「さて、こうして三話目になるが、続くかな。これ」

誠一郎 「今の時点でそんなことを言うのは不安材料にしかならんぞ」

レルクス「まあ、自分のペースでやるけどね!」

誠一郎 「そう言えば、オーディナル召喚で一つ気になることがある」

レルクス「なんだい?」

誠一郎 「属性が決まっているアドバンス召喚のようなもの、と言うだけなら別にいいんだが……一応、『召喚』だよな」

レルクス「そうだよ」

誠一郎 「『死皇帝の陵墓』って使えるのか?」

レルクス「使えるよ」

誠一郎 「使えるの!?」

レルクス「しかし、オーディナル召喚じゃないからね」

誠一郎 「墓を使うとアドバンス召喚にならないのと同じか……」

レルクス「だから、シンボルポイントも増えないし、蘇生も、除外からの帰還もできない」

誠一郎 「ややこしいルールだな」

レルクス「適したモンスターをリリースしないとオーディナル召喚にはならないってことだよ」

誠一郎 「『デュアル・ブレイズ』のテキストに、『二体分のリリース』じゃなくて『二体分のオーディナル素材にできる』って書かれているのもそれが影響しているのか?」

レルクス「君もデュエリストなら、社会的通例や整合性にとらわれるんじゃない!世界最高峰の難関文法、コンマイ語を扱うのなら、それくらいの覚悟は必要だ」

誠一郎 「……前回のスペクトル召喚みたいに、エクストラデッキからの特殊召喚にすれば早かったのに……」

レルクス「マスタールール4に対応できないだろ」

誠一郎 「……この小説。リンクでないのか?」

レルクス「出しません。融合だって使うかどうか未定です」

誠一郎 「……前途多難だな」

レルクス「オリジナル召喚を扱う執筆者共通の悩みだ。多分」

誠一郎 「はぁ、まあ、こんな感じだが、宜しくな。あとレルクス。もうちょっとルールブック読んだらどうだ?」

レルクス「これでも解説動画は見てるんだけどなぁ……コンマイ語って難しい」
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