真・恋姫†無双 鬼龍伝   作:三十路のおっさん

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激情の夜

鈴虫が鳴いていた。昼間から始まった宴は夜まで続き、村人全員が酔い潰れるという結末で村には静けさが戻っている。

 

一刀は村長に割り当てられた家屋で一人、酒を飲んでいた。今日、この村に泊まる事は宴を途中で脱け出し、近隣を巡回していた屍鬼隊の者に伝えている。

 

州牧である人間が、護衛も付けずに通りがかった村に一人で泊まる。普通では考えられない事であるが、一刀の部下にそれを咎める者はいない。

 

何の意味もないからだ。一刀が人に言われて自重する人間なら既に凪や風が言っている。

 

一刀は自分の身に頓着しない。いつ、死んでも良いと思っているからだ。一刀にとって死は古い友人の様な物。

 

忘れ掛けた頃にふとやって来る。ならば、その古い友人が自分を迎えに来るまでは生きればいい。それが、一刀の死生観だった。

 

盃を口に運ぶ。他人から見れば、一人で飲んでいる様に見える。だが、一刀にとっては一人ではない。

 

眼前にはかつての戦友達が其処に居た。今宵もこうして自分の所へやって来てくれた。他の誰にも見えない、一刀にだけ見えるその姿。

 

元々、一刀は大勢で騒ぎながら酒を飲むのが好きだった。魏に居た時も警備隊の連中と良く飲んだ。

 

一人で飲むのを好む様になったのは、元の世界での中東の戦争が終わった後で、理由は簡単に言えば邪魔されたくないからだ。

 

戦友達は一刀が一人で飲んでいる時にしかやって来ない。それも精々、五回に一回の事。その戦友達との酒を邪魔されるのが一刀は嫌いだった。今では一刀が一人で飲んでいる時は凪ですら一刀の部屋には入って来ない。

 

そんな戦友達の姿が一刀の前から不意に消える。

 

「……何の用だ?」

 

若干、険が混じった一刀の声。それを気にする事なく、来訪者は一刀の部屋に足を踏み入れた。

 

「来てはいかんかったかのう?」

 

「あぁ、今だけは来て欲しくなかったな」

 

「こんな美女より死者と居る事を望むとは変わった奴じゃ」

 

その言葉で、一刀の視線は初めて来訪者、慧に向かう。

 

「やっと、こちらに視線を向けたか」

 

「で、何の用だ?」

 

一刀は苛立っていた。戦友達との酒を邪魔された事、そんな自分の心境を見透かされた事。その両方が気に入らなかった。

 

「随分と苛立っておるのう?」

 

「わかっているなら消えてくれないか」

 

「そうつれない事を言うでないわ。ほれ、手土産も持ってきた」

 

ニヤリと笑いながら、酒壺とつまみを一刀の目の前に(かざ)す慧。

 

そんな慧に一刀の眼光が鋭くなる。

 

「おぉ、怖いのう。だが、それ以上に……暗い目じゃ」

 

「……」

 

「小僧、そうやって死者の影を追っていると、お主が……」

 

 

 

 

 

「死ぬぞ」

 

 

 

 

 

一刀の行動を否定する慧の言葉、その言葉が一刀の感情を逆撫でする。

 

「お前に何がわかる?」

 

怒声ではない。只、深く沈んだ重い声。

 

「お主が死者と語らっている事は何故かわかった。記憶はないが、儂も同じ様な事をした事があるのかも知れん。じゃが、死者に引きずられる人間の気持ちはわからんのう」

 

「ならば放っておいてくれ」

 

「嫌じゃ」

 

飄々とした声。その声に一刀は不意に残酷な気分に襲われ感情が爆ぜた。

 

慧の腕を掴み寝所に押し倒す。酒壺が割れる音が部屋に響く。

 

それに構わず、一刀は慧の衣服を破り、そこから現れた豊かな胸を荒々しく揉みしだき、口内を自分の舌で蹂躙する。

 

慧は僅かに身動ぎしたが抵抗はしなかった。

 

一刀はそんな慧の様子を気にする事なく、怒張した自分の物を慧のまだ濡れてもいない秘部に突き入れた。

 

「うっ!」

 

苦痛の声を上げる慧。その姿を一刀は何処か冷えた気持ちで見つめる。

 

壊したかった。今、自分が抱いている女体を犯し尽くして壊してしまいたかった。

 

慧の事を考えずに乱暴に動く。いつしか慧が上げる声に艶が入り混り始めていた。

 

一刀は慧の秘奥に精を放つ。けれど一刀の怒張が治まる事はない。

 

精を放った直後にも関わらず、一刀は再びを腰を動かす。慧の声が喘ぎ声から悲鳴に近い物になる。それでも一刀は動きを止める事はしない。

 

一際高い悲鳴と共に慧の身体が硬直した後、脱力した。これ以上やれば死ぬかもしれない。一刀はそう思ったが、身体の動きは止まらない。

 

死ぬなら死ねばいい。一刀はそんな気分になっていた。

 

汗にまみれた交合。もはや、慧は声を上げる事も出来なくなっている。口元から涎を垂れ流し、下から尿と一刀の精が流れ出していた。

 

そんなケダモノの様な交合が終わったのは、一刀が七回目の精を放った後、明け方近くになってからだった。

 

 

 

八刻(二時間)程眠った一刀は目を覚ます。隣を見ると寝所に横たわった慧が一刀の顔を見つめていた。

 

「小僧、起きたばかりで悪いが、水を持って来てくれんか?身体の自由が効かんのじゃ」

 

「……わかった」

 

一刀が水を杯に注いで、慧に渡そうとするが、慧は受け取らない。

 

「どうした?飲まないのか?」

 

「口移しじゃ」

 

「はっ?」

 

「このまま飲めば溢してしまうわい。口移しをせい」

 

「身体を起こして飲めばいいだろう」

 

「誰かさんが散々、虐めてくれたせいでそれすら億劫なのじゃ」

 

そう言われてしまっては一刀としては反論出来なかった。

 

口に水を含み、慧に口付ける。それは昨夜の時とは違い、優しい口付け。

 

何度か喉を鳴らして、慧は一刀が口内に含んだ水を飲み終えた。

 

「ふぅ、身体が生き返る様じゃ。……それにしても若いとは恐ろしいのう。いや、お主が特別なだけか。儂はお主に乗り殺されるかと思うたわ。何にせよ、あんな抱き方をするのは儂だけにせい。並の女なら身が保たんわ」

 

「何故」

 

「ん?」

 

「何故、抵抗しなかった?」

 

「抵抗した方が良かったかのう?」

 

「はぐらかすな」

 

「ふむ、何故か……それはお主が泣いていたからじゃ」

 

「俺が……泣いて……いた?」

 

「そうじゃ、お主のその暗い目、その中には深い悲しみしかなかった。小僧、お主に何があったのかは知らん。じゃが、お主の中の悲しみを見た時、儂は抵抗する気が失せた」

 

「……」

 

「お主は強い。儂には数年の記憶しかないが、お主ほど強い、いや、強すぎる男は見た事がない。お主の部下もそんなお主の姿を見て期待してしまうのじゃろうな」

 

「……」

 

「そしてお主はそんな期待に応えられるだけの器量を持っておる。じゃが、お主がいくら強い男だとしても人である事には変わりはない。期待されるだけの人生では心に重しが積み重なりいずれは潰れる。お主は性欲で儂を犯した訳ではない。貯まりに貯まった悲しみや怒りなどの感情を儂にぶつけただけじゃ」

 

「……そうだとしても、それをお前が受ける理由にはならないはずだ」

 

「そうじゃな、じゃが、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今も泣き続けている子供を放っては置けんわ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧が一刀を見つめて、堂々と言い放つ。その目には慈愛の光が込もっていた。

 

「……お前」

 

「儂はこれからお主に着いて行くと決めた。お主は危なかっしくて見ておれんからな」

 

「なっ!」

 

「お主に必要なのは、お主に期待する人間ではなく、お主を甘やかす人間じゃ。儂の様な老体で良いなら、昨夜の様にまたお主の激情をぶつければ良いし、普通に抱いても良い」

 

「ちょっと待て!」

 

「待たぬ。もう決めた事じゃ」

 

一刀と慧、二人の視線が交錯する。一刀は慧の目を見てそれ以上言う事はしなかった。

 

絶対に譲らない。その意思がはっきりと見えたからだ。

 

「……わかった。お前の好きにしろ。だが、本当に俺に着いて来るか決めるのは、俺の話を聞いてからだ」

 

「お主の話とは?」

 

「慧、お前の失った記憶の事だ」

 

そう言って、一刀は語り始めた。自分のそして慧の数年前の乱世の話を……




今回は久しぶりに攻めさせて頂きました。どうかセーフであって下さい(平伏)


恋姫は魅力的なキャラクターが多いですが、嫁にするなら、凪、祭、流琉の三択。異論は認める。
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