真・恋姫†無双 鬼龍伝   作:三十路のおっさん

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袁紹の選択

「猪々子!斗詩!兵に呼びに行かせたというのに、何処に行っていた!?」

 

突然現れた、袁紹達に関羽が怒声を上げる。

 

「いやぁ〜最近出来た定食屋が美味いって評判だから、食いに行ってたんだよ。麗羽様、美味かったすね?」

 

「えぇ、私が行く場所としては少し貧相でしたが、味は及第点と言ってもよろしかったですわ」

 

「相変わらず、麗羽様は贅沢っすね。あんな美味い店、そうないって。まぁ、アタイには斗詩の料理が一番だけどな」

 

「文ちゃん、それは言い過ぎ。流石に本職の人には叶わないよ」

 

因みに袁紹達が言っている店は、一刀が諜報活動の為に屍鬼隊の者に出させた店だろう。店の人間から今回の事を聞いたなら間違いない。

 

「猪々子!お前、この大事な時に!」

 

「いや、アタイ達今日は非番だし。ってか愛紗、肩、怪我してんじゃん。うわぁ、痛そー。……そっちの兄ちゃんに喧嘩売ったんだよな?」

 

そう言って、文醜は一刀に視線を飛ばす。そんな文醜を一刀は軽く睨みつける。一瞬、目線が合うが、文醜は少し慌てた様に即座に視線を外した。

 

「うげぇ!焰耶、頭潰されてんじゃん!」

 

文醜は一刀が肩に抱えている魏延の亡骸を見て、顔をしかめる。

 

「猪々子!お前!その様な言い方!」

 

「だって、城下で聞いた話だと、喧嘩売ったの焰耶の方なんだろ?じゃあ、じごーじとくじゃん」

 

「……文ちゃん、自業自得なんて言葉、良く知ってたね」

 

顔良が文醜に対してボソっと呟く。

 

「斗詩、何か言ったかぁ〜」

 

「ううん、何でもないよ」

 

「……まぁ、いいや、ってかお前ら馬鹿じゃね。アタイも馬鹿で喧嘩好きだけど、そんなアタイでもその兄ちゃんが喧嘩売ったらダメな相手だっていうくらいはわかるって。……麗羽様、その兄ちゃん怒らせないでください。アタイと斗詩の二人がかりでも、多分……麗羽様を守り切れない」

 

先程までと変わらない様子で、言葉を発する文醜だが、その手は僅かに震えている。

 

「猪々子、貴女は私を何だと思っていますの?貴女に言われなくとも、その様な事致しませんわ」

 

「お兄さん、私達は貴方に敵対する気はありません……」

 

一刀に向かって、そう言う顔良の額には汗が滲み出していた。

 

そんな三人に対して、一刀は口元だけ笑みを浮かべる。

 

「心配しなくても、何もする気はないさ」

 

先の戦乱で、散々やらかした袁紹だが、一刀個人としては別に何かされた訳ではなく、進んで殺そうとも思わなかった。

 

一刀の言葉に文醜と顔良は安堵の表情を表に出す。

 

「いやー!良かったぜ。呂布と兄ちゃん、どっちが強いかはわかんないけど、兄ちゃん、呂布より怖いし」

 

「文ちゃん!「だが!」」

 

「戦場で俺に敵対するつもりなら容赦はしない」

 

そう言って一刀は殺気を放つ。

 

その殺気に三人は顔を青褪めさせて何度も頷く。

 

「なら、いい」

 

それだけ言って、一刀は外に向かって歩き出す。思わぬ、時間を食った。今頃、荊州の一刀の執務室には竹簡が積み上がっている事だろう。

 

「少しお待ちになって」

 

何故か、袁紹が一刀を呼び止める。

 

「んっ?」

 

「貴方は何処へ参りますの?」

 

「はぁ?決まってるだろう。荊州に帰るんだよ」

 

「でしたら、私も共に参りますわ!」

 

 

 

 

 

 

……………………なんでさ?

 

 

 

 

 

「「麗羽様!!」」

 

「袁紹!お前、桃香様を裏切る気か!?」

 

「関羽さん、貴女は何を言っているのでしょう?私は貴女方が居て欲しいと懇願するから、今まで此処に居ただけで、劉備さんの配下になった覚えなどなくってよ」

 

「いや、懇願した覚えはないが……」

 

「その様な事はどうでも良いのです!」

 

「麗羽様、どうでも良くはないと思うんですけど……」

 

「斗詩、何か言いまして?」

 

「いえ、何でもないです……」

 

いきなりの事でフリーズした一刀は再起動を果たし、袁紹に言葉の真意を問う。

 

「袁紹、何でお前が俺に着いて来るんだ?」

 

「おーっほっほっほっほっ!!良くぞ、聞いてくださいました!私、もう、この田舎の益州の地は飽き飽きしておりますの」

 

「で?」

 

「城下の商人から今の荊州は洛陽より栄えていると聞きました。まさしく、華麗な私が住むに相応しい街ですわ!」

 

 

 

 

 

 

…………ちょっと何言ってるかわかんないですね。

 

 

 

 

 

「俺がお前を荊州に連れて行く事に、俺にとって利はあるのか?」

 

「当然、御座いますわ」

 

「その利とは?」

 

「私が荊州に行く事で、荊州がさらに華やかになりますわ!何故なら私は四世三公の袁家の当主、袁本初でしてよ!」

 

「……あっ、はい」

 

話がぶっ飛び過ぎて、一刀は頭痛がしてきていた。ふとっ、蜀の人間の方に顔を向けると、何とも言えない顔で一刀を見ている。

 

そんな視線を受けながら、一刀は袁紹の言葉を前向きに考える。

 

文醜と顔良は使える。特に顔良はある程度の文官仕事も出来そうだ。ただ、二人の主である袁紹に使い道がない。むしろ邪魔だった。

 

いや、一刀が外道に堕ちれば使い道がない事もない。袁紹は顔と身体と血統は間違いなく一流ではあるから、一刀が袁紹を孕ませて、その子供を外交の道具に使う事は出来る。

 

……流石にそれは出来ないよな。

 

そんな事をすれば、今、一刀に従っている人間の心が一刀から離れる。それでは何の意味もない。

 

一刀は暫し、考えて決断する。

 

「袁紹、着いて来るのは構わん。だが、その場合はお前達は俺の配下になってもらう。客将なんて甘えた立場を求めるなら、この話はなしだ」

 

「……わかりましたわ」

 

「顔良、文醜、お前達はそれでいいのか?俺の下に来たら、当然働いてもらう事になるが……」

 

「まぁ、私達は」

 

「麗羽様に着いて行くだけだし……」

 

「はぁ、わかった。俺の名は高長恭だ。真名は荊州に着いたら教える。これからよろしくな。」

 

「えぇ、これからは真名の麗羽と呼んでよろしくてよ」

 

「アタイの真名は猪々子だ。よろしくなアニキ」

 

「私の真名は斗詩です。宜しくお願いします、ご主人様」

 

「ご主人様……ご主人様かぁ……」

 

「はい、それが何か?」

 

「いや、何でもない」

 

正直、言いたい事は山ほどあったが、もう色々と面倒くさくなっていた一刀はその全てをスルーした。

 

「あぁ、月、詠、決まってから言うのも何だが、お前達は良かったのか?袁紹達と因縁はあるだろう?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「そんなの、今更よ。ボク達が何年、袁紹達と一緒に居たと思ってるのよ」

 

「そうか、それならいいさ」

 

そう言って歩き出し、外に出た一刀達を待っていたのは、多くの成都の民達だった。




袁紹、無事に泥舟(蜀)から抜け出せた模様。
スキル豪運。生存率と金運を跳ね上げる。
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