Re:外道が始めるヤクザ生活   作:タコス13

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第4話『外国語はその国に行けば国語』

風呂から上がり部屋に戻った西谷を待っていたのは、西谷にとっては刺客より面倒で苦手な物だった。

 

「...なんで、この歳になってまで、こないな事せなならんのや...」

 

「それは、ベホマが字の読み書きも出来ない穀潰しだからよ。」

 

「...最近、ワシに対する当たりが強すぎるんちゃうか...」

 

何故西谷が自室にてこの様な事をしているかというと、2時間ほど前まで遡る。

 

西谷がロズワールとの会話を終えてから浴場から出るとそこにはラムがロズワールのと思しき下着とバスタオルを抱え立っていた。

 

「ベホマ、その使いもしない無駄に立派なモノをしまいなさい。」

 

「お、ラムちゃんやないけ。どないしたん、こんな所で?」

 

ラムに気付いた西谷は特に隠すこともせず、堂々とした佇まいでラムに質問する。

 

「ラムはロズワール様のお着替えの手伝いのために待機してるだけよ。」

 

「旦那さんの為に尽くすええ嫁になれるで。なんやったら、旦那さんの背中流してあげたらええんちゃうか?」

 

「ば、バカなこというんじゃないわよ......」

 

西谷のそんな言葉に珍しく恥ずかしそうに顔を赤らめてそっぽを向くラムは年相応に見える。

 

「ところで。ベホマ。この後は何か?」

 

「別になんもないで。寝るだけや。」

 

「それじゃ、後で行くから部屋で待っていなさい。」

 

こうした会話が繰り広げられて、現在西谷の自室にてラムに文字を教わるに至る。

 

「ま、言葉自体は通じとるから、一から覚えるよりはマシやが...それでもめんどくさいのう...」

 

面倒くさいと零しながらもきちんと文字を書き取ってるあたり、西谷自身必要な事だと理解しているからだ。

 

「ぶつくさ言って暇は無いわ。イ文字以外にもロ文字にハ文字もあるあるのよ。無駄に過ごす時間は無いわ。ラムも眠いし。」

 

「本音がでとるで。そういう正直なところ、ワシは嫌いや無いけどな。」

 

「ラムもラムの素直なところは美点だと思ってるわ。」

 

そんな風に二人で会話しながら、西谷のイ文字学習は進み夜も更けていった。

 

「んー、なぁ、キリもええしそろそろ...」

 

「すー...すー...」

 

「...なんや、寝とるんか。幸せそうな寝顔しおって...」

 

そう文句を言いながらも、優しい笑みを浮かべた西谷はラムをお姫様抱っこして寝室に送り届ける。

 

送り届けた後に自室に戻るとその日はそのまま眠りにつき、そして次の日の午後。

 

「なぜ、当然の様に扉渡りを破って、我が物顔で本を漁ってるのかしら...さっさと出て行くのよ!」

 

休み時間になると、勉強兼からかいに禁書庫へ行き本を漁り始める西谷に機嫌を悪くするベアトリス。

 

「...ええんか、そんな態度取って。パック君には貸しを返すから望みを言えって言われとるんやけどな〜?ベア子ちゃんの為に使ってもええんやけどな〜?」

 

「......騒がないなら、好きなだけいると良いわよ。」

 

「ベア子ちゃんはチョロいのぉ。」

 

わざとらしくそんな風に西谷が漏らすと、手の平をあっさり返すベアトリスにしたり顔で言う。

 

「ところで、いつもなにを読んどるんや?......まさか、ワシを呪う為に...?」

 

「ベティーは呪術なんか使わないのよ。」

 

「なんや!?ホンマに存在するんか!?...呪いってどんなもんなんや?」

 

冗談で言ったのにベアトリスの予想外の返しにビックリして聞き返す西谷。

 

「ちょっと待つのよ。確か......あったのよ。いいかしら、呪術は北方の国グステコが発祥の魔術や精霊術の亜種なのよ。とはいえ、呪い殺したりって感じの、使い道がおおよそ他者を害する形でしか存在しない出来損ないなのよ。...マナへの向き合い方として、これほど腹立たしい術式も無いかしら。」

 

ベアトリスは西谷の質問に棚から本を出しパラパラとめくりながら、忌々しそうに説明する。

 

「なるほどのう。確かに魔術や精霊術からしたら人を助ける能力が無い不完全なもんかもしれんのう。...それは遠隔でできるんか?やとしたら、エミィちゃんがすでに呪われとる可能性も出てくるのう。」

 

「その心配はないかしら。呪術は必ず相手との接触が条件になってくるのよ。...その代わり一度発動してしまえば止める術はないのよ。」

 

呪術の話を聞き真剣な表情でそんな事を零す西谷にそれは大丈夫だと話すベアトリス。

 

「さよか、とりあえずは良かったわ。...まぁ、頭の片隅には置いとかんとのう......これ、おもろそやな?読まして貰う...あかん、読めんわ...」

 

「......貸すのよ。これは魔物の図鑑なのよ。このページはウルガルムかしら。」

 

面白そうな図鑑を見つけたが読めない為ショボくれる西谷に見ていられなかったのか教えてやるベアトリス。

 

「ほう!なるほどのう!......ベア子ちゃんは優しいのう。おおきにやで。」

 

「ふん。別にお前の為にやったわけじゃないのよ。にーちゃのご褒美のためかしら。」

 

西谷が興味ありげに話を聞いていると不意に礼を言うとベアトリスは照れてそんな事を言う。

 

「まぁ、なんにしても世話んなったわ。そろそろ休憩終わるしワシは行くで。」

 

そう言ってベアトリスに一言挨拶をして、禁書庫を後にして仕事に戻る西谷。

 

その夜も文字の勉強をしてから眠り、次の日の昼頃になるとロズワール邸近辺のアーラム村へと出かける。

 

 

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