いつだったか、ある時、ふと気になって神様に聞いてみたことがある。
「未練を残してここに留まっていた魂って他にも結構居たりしたんですか?」
「居ましたよ〜。貴方に比べれば皆短い間ではありましたけどね。」
と、神様は少しだけ思い出すように考えて、何でもないように答えてくれたのだが、俺からすればそれは初めて見る顔だった。
憂いを帯びた表情というか、絵になるような、儚げなものを感じさせる、そんな雰囲気のある表情。人生経験の少ない自分ではきっと理解できないし、慮ることも出来ないであろうものを感じて、気圧される。
まあ?でも、気にしてませんけどね。何故か昔の男みたいな感じ醸し出てるけども?神様そういうの無いって知ってるし?私だってそこまでガキじゃないですし?気にしてませんことよ?ホントですわよ?
と、適当に自分に言い訳をしていたのだが、もちろんそれは神様にきっちり聞かれてしまっているので、駄々っ子を見るような、母性を通り越して菩薩のような暖かい視線を送られた。
凄くむず痒いので、話を進めたかったが、こんな時は茶化しても墓穴を余計に深く掘るだけなので頑張って耐えた。
文字通りの神様目線ってああいうものなんだろうね。意味合い変わってくるだろうけれど。
下手をすると、俺が生前にすれ違ったことのある人の数よりも多くの人がここに来ていてもおかしくないと考えると凄いよね。
この神様がいくつの世界を持ってたり作ったりしたのかは把握しきれないけれども、やっぱりスケールが違うんだなぁと思い、らしくもなく凹んでいたが、その時神様は確かにこう言っていた。
「本当にらしくないですねぇ。いつもならそんなことより遊びましょうとか言い出しているところでしょうに。はぁ……、まったく。
貴方の考えている通り私はここで多くの方々を見送ってきましたが、貴方ほど長く残っている魂は居ませんでしたよ。長い付き合いといったところですかねぇ。
だから、いつまでも凹んでいないでください。人も同居人が暗いと困るでしょう?
いつか貴方が貴方なりに納得できる答えが出せるその時までは私もお手伝いしますから。ふふふ〜。これ以上は野暮なことは言いませんからね。
でも、変わらない憤りをぶつけたくなったのならいつでも言ってくださいね。貴方の転生を心待ちにしていますから。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
と、言う訳で、野暮なことはしないとのことだったんだけれども。
たまに思い出したように無理矢理転生させようとするのは野暮ってもんじゃないんですかね?良心的な神様方ー?おーい。
周りでアーチを作るように整列している(卒業式で見たことあるだろうか?)、見かけたことのある神も含めた神達に呼びかけてみたが、一斉に目をそらされた。
態度が露骨すぎる…。
いや、分かりますけどね?そこのロリッ子が偉い上に怒ると恐ろしいし、スゴクスゴイっていうのは。逆らえん
でもさ、こんな…これは、無いんじゃないですかね?
「どんなところかの〜。妾も早く遊びたいぞ〜。まだなのか主〜?」
見て見なさいこの純粋な目を!キラッキラしとるぞ⁉︎おのれ、神様。数少ない俺の外堀、どころか一箇所、二箇所ぐらいしかないところを埋めおって!
………幼女神様、和服幼女ちゃん、爺神、etc、
あらやだ、俺の交友関係少な過ぎィィ⁉︎
いや、 だ、大丈夫だ、問題ない。ほ、ほら、賭け仲間の神様とかもいるし?
あ、でも、奴ら今あそこで野次飛ばしてやがる。薄情な神どもめ。
というか、だ。
だいたいにして、どうすんのこの子?俺と一緒に転生でもさせる気ですか?
この子は扱い的には俺とは違うんですよね。それに、爺い神にもう会えないって伝えたら多分泣き出すよ?
''貴方だけそのまま取り残してこちらで迎えを寄越すから問題ないです。''
おおい、ちょい待ち。今喋ってたのウチの神様ですね?
声だけ変えても分かりますよ?
長い付き合いだからね、これでも。
だいたいの神様は、あんまり生き物の区別とかしないから、「やぁ、そこな魂や」とか「人の子よ」とか呼んでくる。
年季入った神様とかなら、小僧とかヌシとか(隣の和服幼女ちゃんは元々古風な感じでした)、後はまぁ、知り合って慣れれば…ってところかなぁ。
……お医者さんまがいの変態神さんとかはまぁ…ほら、あれだから。察してくれ。あの人とか…。人じゃないけども。
アレらは今は遠い彼方にいるだろう。
歯医者の時は協力してただろって?
……色々あれからあったんだよ……。
それは置いといて。
だから、今のところ俺のこと貴方って言うの神様だけだからね。ニュアンスと字が違うのは分かってるけども、なんだい?ハニーとでも返せばいいの?
ならば言おうではないか。さあ、大きな声で。
「愛しのハニー、その可愛い姿をみせておくれ」
''…ッ!!?〜〜〜ッ''
と、クッソ恥ずかしいことを言うとどこからか笑いを堪える声が漏れていたのでそちらに耳を傾ける。
爆笑してくれてありがとうございますよ。ちくしょう。……扉の後ろにでも居るんですね?
''ごほん!そんなことよりも早く行く世界を選びなさい、迷える魂よ。''
否定しないんすね。扉の後ろ回っていいですか?
''なりません!!それよりも、隣の子が待ちくたびれておりますよ?貴方が赴く世界に、祝福のあらんことを'。さあ、神達よ!盛大に祝福を!!!''
その声を受けて、ハッとしたように盛り上げ始める外野神達。がんばれよー、祝福をー、などと言っているが、幸運ならば此処にあるので是非ともやめて頂きたい。
……さては、会話が面倒だからって、勢いで押し出すつもりだな?なんて残酷なことを考えるロリだ。
クラスメイト、告白、罰ゲーム、白い目………ぐすん。
勝手に盛り上がって、やらないといけない空気でシラけさせるななどと無茶を平気で言うような輩にかける慈悲など俺は持たんぞ!
ふっ。甘いな神様。俺には意味わからないほどの加護が押し付けられているのを忘れたか!
隣の少年(心満載の幼女)と遊びつくしてから無理矢理帰ってきてやるわ!時間神とか空間神とかって、酔っ払いが多いからなぁ!
''言い忘れていましたが、後ろで正座してる神達の加護は働きませんのであしからず。''
な……ん…だと…!?
''おやおや、顔色が悪いようですがどうなさいましたか?ふふふ。これまで、貴方にはなかなか楽しませていただきましたよ。まさか、ここまで残られるとは思いもよりませんでしたから。けれど、ええ、ついに、これでお別れです。''
そんなドヤってそうな声を合図に驚く暇もなく、何故か扉に吸い込まれ始める俺氏。
え、てか、なぜに?まだ選んでもないよ?
と、思っていると、待ちきれなかったのか隣の子が勝手に指を真っ直ぐに指して決めていたらしい。
「あの世界の猛獣遊園地とやらが人気らしいぞ!」
当然、手を繋いている和服幼女ちゃんも一緒に吸い込まれ始めたのだが、さっきまでは期待に胸を膨らませながらも健気に待ってくれていたのになんでだ?
と思って隣を見ると、答えがあった。
……いつのまにか手に握られた観光パンフである。しかも神様お手製であった。
きったねえ!選ばないのを見越して先導しやがった。
しかも、猛獣遊園地……ねぇ?
はい、行きたくないです。猛獣にとっての遊園地的な場所だろ?食われそうになって逃げ惑うのか目に見えるんですけど。
俺だけね。
この子は加護なしでも元々魂からして強いからね。しかも爺い神その他によって神性をお持ちになってらっしゃる。
表面上はそっかー、楽しみだね〜と、返事をしながらも深層心理はガクブルである。
どうにかしようと思考を巡らせるが、タイムリミットが来たらしく、一気にぐいっと引き寄せられる。
もはや抵抗は無駄らしい。
だが、吸い込まれながらも俺にはひとつだけ疑問が湧いてきた。
結局、今回のきっかけはなんだったのだろうか。
''行ってらっしゃいませ〜良い旅路を〜''
「出発じゃ〜!!」
「絶対に戻ってみせるからなぁ!」
……しまらないなぁ。
という感じで捨て台詞とともに扉に吸われ、視界が光に染まる。
と、まぁ、こんな風にしてついに俺は見事に転生……………
を果たさなかった。
いや、今更此処まで来といてなんだけど、しねーよ?
しつこい、くどい、と言われ続けてウン十年、でもしませんよ?
あの惰神どもの加護が効かない今の状態で転生させられちゃったらほんとにもう終わりだから実は割と危ないところだったりした訳である。
さて、ならばどうして飛ばされたのにしてないのかって?
はい、散々伏線っぽく振っといてなんだけども、厨二大好き転生モノってさ、手順があるだろう?それと同じだ。
先ず、行く場所を決める。
次に、意思確認。(良心的である。)
次に、魂に加護やら特典やらを付ける。
そして、飛ばす。
はい、では、どのタイミングで肉体になるのか?
まあ、ふつうに考えて神様が手を加えるか、その世界に体を作っといてそこに入るか、または、魂がその世界という枠組みにに入った瞬間に肉体になる(代わる)、かだ。
うちの幼女神は、大概は没シュートした際に見える形にしておいた魂に肉体を自動で付ける形だ。
その様式は神次第なのだろうが、俺は、そこに目をつけた訳である。
ウチのロリ神様はかなり偉いので大抵の事には顔が効く。なので、俺がほかの様式の異なる神に手回しを頼んでおいても、その世界ごと自分の管理下に置いてしまうという力業を発揮することも可能な訳だ。
ならば、神達の元締めレベルに顔の広い幼女神の手の回らないところと言えばどこなのか?
それは、隣の和服幼女ちゃん……の玩具…もとい、仇敵の元神である。
元は位の低い神、邪神などと言われていたあの神であるが、あの一件で、神の称号を剥奪されていた。
つまり、種族は神だけれど力は無いに等しいような神になった訳だ。実にややこしい。
どんだけ神神言えばいいのか。というか神様にも失礼である。もちろん、幼女な?
やらかしたせいで、そんな扱いになった元神であるが、隣の和服幼女ちゃんの覚醒時の名残で、まぁ、その、なんだ。
被虐体質…というか率直に言ってドMになったので、大抵蹴り上げればいうことを聞いてくださるという懐の深い神へとなっていた。
任される世界も無い状態だったのだが、ほかの神に比べて隠す所のない状態だった奴は、オープンなまま、取り繕うこともなく、ふらふらとしていた。
そのときに出会うSな魂や、同じくマゾヒストな人々の信仰を自然と集めてしまったのだ。
信仰を集める、ということは若干の力を増す土着神のような扱いとなり、見事、邪神以下でありながら、その実、色々な神の領域にまで密かに範囲を拡げる事に成功するという、決して少なくない特殊な趣向の者達のみの神となったのである。
そんな訳で、幼女にならば踏まれてもいい。
そんな尊い信仰を捧げて暫く、過去の因縁も何処へやら。和服幼女ちゃんのストレス発散や俺の仕事の都合で出会ったドSな神様(お忍びで)とのパイプを受け持つ事を条件に、秘密の加護を受け取ったのであった。
そのため、現在は猛獣遊園地とやらに向けて歩いているのだが、今まで通り魂のままである。
あの時目覚めた時に感じていた違和感は、幼女神様の細工とM神の加護がお互いに力が働きあって干渉していたためだったらしい。
そして、扉が消えてしまったのを確認し、帰りには和服幼女ちゃんに以前の様にしがみついて居れば、肉体ははじき、魂に直接作用するであろう謎ワープによって無事に帰れるはずである。
だから、私もう何も怖くない!
「おお!見えてきたぞ主!あれが怪獣系パークとやらじゃな!?」
そう、後は、ご想像の通り、猛獣を乗り回して喜ぶ和服幼女と、涙目で追い回される俺という未来に向けて、懸命に震える己と向き合うだけである。まる。
ちなみに、神様なんで怒ってたの?
「覚えとらんのか?いつものごとくあのロリっ子神の頭を撫で取るときにボソッと子供扱いして吹っとばされだじゃろ?」
うん、そこはなんとなく。
「その後、気絶が長かった主が仕事にこんから起こしに来たロリっ子神の胸に主の腕が当たったんじゃが、「……無い……無いよぉ……」とかタイミング悪く魘されたせいで、キレとったぞ?」
あ、さいですか。
というか、未だに神様、あのつるぺたボディ状態に謎の自信があるよね。
そこが良いんだけどさ。
とりあえずは、俺のせいですね。はい。すいませんでした。
ネタ切れ感満載の話でしたが、酔っ払うと書く病なのです。ゆるしてくだしあ。
もっと、好き勝手に書こうかな(ボソっ