今回でディアボロス編としての話は終わります。
それではどうぞ。
リアスが副司令にあのレザーコス『タイラント』と『クイーン』の扱いで気おされている。彼の弁としてはレザー製品の関係には思う所がある様で結構熱がこもってる。
聞かされている彼女にとっては完全に赤面ものの醜態だが。
「だから女性の肌のデリケートさを踏まえて丁寧な縫製は必須なんだ。とりあえず色々な面で何か問題が有って、解決困難な物なら時渡かトリーに相談する様に。2人なら大人としての対応をするだろうからな」
……もしもーし、本題も何もかも放り投げて解決まで俺達に放り投げないで下さーい。
俺は思わず遠い目を向けながら副司令に心からツッコミを入れてしまう。俺達に相談しろってのが着地点なのは分かってたけど、その対応は余りにも酷いと思いませんか?
「もっと酷くするか? もし恥ずかしいシミでも在れば写真付きでそのコスを、それも百万単位での巨額で商談が出来てしまうだろうが、とか」
ズッパン! ズッパン! ズッパン! ズッパン!
副司令の余計な話を傍で聞かされた持ち主は、周囲のあまりに副司令を猛抗議とばかりにハリセンの滅多打ちで打ち倒そうとするが彼には通用しない。それどころか頭を左右に傾けて打点をずらして威力を殺してみせる。
そしてハリセンの音が途切れた頃、副司令が静かにリアスに問いかけた。
「……少しは気が紛れたかな?」
「……何の事かしら」
「怒りや不満は溜め込むもんじゃない。吐き出せる所があるなら使うべきだとは思うぞ?」
「そうだな。イライラは溜めとく物じゃ無いよな」
副司令の背後に、いつの間にか司令が着ていた。生きてるのか。
「そうそう、君が貴族だというのなら、君の伝てで君達の所属する組織の代表、日本でいう総理大臣に渡せる様なら渡してほしい」
司令はそう言って懐に右手を入れて一通の封筒をリアスに手渡す。
「そうね、約束は出来ないけれど、出来る限り渡す様にはするわ」
封筒を受け取ったリアスは軽く封筒を見回して怪しい所でも確認していた様だ。そして受け取った封筒を制服のポケットにしまい込む。
そして彼女は見てしまった。豪快にズボンが破けてこんにちわし掛けているブツを、銀色トレイで隠している司令の姿を。だが司令はそこに構わず、自分の怒りをぶつける相手へと向き直る。
「そして本題のイライラってのをぶつける相手に副司令を指名するぞ、この野郎!」
「海面体裂傷にも届かんとは、次はクレイモアを用意するか? 司令」
「大量生産出来無くなったらどうする!」
「大量生産するなバカァーッ!」
カキィーン!!
2人の言い合いが始って『大量生産』の文言に及んだ瞬間、横から黄金色の棒が突き出て空の彼方へと、殴り飛ばしていった。その棒を辿って行くと見事なまでの黄金色のグリップと、それを握る女性の手……あ、補佐官。
「こちらの少女達の前であの様な醜聞もかくやの言動を放つのは、非常に宜しくないのではと思うのですよ」
補佐官はそう言って手にしている粉砕バットを下ろしては優しく微笑む。『秩序を語る粉砕バット』は今日も秩序を物語ったのか……。そんな彼女の言葉を受けたリアス達と俺達は、乾いた笑いしか浮かべられなかった。
「この場所は夕方までキープしてありますが、学生の皆さんは学業に差し支えても困るでしょうから切りの良い所で切り上げてくださいね」
「あ、はい。ご配慮に感謝いたします」
「私はまだあのお2人にお話が、ゴッソリ有りますので申し訳ありませんが、時渡さん達には彼女達をお願いいたしますね」
「ご、ゴッソリ!? ……りょ、了解です。補佐官」
俺は補佐官の言葉に目を白黒させながらも何とか返事をする。すると補佐官はおもむろにリアスに向き直り、深々と頭を下げた。
「色々とウチのメンバーがご迷惑をおかけしていた事と思いますが、これからもよろしくお願いいたしますね」
「えっ、……あ、はい」
リアスは改めてお願いをされたためか少し面食らった様子を見せるが素直に返事をする。それを見た補佐官はそそくさとその場を後にして司令達が消えた方角に向かって疾走を始めた。
「……まあ、何だ、とりあえずよろしく頼むよ」
「仕方ないわね、程ほどにお願いするわ」
俺とリアスは互いにそう言って握手を交わした。お互いに仕方ないと困った顔を浮かべながら。