さてさて組織が送ってきたレポートの中身は何なのか。
そしてそこから誘発される騒乱とは。
それではどうぞ。
番外編第2章 イッセーのお勉強大作戦
第2章 第3話 瀬戸際と往生際のディアボロス
「というわけで、約束の勉強法を持ち込んでみた」
「何が『というわけ』なのよ」
翌日の部室で、俺はリアスに疑いの眼差しで睨まれている。スケベ小僧がやる気になるような勉強法を持ってきてやったというのに。
「まあ、百聞は一見に如かずだ。このレポートを見てくれ」
俺はそう言ってリアスに例のレポートを手渡す。
ポスッ、
スパンッ!
リアスはそのレポートを受け取ったそのお手で俺の顔にレポートを叩きつけてきた。
「ひっでぇじゃねえか、グレモリー」
「それはこっちの台詞よ! どこの世界にこんな勉強法で学力が上がる道理があるの!?」
怒鳴り散らす俺に対してリアスが涙目で訴えてくる。その顔の赤い事赤い事、身体が震えているその様は間違いなく怒りからだけではない筈だ。
「貴方たちの世界には、『パフパフによる血圧上昇と血流量増加から得られる記憶力向上と集中力の強化』なんて勉強法があるって言うの!?」
ブーッ!
リアスの叩きつけたレポートのタイトルを聞かされ、その場に居る朱乃以外のオカ研メンバーが同時に目を剥いた。イッセーなんか吹いたぐらいだからやっぱり衝撃しかないよな、そのタイトル。
「マジかよ……」
「ショックしか無いです」
「あらあら」
「アハハハ……」
オカ研メンバーは顔を引きつらせては呆れ果てた感想を口から漏らしていた。リアスの反応から俺の持ち込んだブツがヤバい代物だと思い込んでるのかも知れない。
しかし俺のその見込みも次の瞬間には吹き飛んでしまった。
「第一、『パフパフ』って何なの!?」
そっからかぁ。
俺はリアスが顔を真っ赤にしながら問い詰めてきた疑問符に失念していた事を気付かされた。そうだよな、連中はまだ学生だもんな、知らないって事はあるよな。でもイッセーは知識としては得ている様なんだよな。
「ドラグ・ソボールのワンシーンをやるのか?」
「最低です」
「僕達未成年だよね?」
イッセーはとにかく、小猫と木場は否定的だな。お年頃だというのに、ってドラグ・ソボールはこっちにもあったんだっけ。
「さて、実践するにあたって協力者を女性陣から募りたいんだけどな」
俺がそう言って目配せをすると、察しの良い小猫がアーシアの腕を掴んで正面から逃亡を図った。
「私とアーシア先輩はこの通りなので残念ですが」
小猫の言葉にアーシアが首をキョロキョロと巡らせながら慌てているが、小猫は自分の武器を知り尽くした自信で逃げおおせる様だ。無論、俺もそいつを否定できるほど無理の利く男ではない。
融通の利く男を自負しているけどな。
イッセーの同級生と下級生の2人の拒否に対して俺は仕方ないかと思いながら他に視線を向けると、朱乃の貌に思わせぶりな笑みが浮かび上がり、その視線の先にはリアスが鎮座していた。
「あらあら、そういう事でしたら私が」
おおう、お姉さま特権発動ですか? やっちゃいますか?
朱乃が妙にやる気を出しているのを見て俺は思わず興味が引かれた。確かに彼女ほどの大きさなら挟んで十分に有り余る、こねくる事さえ出来るだろう恵まれたおっぱいだ。
だがそことは別に、噴煙を上げる存在がその威厳を黒くにじませ始めた。無言の圧力とでも言おうか、物言いたげなどす黒いオーラが俺ではなく朱乃に向けられている。
「ちょっと朱乃」
「はい? 部長」
リアスの声に朱乃が応えて向き直る。その時俺には僅か一瞬だが、2人の間でぶつかり瞬く光を見た。
そして、気のせいとは思えない荒ぶる陽炎の中に、互いに毛を逆立てては牙を剥いて唸るニャンコとワンコの姿があるのを。
俺との実力差が有り過ぎるからこう見えるのか、不思議な事だから後で身内連中にでも聞くか。