これからライザー編が始まるわけですがその前に、異世界支部の立ち上げなどがありまして、それが始ります。
それでは、どうぞ。
第101話 異世界支部、始まります!
あの就任式と嵐のような余興を乗り越えて今、真新しい支部長の椅子に座り、支部長のデスクの上には俺の名前である『時渡翔』の名前が入ったプレートが鎮座している。
異世界支部の支部長、時渡翔という強襲部隊ダークネス新幹部たるこの俺の名前が!
「キモッ!」
俺が椅子に座りながらクネクネと身悶えているのを見てドン引きしている。酷い事を言われたけど今なら許せちゃう。
俺の動きにドン引きしているのはトリーことトリー・コロール、今ではダークネス所属だが前は調査部隊シーカー所属で頻繁に俺とコンビを組んで調査に出ていた。その時の俺はシーカーに派遣されてた事もあってコンビを組む事に不思議は感じなかったけど、ただ俺のケツに執着するのだけは止めてほしい。
「仕方あるまい。出世というものは男の夢とも言えるものだからな」
トリーの言葉に慰めのような言葉を投げたのはドーナ・シークというこの世界の堕天使で、今ではダークネス所属の俺の部下の1人である。とあるゴタゴタに首を突っ込んだせいで元の鞘に収まるわけにはいかなくなって俺達のスカウトに応じて此処に居る。トレンチコートの似合う渋い中年。
「そうよね、偉い男に女は惹かれるものよ?」
ドーナ・シークの隣で自分のネイルを見つめている女はカラワーナという堕天使で、彼と同様の理由で内に転がり込んできている瑠璃色の長髪ボディコン女だ。胸元から臍下まで切れ込んでるボディコンスタイルが素晴らしい。
「キャハハッ! でもさ、キモイっちゃあキモくね?」
ケラケラ笑いながらトリーに賛同するゴスロリ少女は彼と同じ金髪ツインテールの堕天使のミッテルトで、彼女もまた彼と同じく俺達の所に転がり込んできた1人だ。トリー直々にゴスロリの至高を諭されて道を究めようと意気込んでいるらしい。
そして今、俺達は補充要員の到着を拠点の支部長室で待機しているわけだ。何しろ3個小隊、18名と2人が着任するとの話で、しかも2人の内の片方は会計士、もう片方は副支部長という肩書を持って着任ともなると支部長である俺もソワソワしてしまう。
「それにしても隊長も人が悪いよな。ダークネスから3個小隊を着任させるってのに、リストも無いなんてなぁ」
「着いてからのお楽しみ、ってヤツじゃ無いのかしら?」
俺が思わずぼやいた言葉をカラワーナがクスクス笑っている。
「そうだろうな。もっとも普通の会社なら職場の責任者に情報を渡すものだと思うのだが?」
「ダークネスは普通の会社どころか一般人じゃねえよ。受刑者の集まりだぜ?」
ドーナシークが常識を打ち出すが、生憎と俺の所属しているダークネスという部隊は元凶悪犯の集まりで司法取引の一環で司法庁から貸し出されているのだ。もっとも借りてるというのは口先だけで仕事の大半は命がけの荒事ぐらいしか仕事がやってこない。かくいう俺もこの世界に来る前、トリーとコンビを組む前はダークネスで色々と危険な事をしていた位だ。
「むしろ俺が困るのを見て笑ってそうな気がするんだよな」
「「それ言えてる~っ」」
俺の指摘に対してミッテルトとカラワーナは口を揃えて笑う。笑い事じゃないってのに。
そんな中、話題を変えようというのかドーナシークが室内を見回し、しみじみとした口調で言葉を漏らした。
「……しかし、何だな、この部屋も広いな」
そう、俺達が任命式に出席している間に何やら拡張工事をしたらしく、部屋の間取りどころか拠点そのものが拡張されていた。しかも両隣に対して悪くない物件まで用意して立ち退かせ、引っ越し費用はおろかむこう半年分の生活費までポンッと手渡したらしい。そして3件分の土地を1時間で更地にして挙句に半日で支部の建物に建て替えて部屋の間取りを増やしやがった。まるで神のような所業に悪魔の様なイタズラまで載せてきたよコレ。部屋の中身が寸分たがわずにそのままなのに部屋の広さだけガッツリ拡張されているんだから。
おかげでリビングがおかしな感じしかしなかった。部屋の中の家具とかが小さくなった様にしか感じられなかったからな。
これで後から3個小隊、18人と2人だかが来るんだよな、それに対応させたんだろうな。