ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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お疲れ様です、バグパイプです。

さてはて、降ってわいた結婚話に対してカケカケ達は動き出すようです。どんな事態になる事やら。

 それでは、どうぞ。


第110話 結婚の裏に隠れた思惑

 見目麗しい銀髪メイドは軽く咳払いをしてから、自己紹介を兼ねてこの場を検めるように説明を始めた。

 

「それでは改めてご説明をさせて戴きます。私はグレモリー家の使用人グレイフィアでございます。この度は古い家柄を持つフェニックス家ご三男、純血の上位悪魔で在らせられますライザー・フェニックス様とグレモリー家の次期当主で在らせられますリアス・グレモリー様のご結婚に関する打ち合わせを行うべく参上した次第なのですが」

 

 グレイフィアと名乗った銀髪メイドはそう言葉を区切ってからリアスを一瞥する。すると冗談じゃ無いとばかりにリアスが感情を爆発させた。

 

「冗談じゃ無いわよ、高校卒業まで自由にさせてくれるんじゃ無かったの?」

 

 リアスの話を聞く限りではどうやらライザーという婚約者の事で揉め、結婚時期となる高校卒業までは結納延期として保留していた様だ。しかしこうして彼が着ている以上は彼の親類に彼自身がせっつかれて暴走まがいの事をしでかした、と見るべきか。

 

 それに純血悪魔というのも妙に気になる。イッセーやアーシアの様に転生悪魔が出来る以上は確かに純血悪魔の存在は一種のステータスだ。貴族ならなおさらと言っても過言では無いだろう。しかしそれだけで結婚を逸る理由としては弱い。まあ、破談になれば大なり小なり醜聞として看過できないものになるのは当然ではあるが。

 

「だから私は婿を迎え入れるつもりよ。でもそれはあなたとでは無いわ」

 

「だが冥界で純血の悪魔が年々減少している事に懸念が無いとは言わせないぞ」

 

「だから私は貴方とは結婚するつまりは無いと言ってるのよ」

 

 2人の水掛け論を聞き流しながらその場のほとんどの面々が秘かにため息を漏らす。余程の数を繰り返した口論なのだろう事はこれで判明した。だが2人の間にある溝は貴族としての立場のせいで広がる事は無さそうだ。かといってリアスが嫌ってる以上は埋まる溝も埋まらない。

 

 さてと俺もそろそろ介入してみるか。

 

 俺は仕方ないとばかりに方針を固め、グレイフィアに問いかけた。

 

「ちょいとメイドさん」

 

「グレイフィアとお呼びください」

 

「……ではグレイフィアさん、この婚姻に関する書類を見せて貰えないか? 貴族の婚約は書類に纏めるのがしきたりのはずなんだけどな」

 

 俺がメイドに対してこの件の関係書類の提示を求めると、彼女は意外そうな表情をその貌に浮かべて来た。

 

「よくご存じなのですね。貴族とは無縁そうな殿方に見えますのに」

 

「教師がその辺の事情に明るいと困るのか?」

 

「いえ、そういうわけでは」

 

 グレイフィアは皮肉返しを受けて尻込みながらも書類を俺に手渡してきた。その書類は彼女たちの世界の文字で書き記されているが、オカ研に入り浸る事で俺とトリーはこの文字の解読に成功し、翻訳もおおよそで完成させてある。その際に木場が尊い犠牲になったのは言うまでもない。

 

「ふむ、結婚の時期に関してはおよそ適切な時期が書き記されているな。それにライザーを婿養子に入れる事で生じる問題……」

 

 俺は書類を読み続けるうちに大変な事に気づいた。結婚自体には関係ないが、今後の事で欠落が許されない一文がかけている事に。

 

「すまねえ、グレイフィアさん、この一文なんだが」

 

「どうされましたか? ずいぶんと険しい顔をされていますが」

 

「どうもこうもねえ。入り婿となるライザー当人と、リアスとライザーの間に生まれた子供の継承順位、それとリアスが不慮の事故で死亡した際の継承順位の変動に関する記述が欠けている。こいつは決定的なミスリードを出すぞ?」

 

 俺の指摘を聞いてグレイフィアが血相を変えて俺から書類をひったくる。

 

「そんなまさか!」

 

 グレモリー家当主の継承順位変動。これはハッキリとこの書類に明記しないとミスリードを呼び、最悪となるとグレモリー家がフェニックス家に取り込まれる書類に早変わりするのだ。その危険を回避するため、この書類に記載すべき一文『リアスグレモリーが当主を執行している間は婿養子のライザー殿にはグレモリー家の政の決定に関わる事を禁じる』、もしくは『婿養子として迎え入れたライザー・フェニックスに対してグレモリー家は継承順位より除外し、当人も放棄する事を了承する』と記載しなければならない。

 

 俺の指摘通り、一文が欠落している事を目の当たりにしたグレイフィアは驚愕とし、その貌から血の気が失せていく。

 

「なんだと! 見せてみろ!」

 

 この状況にただならぬものを感じたのか、血相を変えて書類をひったくったライザーが、書類に目を通した途端に愕然となってその場に膝魔づいた。

 

「そ、そんなばかな……、これじゃあ俺様は……」

 

 俺はそんな2人を見て助言を口にした。

 

「今は一先ず引き上げて書類の精査及び訂正をする事を奨める。貴族としてこの書類の不備は間違いなく危険だからな、今からでも遅くは無い。しかしこれは失態として覚えておくことだ。フェニックス家の親族に知れたら必ずつけ込まれて破滅する。婿養子が権力の簒奪なんてものは許されないからな」

 

 俺はそう言って話を纏めると、自分の本来の名刺を封印球から取り出し、2人に手渡した。

 

「この名刺に記載されている電話番号に掛ければ俺に繋がる。これで当面の間、連絡し合って問題の解決を図ろう」

 

 俺の言葉にライザーは複雑な表情を浮かべると力無い手で名刺を受け取った。

 

「済まない。俺様とした事がどうしようもない間抜けだ」

 

「そいつは俺に言うセリフじゃ無いだろ」

 

 あくまで俺は適当な相談役という立ち位置だ。この場合はむしろアチラさんに投げるのが正当だろう。貴族だってこういう問題を避けるために次期当主との婚姻は避けて通る風習がある位だ。だからこその三男ライザーなのだろう。

 

 だがそこが裏目に出た。チヤホヤされた挙句につけ込まれたのだろう。すると黒幕は親戚筋か末流か。

 

「この件は魔王様にご報告すべきでしょうか」

 

 グレイフィアが俺に対して意見を求めてきた。確かに魔王に話を付ければライザーの線から黒幕まで辿れるだろう、それだけの権力は有るがこの場合の最適解は。

 

「いや、それは最悪の手段に取っておきたい。下手すると実行犯でライザーが持って行かれる可能性がある」

 

「なっ! いや、そうか、詐欺の片棒を担いでいる状態だからか、俺様の立ち位置は」

 

「出来るなら黒幕を暴いてライザーが踊らされていたという証拠まで握りたいが、黒幕の計画書が無いと無理だな」

 

 ライザーは俺達の言葉から自分に身の危険までを察知した様だが、解決策までには至っていない。

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